電子帳簿保存法のタイムスタンプと訂正削除履歴|要件と対応方法を解説
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税務

電子帳簿保存法のタイムスタンプと訂正削除履歴は、どちらも電子データの真実性を担保する手段です。事務処理規程を整えれば、高価なシステムがなくても個人事業主が現実的に対応できます。要件と対応方法を解説します。
電子帳簿保存法(電帳法)の話になると、必ず出てくるのが「タイムスタンプ」と「訂正削除履歴」という2つの言葉です。専門用語のように響くため、「なんだか難しそう」「高い専用システムを入れないと対応できないのでは」と身構えてしまう個人事業主・フリーランスの方は少なくありません。
☑ 電子帳簿保存法で「タイムスタンプ」が必要だと聞いたが、何をすればよいのかわからない
☑ 「訂正削除履歴」という言葉が難しく、自分の保存方法が要件を満たしているか不安だ
☑ お金をかけずに、シンプルなやり方で電子保存に対応したい
タイムスタンプと訂正削除履歴がそもそも何のための仕組みなのか、なぜ法律で求められているのかを整理したうえで、個人事業主が現実的に取れる対応方法を具体的に確認します。自分にとって必要な対応の全体像がイメージできるように進めます。
そもそも電子帳簿保存法とは何かをおさらいしましょう
「電子で受け取った書類」は電子のまま保存が原則
電子帳簿保存法は、帳簿や領収書・請求書といった国税関係書類を、紙ではなく電子データで保存するためのルールを定めた法律です。大きく分けると「電子帳簿等保存」「スキャナ保存」「電子取引データ保存」の3つの区分があります。帳簿・書類の保存義務そのものの考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」でも確認できます。
このうち個人事業主・フリーランスがまず押さえておきたいのが電子取引データ保存です。メールにPDFで届いた請求書、ネット通販の購入履歴やWeb上でダウンロードした領収書など、最初から電子データでやり取りした書類は、原則として電子データのまま保存することが求められます。具体的な保存のしかたは電子取引データの保存にまとめています。紙に印刷して保管するだけでは要件を満たさない、という点が従来との大きな違いです。
タイムスタンプと訂正削除履歴が関わるのはどこか
タイムスタンプと訂正削除履歴は、主に「スキャナ保存」と「電子取引データ保存」で問題になります。どちらにも共通するのは、「データが後から書き換えられていないこと」を担保する仕組みが求められる、という点です。紙で受け取った書類をスキャンして保存する方法はスキャナ保存の実務で解説しています。
紙の領収書であれば、改ざんすれば筆跡や痕跡が残ります。しかし電子データは、ファイルの中身を後から書き換えても見た目には痕跡が残りません。そこで「いつのデータか」「あとで直していないか」を客観的に示す仕組みとして、タイムスタンプや訂正削除履歴が登場するのです。
なぜ「真実性の確保」が重視されるのか
電帳法では、電子データの保存にあたって「真実性の確保」と「可視性の確保」という2つの考え方が軸になっています。真実性とはデータが改ざんされていないこと、可視性とは必要なときにすぐ探し出せることです。タイムスタンプと訂正削除履歴は、このうち真実性を支える代表的な手段だと理解しておくと、全体像がつかみやすくなります。
タイムスタンプとは?仕組みと役割を理解しましょう
「その時刻に確かに存在した」ことを証明する仕組み
タイムスタンプとは、ある電子データが「特定の時刻に確かに存在し、その後改ざんされていない」ことを証明する技術的な仕組みです。時刻認証局と呼ばれる第三者機関が発行する時刻情報をデータに付与することで、後から内容を書き換えると検証時に「整合しない」と判定されるようになっています。
イメージとしては、書類に第三者が日付入りの封印を押すようなものです。封印された時点の状態が記録されるため、後でこっそり中身を差し替えれば封印と矛盾が生じる、という考え方です。
スキャナ保存・電子取引で求められる場面
紙で受け取った領収書をスキャンして電子保存する「スキャナ保存」では、データの真実性を担保する方法のひとつとしてタイムスタンプが使われます。電子取引データ保存でも、真実性を確保する手段の選択肢のひとつとしてタイムスタンプの付与が挙げられています。
