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時計・靴・鞄の修理職人の確定申告|部品仕...

2026/8/12

時計・靴・鞄の修理職人の確定申告|部品仕入と手間賃収入の処理を解説

  • 確定申告

時計・靴・鞄の修理職人の確定申告は、お客様から受け取った総額が売上、仕入れた部品代は経費、という両建てで考えるのが基本です。手間賃と部品代の分け方、年末の棚卸、工具の減価償却まで、実務で迷いやすいポイントを整理します。

修理職人の方は手先の技術が収入の中心ですが、革・ファスナー・電池・ヒール・パーツといった部品の仕入れも日々発生します。お客様からの代金には部品代と技術料(手間賃)が混ざるため、確定申告のときに「どう分けて記録すればよいのか」と迷う方は少なくありません。まずはお金の流れの整理から始めましょう。

☑ 部品代として受け取ったお金と、手間賃(技術料)の売上をどう分けて帳簿につければよいかわからない

☑ 仕入れた部品やパーツの在庫が年末に残っているとき、確定申告でどう扱うのか不安だ

☑ 工具や修理機械を買ったとき、経費にできるのか、何年かに分けるのかが判断できない

部品仕入と手間賃収入の帳簿上の扱い、在庫(棚卸)の考え方、工具や設備の経費化、自宅兼工房の按分まで、1年分の数字を申告につなげる全体像を、具体例を交えて確認していきます。

修理職人の収入は「部品代」と「手間賃」で考えましょう

売上はまとめて「事業収入」、内訳を意識して記録する

お客様からいただく修理代金は、確定申告のうえでは事業収入(売上)としてまとめて計上します。たとえば靴のヒール交換で3,000円をいただいた場合、その3,000円が売上です。ここに「ヒール部品の原価」と「貼り替えの技術料」が含まれていても、お客様に請求した総額がそのまま売上になる、と考えるとわかりやすくなります。

ただし、自分の経営状態を把握するためには、内訳を意識して記録しておくことをおすすめします。部品代の比率が高い修理と、ほとんどが手間賃の修理では、利益率が大きく変わるためです。レシートや作業伝票に「部品○円・技術料○円」と書き分けておくと、後から原価率を振り返るときに役立ちます。

部品代を「立て替え」と勘違いしないように

修理業では、お客様に代わって部品を取り寄せることがあります。このとき「部品代はお客様の立て替えだから売上ではない」と考えてしまう方がいますが、これは誤りになりやすい点です。自分が仕入れた部品を取り付けて代金を受け取る場合、その部品代も含めた総額が売上であり、仕入れた部品の代金は仕入(経費)として別に計上します。

売上を部品代のぶんだけ少なく書いてしまうと、収入の計上漏れにつながります。「受け取った総額=売上」「自分が業者に払った部品代=仕入」と、収入と経費を両建てで記録するのが基本です。

現金商売だからこそ売上の記録を丁寧に

店頭での修理は現金でのやり取りが多く、銀行口座に記録が残りにくいのが特徴です。だからこそ、その日の売上をノートやレジ、作業伝票などで毎日きちんと残すことが大切です。現金売上の記録があいまいだと、確定申告の数字の根拠が弱くなり、後で見直すときにも苦労します。細かな仕入と売上の記帳をまとめて任せたいなら、記帳から確定申告まで任せる選択肢もあります。日々の小さな積み重ねが、正確な申告につながります。

部品の仕入と年末の在庫(棚卸)の扱い

仕入れた部品は「使った分」が経費になる

革・ファスナー・時計の電池・靴底・鞄の金具などの部品は、仕入れたとき全額がそのまま経費になるわけではありません。考え方としては、その年に実際に修理で使った(売れた)部品の原価が経費になります。年末にまだ手元に残っている部品は「在庫」として、翌年に繰り越す扱いになります。

たとえば、1年間で電池を10万円分仕入れ、年末に2万円分が手元に残っていた場合、その年の電池の経費は差引き8万円ぶん、という考え方です。残った2万円分は翌年に持ち越され、翌年使ったときに経費になります。

