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飲食店経営者の確定申告|現金売上・棚卸・...

2026/7/19

飲食店経営者の確定申告|現金売上・棚卸・人件費の処理をやさしく解説

  • 確定申告

飲食店の確定申告は、現金売上を毎日記録し、年末の棚卸で在庫を正しく把握し、人件費と賄いを適切に処理する、この3点が軸です。つまずきやすいポイントを押さえれば、利益が正しく計算でき、納める税金も適正になります。

開店から仕込み、接客、片付けまで。飲食店の一日は目が回るほど忙しく、帳簿付けや確定申告まで手が回らないという経営者の方は少なくありません。とくに飲食業は、現金でのやり取りが多く、食材という「在庫」を抱え、従業員も雇うため、ほかの業種に比べて経理の論点が多いのが特徴です。ここでは3つのポイントを中心に整理します。

☑ 毎日の現金売上をどう記録し、どこまで帳簿に残せばよいかわからない

☑ 仕入れた食材のうち、売れ残った分の処理(棚卸)が苦手

☑ アルバイトやパートへの給与・賄いの扱いに自信がない

飲食店の確定申告の全体像

飲食店の所得は、売上から食材などの売上原価と、家賃・人件費・水道光熱費といった経費を差し引いて計算します。継続的に営むなら青色申告が相性よく、売上規模によっては消費税の扱いも検討事項になります。

飲食店の利益は何から計算するのか

飲食店の所得(もうけ)は、1年間の売上から、食材などの「売上原価」と、家賃・人件費・水道光熱費といった「経費」を差し引いて計算します。この所得に対して税金がかかります。個人で営む飲食店は事業所得として申告し、所得が基礎控除額(48万円)を超えると原則として確定申告が必要です。

青色申告で控除を受ける

飲食店のように継続的に事業を営むなら、青色申告がおすすめです。複式簿記での記帳など一定の要件を満たすと、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。さらに、赤字を翌年以降3年間繰り越せる、家族へ支払う給与を経費にできる(青色事業専従者給与)といったメリットもあり、家族で店を切り盛りする飲食店と相性のよい制度です。青色事業専従者給与の要件は国税庁タックスアンサーNo.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」で確認できます。なお、要件を満たせずに青色申告が取り消される条件や再申請の流れは、青色申告が取り消される条件と再申請の方法で解説しています。

消費税の扱いにも注意

飲食店は仕入れにも販売にも消費税が関わります。売上規模によっては消費税の納税義務が生じることもあり、インボイス制度への対応も検討事項になります。納税義務が免除される基準は国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」で確認できます。消費税の取り扱いは年度や事業規模で変わるため、最新情報は国税庁サイト等でご確認ください。

現金売上の正しい管理方法

飲食店は現金取引が多く、レジ精算をもとに日々の売上をその日のうちに記録するのが基本です。キャッシュレス売上は入金時期や手数料の扱いが異なるため、現金と分けて把握します。

毎日の売上を記録する

飲食店は現金でのやり取りが多く、記録に残しにくいのが悩みどころです。だからこそ、レジの精算をもとに「日々の売上」をその日のうちに記録することが基本になります。レジレポートや売上日報を残しておけば、後からまとめて集計する手間が減り、計上漏れも防げます。日々の売上記帳を外に出したい場合は、日々の売上記帳を任せる記帳代行という方法もあります。

キャッシュレス決済との区別

近年はクレジットカードやQRコード決済など、キャッシュレスの売上も増えています。これらは入金のタイミングが後日になり、決済手数料が差し引かれることもあります。売上として計上するのは手数料が引かれる前の金額で、手数料は経費として処理します。現金売上とキャッシュレス売上を分けて記録しておくとわかりやすくなります。入金が翌月以降になる決済分は、いつの売上として計上するかを混同しやすいので、決済日と入金日の両方を控えておくと整理がしやすくなります。

  • レジ精算をもとに日々の売上を記録する

  • 現金とキャッシュレスを分けて把握する

  • 決済手数料は売上から引かず、経費として処理する

レジ現金とのズレを確認する

記録した売上と、実際のレジ内の現金が合っているかを日々確認することも大切です。ズレが出たまま放置すると、月末・年度末の集計でつじつまが合わなくなります。毎日の締め作業で現金を数え、記録と照合する習慣をつけておきましょう。小さなズレでも、その日のうちに原因を確認しておけば、後からまとめて調べる手間を防げます。

棚卸(在庫)の考え方

その年に仕入れた食材のうち、費用にできるのは「売れた分」に対応する分だけです。年末に残った在庫は翌年へ繰り越すため、いったん費用から除きます。この在庫を数えるのが棚卸です。