取引先から届いたPDF請求書にタイムスタンプを付ける
スキャンした紙の領収書データにタイムスタンプを付ける
ただし注意したいのは、タイムスタンプは「真実性を確保するための手段のひとつ」にすぎないという点です。後ほど解説するように、タイムスタンプを使わなくても要件を満たせる方法があります。「電帳法対応=必ずタイムスタンプが必要」と思い込む必要はありません。
個人事業主にとってのコストとハードル
タイムスタンプを利用するには、対応したサービスや会計・経費精算ソフトの導入が必要になるのが一般的です。月額費用や付与1回あたりの費用がかかる場合もあり、取引件数の少ない個人事業主にとっては費用対効果が見合わないこともあります。だからこそ、自分の事業規模に合った対応方法を選ぶことが大切です。日々の書類管理と記帳をまとめて任せたい場合は、記帳代行というやり方を知っておくと、保存ルールの運用まで気を配る負担を減らせます。
訂正削除履歴とは?タイムスタンプとの違い
「直した・消した」記録を自動で残す考え方
訂正削除履歴とは、保存した電子データを後から訂正したり削除したりした場合に、その事実と内容が記録として残る仕組みを指します。あるいは、そもそも訂正・削除ができないようにする仕組みも、同じく真実性を確保する手段として認められています。
たとえば、いったん保存した請求書データの金額を後から書き換えたとき、「いつ・何を・どう直したか」がログとして残れば、その履歴を確認することで改ざんの有無を判断できます。逆に、データを上書き保存できてしまい履歴も残らない状態では、真実性を確保できているとは言えません。
タイムスタンプとの役割の違い
タイムスタンプと訂正削除履歴は、どちらも真実性を確保するための手段ですが、アプローチが異なります。
タイムスタンプ:その時刻に確かに存在したことを「事前に封印」して証明する
訂正削除履歴:訂正・削除を「事後に記録」して、改ざんがないことを示す(あるいは訂正削除をできなくする)
どちらかを満たせばよく、両方を必ず備える必要はありません。自分が使うツールや運用にとって、どちらが現実的かという視点で選ぶことになります。
事務処理規程による対応という選択肢
訂正削除履歴に関連して、個人事業主にとって特に重要なのが「事務処理規程」を定めて運用する方法です。これは、訂正や削除を原則として行わないこと、やむを得ず行う場合の手続きなどを社内ルールとして文書化し、そのルールに沿って運用する方法です。専用システムがなくても、規程を整備して守ることで真実性を確保したと認められる仕組みです。国税庁がサンプルとなる規程のひな形を公表しており、これを参考に自分の事業に合わせて作成できます。
個人事業主が現実的に取れる対応方法
方法1:事務処理規程を整えて運用する
コストをかけずに対応したい個人事業主にとって、もっとも現実的なのが事務処理規程による対応です。国税庁が公表しているひな形をもとに自分用の規程を作り、「データを勝手に書き換えない」「訂正が必要なときは決めた手順で行う」というルールを守って運用します。タイムスタンプの費用がかからず、特別なシステムも不要なため、取引件数が多くない方に向いています。
方法2:訂正削除の履歴が残るサービスを使う
会計ソフトやクラウドストレージの中には、データの訂正・削除の履歴が自動的に残る、あるいは保存後の変更ができない仕様のものがあります。こうしたサービスにデータを保存していれば、システム側の機能で真実性が確保されるため、規程の運用負担を軽くできます。ふだん使っているツールに同様の機能がないか、確認してみるとよいでしょう。スマホで撮影して保存する場合の運用はスマホ撮影での電子保存の運用にまとめています。
方法3:検索できる形でファイルを整理する
真実性とあわせて忘れてはいけないのが「可視性の確保」、つまり後から探せる状態にしておくことです。個人事業主が押さえておきたい検索の手がかりは、主に次の3つです。
取引年月日(日付)
取引金額
取引先
