塗装・防水工事業の個人事業主の確定申告|材料費・足場代・外注費の処理を解説
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確定申告

塗装・防水工事業の個人事業主の確定申告は、材料費・足場代・外注費を建設業の原価として正しく分けるのが要です。売上の計上時期や消費税のインボイス対応まで、一人親方が迷いやすい処理を、現場の具体例を交えて順に整理します。
塗装工事や防水工事の個人事業主・一人親方の方は、現場での作業や見積り、施主とのやり取りに追われ、帳簿づけや確定申告は後回しになりがちです。いざ申告の時期になると、建設業ならではの費用をどう処理すればよいのか、手が止まってしまう方も少なくありません。
☑ 塗料やシーリング材の材料費を、どの勘定科目でどう経費にすればよいかわからない
☑ 足場のリース代や一人親方への外注費を、まとめて「外注費」にしてよいのか迷う
☑ 一人親方として働いていて、自分が「外注費」なのか「給与」なのか整理がつかない
塗装・防水工事業に特有のお金の流れに沿って、材料費・足場代・外注費の経費処理、売上の計上時期、消費税のインボイス対応までを、現場の具体例を交えて確認していきます。
塗装・防水工事業の経費の全体像をつかむ
建設業の経費は「現場ごとの原価」を意識する
塗装や防水の工事では、1つの現場に対して材料費、足場代、職人の人件費(外注費)などがまとまって発生します。これらは売上を生み出すために直接かかった費用、いわゆる原価にあたります。確定申告の決算書では、こうした原価と、事務所の家賃や通信費といった一般的な経費を分けて把握しておくと、自分の利益がどこから出ているのかが見えやすくなります。
難しく考える必要はありません。まずは「この支払いはどの現場のためのものか」を意識しながら、領収書や請求書を現場ごと・月ごとに整理しておくことが、正確な申告への第一歩になります。建設業の記帳をまるごと任せたい方は、建設業に対応した記帳代行という方法もあります。取引先ごとの請求管理は請求書番号の連番ルールと保存を決めておくと、後から照合しやすくなります。
塗装・防水工事で出てくる主な勘定科目
材料費(仕入)…塗料、シーリング材、下地材、養生テープ、刷毛やローラーなどの消耗品
外注費…協力会社や一人親方に作業を依頼したときの支払い
地代家賃・賃借料…足場のリース代、資材置き場や作業場の家賃
車両費・燃料費…現場への移動に使うトラックのガソリン代や車検費用
消耗品費・工具費…高圧洗浄機やコンプレッサーなどの工具、安全用品
どの科目を使うかに厳密な正解が1つだけあるわけではありませんが、毎年同じ基準で同じ科目に記帳することが大切です。基準がぶれていると、年ごとの利益の比較ができなくなり、ご自身の経営判断にも使いにくくなってしまいます。
白色申告と青色申告の違い
個人事業主の申告には、白色申告と青色申告があります。青色申告は、複式簿記で帳簿をつけ、期限内に申告することで青色申告特別控除(最大65万円)を受けられるなど、税制上のメリットが大きい制度です。職人として独立した方も、事前に「青色申告承認申請書」を提出しておけば青色申告ができます。材料費や外注費の金額が大きい建設業ほど、正しく帳簿をつけて控除を受ける効果は大きくなります。
材料費の経費処理のポイント
塗料・シーリング材などの仕入は材料費に
塗料、防水材、シーリング材、下地調整材といった、工事に直接使う材料は「材料費(仕入高)」として経費に計上します。ホームセンターや塗料店で購入したときの領収書やレシートは、現場名や用途をメモしておくと後で整理しやすくなります。少額の刷毛、ローラー、養生シートなどの消耗品は、材料費としても消耗品費としても処理できますが、自分の中でルールを決めて統一しておきましょう。
年末に残った材料は「棚卸」が必要
ここが建設業の申告で見落とされがちなポイントです。その年に仕入れた材料のうち、12月31日時点でまだ使っていない在庫がある場合は、棚卸資産として残し、その分は当年の経費から除く必要があります。たとえば年末にまとめて塗料を購入したものの、現場で使うのは翌年というケースでは、使っていない分を経費にしてしまうと利益が実態とずれてしまいます。倉庫や車両に残っている材料の数量と金額を、年末に一度確認しておきましょう。
高圧洗浄機など高額な機材は減価償却に
高圧洗浄機、コンプレッサー、塗装機械、軽トラックなど、長く使う高額な機材は、買った年に全額を経費にするのではなく、原則として法定耐用年数にわたって少しずつ経費にしていきます。これを減価償却といい、詳しくは国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。1個あたりおおむね10万円未満のものは買った年に全額を経費にできますが、それを超える機材は減価償却の対象になるのが基本です。なお、青色申告には少額の減価償却資産に関する特例もあるため、高額な工具を購入した年は処理方法を確認しておくと安心です。
足場代の処理と現場経費
足場のリース代・架設費は賃借料や外注費で
塗装・防水工事に欠かせない足場については、自社で組むのか、足場業者にリースや架設を依頼するのかで処理が変わります。足場をリースで借りた場合のレンタル料は「賃借料」、足場の組立・解体作業を業者に依頼した場合の費用は「外注費」として処理するのが一般的です。請求書に「足場リース」「架設・解体」などの内訳が書かれていれば、それに沿って科目を分けると整理しやすくなります。
資材置き場・作業場の家賃
足場材や塗料を保管する資材置き場、作業場を借りている場合の家賃は「地代家賃」として経費にできます。自宅の一部を事務所や保管場所として使っている場合は、事業で使っている面積の割合などの合理的な基準で按分し、その部分だけを経費にします。プライベートと事業が混ざりやすい部分なので、按分の根拠をメモに残しておくと、後から説明がしやすくなります。
現場でかかるその他の費用
