人材開発支援助成金とは?従業員の研修費と賃金を助成する制度を解説
#
税金

人材開発支援助成金は、従業員に職務に関連した研修や訓練を計画的に受けさせた事業主に、訓練経費と訓練中の賃金の一部が助成される制度です。主なコースの違い、対象や助成率、申請の流れまでを、従業員を雇う個人事業主の目線で整理します。
従業員のスキルを伸ばしたいけれど、研修費も、その間の給料も負担になる——人材育成に前向きな事業者ほど、このジレンマに直面します。人材開発支援助成金は、まさにこの「訓練の費用」と「訓練中の賃金」の両方を支えてくれる制度です。まずはどんなコースがあるのかを見ていきましょう。
☑ 従業員に研修を受けさせたいが、費用と休んでいる間の賃金が負担だ
☑ 人材開発支援助成金のコースが多くて、どれを使えばよいか分からない
☑ 個人事業主でも使えるのか、助成率や申請の流れを知りたい
以下では、人材開発支援助成金の主なコースと対象、助成率のイメージ、申請から支給までの流れ、そして注意点を順に整理します。従業員の成長に投資したい個人事業主の参考にしてください。
人材開発支援助成金とは?「研修費」と「賃金」を支える制度
人材開発支援助成金とは、事業主が従業員に対して職務に関連した専門的な知識・技能を習得させる訓練を計画的に実施した場合に、訓練にかかった経費の一部と、訓練期間中に支払った賃金の一部を助成する厚生労働省の制度です。企業の人材育成を後押しするのが目的です。
複数のコースがある
この助成金には複数のコースがあり、目的に応じて使い分けます。代表的なものは次のとおりです。
人材育成支援コース:職務に関連した訓練を実施
人への投資促進コース:デジタル人材・高度人材の育成訓練など
事業展開等リスキリング支援コース:新事業展開に伴う訓練
教育訓練休暇等付与コース:有給の教育訓練休暇制度の導入
個人事業主も対象になる
従業員を雇い、雇用保険の適用事業になっている個人事業主も対象になり得ます。小規模事業では従業員一人ひとりのスキルが経営に直結するため、活用価値の高い制度です。人を雇う際に使える制度の全体像は個人事業主が使える補助金・助成金の探し方で確認できます。
助成される内容と助成率
人材開発支援助成金では、大きく「経費助成」と「賃金助成」の2つが受けられます。経費助成は訓練にかかった費用の一部、賃金助成は訓練を受けている時間に支払った賃金の一部で、それぞれ助成率や単価が定められています。
助成の考え方
経費助成と賃金助成の対象と、助成の考え方を次の表に整理します。
助成の種類 | 対象 | 助成の考え方 |
|---|---|---|
経費助成 | 研修の受講料・外部委託費など | 費用の一定割合(中小で高め) |
賃金助成 | 訓練を受けた時間の賃金 | 1人1時間あたりの定額 |
賃上げや正社員化などの取り組みを組み合わせると、助成率が上乗せされる場合があります。コースごとの具体的な助成率は、厚生労働省の人材開発支援助成金の公式案内で確認してください。
数値でイメージする
たとえば従業員1人に受講料10万円の外部研修を受けさせ、その研修が20時間だったとします。経費助成が費用の一定割合、賃金助成が1時間あたり定額で支給されるため、研修費と賃金の両方について負担の一部が戻ってくる計算になります(実際の額は要件審査で決まります)。人材育成の観点は人材育成・教育訓練に使える助成金の活用法もあわせて読むと理解が深まります。
申請から支給までの流れ
人材開発支援助成金は「訓練計画の作成・届出 → 訓練の実施 → 支給申請 → 支給」という流れです。訓練を始める前に計画を届け出ることが原則で、思いつきで受けた研修を後から申請することはできません。
大まかなステップ
①訓練計画の作成・届出:訓練の内容・期間・対象者をまとめ、期限までに労働局へ届け出る
②訓練の実施:計画どおりに研修・訓練を実施し、賃金を支払う
③支給申請:受講記録、賃金台帳、費用の領収書などを添えて申請
④審査・支給:内容が確認されると助成金が支払われる
助成金は訓練の実施後に申請・支給される後払いです。受講料や賃金は先に支払う必要があるため、資金の準備を見込んでおきましょう。人を雇う個人事業主の保険・労務まわりは社会保険・労働保険の加入が要件になる助成金への対応で確認できます。
受け取った助成金の税務
助成金は原則として事業所得の収入に計上し、課税対象になります。支払った研修費や賃金は経費、受け取る助成金は収入として、それぞれ分けて処理します。経理処理は補助金・助成金を受け取ったときの税金と処理を参考にしてください。受講記録や賃金台帳の整理まで手が回らないときは、記帳代行という選択肢もあります。
よくある質問
Q. 事業主本人が研修を受けても対象になりますか?
この助成金は、事業主が「従業員」に訓練を受けさせることを支援する制度です。そのため、事業主本人が受ける研修は原則として対象になりません。従業員の職務に関連した訓練を計画的に実施した場合に、その経費と賃金の一部が助成されます。
Q. どんな研修でも対象になりますか?
いいえ、職務に関連した専門的な知識・技能を習得させる訓練が対象で、時間数などの要件もあります。趣味的なものや、業務との関連が薄い講座は対象になりにくいです。コースごとに対象となる訓練の条件が細かく定められているため、計画づくりの段階で確認しましょう。
Q. 訓練を始めてからでも申請できますか?
原則としてできません。人材開発支援助成金は、訓練を始める前に訓練計画を届け出ることが要件です。届出の期限も定められているため、研修の実施を決めたら早めに計画を作成し、期限内に届け出ることが重要です。
今日のポイント|研修費と賃金の両方を支える制度
人材開発支援助成金は、従業員に職務関連の訓練を計画的に受けさせた事業主に、訓練経費と訓練中の賃金の一部を助成する制度で、目的に応じた複数のコースがあります。従業員を雇う個人事業主でも対象になり得て、「訓練前に計画を届け出る」という順番が受給の前提です。人材育成の負担を抑えながら、従業員の成長に投資できる心強い制度といえます。
助成金の申請では、受講記録や賃金台帳、費用の領収書など日々の記録が正確にそろっていることが欠かせません。人を雇い育てるほど、経理で扱う項目も増えていきます。
受講記録や賃金台帳の整備を、本業のかたわらで毎月続けるのは骨が折れる——そう感じたら外注も一つの手です。領収書丸投げドットコムは、領収書や請求書を送るだけで記帳を代行し、契約の縛りなく月額6,600円(税込)で書類整備を任せられます。まずは研修や助成金の書類整備を無料相談で確認するところから始められます(相談は無料です)。助成金で受け取った収入の申告まで見据えるなら、確定申告の代行サービスもあわせてご確認ください。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








