2026年度税制改正で個人事業主の確定申告はどう変わる?青色申告控除・インボイスの変更点を解説
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確定申告

2026年度(令和8年度)の税制改正大綱には、青色申告特別控除の増額、少額減価償却資産の上限引き上げ、インボイス2割特例の見直しなど、個人事業主に関わる変更が並びました。確定申告に影響する主要な変更点を、順を追って整理します。
改正の内容を正しく理解し、早めに対策を講じておくことで、節税効果を取りこぼさずに済みます。これまでの常識が通用しなくなる部分もあるため、青色申告控除・少額減価償却・インボイスの3点を中心に、変更点とその影響を一つずつ確認していきましょう。
☑ 青色申告特別控除が75万円に増額されると聞いたけど、条件は?
☑ 少額減価償却資産の特例はどう変わるの?
☑ インボイスの2割特例が終了した後はどうなる?
2026年度(令和8年度)の税制改正大綱では、個人事業主に大きな影響を与える改正がいくつも盛り込まれました。特に、青色申告特別控除の増額、少額減価償却資産の上限引き上げ、インボイス制度の経過措置の変更は、多くの個人事業主やフリーランスの方にとって見逃せない内容です。
これまでの常識が通用しなくなる部分もあるため、改正内容を正しく理解し、早めに対策を講じることが重要です。
青色申告特別控除が最大75万円に増額
今回の税制改正で最も注目すべきポイントの一つが、青色申告特別控除の増額です。現行の青色申告特別控除の要件は、国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」(国税庁 No.2072 青色申告特別控除)で確認できます。
現行制度と改正後の比較
現行制度(2026年分の所得税まで)では、青色申告特別控除は以下の3段階でした。
・複式簿記+e-Tax+優良電子帳簿保存または会計ソフトの自動連携:65万円
・複式簿記+e-Tax:55万円
・その他(簡易簿記など):10万円
改正後(2027年分の所得税から、住民税は2028年度分以降)は、以下のように変わります。
・複式簿記+e-Tax+優良電子帳簿保存または自動連携:75万円(10万円増額)
・複式簿記+e-Tax:65万円(10万円増額)
・複式簿記+書面申告:55万円(新設)
・その他:10万円(変更なし)
最大控除額が65万円から75万円に引き上げられることで、節税効果がさらに大きくなります。
デジタル化への対応がカギ
今回の改正で明確になったのは、「記帳や申告のデジタル化をどこまで進めているか」によって控除額に差がつくという方向性です。
75万円の最大控除を受けるには、複式簿記での記帳に加えて、e-Taxによる電子申告、さらに優良電子帳簿保存または会計ソフトの自動連携が求められます。
一方で、紙の申告書を提出する場合は55万円にとどまり、最大控除との差は20万円になります。所得税率20%の方であれば、この差だけで約4万円の税額差が生まれます。
まだe-Taxを利用していない方や、手書きで帳簿管理をしている方は、この機会にデジタル化を検討する価値があるでしょう。改正後の要件に沿った申告に不安がある場合は、確定申告の代行という選択肢もあります。
少額減価償却資産の特例が「40万円未満」に拡大
少額減価償却資産の特例とは
少額減価償却資産の特例とは、中小企業者等に該当する青色申告者が、一定金額未満の固定資産を購入した際に、減価償却をせずに購入した年度に一括で経費に計上できる制度です。
通常、10万円以上の固定資産は耐用年数に応じて複数年にわたって減価償却する必要がありますが、この特例を使えば購入年度に全額を経費にできるため、節税効果が大きい制度として広く活用されています。
上限が「30万円未満」から「40万円未満」に
今回の改正では、この特例の対象となる固定資産の取得価額の上限が、これまでの「30万円未満」から「40万円未満」に引き上げられます。
これにより、例えば35万円のパソコンや38万円の業務用機器を購入した場合でも、購入年度に一括で経費計上できるようになります。
なお、年間の合計上限額は300万円で変更はありません。年間300万円の枠をどう管理するかは、少額減価償却資産の年間300万円管理で具体的に整理しています。また、適用時期については税制改正大綱には明記されていませんが、2026年4月1日以降に取得した資産から適用される可能性があります。
対象となる要件
