事業承継・引継ぎ補助金を個人事業主が活用する方法と申請の流れを解説
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税金

事業承継・引継ぎ補助金は個人事業主も対象で、親子間の引き継ぎからM&Aまで幅広く使えます。対象になる費用や申請の流れ、交付決定前に動かないなどの押さえどころを、初めての方にもわかるように整理します。
事業を誰かから引き継ぐ、あるいは誰かに引き継ぐという場面は、個人事業主にとって人生でそう何度もあることではありません。だからこそ、いざその時を迎えると「何から手をつければいいのか」「お金の負担をどう乗り越えればいいのか」と戸惑ってしまう方がとても多いのです。後継者として引き継ぐ側も、引退して譲り渡す側も、想像以上に費用がかかることに驚かれます。
☑ 親や先代から個人事業を引き継ぐことになったが、設備の入れ替えやリフォームの費用が重くのしかかっている
☑ 「事業承継・引継ぎ補助金」という制度があると聞いたが、個人事業主でも使えるのか、何に使えるのかがわからない
☑ 申請書類や手続きが難しそうで、忙しい中で自分にできるか不安だ
そんなときに心強い味方になるのが「事業承継・引継ぎ補助金」です。この補助金が個人事業主にとってどのような場面で役立つのか、どんな費用が対象になるのか、そして申請までの大まかな流れをまとめました。自分のケースで活用できそうかの見当がつくよう、順に確認していきましょう。
事業承継・引継ぎ補助金とはどんな制度か
「引き継ぐ」場面を後押しする国の補助金
事業承継・引継ぎ補助金は、事業を次の世代へ引き継いだり、第三者へM&Aで譲り渡したりする際にかかる費用の一部を国が補助する制度です。後継者不足や高齢化が進むなかで、廃業せずに事業を残していくことを後押しする狙いがあります。法人だけのものと思われがちですが、個人事業主も対象になっており、親子間での引き継ぎや、知人への譲渡など、さまざまなケースで活用できます。
ポイントは、単に「引き継いだから」もらえるお金ではないという点です。引き継いだうえで設備を新しくする、店舗を改装する、新しい取り組みに挑戦するなど、事業を前向きに動かすための費用を支援するという考え方が根本にあります。引き継いだ事業をさらに良くしていくための補助金だとイメージするとわかりやすいでしょう。
大きく分けて複数の枠がある
この補助金は、目的に応じていくつかの枠(類型)に分かれています。代表的なものを整理すると、次のようなイメージです。
経営革新の支援:事業を引き継いだ後継者が、設備投資や販路開拓など新しいチャレンジをする際の費用を補助する枠
専門家活用の支援:M&Aで事業を譲り受けたり譲り渡したりする際に、仲介会社やファイナンシャルアドバイザーなどの専門家に支払う費用を補助する枠
廃業・再チャレンジの支援:事業の引き継ぎに伴って一部を廃業する場合などの費用を補助する枠
個人事業主の場合、特に縁が深いのは「親や先代から引き継いで設備を入れ替えたい」「店舗を改装したい」といった経営革新の支援です。M&Aで引き継ぐ場合の補助金の使い方は事業承継・M&Aで使う補助金でも詳しく整理しています。自分のケースがどの枠に当てはまるのかを最初に見極めることが、活用の第一歩になります。
枠や金額は年度ごとに見直される
この補助金は、毎年のように募集の枠組みや補助の上限額、補助率などが見直されます。そのため「去年こうだったから今年も同じ」とは限りません。具体的な金額や対象経費の条件を確認するときは、必ずその年の公募要領(募集案内)を見るようにしましょう。本稿では年度で変わる数字の断定は避け、考え方を中心にお伝えします。
個人事業主が活用できる主なケース
親子・親族間で引き継ぐとき
最も身近なのが、親が営んできた商店や工房、飲食店などを子どもが引き継ぐケースです。引き継いだ後継者が、古くなった厨房設備を入れ替えたり、店舗の内装をリニューアルしたり、新しいメニューを始めたりする際の費用が補助の対象になり得ます。「先代のやり方をそのまま続ける」のではなく、後継者が自分なりの工夫を加えて事業を伸ばそうとする取り組みが評価されやすい点を押さえておきましょう。承継の際に使える税制面の優遇とあわせて考えるなら事業承継税制と個人事業の節税も参考になります。
