個人事業主の通信費(スマホ・ネット)を経費にする按分のコツ
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税務

個人事業主の通信費は、仕事で使う分を「按分」で切り分ければ、スマホ代もネット代も堂々と経費にできます。按分とは何かという基本から、使用時間や稼働日数を使った割合の決め方、後で困らない記録のコツまでを整理します。
連絡を取る、調べものをする、クラウドサービスを使う——個人事業主やフリーランスの仕事のほとんどは通信を介して行われます。それなのに「プライベートでも使っているから経費にしづらい」と、毎月の通信費を丸ごと諦めてしまっている方が実はとても多いのです。結論からお伝えすると、仕事で使っている分はきちんと経費にできます。そのカギを握るのが「按分」という考え方です。
☑ スマホ代やネット代を経費にしていいのか分からず、結局入れていない
☑ プライベートと仕事の両方で使っていて、割合の決め方が分からない
専門用語をかみ砕きながら、無理のない割合の決め方と記録の残し方を、具体的に見ていきましょう。
そもそも「按分」とは何か
仕事とプライベートの使用割合で分けること
按分とは、ひとつの支出を一定の割合で分けることをいいます。通信費の場合、月々の料金のうち「仕事で使った分」と「プライベートで使った分」を割合で分け、仕事の分だけを経費に計上します。たとえば月7,000円のスマホ代のうち、仕事での使用が6割だと考えられるなら、4,200円を経費にする、というイメージです。
家事関連費という考え方
このように、仕事と私生活の両方にまたがる支出を、税務の世界では「家事関連費」と呼びます。通信費のほかにも、自宅兼事務所の家賃や電気代などが代表例です。費目ごとの按分の考え方は、家事按分のやり方総まとめ(家賃・光熱費・通信費)にまとめられています。家事関連費は全額を経費にできるわけではなく、合理的な基準で仕事分を区分する必要がある、というのが基本ルールで、必要経費の考え方は国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」が目安になります。
「合理的な基準」がポイント
大切なのは、按分の割合に「合理的な根拠」があることです。なんとなく8割、では税務上説明がつきません。なぜその割合にしたのかを、自分の言葉で説明できる状態にしておくことが、安心して経費計上するための土台になります。自宅の家賃を按分する場合の勘定科目の使い分けは、地代家賃・賃借料・支払手数料の使い分けで整理しています。次の章で、その具体的な決め方を見ていきましょう。
通信費の按分割合はこう決める
使用時間で考える方法
もっとも分かりやすいのが、1日のうちどのくらいスマホやネットを仕事に使っているかで割合を出す方法です。たとえば平日は1日8時間ほど仕事で使い、それ以外をプライベートで使うとして、1週間トータルで考えると仕事の比率は何割くらいか——こうしてざっくりと使用時間の割合を見積もります。生活実態に即していれば、説明しやすい根拠になります。
仕事で使う日数で考える方法
毎日同じように使うわけではない場合は、1か月のうち仕事で使った日数をベースに考える方法もあります。週5日働いているなら、おおよそ月の7割前後が稼働日にあたります。こうした「日数ベース」の考え方も、合理的な基準のひとつとして使えます。割合の設定や毎月の反映に自信が持てないときは、記帳代行に按分ごと任せることで、迷う時間そのものを減らせます。
データ通信量を手がかりにする方法
スマホのデータ通信を仕事で多く使う方は、月々のデータ使用量のうち、仕事に関わる通信がどれくらいかを目安にする方法もあります。オンライン会議やクラウドへのファイル送受信など、仕事での通信が多いほど割合は高くなります。明確に数値化するのは難しい部分もありますが、「仕事で動画会議を頻繁に行うため通信量の多くは業務利用」といった実態があれば、それも合理的な説明材料になります。自分の使い方に合った基準を選びましょう。
無理に高い割合を狙わない