駐車場代・高速道路代…現場への移動でかかった分は旅費交通費や車両費に
ゴミ処分費・廃材処理費…剥がした旧塗膜や廃材の処分費用
安全用品・保護具…ヘルメット、安全帯、塗装用マスクなど
こうした細かな現場経費も、積み重なると大きな金額になります。現金で支払ったものほど記録が漏れやすいので、その場でレシートを受け取り、後でまとめて記帳する習慣をつけましょう。
外注費と給与の違いに注意
外注費として処理できるケース
協力会社や他の一人親方に工事の一部を請け負ってもらい、その対価を支払う場合は「外注費」になります。外注費は、相手が独立した事業者として、自分の裁量で道具を用意し、仕事を完成させて報酬を受け取っている、という関係が前提です。請求書を受け取り、その内容に基づいて支払う流れがある場合は、外注費として整理しやすくなります。
給与と判断される場合との違い
一方で、決まった時間に働き、作業の指示を細かく受け、道具も親方が用意している、といった働き方の場合は、実態として「給与」と判断されることがあります。外注費か給与かは、契約書の名称ではなく働き方の実態で判断されるのが原則です。給与にあたる場合は源泉徴収や年末調整など別の手続きが関わってくるため、人を継続的に使っている場合は、早めに専門家に確認しておくと安心です。なお、これから人を雇い入れる形にするなら、試用期間から本採用につなげるトライアル雇用助成金のような支援制度も検討できます。
外注先への支払いと書類の保存
外注費を支払うときは、相手から受け取った請求書や、支払いを記録した書類をきちんと保存しておきましょう。誰に、いつ、いくら、どの現場の作業に対して支払ったのかがわかるようにしておくことが大切です。後述するインボイス制度との関係でも、外注先が発行する請求書の内容は重要になります。
売上の計上時期とインボイス対応
工事の売上はいつ計上する?
個人事業主の確定申告では、入金された日ではなく、原則として工事が完成して引き渡した日に売上を計上します。たとえば、12月に工事が終わって引き渡したものの、入金が翌年1月になった場合でも、その売上は工事を引き渡した年の収入として申告するのが基本です。年末年始をまたぐ現場がある方は、どの年の売上になるかを確認しておきましょう。売上に季節の波がある場合は、期をまたぐ所得の平準化の考え方もあわせて知っておくと、年ごとの税負担を見通しやすくなります。手付金や着手金を受け取ったときの扱いも、完成・引き渡しの時期と合わせて整理しておくと混乱を防げます。
インボイス制度と一人親方
消費税のインボイス制度(適格請求書等保存方式)により、取引先が仕入税額控除を受けるためには、登録事業者が発行する適格請求書(インボイス)が必要になりました。制度の概要は国税庁の特集 インボイス制度で確認できます。塗装・防水の一人親方の場合、元請けや工務店から「インボイスを発行できるか」を確認されるケースが増えています。登録するかどうかは、取引先との関係や自分の売上規模を踏まえて判断する必要があり、一概にどちらがよいとは言えません。判断に迷う場合は、取引先の状況も含めて専門家に相談するとよいでしょう。
消費税の納税義務があるかどうか
消費税には、課税事業者と免税事業者の区分があります。一定の売上規模を超えると消費税の納税義務が生じますが、インボイス登録をすると、その時点で課税事業者となります。免税の要件は国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」で確認できます。課税事業者になった場合は、所得税の確定申告とは別に消費税の申告・納税が必要になる点も押さえておきましょう。自分が今どちらの立場なのかを把握しておくことが、申告漏れを防ぐうえで欠かせません。
よくある質問
Q. 仕事用のトラックや高圧洗浄機は、買った年に全額経費にできますか?
1個あたりおおむね10万円未満のものは、買った年に全額を経費にできます。これを超える高額な機材や車両は、原則として法定耐用年数にわたって減価償却で少しずつ経費にしていきます。ただし青色申告の方には少額減価償却資産の特例があるため、高額な機材を購入した年は、その年に経費にできる範囲を確認しておくとよいでしょう。
Q. 一人親方として元請けから受け取る報酬は、事業所得として申告するのですか?
独立した一人親方として、自分の裁量で工事を請け負って報酬を受け取っている場合は、事業所得として確定申告します。一方で、特定の親方の下で時間や作業内容の指示を細かく受けて働いている場合は、実態として給与と扱われることもあります。報酬から源泉徴収されているかどうかや、請求書を発行しているかなどを手がかりに、自分の働き方を整理してみましょう。
Q. 領収書をもらい忘れた現金払いの経費は、どうすればよいですか?
領収書がない場合でも、出金伝票やメモに日付・支払先・金額・内容を記録しておけば、経費として扱える場合があります。とはいえ、領収書やレシートが残っているに越したことはありません。電車代やコインパーキング代など領収書が出にくい支払いは、その場でスマホにメモを残すなど、記録の習慣をつけることをおすすめします。
結論:建設業ならではの費用を正しく分ける
塗装・防水工事業の確定申告では、材料費・足場代・外注費といった建設業ならではの費用を、毎年同じ基準で正しく科目に分けることが何より大切です。年末の材料の棚卸、高額な機材の減価償却、外注費と給与の区別、工事の引き渡し時期に応じた売上計上、そしてインボイスへの対応など、塗装・防水業ならではの確認ポイントを一つずつ押さえていけば、申告は決して難しいものではありません。
とはいえ、日中は現場に出ていて、見積りや段取りに追われる中で、領収書の整理から帳簿づけ、申告書類の作成までをすべて自分で行うのは大きな負担です。記帳が後回しになり、申告期限の間際になって慌ててしまう一人親方の方も少なくありません。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








