ダブルワーク(掛け持ち)の確定申告|複数の給与・報酬の合算方法
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確定申告

ダブルワーク(掛け持ち)の確定申告は、収入が「給与」か「報酬」かを区別し、すべての所得を合算して税額を計算するのが基本です。年末調整だけで完結しない理由、申告が必要になる条件、複数の収入を正しく合算する手順を、はじめての方にもわかるように整理しました。
働き方が多様になり、本業の会社員をしながら別の会社でも働く、あるいは休日にフリーランスとして報酬を得る。そんなダブルワークをする方が年々増えています。収入が増える一方で、確定申告がどうなるのかが分からず、そのまま放置してしまう方も少なくありません。複数のところから収入を得ている場合、年末調整だけでは税金の精算が完結しないケースが多いのです。
☑ 本業のほかにアルバイトや副業をしていて、申告が必要か分からない
☑ 給与を2か所からもらっていて、年末調整だけで済むのか不安だ
☑ 複数の収入をどうやって合算すればいいのか見当がつかない
ここでは、ダブルワークをしている方の確定申告について、給与と報酬の違い、申告が必要になる条件、そして複数の収入を正しく合算する方法を整理します。自分に申告が必要かどうか、何を準備すればいいのかがはっきりするはずです。
ダブルワークでも確定申告が必要になる理由
1か所からの給与だけであれば、勤務先が年末調整をしてくれるため、原則として自分で確定申告をする必要はありません。しかし、収入源が複数になると話が変わってきます。
年末調整は「1か所」でしか受けられない
年末調整は、給与の支払い者である会社が、その年の所得税を本人に代わって精算してくれる仕組みです。ただし、これは「扶養控除等申告書」を提出した1か所の勤務先でのみ行われます。2か所目以降の給与については年末調整が行われないため、複数の収入をまとめて精算する手続きが別途必要になるのです。
掛け持ちのパターンは大きく2種類
給与+給与:本業もアルバイトも、どちらも雇用契約に基づく「給与」を受け取るケース
給与+報酬:本業は会社員で給与をもらいつつ、副業はフリーランスや業務委託で「報酬(事業所得・雑所得)」を得るケース
どちらのパターンかによって、申告で扱う所得の区分や必要な準備が変わります。まずはご自身がどちらに当てはまるかを確認してみましょう。副業が講師業などの報酬型であれば、語学・英会話講師の確定申告とレッスン料収入・教材費の扱いのように、報酬から経費を引く具体例が参考になります。
確定申告が必要になる人・しなくてよい人
ダブルワークをしていても、すべての人が確定申告を求められるわけではありません。代表的な目安を整理します。具体的な金額基準は変わることがあるため、最終的には国税庁サイト等で最新情報をご確認ください。2か所以上から給与を受け取る場合の考え方は、国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。
申告が必要になる主なケース
2か所以上から給与を受け取っていて、年末調整されなかった給与とその他の所得の合計が一定額を超える場合
本業の給与のほかに、副業の所得(売上から経費を引いた利益)が一定額を超える場合
年末調整を受けていない給与収入がある場合
申告しなくてよい可能性があるケース
副業の所得がごくわずかで、基準となる金額に達していない場合は、所得税の確定申告が不要になることがあります。ただし、所得税の申告が不要でも、住民税の申告は別途必要になる場合があります。判断に迷うときは、安易に「しなくてよい」と決めつけず、収入の記録を残したうえで確認することが大切です。
複数の収入を合算する基本の流れ
確定申告では、1年間(1月1日から12月31日まで)のすべての所得を合算して税額を計算します。掛け持ちの場合の合算手順を見ていきましょう。
ステップ1:収入を区分ごとに整理する
まずは、受け取ったお金が「給与」なのか「報酬」なのかを区別します。給与なら勤務先から交付される源泉徴収票、報酬なら支払調書や自分で集計した売上の記録が基礎資料になります。
ステップ2:それぞれの所得金額を計算する
給与所得:給与収入の合計から、給与所得控除を差し引いて計算します
事業所得・雑所得:副業の売上から、その仕事にかかった必要経費を差し引いて計算します
ステップ3:すべての所得を合計する
区分ごとに計算した所得を合計し、そこから基礎控除や社会保険料控除などの所得控除を差し引いて、課税の対象となる金額を求めます。合算した課税所得に税率を掛けて税額を計算する仕組みは、国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」で確認できます。この合算を正しく行うことが、ダブルワークの申告で最もつまずきやすいポイントです。
