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外貨建て取引・海外送金の経理処理をやさし...

2026/7/19

外貨建て取引・海外送金の経理処理をやさしく解説

  • 税務

外貨建て取引・海外送金の経理は、取引が発生した日のレートで円に換算して記帳し、計上時と決済時の差は為替差損益で処理するのが基本です。換算レートの選び方から送金手数料の勘定科目、年末に外貨が残ったときの扱いまで、実務でつまずきやすい順に整理します。

海外のクラウドソーシングで仕事を受けたり、AdSenseやアプリストアの収益を外貨で受け取ったりする個人事業主・フリーランスが増えています。一方で、外貨が絡んだ瞬間に「いくらの円として帳簿に書けばいいのか」が一気にわかりにくくなり、確定申告の時期に手が止まってしまう方も少なくありません。まずは全体像をつかんでいきましょう。

☑ 海外のクライアントからドルで報酬を受け取ったが、いくらで売上に計上すればいいのかわからない

☑ PayPalやWiseに残っている外貨をどう帳簿に書けばいいのか、為替の差はどう扱うのか混乱している

☑ 海外サービスのサブスクをクレジットカードで払ったとき、円換算のレートはどこを見ればいいのか不安

外貨建て取引の基本:すべては「円に直して記帳する」

日本の帳簿は円建てが原則

日本で確定申告を行う以上、帳簿は日本円で記録するのが原則です。たとえドルやユーロで報酬を受け取っても、その金額をその時点のレートで円に換算し、円の金額として売上や経費に計上します。「ドルのまま帳簿に残しておく」ということはできません。円建てでの記録という基本は、外貨が絡まない取引と共通しています。仕訳のルール自体に不安がある方は、帳簿の付け方の基本から確認しておくと、外貨の処理も理解しやすくなります。

ここでいう「外貨建て取引」とは、代金の額が外貨で決まっている取引のことを指します。海外クライアントからの報酬、海外サービスの利用料、海外送金、外貨預金などが代表例です。いずれも、取引が発生したタイミングで円に換算して帳簿に書く、という流れは共通しています。

「いつのレート」で換算するかがカギ

外貨を円に直すときに最も大事なのが、どの日のレートを使うかです。原則として、取引が発生した日のレートを使います。具体的には次のように考えると整理しやすいでしょう。

  • 売上(収入)…報酬が確定した日、または役務の提供が完了した日のレート

  • 経費(支出)…サービスを利用した日や、費用が発生した日のレート

  • 入金・送金…実際にお金が動いた日のレート

取引が発生した日と、実際に入金・出金された日がずれることはよくあります。たとえば「3月に役務を提供し、4月に入金された」というケースです。このとき売上は3月のレートで計上し、4月の入金時のレートとの差は後述する「為替差損益」として別に処理する、という二段構えになります。

どのレートを使う?換算レートの選び方

TTM・TTS・TTBの違いを押さえる

銀行が公表する為替レートには、おおまかに3種類あります。名前は難しそうですが、考え方はシンプルです。

  • TTM(仲値)…売りと買いの真ん中のレート。基準となるレートです。

  • TTS…円を外貨に換えるとき(あなたが外貨を買うとき)のレート。

  • TTB…外貨を円に換えるとき(あなたが外貨を売るとき)のレート。

一般的には、収入(外貨を受け取る=円に換える方向)はTTB、支出(外貨を支払う=外貨を買う方向)はTTS、それ以外や継続的な記帳ではTTMを使う、という整理がよく用いられます。実務では、毎回方向を考えるのが煩雑なため、継続適用を条件にTTMで統一して記帳している事業者も多くいます。

レートの出どころを決めて、継続して使う

レートは、取引のあるメインバンクの公表レートを使うのが基本です。複数の銀行で微妙に数字が違うため、「自分はこの銀行のレートを使う」と決めて、毎回同じ出どころから取得するのが大切です。経理で何より重視されるのが継続性で、年によって都合よくレートの取り方を変えるのは避けるべきです。記帳代行の現場でも、外貨の換算だけは毎回どのレートを使うかで悩んで作業が止まってしまう、というご相談は少なくありません。レートの取り違えや売上の計上もれをまとめて防ぎたい方には、日々の記帳をまるごと任せる記帳代行という選択肢もあります。

クレジットカードで海外サービスを支払った場合は、利用明細に記載される円換算額をそのまま使うのが現実的です。カード会社が独自のレートで円換算してくれているため、その金額を経費として計上すれば手間がかかりません。少額のサブスクなどは、この方法が最もシンプルです。カード払いの経費と領収書の関係を整理したい場合は、クレジットカード明細と領収書の関係もあわせて確認しておくと安心です。

為替差損益の考え方

「計上時」と「決済時」のズレが利益・損失になる

外貨の取引で多くの人が戸惑うのが、為替差損益(為替差益・為替差損)です。これは、取引を計上したときのレートと、実際にお金を受け取った(または支払った)ときのレートが違うことで生まれる差額のことです。

たとえば、1,000ドルの報酬を「1ドル=150円」のときに売上として計上したとします。帳簿上の売上は15万円です。その後、実際に入金されたとき「1ドル=153円」になっていれば、受け取った円は15万3,000円。差額の3,000円が為替差益です。逆に入金時に「1ドル=147円」なら、3,000円は為替差損になります。