棚卸(たなおろし)を年末に行う

この「年末に残っている部品の金額」を数える作業を棚卸(たなおろし)といいます。12月31日時点で在庫として残っている部品やパーツを種類ごとに数え、その金額を集計します。修理業は部品の種類が細かく多くなりがちなので、よく使うものを中心に、おおよその数量と単価を一覧にしておくとよいでしょう。

棚卸は手間に感じるかもしれませんが、これをやらないと「その年に本当に使った部品の原価」が計算できません。利益を正しく出すためにも、年に一度の棚卸を習慣にしておくことをおすすめします。

少額の消耗品と部品在庫の線引き

接着剤・糸・研磨材・潤滑油など、修理に使う消耗品で金額が小さく管理が難しいものは、消耗品費として購入時に経費とする扱いが一般的です。一方、革やヒール、金具のように1つあたりの単価がそれなりにあり、在庫として把握しやすいものは、棚卸の対象として残高を意識します。何をどの勘定科目で処理するか迷う場合は、支払手数料になるものと勘定科目の使い分けのように、費目ごとの目安を決めておくと処理がぶれにくくなります。

工具・修理機械など設備の経費化

少額のものはその年の経費、高額なものは数年に分ける

ミシン、研磨機、時計用の工具セット、製甲・底付けの機械などは、修理職人にとって欠かせない設備です。これらは金額によって経費にする方法が変わります。1つあたりの金額が一定額未満の工具なら、買った年に全額を経費にできます。一方、金額の大きい機械は固定資産として扱い、何年かに分けて少しずつ経費にしていきます。この分割して経費にする仕組みを減価償却(げんかしょうきゃく)といい、詳しくは国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。

減価償却は、機械の使用できる期間(耐用年数)に応じて、毎年一定額ずつを経費にしていくイメージです。たとえば数十万円のミシンを買った場合、その年に全額ではなく、決められた年数で分けて経費にします。

青色申告なら少額資産の特例が使える場合がある

青色申告をしている個人事業主には、一定金額未満の備品や工具を、買った年にまとめて経費にできる特例が用意されています。年間で使える金額に上限はありますが、工具や小型機械をよく買い替える修理職人にとっては、活用できると節税につながる仕組みです。高めの工具を購入した年は、この特例が使えるかどうかを意識してみましょう。

修理・メンテナンス費用と修繕費

すでに持っている機械の刃を研いだり、ミシンの調整・部品交換をしたりする費用は、修繕費などの経費にできます。ただし、機械を大幅に作り替えて性能や価値を大きく高めるような支出は、修繕ではなく新たな資産の取得とみなされ、減価償却の対象になることがあります。日常的なメンテナンスは経費、大きな改造は資産、と大まかに区別しておくと判断しやすくなります。

自宅兼工房の経費と家事按分

家賃・光熱費は「仕事で使う割合」で按分する

自宅の一室を工房や作業場にしている場合、家賃や電気代などのうち、仕事で使っている割合ぶんを経費にできます。これを家事按分(かじあんぶん)といいます。たとえば自宅の床面積のうち作業スペースが3割なら、家賃の3割を経費にする、といった考え方です。割合は、面積や使用時間など、誰が見ても説明できる基準で決めることが大切です。

研磨機やミシンを使う作業は電気の消費が多くなることもあります。実態に合った範囲で、無理のない割合を設定しましょう。

修理職人ならではの経費

  • 革・ファスナー・電池・ヒール・金具などの部品仕入

  • 接着剤・糸・研磨材などの消耗品費

  • 工具・機械の購入費(金額により経費または減価償却)

  • 作業場の家賃・水道光熱費(家事按分後)

  • 部品の仕入れや配達の交通費、宅配便の送料

  • 技術講習会の参加費や業界誌の購読料

修理の腕を磨くための講習や、新しい素材を学ぶための資料代なども、事業に関係するものであれば経費になります。どこまでが経費になるかの線引きは、資格取得費・受験料が経費になるかの判断基準が参考になります。仕事に使ったお金は、レシートや領収書を残しておくことが第一歩です。