第三者へ譲る・第三者から引き継ぐとき(M&A)
後継者が身内にいない場合、知人や他の事業者へ事業を譲るM&Aという選択肢があります。逆に、誰かが営んでいた事業を引き継いで自分の事業として育てるケースもあります。こうした第三者間の引き継ぎでは、相手探しや条件交渉のために専門家へ依頼する費用が発生しがちです。その専門家費用を補助する枠を使えば、M&Aのハードルをぐっと下げられます。個人事業主同士の小規模なM&Aでも活用できます。
引き継ぎと同時に一部を整理するとき
事業を引き継ぐにあたって、採算の合わない部門や使わなくなった設備を整理することもあります。こうした廃業や撤退に伴う費用も、枠によっては補助の対象となる場合があります。「残す部分」と「たたむ部分」を整理し、身軽な形で新しいスタートを切りたいときに検討する価値があります。撤退や縮小に伴う税務上の注意点は事業の縮小・撤退と節税にまとめています。
対象になる経費・ならない経費の考え方
対象になりやすい費用
補助金は「何にでも使える」わけではなく、認められた経費にしか使えません。一般的に対象になりやすいのは、次のような費用です。
機械や設備、什器などの設備費
店舗や工場の改装にかかる内装・外装工事費
新しい取り組みのための広告宣伝費・販促費
システム導入やホームページ制作などの費用
M&Aの際の専門家への報酬(仲介手数料、デューデリジェンス費用など)
いずれも「引き継いだ事業を良くするために必要だった」と説明できることが大切です。見積書や契約書、領収書などの証拠書類をきちんと残しておくことが、後の申請や報告で必ず効いてきます。
対象にならない費用
一方で、次のような費用は原則として対象外になりやすいので注意しましょう。
事業と関係のない私的な支出
申請より前に発注・契約・支払いを済ませてしまった費用
土地の購入費や、汎用性が高く転用しやすいもの(一般的な事務用品など)
税金や保険料など、補助になじまない性質の支出
特に見落としがちなのが「タイミング」です。多くの補助金では、採択(交付決定)の前に発注や契約をしてしまうと対象外になります。「先に工事を始めてしまった」という失敗は本当によくあるので、原則として正式な決定を待ってから動くことを徹底しましょう。
補助金は「あとから入金される」のが基本
もう一つ大切なのが、補助金は原則として後払い(精算払い)だという点です。つまり、いったん自分で全額を支払い、必要な経費だと認められたあとで補助分が振り込まれます。手元の資金がゼロでは進められないため、つなぎの資金をどう用意するかも併せて考えておきましょう。日本政策金融公庫の融資など、金融機関からのつなぎ資金と組み合わせる方も多くいらっしゃいます。
申請から受給までの流れ
準備段階:計画を立てて支援機関に相談する
まずは「何のために事業を引き継ぎ、これからどうしていきたいのか」を自分の言葉で整理することからスタートします。多くの場合、認定経営革新等支援機関(税理士や商工会議所などが認定されています)のサポートを受けながら事業計画をまとめる流れになります。早い段階で相談しておくと、自分のケースがどの枠に合うのか、何が対象経費になるのかを具体的にアドバイスしてもらえます。
申請段階:電子申請システムで提出する
近年の補助金は、国の電子申請システムを使ってオンラインで申請するのが一般的です。利用にあたっては事前にアカウント(GビズIDなど)の取得が必要なことが多く、取得に日数がかかる場合もあるため、募集が始まってから慌てないよう早めに準備しておくと安心です。申請では、事業計画書のほか、見積書や本人確認書類、確定申告書の控えなどの提出を求められることがあります。
採択後:交付決定を待ってから実行・報告する
審査を経て採択されると「交付決定」の通知が届きます。前述のとおり、この交付決定の後に発注・契約・支払いを行うのが鉄則です。事業を実施したら、何にいくら使ったかを領収書などとともに報告(実績報告)します。内容が認められれば、補助金が指定の口座に振り込まれます。さらに、受給後も一定期間にわたって事業の状況を報告する義務がある場合がある点も覚えておきましょう。
