源泉徴収税額表の読み方と毎月の天引き計算をやさしく解説
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税務

源泉徴収税額表(月額表)は、社会保険料を引いた後の金額を行で探し、甲欄・乙欄と扶養親族の人数で列を選んで交わる金額を読み取れば、毎月の天引き額がわかります。表の読み方と天引き計算の手順を、初めて人を雇う方向けに一つずつ整理していきます。
初めて人を雇って給料を支払うとき、多くの方がつまずくのが源泉徴収の計算です。分厚い税額表を前にすると、どの列を見ればよいのか、どの金額を当てはめればよいのか迷ってしまうのは当然のことで、間違えると後で精算が必要になるため、不安に感じる方も少なくありません。
☑ 従業員やアルバイトを雇ったが、給料からいくら源泉徴収すればよいかわからない
☑ 源泉徴収税額表を開いてみたものの、「甲欄」「乙欄」など見慣れない言葉で手が止まってしまう
☑ 社会保険料を引く前か引いた後か、どの金額を表に当てはめればよいのか自信がない
このコラムでは、源泉徴収税額表(月額表)の基本的な読み方と、毎月の給料からの天引き額を求める手順を、初めての方向けに整理します。表のどこを見て何を当てはめればよいのか、順を追って確認していきましょう。
源泉徴収と税額表の基本を知りましょう
源泉徴収とは何か
源泉徴収とは、給料や報酬を支払う側(事業主)が、支払う金額からあらかじめ所得税などを差し引いて、本人に代わって国に納める仕組みです。従業員からすれば、毎月の給料から自動的に税金が天引きされている状態になります。所得税を前もって納めるこのしくみは、所得税全体の流れを示した国税庁タックスアンサーNo.1000「所得税のしくみ」で確認できます。差し引いた税金は、原則として翌月の10日までに事業主が国へ納付します。
個人事業主であっても、従業員やアルバイトに給料を支払う場合は、原則としてこの源泉徴収を行う義務があります。「自分は小さな事業だから関係ない」と思わず、人を雇ったら源泉徴収が必要になる、と覚えておきましょう。
源泉徴収税額表とは
毎月の給料からいくら源泉徴収すればよいかを示しているのが、国税庁が公表している源泉徴収税額表です。給料の金額や扶養親族の人数といった条件を表に当てはめると、天引きすべき所得税額がわかる仕組みになっています。事業主が自分で複雑な税率計算をしなくても、表を引くだけで税額が求められるように作られています。
この税額表は毎年見直され、国税庁のホームページなどで公表されます。古い年分の表を使うと金額がずれてしまうことがあるため、給料計算をする年に対応した最新の表を使うことが大切です。
「月額表」と「日額表」の違い
源泉徴収税額表には、大きく分けて月額表と日額表があります。どちらを使うかは、給料の支払い方によって決まります。
月額表……月ごとにまとめて給料を支払う場合や、半月ごと・10日ごとなど比較的まとまった期間で支払う場合に使います。
日額表……日払い・週払いのアルバイトや、日雇いの方に支払う場合に使います。
多くの事業では月ごとに給料を支払うため、月額表を使う場面が中心になります。この記事でも、まずは月額表を前提に読み方を見ていきます。
「甲欄」と「乙欄」の使い分け
扶養控除等申告書の有無で決まる
源泉徴収税額表には「甲」「乙」という列があり、どちらを使うかは「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」がその従業員から提出されているかどうかで決まります。この申告書は、扶養親族の状況などを会社に伝えるための書類です。
申告書の提出がある従業員……甲欄を使います。
申告書の提出がない従業員……乙欄を使います。
申告書は、その人にとっての「主たる給与」を支払う1か所にしか提出できません。そのため、本業として勤めている人は甲欄、掛け持ちのアルバイトなど別の勤務先がメインの人は乙欄になる、と整理するとイメージしやすくなります。
甲欄と乙欄では税額が変わる