専用の検索システムがなくても、ファイル名を「20260619_50000_〇〇商事.pdf」のように「日付・金額・取引先」をそろえた形でつければ、フォルダ内の検索で十分に探し出せます。表計算ソフトで一覧(索引簿)を作っておく方法もあります。なお、一定の条件を満たす小規模な事業者については検索要件が緩和される場合もあるため、自分がどこまで対応すべきかは状況に応じて確認しておくと安心です。
対応するときの注意点とよくある誤解
「紙に印刷して保管」では要件を満たさない
もっとも多い誤解が、「電子で届いた請求書も、印刷して紙でファイルしておけば大丈夫」というものです。電子取引データは原則として電子のまま保存する必要があり、紙に出力した控えだけでは要件を満たさないとされています。受け取ったPDFやデータ本体を、削除せずきちんと保存しておくことが基本です。
「全部にタイムスタンプ」は必須ではない
前述のとおり、タイムスタンプは真実性を確保する手段のひとつにすぎません。事務処理規程の運用や、履歴が残るサービスの利用でも要件を満たせます。費用や手間を考えると、すべての書類に必ずタイムスタンプを付けなければならないわけではない、と理解しておきましょう。大切なのは「真実性」と「可視性」という目的を満たすことであり、手段は事業の規模に合わせて選べます。
まずは自分の「電子取引」を洗い出す
対応の第一歩は、自分がどんな電子取引をしているかを把握することです。メールで届く請求書、ネット通販の領収書、キャッシュレス決済の利用明細、クラウドサービスの請求書など、思いのほか多くの電子データが日々やり取りされています。これらを「どこに・どんなルールで保存するか」を一度決めてしまえば、あとは同じ運用を続けるだけで対応を維持できます。
よくある質問
Q. タイムスタンプを使わないと電子帳簿保存法に対応できないのですか?
いいえ、タイムスタンプは必須ではありません。タイムスタンプは真実性を確保するための手段のひとつであり、ほかにも「訂正削除の履歴が残る(または訂正削除ができない)サービスを使う」「事務処理規程を定めて運用する」といった方法でも要件を満たせます。コストを抑えたい個人事業主の方は、まず事務処理規程による対応を検討するとよいでしょう。
Q. 事務処理規程はどうやって作ればよいですか?
国税庁が事務処理規程のサンプル(ひな形)を公表しているので、それをもとに自分の事業に合わせて作成するのが現実的です。基本となるのは「データを正当な理由なく訂正・削除しないこと」「やむを得ず訂正・削除する場合の手続き」などのルールを文書化し、実際にそのとおり運用することです。特別なシステムを入れなくても整備できます。
Q. 紙でもらった領収書も電子で保存しないといけませんか?
紙で受け取った領収書は、紙のまま保存しても問題ありません。電子データでの保存が原則として求められるのは、最初から電子でやり取りした「電子取引」のデータです。紙の領収書をスキャンして電子保存する「スキャナ保存」を選ぶことも可能ですが、その場合は別途定められた要件を満たす必要があります。自分にとって紙と電子のどちらで管理するのが楽かを基準に考えるとよいでしょう。
要件の「目的」を理解すればシンプルに対応できる|まとめ
タイムスタンプと訂正削除履歴は、どちらも「電子データが改ざんされていないこと(真実性)」を担保するための手段です。難しそうな専門用語ですが、目的さえ理解すれば、個人事業主が取れる対応は「事務処理規程を整える」「履歴が残るサービスを使う」「日付・金額・取引先で探せるよう整理する」といった、現実的なものに集約されます。高価なシステムが必須なわけではない、という点をぜひ覚えておいてください。
とはいえ、日々の取引をこなしながら電子データを正しく分類し、検索できる形で保存し続けるのは、想像以上に手間のかかる作業です。本業に集中したいのに、保存ルールの整備や日々のファイル管理に時間を取られてしまうのは、もったいないことです。領収書丸投げドットコムでは、領収書や請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成までを税理士監修のもとで代行しています。電子保存の管理ごと任せられるか無料で相談してみる。相談は無料です。料金の目安は枚数無制限の料金プランでご確認ください。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