申告に向けて準備しておきたい書類
合算をスムーズに進めるには、事前の書類整理が欠かせません。直前になって慌てないよう、年内から少しずつ集めておきましょう。
給与に関する書類
すべての勤務先から受け取る源泉徴収票(1か所でも欠けると正しく計算できません)
各勤務先の名称・所在地が分かるもの
報酬・経費に関する書類
取引先からの支払調書や、入金が確認できる通帳・明細
仕事で使った費用の領収書やレシート(交通費、通信費、消耗品など)
控除証明書(生命保険料、社会保険料、ふるさと納税の証明など)
特に副業の領収書は、日々のうちに保管しておかないと後から探すのが大変です。封筒や専用ボックスにまとめておくだけでも、申告期の負担が大きく変わります。複数の源泉徴収票と副業の領収書をまとめて整理する時間が取れないときは、掛け持ちの申告をまとめて代行してもらう方法もあります。
よくある失敗とその防ぎ方
掛け持ちの申告でよく見られるつまずきを知っておくと、事前に回避できます。源泉徴収票の集め忘れ・経費の混同・住民税の見落としが代表例です。
源泉徴収票の出し忘れ・集め忘れ
2か所目以降の勤務先の源泉徴収票を集計から漏らしてしまうと、収入を過少に申告したことになりかねません。退職した勤務先の分も忘れずに取り寄せましょう。
経費とプライベートの支出を混同する
副業に関係のない私的な買い物まで経費にしてしまうのは認められません。逆に、仕事で使った費用を経費に入れ忘れて、税金を多く払いすぎることもあります。仕事用とプライベートをきちんと分けて記録する習慣が役立ちます。
住民税の申告を忘れてしまう
所得税の確定申告をすれば、その情報は自治体にも共有されるため、原則として住民税の申告を別途行う必要はありません。しかし、所得税の申告が不要なケースでも住民税の申告だけは必要、という場合があります。「所得税が不要だったから何もしなくてよい」と思い込まず、住民税の扱いまで含めて確認することが、後々のトラブルを防ぐコツです。
申告を始める前に整理しておきたい考え方
掛け持ちの申告に取りかかる前に、頭の中を少し整理しておくと作業がスムーズです。複雑に見えても、やることはシンプルに分解できます。
「収入」と「所得」は別物だと意識する
確定申告で混乱しやすいのが、「収入」と「所得」という言葉の違いです。収入は受け取った金額そのもの、所得はそこから控除や経費を差し引いた後の金額を指します。税金は所得に対してかかるため、収入の数字だけを見て不安になる必要はありません。給与であれば給与所得控除、副業であれば必要経費を差し引いた後の金額が、課税の出発点になります。
1年単位で考える
確定申告は1月1日から12月31日までの1年間が一区切りです。月ごとにバラバラに考えるのではなく、年間を通してすべての収入と支出を集計するという視点を持つと、何を準備すればよいかが見えやすくなります。同じ世帯で複数の人が収入を持つ場合の申告の分担は、家族で一つの事業を営むときに誰が申告するかの考え方が参考になります。夫婦それぞれが働いている場合は、夫婦ともに働く世帯で損しない申告と経費配分もあわせて確認しておくと安心です。
よくある質問
Q. 副業が会社にバレないようにする方法はありますか?
確定申告そのものが副業を会社に知らせる手続きではありませんが、住民税の通知を通じて勤務先に把握される場合があります。住民税の納め方の選択など、扱いは状況によって異なるため、詳しくはお住まいの自治体や専門家にご相談ください。本記事では「バレない方法」を保証するものではない点をご了承ください。
Q. アルバイトを年の途中で辞めた場合も申告は必要ですか?
辞めた勤務先であっても、その年に給与を受け取っていれば、その収入は申告対象に含まれます。退職時に源泉徴収票を受け取り、合算の対象として整理しておきましょう。
Q. 確定申告をすると税金が戻ってくることもありますか?
はい、源泉徴収で税金が多めに天引きされていた場合などは、申告によって納めすぎた分が還付されることがあります。掛け持ちだからといって必ず追加で納税するとは限りません。
掛け持ちの申告で迷ったときの結論
ダブルワークをしていると、収入が複数に分かれるぶん、申告の手続きも複雑に感じられます。しかし、ポイントを押さえれば決して難しいものではありません。まずは自分の収入が「給与」か「報酬」かを区別し、源泉徴収票や領収書などの資料を漏れなく集め、すべての所得を合算する。この基本の流れを意識することが何より大切です。申告が必要かどうかの判断や合算の計算に不安があるときは、早めに準備を始め、分からない部分は専門家や公的な相談窓口を頼りましょう。正しく申告することは、思わぬ追徴を防ぐだけでなく、納めすぎた税金を取り戻すチャンスにもつながります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








