複式簿記の仕訳の基本|借方・貸方のルールを初心者向けに解説
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税務

複式簿記の仕訳は、借方=左・貸方=右という位置と、勘定科目5グループの増減ルールを覚えれば機械的に処理できます。用語の由来を深く知る必要はありません。借方・貸方の意味から仕訳の基本ルール、よく出る具体例までを、簿記がはじめての方向けに整理します。
複式簿記を始めようとすると、最初の関門になるのが「仕訳」です。とくに「借方(かりかた)」と「貸方(かしかた)」という独特の言葉に、最初は誰もが戸惑います。「借りたお金でもないのに、なぜ借方なの?」と感じた方もいるのではないでしょうか。実は、この用語に深い意味を求める必要はありません。決まったルールをつかめば、あとは機械的に処理できるようになります。
☑ 「借方」「貸方」という言葉の意味がまったく分からない
☑ どっちに何を書けばいいのか、いつも迷ってしまう
☑ 仕訳のルールを一度きちんと理解したい
仕訳とは取引を二つに分けて記録すること
一つの取引には必ず二つの側面がある
仕訳とは、事業で起きた取引を「借方」と「貸方」の二つに分けて記録することです。複式簿記では、すべての取引に二つの側面があると考えます。たとえば「現金で文房具を買った」という取引なら、「文房具(消耗品)が増えた」一方で「現金が減った」という二つの動きが同時に起きています。複式簿記は青色申告特別控除の最大額を受けるための要件でもあり、その位置づけは国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」(青色申告制度|国税庁)で確認できます。単式簿記との違いから整理したい方は、単式簿記と複式簿記の違いをやさしく解説した帳簿の付け方入門も参考になります。
借方は左、貸方は右と覚える
仕訳を書くとき、借方は左側、貸方は右側に記入します。「借方」「貸方」という言葉自体に深い意味はなく、まずは「借方=左、貸方=右」という位置だけ覚えてしまうのがコツです。覚え方として、「かり方」の「り」が左に払う、「かし方」の「し」が右に払う、と関連づける方法もよく使われます。
借方(かりかた)=左側
貸方(かしかた)=右側
借方の合計と貸方の合計は必ず一致する
勘定科目の5つのグループを知る
取引はこの5つのどれかに当てはまる
仕訳のルールを理解するには、勘定科目が次の5つのグループに分かれることを知っておくと便利です。すべての取引は、このグループの組み合わせで表せます。
資産:現金、預金、売掛金など(持っているもの)
負債:借入金、買掛金など(返すべきもの)
資本(純資産):元入金など(自分の元手)
収益:売上など(もうけのもと)
費用:仕入れ、家賃、消耗品費など(使ったお金)
増えたときに左に書くか右に書くかが決まっている
この5つのグループには、「増えたときにどちら側に書くか」というルールがあります。これが仕訳の核心です。資産と費用は「増えたら借方(左)」、負債・資本・収益は「増えたら貸方(右)」と覚えましょう。減ったときは逆側に書きます。
借方・貸方のルールを整理する
増減の方向を表にして覚える
言葉だけでは覚えにくいので、増えるときの位置で整理してみましょう。これさえ頭に入れば、たいていの仕訳は組み立てられます。
資産が増えたら借方、減ったら貸方
費用が増えたら借方
負債が増えたら貸方、減ったら借方
収益が増えたら貸方
必ず左右の金額は一致する
複式簿記では、一つの仕訳の借方の合計と貸方の合計が必ず同じ金額になります。これを「貸借平均の原則」といいます。もし左右が一致しなければ、どこかで記入を間違えているサインです。この性質があるおかげで、記帳のミスに気づきやすくなっています。もし間違えて記帳してしまったときの直し方は、帳簿の付け方を間違えたときの直し方にまとめています。
具体例で仕訳を組み立ててみよう
例1:現金で消耗品を5,000円買った
「消耗品費(費用)が増えた」ので借方に消耗品費5,000円、「現金(資産)が減った」ので貸方に現金5,000円と記入します。費用が増えて資産が減った、という二つの動きが表れています。
例2:売上代金10万円が預金口座に振り込まれた
「普通預金(資産)が増えた」ので借方に普通預金10万円、「売上(収益)が増えた」ので貸方に売上10万円と記入します。資産と収益がそろって増えた取引です。
例3:銀行から30万円を借り入れて預金口座に入った
「普通預金(資産)が増えた」ので借方に普通預金30万円、「借入金(負債)が増えた」ので貸方に借入金30万円と記入します。お金は増えても、それは返すべき負債である点がポイントです。このように、まず「何が増えて、何が減ったか」を考え、ルールに当てはめれば仕訳は完成します。