申請を成功させるためのポイント
「引き継いで終わり」ではなく「これからどう伸ばすか」を語る
審査では、引き継いだ事業をこれからどう成長させるのかという前向きな計画が重視されます。「先代から引き継いだ強みを活かしつつ、こんな新しい挑戦をする」というストーリーを具体的な数字とともに描くことが、採択への近道です。漠然とした希望ではなく、誰に何を売り、どのくらいの効果を見込むのかまで踏み込んで書きましょう。
書類と数字の整合性を保つ
事業計画に書いた金額と見積書の金額がずれていたり、提出する確定申告書の数字とつじつまが合わなかったりすると、信頼性に疑問を持たれてしまいます。日ごろから帳簿をきちんとつけ、事業の実態を正確に示せる状態にしておくことが、結果的に申請の説得力を高めます。普段の記帳がいい加減だと、いざというときに数字を整えるだけで大変な労力がかかってしまいます。面倒な仕訳をまるごと預けたい場合は記帳代行という選択肢もあります。
専門家の力を借りることをためらわない
補助金の申請は、本業の合間に一人で完璧にこなすには負担が大きいものです。認定支援機関や税理士、商工会・商工会議所などは、申請のサポートだけでなく、事業計画づくりや資金繰りの相談にも応じてくれます。使える支援は遠慮なく使う姿勢が、忙しい個人事業主が成功率を上げる現実的な方法です。
よくある質問
Q. 個人事業主でも本当に申請できますか?
はい、個人事業主も対象です。法人だけの制度ではなく、親子間の引き継ぎや第三者への譲渡など、個人で事業を営む方の承継も支援の対象に含まれています。ただし、業種や事業規模、引き継ぎの形態などに細かな要件が設けられていることがあります。自分のケースが当てはまるかは、その年の公募要領や支援機関への相談で確認するのが確実です。
Q. 補助金を受け取ったら税金はかかりますか?
補助金は原則として事業の収入(所得)とみなされ、所得税の課税対象になるのが基本です。「もらったお金なのに税金がかかるの?」と驚かれる方もいますが、経費の補填として受け取る性質上、申告が必要になります。一方で、補助金で取得した資産については圧縮記帳という処理で課税のタイミングを調整できる場合もあります。経理処理はやや複雑になりやすいため、税理士や記帳代行サービスに相談すると安心です。
Q. 申請すれば必ずもらえますか?
いいえ、申請したすべてが採択されるわけではありません。多くの補助金には予算の枠があり、事業計画の内容などをもとに審査が行われます。だからこそ、要件を満たしたうえで、引き継いだ事業の将来性を説得力のある計画として示すことが大切です。不採択でも、次回の募集で計画を練り直して再チャレンジできる場合もあります。
まとめ|事業承継・引継ぎ補助金は「引き継ぐ勇気」を支える制度
事業承継・引継ぎ補助金は、事業を引き継ぐ・譲り渡すという大きな決断を、費用面から後押ししてくれる制度です。個人事業主でも、親子間の引き継ぎから第三者へのM&Aまで幅広く活用でき、設備の入れ替えや店舗改装、専門家費用など、前向きな取り組みにかかるお金を補助してもらえます。一方で、交付決定前に動かない、後払いに備えて資金を用意する、書類と数字の整合性を保つといった押さえどころもあり、計画的な準備が欠かせません。
こうした補助金を活用するうえで土台になるのが、日ごろの正確な帳簿づけです。事業の実態を数字で示せてはじめて、説得力のある事業計画も、受給後の経理処理もスムーズに進みます。引き継ぎの準備で忙しいなか、記帳まで完璧にこなすのは大きな負担になりがちです。領収書丸投げドットコムは、領収書・請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、記帳から確定申告書類の作成までを代行します。何枚でも定額 月額6,600円(税込)で、面倒な経理は預けて引き継いだ事業を育てることに集中していただけます。承継後の複雑な経理を手放して事業に集中する方法を相談する(相談は無料です)。実際に任せた事業者の様子は導入事例でご覧いただけます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