同じ給料の金額でも、甲欄と乙欄では源泉徴収する税額が異なります。一般的に、甲欄のほうが天引き額は少なく、乙欄のほうが多くなります。これは、甲欄では扶養親族の人数に応じた控除が反映されるのに対し、乙欄ではそうした調整が行われないためです。
どちらの欄を使うかを間違えると、毎月の天引き額が大きくずれてしまいます。給料計算を始める前に、その従業員から扶養控除等申告書が提出されているかを必ず確認しておきましょう。
丙欄が登場する場面
日額表には「丙欄」という列もあります。丙欄は、日雇いや短期間のアルバイトなど、一定の条件にあてはまる日払いの給料に使う欄です。日々雇い入れる人に支払う場合などに関係してくるもので、月給制の従業員には通常使いません。まずは甲欄・乙欄の使い分けをしっかり押さえることが先決です。
毎月の天引き額を求める手順
ステップ1:社会保険料を引いた後の金額を出す
源泉徴収税額表に当てはめるのは、額面の給料そのものではありません。給料から社会保険料を差し引いた後の金額を表に当てはめます。具体的には、健康保険料・厚生年金保険料・雇用保険料といった社会保険料を給料から引いた金額が、表を引くときの基準になります。
たとえば月給が30万円で、本人負担の社会保険料が4万5千円だとすると、表に当てはめるのは「30万円 − 4万5千円 = 25万5千円」です。ここを額面のまま当てはめてしまうと税額が多くなってしまうため、最初の引き算を忘れないようにしましょう。
ステップ2:扶養親族等の人数を数える
甲欄を使う場合は、扶養親族等の人数によって税額が変わります。この人数は、先ほどの扶養控除等申告書に記載された内容をもとに数えます。配偶者や子どもなど、控除の対象になる人が何人いるかを確認しましょう。なお、配偶者や家族に事業を手伝ってもらい給与を払う場合は、青色事業専従者給与という別の仕組みもあり、その基本は専従者給与とはで確認できます。人数によって表の見る列が変わるため、ここを正しく数えることがとても重要です。
ステップ3:表の行と列を突き合わせる
月額表は、縦軸(行)に「社会保険料を引いた後の給料の金額の範囲」、横軸(列)に「甲欄の扶養親族等の人数」と「乙欄」が並んでいます。手順は次のとおりです。
まず、社会保険料控除後の金額が当てはまる行を縦に探します。
次に、甲欄なら扶養親族等の人数に対応する列を選び、行と列が交わる金額を読み取ります。
乙欄を使う場合は、乙の列の金額を読み取ります。
この行と列が交わったところに書かれている金額が、その月に天引きすべき所得税額です。表を引くだけで税額がわかるため、慣れてしまえば毎月の作業はそれほど難しくありません。毎月の給与計算と源泉徴収の記帳をまとめて手放したいときは、記帳代行という手段もあります。
ステップ4:復興特別所得税を含めて確認する
現在の源泉徴収税額表に記載されている金額には、所得税に加えて復興特別所得税が含まれた形になっています。そのため、表から読み取った金額をそのまま天引きすれば、所得税と復興特別所得税の両方を源泉徴収したことになります。別途上乗せの計算をする必要はなく、表の金額を信頼して使えば問題ありません。
賞与や報酬の源泉徴収はどうする
賞与には専用の計算方法がある
ボーナス(賞与)を支払う場合は、毎月の給料とは別の方法で源泉徴収額を求めます。賞与については「賞与に対する源泉徴収税額の算出率の表」という専用の表が用意されており、前月の給料の金額などをもとに税率を求めて計算します。月額表とは別の表を使う点に注意しましょう。詳しい進め方は賞与・給与の源泉徴収の実務で確認できます。
賞与の計算も、基本的な考え方は給料と同じで、扶養控除等申告書の有無によって甲欄・乙欄を使い分けます。専用の表の読み方を確認しながら、慌てずに進めることが大切です。
外注先への報酬も源泉徴収が必要な場合がある
源泉徴収は給料だけの話ではありません。原稿料やデザイン料、講演料など、一定の報酬を支払うときにも源泉徴収が必要になる場合があります。これらは給料とは計算方法が異なり、報酬の種類ごとに定められた割合で税額を計算します。誰に対する支払いが対象になるのかは、支払いの内容によって判断する必要があります。