勘定科目と所得区分

為替差益は事業に関連して生じたものであれば、雑収入として処理するのが一般的です。為替差損は、同じく事業関連であれば雑損失などで経費側に計上します。事業の入出金に伴って自然に発生したものは、事業所得の中で処理すると整理しやすいでしょう。

注意したいのは、為替差損益は「実際に決済して円との差が確定したとき」に認識するのが基本だという点です。外貨を保有しているだけで含み益・含み損が出ていても、それを売上が出るたびに毎回計上する必要は通常ありません。判断に迷う取引や金額が大きい取引は、税理士など専門家に相談すると安心です。

海外送金・着金時の手数料と勘定科目

送金・受取にかかるコストを見落とさない

海外とのお金のやり取りでは、思った以上に手数料が発生します。これらは適切な勘定科目で経費に計上できるものが多いので、見落とさないようにしましょう。代表的なものは次のとおりです。

  • 銀行の送金手数料・受取手数料…支払手数料で処理するのが一般的

  • 中継銀行(コルレス銀行)で差し引かれる手数料…同じく支払手数料

  • PayPalやWiseなどの利用手数料・両替手数料…支払手数料

  • 為替の上乗せ分(スプレッド)…実質的な両替コストとして発生

特に着金時に手数料が差し引かれるケースでは、「請求した金額」と「実際に入金された金額」が一致しません。このとき、売上は請求した(役務提供で確定した)金額で計上し、差し引かれた手数料は支払手数料として別に経費計上する、という分け方をします。入金額だけを見て売上を少なく計上してしまうと、本来の売上が漏れてしまうので注意が必要です。支払手数料と似た科目の使い分けに迷うときは、支払手数料と賃借料の使い分けが参考になります。

PayPal・Wiseなどの残高は「外貨を持っている」状態

PayPalやWiseのアカウントに外貨を残している場合、それは外貨を保有しているのと同じ状態です。受け取った時点で売上を計上し、その後円口座へ引き出したときのレートとの差が為替差損益になります。アカウント内の残高や履歴は、画面のスクリーンショットやCSVで定期的に保存しておくと、後から記帳するときにとても役立ちます。決済サービス経由の売上と手数料をどの科目で記帳するか整理したい方は、キャッシュレス売上と決済手数料の記帳も参考になります。

年末・決算時の外貨の扱いと書類保存

期末に外貨が残っているとき

12月31日時点で外貨建ての預金や残高が残っている場合、原則としてその時点のレートで円に換算し直して評価する考え方があります(期末換算)。ただし、個人事業主で取引額がそれほど大きくない場合は、実際に円に換えたときに差額を処理する方法で問題ないことも多く、どこまで厳密に行うかは事業規模によって変わります。判断に迷うときは、無理に自己判断せず専門家に確認するのがおすすめです。

大切なのは、毎年同じ基準で一貫して処理することです。ある年は厳密に期末換算し、別の年はしない、というように基準がぶれると、帳簿の信頼性が下がってしまいます。

残しておくべき書類

外貨建ての取引は、後から「なぜこの金額・このレートにしたのか」を説明できることが重要です。次のような資料は必ず保存しておきましょう。

  • 海外クライアントとの契約書・請求書(インボイス)

  • 銀行やPayPal・Wiseの入出金明細、取引履歴

  • 使った為替レートの根拠(銀行の公表レートなど)

  • クレジットカードの利用明細(円換算額の確認用)

外貨が絡む取引は、円だけの取引に比べて根拠資料の重要度が高くなります。「いつ・いくらの外貨を・どのレートで円に直したか」をセットで残しておくと、確定申告のときにも調査が入ったときにも安心です。

よくある質問

Q. 海外の報酬は消費税の対象になりますか?

海外の事業者に対して国外で役務を提供する場合などは、消費税の課税対象外(不課税)となるケースがあります。ただし、どこで役務が提供されたとみなされるかなど判定が細かく、相手や取引内容によって扱いが変わります。消費税の基本的な考え方は国税庁タックスアンサーNo.6101「消費税の基本的なしくみ」(https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6101.htm)で、登録や請求書の要件は国税庁のインボイス制度特集で確認できます。自己判断が難しい場合は税理士に相談することをおすすめします。

Q. レートは毎日記録しないといけませんか?

取引があった日のレートを記録するのが原則ですが、取引のたびに正確な日のレートを拾うのが負担な場合、継続適用を条件に月初や月末など一定日のレートでまとめる方法をとっている事業者もいます。いずれにしても「自分のルールを決めて、毎年同じやり方を続ける」ことが大切です。

Q. 少額の海外サブスクもきちんと換算が必要ですか?

少額でも経費は経費なので計上できます。クレジットカード払いであれば、明細に出る円換算額をそのまま使えばよいので難しく考える必要はありません。手間を理由に経費を入れ忘れると、本来払わなくてよい税金を払うことになりかねないため、もれなく計上しましょう。

まとめ|外貨の経理は円換算と根拠保存が基本

外貨建て取引の経理は、突き詰めれば「取引日のレートで円に換算して記帳する」「計上時と決済時の差は為替差損益で処理する」「送金や両替の手数料は支払手数料で計上する」「使ったレートの根拠を残す」という4つに整理できます。レートの取り方や期末の扱いは、一度ルールを決めたら毎年同じ基準を継続することがポイントです。一つひとつは難しくありませんが、円の取引に比べて確認事項が多く、件数が増えるほど手間がかさんでいきます。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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