なぜ棚卸が必要なのか

飲食店では食材や飲料を仕入れますが、その年に仕入れたものすべてが「その年の費用」になるわけではありません。売上原価として費用にできるのは、あくまで「売れた分」に対応する食材です。年末時点で売れ残って手元にある在庫は、翌年に繰り越すため、いったん費用から除く必要があります。この在庫を数える作業が「棚卸」です。棚卸や飼料費・素畜費の処理など、在庫管理の考え方は畜産農家の確定申告の解説も参考になります。

売上原価の計算の仕組み

売上原価は、おおまかに「期首の在庫+その年の仕入れ−期末の在庫」で計算します。つまり、年末に残った在庫が多ければ、その年の費用は減り、利益(所得)は大きくなります。棚卸をきちんと行わないと、利益が正しく計算できず、納める税金が過大または過少になってしまうため、欠かせない作業です。

  • 年末時点で残っている食材・飲料・消耗品を数える

  • 数量と単価から在庫金額を計算する

  • 記録を残し、翌年の期首在庫として引き継ぐ

棚卸をスムーズにするコツ

棚卸は年末の繁忙期と重なりやすく、後回しにされがちです。普段から食材を保管場所ごとに整理し、仕入れの記録を残しておくと、年末の棚卸が一気に楽になります。生鮮品など廃棄が多い飲食店では、ロス(廃棄)の管理も利益把握のうえで役立ちます。

人件費と賄いの処理

従業員への給与は人件費として経費になりますが、源泉徴収や年末調整の手続きが伴います。家族への給与は青色事業専従者給与の届出で経費にでき、賄いは提供のしかたで課税の有無が変わります。

従業員への給与は経費になる

アルバイトやパート、社員へ支払う給与は経費(人件費)として計上できます。ただし、給与を支払う立場になると、源泉徴収や年末調整といった手続きが必要になります。誰にいくら、いつ支払ったかを記録した賃金台帳を整え、支払いの根拠を残しておくことが大切です。

家族に支払う給与の扱い

家族に店を手伝ってもらい給与を支払う場合、原則ではそのまま経費にできませんが、青色申告で「青色事業専従者給与」の届出をしておけば、適正な範囲で経費にできます。家族経営の飲食店では、この制度を活用することで所得を適切に圧縮できる場合があります。家族で一つの事業を営むときに誰が申告し、どう分担するかは家族で一つの事業を営むときの確定申告で整理しています。複数の店舗を持つ場合の帳簿の分け方は複数の屋号・複数店舗を持つ個人事業主の確定申告が参考になります。

賄い(食事の提供)の注意点

従業員に賄いを提供する場合、一定の条件を満たさないと「現物給与」とみなされ、課税の対象になることがあります。食材費の一部を従業員が負担しているかなど、提供のしかたによって扱いが変わります。賄いを出している場合は、その内容や負担割合を整理しておくと安心です。飲食店ではごく当たり前に行われている賄いだからこそ、税務上の扱いを意外と見落としがちなポイントといえます。判断に迷う場合は、最新の取り扱いを国税庁サイト等で確認しておきましょう。

よくある質問

Q. レシートやレジロールはいつまで保管すればよいですか?

帳簿や領収書、レジの記録などは、一定期間の保存が法律で義務づけられています。確定申告が終わった後も処分せず、決められた期間はきちんと保管しておく必要があります。保存期間は申告方法などによって異なるため、最新の取り扱いは国税庁サイト等でご確認ください。

Q. 店の食材を自分や家族の食事に使ったらどうなりますか?

事業用に仕入れた食材を経営者やその家族の生活のために使った場合は、「家事消費」として一定額を売上に計上する必要があります。仕入れたものをすべて費用にしたまま私用にも使うと、利益が実態より少なくなってしまうためです。私的に使った分は分けて把握しておきましょう。

Q. 開業時に買った厨房機器は一度に経費にできますか?

金額によって扱いが変わります。一定額を超える厨房機器や設備は、原則として複数年に分けて費用化する「減価償却」が必要になる場合があります。開業時はまとまった設備投資が発生しやすいので、高額な備品を購入したときは処理方法を確認しておくと安心です。

押さえるべき3つのポイント|飲食店の確定申告

飲食店の確定申告は、現金売上を毎日きちんと記録すること、年末の棚卸で在庫を正しく把握すること、そして人件費や賄いを適切に処理すること、この3つを押さえることが軸になります。これらを丁寧に行えば、利益が正しく計算でき、納める税金も適正なものになります。

一方で、毎日の現金管理や棚卸、従業員の給与計算までを営業のかたわらでこなすのは大きな負担です。仕込みや接客に集中するためにも、経理まわりの仕組みを整え、記帳や書類作成の手間を減らしておくことが、お店を長く続けるための支えになります。

営業の合間に現金売上や棚卸の記録まで抱えるのは、大きな負担です。閉店後にレジ締めと帳簿づけまで、となると休む時間も削られてしまいます。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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