経費を増やしたい気持ちから、つい割合を高めに設定したくなるかもしれません。しかし実態とかけ離れた割合は、後から説明を求められたときに困る原因になります。自分の働き方を振り返って、正直に「これくらい仕事で使っている」と言える割合に落ち着かせるのが、結局はいちばん安心できる方法です。たとえば、ほとんど私用にしか使っていないのに9割を経費にする、といった設定は避けるのが無難です。実態に沿った割合であれば、いざというときも自信を持って説明できます。
仕事用とプライベート用を分けるという選択肢
回線や端末を分けてしまえば按分は不要
そもそも按分の計算が面倒なら、仕事用とプライベート用で回線や端末を完全に分けてしまう方法があります。仕事専用のスマホやネット回線を用意すれば、その料金は基本的に全額を経費にできます。按分の割合を悩む必要がなくなり、帳簿もすっきりします。
分けるメリットと注意点
分けることのメリットは、計算がシンプルになることと、仕事の支出が明確になることです。一方で、回線や端末を新たに契約すれば、その分の固定費は増えます。通信費の金額が大きい方や、取引先とのやり取りが多い方であれば、分けてしまったほうが管理もラクで合理的、というケースは少なくありません。
後から困らないための記録のコツ
按分の根拠をメモに残しておく
按分割合を決めたら、「なぜその割合にしたのか」を簡単なメモにして残しておきましょう。「週5日稼働で1日のうち約7割を業務利用のため、通信費の70%を経費計上」といった一文で十分です。こうした記録があるだけで、いざというときの説明がぐっとラクになります。
毎月の明細を保管する
通信費は毎月発生する固定費なので、利用明細や請求書はきちんと保管しておきます。最近はWeb明細が主流ですが、データはダウンロードして手元に残しておくと安心です。カード払いにしている場合の明細の扱いは、クレジットカード明細と領収書の関係で確認できます。明細があれば、年間でいくら支払ったかも一目で分かり、確定申告の際の集計もスムーズになります。
割合は一度決めたら一貫させる
按分割合は、月によってコロコロ変えるのではなく、年間を通して一貫した基準で使うのが原則です。働き方が大きく変わった場合は見直しても構いませんが、その場合も「いつから、なぜ変えたのか」を記録しておけば問題ありません。一貫性があることが、合理性の裏付けになります。
よくある質問
Q. スマホの端末代(本体の分割払い)も経費にできますか?
仕事で使っている分については、通信料と同じ考え方で按分して経費にできます。端末を仕事とプライベートの両方で使っているなら、使用割合に応じて分けるのが基本です。なお、端末の金額や購入方法によっては取り扱いが変わる場合もあるため、判断に迷うときは専門家に確認すると安心です。
Q. 按分割合に「正解の数字」はあるのですか?
全員に当てはまる決まった数字はありません。働き方や生活スタイルによって、適切な割合は人それぞれ変わります。大切なのは数字そのものよりも、その割合にした理由を自分で説明できることです。実態に即した、無理のない割合を設定することを心がけましょう。
Q. これまで通信費を経費に入れていませんでした。今からでも入れられますか?
これから先の通信費については、もちろん経費に計上していけます。過去の分をさかのぼって修正できるかどうかは状況によって異なり、年度や手続きの条件が関わってきます。具体的な取り扱いは最新情報を国税庁サイト等でご確認いただくか、専門家に相談することをおすすめします。
まとめ:通信費は「説明できる割合」で堂々と経費に
スマホ代やネット代は、仕事に使っている以上、按分すれば堂々と経費にできる支出です。ポイントは、使用時間や稼働日数といった生活実態に基づいて、自分で説明できる割合を決めること。そして、その根拠を簡単なメモとして残しておくことです。計算が面倒なら、仕事用とプライベート用を分けてしまうという選択肢もあります。
「経費にしていいか分からないから」と諦めていた通信費も、考え方を知れば、ためらわずに計上できるようになります。毎月の固定費だからこそ、年間で見れば決して小さくない金額です。正しく経費に反映させることは、適正な申告につながる大切な一歩といえます。
按分の割合を計算して毎月の帳簿に正しく反映していく作業は、慣れないうちは手間取るものです。通信費に限らず、按分が必要な経費の処理に迷いがちな方は、その計算ごと手放すという選び方もあります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