例4:売掛金が後日入金された
掛けで売り上げたときは、まず「売掛金(資産)が増えた」ので借方に売掛金、「売上(収益)が増えた」ので貸方に売上と記入します。後日その代金が預金に振り込まれたら、「普通預金(資産)が増えた」ので借方に普通預金、「売掛金(資産)が減った」ので貸方に売掛金と記入します。代金を後で受け取る取引は、このように二回に分けて記録するのがポイントです。最初は難しく感じますが、慣れれば自然に手が動くようになります。
仕訳をスムーズに進めるコツ
まず「現金や預金がどう動いたか」から考える
仕訳に迷ったときは、最初に「お金(現金や預金)が増えたのか、減ったのか」を考えると整理しやすくなります。お金が動いた側がはっきりすれば、その反対側に書くべき科目を探すだけで済みます。たとえば「預金が増えた」なら、その原因(売上なのか、借入なのか)を貸方に置く、という流れです。お金の動きを起点にすると、仕訳の全体像がつかみやすくなります。
よく使う仕訳のパターンを覚えてしまう
事業を続けていると、出てくる取引はだいたい決まったパターンに落ち着きます。売上が入った、経費を払った、口座から引き出した——こうした頻出パターンの仕訳をいくつか覚えてしまえば、毎回ゼロから考える必要はなくなります。自分の事業でよく出る取引を数パターン書き出しておくと、辞書のように使えて便利です。あわせて個人事業主の帳簿づけでよくある間違い10選に目を通しておくと、つまずきやすい仕訳を先回りで避けられます。
難しければ会計ソフトや代行を活用する
近年の会計ソフトは、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで、仕訳の候補を自動で提案してくれるものが増えています。借方・貸方を自分で組み立てる負担を大きく減らせるため、簿記が苦手な方ほど効果を感じやすいでしょう。それでも難しい場合は、記帳そのものを代行に任せるという選択肢もあります。記帳代行の現場でも、仕訳の判断だけが負担で本業に集中できないというご相談は少なくありません。
よくある質問
Q. 借方・貸方の意味をきちんと理解しないと仕訳はできませんか?
いいえ、言葉の由来を深く理解する必要はありません。「借方=左」「貸方=右」という位置と、5つのグループの増減ルールさえ押さえれば、実務上は十分に仕訳ができます。慣れてくると、考えなくても手が動くようになります。
Q. 一つの取引で勘定科目が三つ以上になることはありますか?
はい、あります。たとえば備品を買って一部を現金、残りを後払いにした場合などは、借方や貸方に複数の科目が並びます。その場合でも、借方の合計と貸方の合計が一致するという原則は変わりません。
Q. 仕訳を間違えたらどうなりますか?
間違えたまま放置すると、決算書や確定申告の数字がずれてしまいます。気づいた時点で正しい仕訳に修正すれば問題ありません。会計ソフトを使うと左右の不一致を自動でチェックしてくれるため、ミスに気づきやすくなります。
仕訳で迷ったときに立ち返る基本
仕訳は、取引を借方(左)と貸方(右)の二つに分けて記録することです。勘定科目を資産・負債・資本・収益・費用の5つに分け、それぞれが増えるときにどちら側に書くかというルールを覚えれば、たいていの取引は機械的に処理できます。借方と貸方の合計が必ず一致するという性質も、ミスを防ぐ心強い味方です。なお、青色申告でなくても事業所得のある方には記帳と帳簿の保存が義務づけられており、その概要は国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」(白色申告者の記帳・帳簿等保存制度|国税庁)で確認できます。
最初は戸惑っても、いくつか例をこなすうちに必ず慣れていきます。それでも「借方・貸方の判断や複式簿記の仕訳にどうしても自信が持てない」というときは、無理をせず専門の手を借りるのも一つの選択です。領収書丸投げドットコムなら、領収書や請求書を送っていただくだけで、仕訳を含む日々の記帳から確定申告書類の作成までを税理士監修でまとめて代行します。何枚でも定額 月額6,600円(税込)・初期費用0円で、難しい仕訳の作業はおまかせいただけます。まずは難しい仕訳から解放される方法を無料で相談するところから始めてみてください。相談は無料です。費用感が気になる方は料金プランを確認するとイメージしやすくなります。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








