紙の領収書をスキャナ保存に切り替える手順と要件をやさしく解説
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税務

紙の領収書は、読み取りの早さ・画像の品質・改ざん防止・検索できる状態という要件を満たせば、スキャナ保存に切り替えて原本を処分できます。切り替えの手順と電子帳簿保存法の要件を、初めてでも分かるように整理します。
封筒や箱にためた紙の山を前に、年末に途方に暮れた経験がある方も多いはずです。早いうちにデータ化に慣れておけば、保管場所も探す手間も大きく減らせます。何から始め、原本はどう扱えばよいのかを、順を追って見ていきましょう。
☑ 紙の領収書がたまる一方で、保管場所と整理の手間に困っている
☑ スキャナ保存に切り替えたいが、電子帳簿保存法の要件が難しそうで手が出せない
☑ 領収書を読み取ったあとに原本を捨ててよいのか、判断に自信が持てない
個人事業主やフリーランスとして仕事をしていると、領収書やレシートは思った以上のスピードでたまっていきます。封筒や箱にとりあえず詰め込んだものの、年末に整理しようとして山のような紙を前に途方に暮れた経験がある方も多いのではないでしょうか。
ここからは、紙でもらった領収書をスキャナ保存(スキャンしてデータで残す方法)に切り替えるための手順と、電子帳簿保存法で求められる要件を、初めての方にもわかるように見ていきます。何から始めればよいのか、原本はどう扱えばよいのかを整理していきましょう。
スキャナ保存とは?まず全体像をつかみましょう
紙の領収書を画像データで残す仕組み
スキャナ保存とは、紙でもらった領収書や請求書などを、スキャナやスマートフォンのカメラで読み取り、画像データとして保存しておく方法です。電子帳簿保存法という法律のなかで認められている保存方法のひとつで、一定の要件を満たせば、読み取り後に紙の原本を処分することも認められています。
ここで混同しやすいのが、メールやインターネットで最初からデータでもらった領収書の扱いです。最初から電子データで受け取ったものは「電子取引データ」として別のルールで保存する必要があり(電子取引データの保存要件を参照)、紙でもらったものを後からデータ化するスキャナ保存とは区別して考えます。本記事では、あくまで紙で受け取った領収書をデータ化する場面を中心に説明します。
スキャナ保存に切り替えるメリット
かさばる紙の保管場所が不要になり、棚や箱から解放される
日付や取引先で検索できるようになり、後から探す手間が減る
水濡れや色あせ、紛失といった紙ならではのリスクを避けられる
領収書は原則として一定期間の保存が求められます。年数が積み重なるほど紙の量は増えていきますから、早い段階でデータ化に慣れておくと、後々の負担がぐっと軽くなります。読み取りから毎月の記帳まで手が回らないなら、作業ごと任せる記帳代行という方法もあります。
あくまで「任意」の制度である点も押さえる
スキャナ保存は、必ず行わなければならない義務ではなく、選んで利用できる制度です。紙のまま保管を続けても問題はありません。ただ、要件を理解したうえで取り入れれば、整理の手間を大きく減らせる便利な仕組みです。まずは「やってもやらなくてもよいが、やると楽になる選択肢」という位置づけで捉えておきましょう。
スキャナ保存で求められる主な要件
読み取りの早さと画像の品質
スキャナ保存では、領収書を受け取ってから読み取るまでの期間や、画像の品質について一定の決まりがあります。具体的には、おおむね受領後すみやかに(速やかに行う場合は一定の日数以内、業務処理サイクルに合わせる場合はその期間内に)読み取ることが求められます。画像はカラーで、金額や日付、取引先の文字がはっきり読み取れる解像度で保存する必要があります。スマートフォンで撮影する場合も、影や反射で文字がつぶれないよう、明るい場所でまっすぐ撮るのがコツです。
タイムスタンプや訂正・削除の記録
データはいつでも書き換えられてしまうのでは、と心配される方もいるかもしれません。そこでスキャナ保存では、いつ読み取ったかを証明するタイムスタンプを付けるか、または訂正や削除の事実とその内容が後から確認できるシステムで保存する、といった改ざんを防ぐための仕組みが求められます。市販の会計ソフトや経費精算サービスの多くは、こうした要件に対応した形でデータを保存できるようになっています。
検索できる状態にしておくこと
保存したデータは、必要なときにすぐ取り出せるよう、検索できる状態にしておくことが求められます。具体的には、次のような項目で探せるようにしておくのが基本です。
取引の年月日
取引金額
取引先(支払先・受領先)の名称
会計ソフトに金額や日付、取引先を入力しながら読み取れば、自然と検索できる状態が整います。ファイル名に「日付_取引先_金額」のように規則を決めて付けておく方法もあります。紙とデータをあわせた領収書全体のまとめ方は領収書の整理術が参考になります。
紙からスキャナ保存へ切り替える手順
ステップ1:保存に使う道具やソフトを決める
まずは、読み取りに使う道具と、データを保存する場所を決めます。専用のスキャナを用意してもよいですし、スマートフォンのカメラと専用アプリでも十分対応できます。改ざん防止の要件を自分でそろえるのは手間がかかるため、最初から電子帳簿保存法に対応した会計ソフトや経費精算サービスを使うのが、現実的でつまずきにくい方法です。スマートフォンでの撮影を中心にするなら、日々の運用ルールをスマホ撮影した領収書の電子帳簿保存法対応の運用ルールにまとめています。
ステップ2:読み取りと記録のルールを決める
次に、日々の運用ルールを決めます。「領収書をもらったらその週のうちに読み取る」「読み取ったら所定のフォルダに保存し、会計ソフトに金額と取引先を入力する」といった流れを、自分の業務サイクルに合わせて固めておきましょう。ルールがあいまいだと、結局あとでまとめて処理することになり、要件を満たせなくなる原因になります。
ステップ3:試しに数枚で運用を確認する
いきなりすべての領収書を切り替えるのではなく、まずは数枚で試してみることをおすすめします。読み取った画像で金額や日付がきちんと読めるか、検索の項目が正しく登録できているかを確認します。問題がなければ、本格的に日々の領収書をデータ化していきましょう。最初の数枚で流れをつかんでおくと、その後の運用がスムーズになります。
原本の取り扱いと保存期間の考え方
読み取り後の原本はどうする?
