働き方改革・両立支援の助成金を個人事業主が活用する方法を解説
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税金

働き方改革・両立支援の助成金は、雇用保険に加入した従業員がいれば個人事業主でも活用できます。両立支援等助成金など代表的な制度の種類、受け取るまでの基本的な流れ、申請でつまずきやすいポイントを、個人事業主の目線で整理します。
従業員を雇っている個人事業主にとって、育児や介護を抱えるスタッフが働き続けられる環境づくりは、人手不足の時代にますます重要になっています。とはいえ「制度を整える余裕がない」「助成金は大企業がもらうもの」と感じて、活用をあきらめている方も多いのではないでしょうか。
☑ 従業員の育児・介護と仕事の両立を支援したいが、何から始めればよいかわからない
☑ 働き方改革や両立支援の助成金は法人向けで、個人事業主には関係ないと思っている
☑ 助成金を申請したいが、就業規則の整備や書類準備のハードルが高そうで踏み出せない
この後は、働き方改革・両立支援に関する代表的な助成金の種類と、個人事業主が活用するための基本的な流れ、申請でつまずきやすいポイントを順に見ていきます。自分の事業でも使える助成金があるか、どこから手をつければよいかをつかんでいきましょう。
働き方改革・両立支援の助成金とは?個人事業主も対象になります
まず知っておきたい「補助金」と「助成金」の違い
同じように支援を受けられる制度でも、助成金と補助金では性格が異なります。働き方改革や両立支援に関するものの多くは、厚生労働省が管轄する「助成金」です。助成金は、要件を満たして正しく申請すれば原則として受給できるのが特徴で、件数や予算で先着順に絞られる補助金とは性質が違います。
一方で補助金は、経済産業省や自治体などが募集し、申請しても審査で採択されないことがあります。両立支援の分野は助成金が中心になるため、「要件をきちんと満たせば受け取れる可能性が高い」という前提で準備を進められるのが、活用しやすいポイントです。
従業員を雇用していれば個人事業主も使える
働き方改革・両立支援の助成金は、法人だけのものではありません。雇用保険に加入している従業員を雇っている事業主であれば、個人事業主でも申請できる制度がほとんどです。屋号で事業を営んでいる方や、家族以外のパート・アルバイトを雇っている方も対象になり得ます。
「うちは小さな事業所だから」とあきらめてしまうのは、もったいないことです。むしろ少人数の事業所こそ、一人ひとりが働き続けられる環境を整えることが事業の安定につながります。助成金はその後押しをしてくれる仕組みだと考えましょう。
助成金を活用するメリット
就業規則や制度を整える費用負担を軽くできる
育児・介護を理由とした離職を防ぎ、採用・教育コストを抑えられる
働きやすい職場という評判が、人材の確保につながる
助成金は単なる「もらえるお金」ではなく、職場環境を整える取り組みとセットで初めて意味を持ちます。制度づくりのきっかけとして活用するのが、本来のねらいに沿った使い方です。人材の定着や採用を後押しする助成金は人材確保を支援する助成金の実務にも整理しています。
代表的な両立支援・働き方改革の助成金
育児・介護との両立を支える助成金
育児休業や介護休業を取得しやすい職場づくりを進める事業主を支援する助成金があります。代表的なものが、両立支援等助成金と呼ばれるグループです。育児休業を取得・復帰させた場合や、育児中の短時間勤務などの柔軟な働き方を導入した場合、介護休業を取得させて職場復帰につなげた場合などに、コースごとの支援を受けられる仕組みになっています。
特に従業員が初めて育児休業を取得するケースや、男性従業員の育児休業を後押ししたいケースは、制度の趣旨に合致しやすい場面です。自分の事業所でこれから両立支援に取り組むなら、どのコースが該当しそうかをまず確認するとよいでしょう。育児・介護と仕事の両立を支える実務は両立支援(育児・介護)の助成金と職場対応の実務で具体的に解説しています。
労働時間の短縮・働き方改善を支える助成金
長時間労働の是正や、年次有給休暇を取得しやすい環境づくり、勤務間インターバル(終業から次の始業まで一定の休息時間を確保する仕組み)の導入などに取り組む中小事業主を支援する助成金もあります。労働時間等の改善に向けて、就業規則の整備や労務管理用のソフト導入などにかかった費用の一部が対象になることがあります。
個人事業主であっても、従業員の残業を減らしたい、休暇を取りやすくしたいといった課題は共通しています。「働き方を見直したい」という思いがある方は、こうした助成金が取り組みの後押しになります。
制度は毎年見直される点に注意
助成金のコース名や支給額、細かな要件は、年度ごとに改正されることが珍しくありません。前年に使えた制度が、翌年には内容が変わっていたり、新しいコースが追加されていたりします。そのため、申請を検討する時点で必ず最新の公募要領や厚生労働省の案内を確認することが欠かせません。中小企業向けの補助金・助成金を横断して探せるミラサポplus(中小企業庁)も、最新制度の当たりをつけるのに役立ちます。制度全体の探し方は個人事業主が使える補助金・助成金の探し方にまとめています。本記事の内容も全体像をつかむための目安として読み、具体的な金額や要件は最新の一次情報でチェックしてください。