年末調整で1年分を精算する
毎月の源泉徴収は、あくまで概算で税金を前払いしている状態です。実際の年間の税額は、扶養の状況や各種控除を反映して年末に計算し直します。これが年末調整です。源泉徴収した金額の合計と本来納めるべき税額との差は、年末調整で精算され、納めすぎていれば本人に還付されます。年末調整で精算しきれず従業員側で確定申告が必要になる場合は、国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。毎月の天引きと年末調整はセットの仕組みだと理解しておきましょう。
よくあるつまずきと対処法
当てはめる金額を間違えやすい
もっとも多いつまずきが、額面の給料をそのまま表に当てはめてしまうケースです。表に当てはめるのは社会保険料を引いた後の金額である、という点をくり返し確認しましょう。また、通勤手当のうち一定額までは非課税となるなど、給料の中にも源泉徴収の対象に含めない部分があります。何を含めて何を含めないかを整理しておくと、計算のずれを防げます。
申告書の提出状況の確認漏れ
甲欄と乙欄の取り違えも、よくある失敗のひとつです。新しく人を雇ったら、扶養控除等申告書を提出してもらい、保管しておく流れを徹底しましょう。外国人の従業員を雇う場合は居住形態などで扱いが変わることがあり、外国人雇用の源泉徴収もあわせて確認しておくと安心です。提出の有無を記録しておけば、後から「この人は甲欄でよかったか」と迷うこともなくなります。
よくある質問
Q. 源泉徴収税額表は毎年買い替える必要がありますか?
税額表は国税庁のホームページで公表されており、無料で確認・印刷ができます。毎年内容が見直されることがあるため、給料計算をする年に対応した最新の表を使うことが大切です。市販の冊子を使う場合も、必ずその年分のものかどうかを確かめてから使いましょう。
Q. 給料が少額なら源泉徴収しなくてもよいですか?
甲欄を使う場合、社会保険料控除後の金額が一定額に満たないときは、税額表上の所得税額がゼロになることがあります。ただし「少額だから引かなくてよい」と自己判断するのではなく、表に当てはめた結果としてゼロになるかどうかを確認することが大切です。一方、乙欄では少額でも税額が発生するのが基本です。
Q. 源泉徴収した税金はいつ納めればよいですか?
源泉徴収した所得税は、原則として給料を支払った月の翌月10日までに国へ納付します。ただし、給料を支払う人数が常時10人未満であるなど一定の条件を満たし、所定の手続きをしている場合は、年2回にまとめて納付できる特例もあります。自分の事業がどちらにあたるかを確認しておきましょう。
源泉徴収は手順をつかめば毎月の作業に変わる
源泉徴収税額表は、社会保険料を引いた後の金額を行で探し、甲欄か乙欄か、扶養親族等の人数は何人かに応じて列を選び、交わったところの金額を読み取る、という手順さえつかめば決して難しいものではありません。表を引く前に、扶養控除等申告書の提出状況と社会保険料の金額を整理しておくことが、ミスを防ぐ一番の近道です。
もっとも、本業が忙しい中で、毎月の給料計算や源泉徴収、さらに記帳から確定申告までをすべて自分で行うのは、想像以上に神経を使う作業です。数字のずれや納付漏れに気をつけながら続けるのは、地味ながら重い負担になりがちです。
記帳代行の料金・対応範囲:領収書丸投げドットコムの個人事業主向け基本プランは月額6,600円(税込)。仕訳入力から月次試算表の作成まで対応し、領収書の枚数による追加料金はありません。初期費用は0円で、過去分は依頼開始月から申込月までの料金を初回にまとめて請求します。法人、農業・漁業・酪農・畜産業、士業、医師、整骨院は別途お見積もり。確定申告書の作成・提出は月額料金に含まれず、税込55,000円から、税理士との別途契約となります。各プランの料金・初回請求例を確認する。給与計算と記帳の負担を無料で相談してみる。導入事例。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