この特例を利用するための主な要件は以下の通りです。
・青色申告をしている個人事業主であること
・従業員数が1,000人以下であること
・取得した固定資産が40万円未満(改正後)であること
ほとんどの個人事業主・フリーランスの方が対象となるため、設備投資を予定している方は改正後の適用時期を確認しておきましょう。
インボイスの2割特例が終了、3割特例へ移行
インボイス制度に関しても、個人事業主に影響の大きい改正があります。インボイス制度の経過措置の詳細は、国税庁の特集ページ(国税庁 インボイス制度特集)で確認できます。
2割特例から3割特例への変更
2023年10月のインボイス制度開始に伴い導入された「2割特例」は、2026年12月で終了します。これに代わり、2027年1月から「3割特例」が導入されます。
2割特例では売上税額の2割を納めればよかったのに対し、3割特例では売上税額の3割を納めることになります。
つまり、2割特例と比べて納税額が1.5倍に増える計算です。消費税の負担が増えることを見据えた資金計画が必要になります。なお、基準期間の売上などによっては特例が使えないこともあるため、2割特例が使えなくなるケースもあわせて確認しておきましょう。
簡易課税の届出期限が「確定申告期限まで」に延長
従来、簡易課税制度を選択するには、適用を受けようとする課税期間の前日までに届出書を提出する必要がありました。
今回の改正により、確定申告期限までに届出書を提出すれば、その課税期間から簡易課税を適用できるようになります。これにより、年度末の状況を見てから判断できるため、より柔軟な選択が可能になります。届出のタイミングの詳しい考え方は、簡易課税選択届出書の期限で整理しています。
対象は小規模な「個人事業主」のみ
3割特例の対象は、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の小規模事業者のうち、個人事業主に限られます。法人は対象外です。
インボイス制度への対応に苦慮している個人事業主にとっては、引き続き事務負担を軽減できる仕組みが用意されていることになります。
Q&A:2026年度税制改正に関するよくある質問
Q1. 青色申告特別控除75万円はいつから適用されますか?
A. 2026年分の所得税から適用されます。つまり、2027年2〜3月に行う確定申告から75万円の控除を受けられます。ただし、e-Taxによる電子申告または電子帳簿保存が要件となります。
Q2. e-Taxの準備は何が必要ですか?
A. マイナンバーカードとICカードリーダー(またはスマートフォン)が必要です。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」からオンラインで申告できます。初めての方は、事前にe-Tax用のIDとパスワードを税務署で発行してもらうことも可能です。
Q3. インボイスの3割特例で消費税はどれくらい増えますか?
A. 2割特例と比べて納税額が約1.5倍になります。例えば、売上に対する消費税が100万円の場合、2割特例では20万円の納税でしたが、3割特例では30万円になります。年間で10万円程度の負担増となるケースが多いです。
Q4. 簡易課税と3割特例、どちらを選ぶべきですか?
A. 業種によって異なります。簡易課税のみなし仕入率が70%以上の業種(卸売業など)は簡易課税の方が有利な場合があります。一方、みなし仕入率が低い業種(サービス業の50%など)は3割特例の方が有利になることがあります。税理士に相談して比較検討することをおすすめします。
結論:2026年度改正で押さえる4つの変更点
2026年度の税制改正では、個人事業主の確定申告に関して以下の重要な変更があります。
・青色申告特別控除が65万円から75万円に引き上げ(e-Tax等が条件)
・少額減価償却資産の上限が30万円未満から40万円未満に拡大
・インボイスの2割特例が終了し、3割特例に移行
・簡易課税の届出期限が確定申告期限まで延長
これらの改正に適切に対応することで、節税効果を最大限に活用できます。特にe-Taxの導入や消費税の負担変化については、早めの準備が重要です。
青色申告特別控除の引き上げや少額減価償却の拡大を活かすには、複式簿記やe-Taxへの対応など、日々の記帳を改正に合わせて整えておくことが欠かせません。本業と並行して対応するのは負担が大きい部分です。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