スキャナ保存の要件を満たして正しく読み取ったあとであれば、紙の原本を処分すること自体は認められています。ただし、読み取りがうまくいっていなかった場合に備え、画像が要件どおりに保存できていることを確認してから処分するのが安心です。心配な方は、読み取り後しばらくの間は原本を残しておき、運用に慣れてから処分する、という進め方でもよいでしょう。
データとしての保存期間
領収書などの書類は、紙であってもデータであっても、原則として一定期間の保存が必要です。帳簿や書類の記帳・保存の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」で確認できます。スキャナ保存に切り替えた場合は、その画像データを保存期間にわたってきちんと残しておくことになります。パソコンの買い替えや故障でデータが消えてしまわないよう、バックアップを取る習慣もあわせて身につけておきましょう。
紙とデータが混在するときの整理
切り替えの途中では、紙のまま保管している領収書とデータ化したものが混在しがちです。「いつ以降の分はデータ保存に統一する」と区切りを決めておくと、後から見返すときに混乱しません。過去分まで無理にさかのぼってデータ化する必要はないので、区切りを意識して進めるのがおすすめです。
よくある質問
Q. スマートフォンで撮影した写真でもスキャナ保存として認められますか?
はい、要件を満たしていれば、スマートフォンのカメラで撮影した画像もスキャナ保存として扱えます。専用のスキャナがなくても始められるため、まずは手持ちのスマートフォンと、電子帳簿保存法に対応したアプリやサービスを使って試してみるのがよいでしょう。撮影の際は、文字がはっきり写るよう明るい場所でまっすぐ撮ることを意識してください。
Q. すべての領収書をデータ化しなければならないのですか?
いいえ、スキャナ保存は任意の制度なので、すべてをデータ化する義務はありません。紙のまま保管を続けても構いませんし、一部だけをデータ化することもできます。自分の運用しやすい範囲から始め、慣れてきたら対象を広げていく、という進め方で問題ありません。
Q. メールで届いた領収書もスキャナ保存の対象になりますか?
最初から電子データで受け取った領収書は、スキャナ保存ではなく「電子取引データ」として保存するルールの対象になります。紙でもらったものをデータ化するスキャナ保存とは別の扱いになるため、受け取った形(紙か、最初からデータか)で保存方法が変わる点を覚えておきましょう。どちらも検索できる状態で残す、という考え方は共通しています。
まとめ|手順と要件を押さえれば切り替えは難しくない
紙の領収書をスキャナ保存に切り替えるには、読み取りの早さと画像の品質、改ざんを防ぐ仕組み、検索できる状態という主な要件を押さえることが出発点です。電子帳簿保存法に対応した会計ソフトや経費精算サービスを使えば、これらの要件を自然に満たしながら、無理なくデータ化を進められます。まずは数枚から試し、自分の業務サイクルに合ったルールを固めていきましょう。
とはいえ、本業が忙しい中で、要件を確認しながら日々の記帳から確定申告までを自分一人で行うのは、決して小さくない仕事です。領収書の整理やデータ化に時間を取られて、肝心の仕事に集中できないようでは本末転倒になってしまいます。記帳代行の現場でも「データ化のルールを調べるうちに手が止まってしまう」というご相談をよくいただきます。
領収書丸投げドットコムは、領収書や請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成までを税理士監修のもとで代行します。何枚でも定額 月額6,600円(税込)・初期費用0円なので、保存ルールに悩む時間を本業に振り向けられます。領収書の山を今年で終わりにする方法を相談するところから始めてみてください。相談は無料です。申告まで丸ごと任せたい場合は確定申告サポートの詳細もご覧いただけます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