領収書・伝票の整理を習慣に

修理業は、部品の仕入れと売上が日々細かく発生します。領収書や作業伝票がたまってから一気に整理しようとすると、内容を思い出せずに困りがちです。月ごとに封筒や箱に分けて入れておくだけでも、年末の作業がぐっと楽になります。日付・相手先・金額・内容がわかる状態で残しておきましょう。

青色申告で受けられるメリット

青色申告特別控除で所得を圧縮できる

帳簿をきちんとつけて青色申告をすると、青色申告特別控除が受けられます。一定の要件を満たして複式簿記で記帳し、e-Taxなどの条件を満たせば最大65万円の控除が受けられ、その分だけ課税される所得を小さくできます。部品仕入や工具の経費に加えて、この控除を使えるのは修理職人にとっても大きな利点です。控除で手取りを増やす順番は、効く順番で控除を組み合わせる考え方にまとめています。

赤字を翌年以降に繰り越せる

大きな機械を購入した年などに事業が赤字になった場合、青色申告であればその赤字を翌年以降の所得から差し引ける制度があります。設備投資の年と利益の出た年をならして考えられるため、年によって収入の波がある修理業とも相性のよい仕組みです。

家族への給与を経費にできる場合がある

家族に店番や受付、部品の手配などを手伝ってもらっている場合、青色申告では一定の手続きを踏むことで、その家族への給与を経費にできる制度があります。要件は国税庁タックスアンサーNo.2075「青色事業専従者給与と事業専従者控除」で確認できます。家族で工房を切り盛りしているケースでは、検討する価値のある制度です。

よくある質問

Q. お客様から預かった修理品の部品代を立て替えた場合、売上に入れるのですか?

自分が仕入れた部品を取り付けて修理代として受け取るのであれば、その部品代を含めた総額が売上です。仕入れた部品の代金は別に仕入(経費)として計上します。収入と経費を両方きちんと記録すれば、利益は正しく計算されますので、売上を部品代のぶんだけ減らすような書き方は避けましょう。

Q. 年末に部品の在庫を数えるのを忘れてしまいました。どうすればよいですか?

棚卸は、その年に使った部品の原価を正しく計算するために欠かせない作業です。忘れてしまった場合でも、年末時点の在庫をできるだけ正確に思い出して集計し、申告に反映させましょう。普段から在庫の多いものをメモしておくと、こうした見落としを防げます。翌年からは12月末の棚卸を習慣にすることをおすすめします。

Q. 高価なミシンを買いました。買った年に全額経費にできますか?

金額が一定以上の機械は固定資産となり、原則として何年かに分けて経費にする(減価償却する)扱いになります。ただし、青色申告をしている方は、一定金額未満の資産を買った年にまとめて経費にできる特例を使える場合があります。購入金額や年間の合計額によって扱いが変わるため、高額な設備を買った年は処理方法を確認しておくと安心です。

まとめ|収入と仕入を分けて記録すれば申告は整理できる

時計・靴・鞄の修理職人の確定申告は、「受け取った総額が売上」「仕入れた部品代は経費」という両建ての考え方を押さえることが出発点です。そのうえで、年末の部品在庫を棚卸で確認し、工具や機械は金額に応じて経費か減価償却かを判断し、自宅兼工房の費用は家事按分で計上していけば、1年分の数字は整理できます。青色申告を選べば、特別控除や赤字の繰越といったメリットも受けられます。

とはいえ、毎日の修理に追われる中で、現金売上の記録、細かい部品仕入の管理、年末の棚卸、減価償却の計算までをすべて自分で行うのは、大きな負担になりがちです。本業の技術に集中する時間を確保したい方も多いはずです。

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あわせて読みたい:業種別フリーランスの確定申告まとめ|このテーマの全体像を1本にまとめて解説しています。

【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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