個人事業主が助成金を受け取るまでの流れ
1. 要件の確認と計画づくり
多くの助成金は、取り組みを始める前に計画書を提出し、認定を受けてから実施するという流れになっています。「育児休業を取らせた後で申請すればよい」と考えていると、事前手続きが抜けていて受給できないことがあります。まずは自分の事業所が要件を満たすか、どのコースを目指すかを確認し、必要な計画づくりから着手しましょう。
2. 就業規則・労働環境の整備
助成金の多くは、育児・介護休業に関する規定や、対象となる働き方のルールを就業規則などに明文化していることが前提になります。従業員が常時一定数以上いる事業所では就業規則の作成・届出が義務づけられていますが、人数が少ない事業所でも、助成金を受けるには制度を文書として整えておく必要があります。社会保険労務士などの専門家に相談しながら準備すると安心です。
3. 取り組みの実施と支給申請
計画に沿って育児休業の取得や働き方改善を実施し、定められた期間や条件を満たしたうえで支給申請を行います。申請には、就業規則、賃金台帳、出勤簿、休業の取得状況がわかる書類など、労務管理の記録が欠かせません。日ごろから勤怠や給与の管理をきちんと行っておくことが、スムーズな申請の土台になります。こうした帳簿や記録づくりに手が回らないときは、記帳を外部に任せるという選択肢も検討できます。
申請でつまずきやすいポイントと注意点
事前申請・期限のルールを守る
助成金で最も多いつまずきが、申請のタイミングです。事前に計画の提出が必要なものを後から申請しようとして対象外になる、支給申請の期限を過ぎてしまうといったケースが少なくありません。スケジュールを早めに把握し、「いつまでに・何を出すか」を逆算して動くことが大切です。
書類と実態を一致させる
就業規則に書いた制度と、実際の運用がずれていると、受給の対象にならないことがあります。たとえば短時間勤務の制度を整えたのに実際には運用されていない、といった食い違いは避けなければなりません。制度はつくって終わりではなく、実際に従業員が利用できる状態にしておくことが前提です。
受け取った助成金の税務上の扱い
事業に関連して受け取った助成金は、原則として事業所得の収入金額(雑収入など)として計上する必要があります。「もらったお金だから申告しなくてよい」というものではありません。受給した年度の帳簿にきちんと記録し、確定申告に反映させることが求められます。どの勘定科目で処理するか迷う場合は、補助金・助成金の勘定科目と仕訳で具体例を確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 家族だけで事業をしている場合でも助成金は使えますか?
働き方改革・両立支援の助成金の多くは、雇用保険に加入している従業員がいることを前提としています。生計を一にする家族(専従者)のみで事業を行っている場合は、対象とならないケースが一般的です。家族以外の従業員を雇用しているかどうかが、活用できるかどうかの大きな分かれ目になります。
Q. 助成金の申請は自分一人でできますか?
制度によっては、自分で要領を読み込んで申請することも可能です。ただし、就業規則の整備や添付書類の作成には専門的な知識が必要な場面が多く、書類の不備で受給できなくなるリスクもあります。労務管理に不安がある場合は、社会保険労務士などの専門家に相談しながら進めると、手戻りを減らせます。
Q. 助成金を受け取ったら確定申告でどう扱えばよいですか?
事業に関して受け取った助成金は、原則として事業所得の収入金額に含めて申告します。受給した年に雑収入などの科目で帳簿に計上し、売上などと合わせて所得を計算するのが基本です。仕訳や計上時期に迷う場合は、早めに専門家に確認しておくと、申告時に慌てずに済みます。
まとめ|助成金は「環境づくり」とセットで活用する
働き方改革・両立支援の助成金は、従業員を雇用している個人事業主であれば十分に活用できる制度です。育児や介護と仕事の両立を支える環境づくりは、従業員の定着につながり、結果として事業の安定にも寄与します。ポイントは、事前申請や就業規則の整備といった手順を踏むこと、そして毎年見直される要件を最新の一次情報で確認することです。
一方で、助成金の申請には日ごろの労務管理に加え、受け取った助成金を正しく帳簿に計上し、確定申告に反映させる経理の手間も伴います。本業に集中したい個人事業主にとって、ここが大きな負担になりがちです。記帳代行の現場でも、助成金の入金をどの科目で受けるか分からず処理が止まっていた、というご相談は少なくありません。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








