棚卸とは?期末在庫の数え方と売上原価の計算をやさしく解説
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税務

棚卸とは、年末に残った在庫を数えて金額を確定させる作業です。仕入れた金額がそのまま経費になるのではなく、売れた分だけが売上原価として経費になります。期末在庫の数え方から売上原価の計算まで、在庫を扱う個人事業主の方に向けて整理します。
商品を仕入れて販売する事業をしていると、年末に必ず向き合うことになるのが「棚卸」です。聞き慣れない言葉で身構えてしまうかもしれませんが、やることはシンプルで、要するに「年末に残っている在庫を数えて金額にする」作業のことです。そして、この棚卸を正しく行わないと、確定申告での経費の金額が大きくずれてしまいます。
☑ 仕入れた金額を、そのまま全部その年の経費にしている
☑ 「棚卸」という言葉は知っているが、何のためにやるのか分からない
☑ 売れ残った在庫を、確定申告でどう扱えばいいのか不安がある
棚卸とは何か
棚卸とは、年末の時点で売れ残っている在庫の数量と金額を確定させる作業です。決算や確定申告のために、毎年末に必ず行います。
年末に在庫を数えて金額にする作業
具体的には、倉庫や店舗に残っている商品を一つずつ数え、それぞれの仕入れ単価をかけて、在庫の合計金額を出します。この金額を「期末棚卸高」と呼びます。実際に現物を数えることで、帳簿上の数と現実の在庫を一致させる意味もあります。
なぜ棚卸が必要なのか
棚卸が必要なのは、「売れた分の仕入れだけを経費にする」ためです。仕入れた商品のうち、まだ売れずに残っているものは、その年の経費にはできません。来年以降に売れて初めて経費になります。棚卸をすることで、その線引きを正しく行えるのです。
仕入れがそのまま経費にならない理由
棚卸を理解するうえで一番のポイントが、「仕入れた金額イコール経費ではない」という考え方です。ここをおさえると、棚卸の意味がすっきり分かります。
「売れた分」だけが経費になる
経費にできるのは、その年に売れた商品の仕入れ分だけです。たとえば30万円分を仕入れて、年末に10万円分が売れ残っていたら、経費にできるのは差し引き20万円分ということになります。残った10万円分は在庫として翌年に持ち越します。
費用と収益を対応させる考え方
これは、売上(収益)とそれにかかった費用を同じ時期で対応させる、という会計の基本的な考え方に基づいています。売れていない商品の仕入れまで経費にしてしまうと、その年の利益が実際より少なく見えてしまい、正確な所得が計算できなくなるのです。
在庫は「資産」として翌年に持ち越す
売れ残った在庫は、経費ではなく「資産」として扱われます。お金を払って仕入れたものが、まだ売れずに手元に残っている状態なので、いわば現金が商品の形に変わって眠っているイメージです。この在庫は翌年に持ち越され、翌年の最初の在庫(期首棚卸高)として、その年の計算に引き継がれていきます。
売上原価の計算方法
棚卸で出した在庫金額は、「売上原価」を計算するために使います。売上原価とは、売れた商品の仕入れ値の合計のことです。
計算の基本の式
売上原価は、次のシンプルな式で求められます。
期首棚卸高(年初に持っていた在庫)
+ 当期仕入高(その年に仕入れた金額)
- 期末棚卸高(年末に残った在庫)
= 売上原価(その年に売れた分の仕入れ値)
つまり、「最初にあった在庫」と「今年仕入れた分」を足して、「年末に残った在庫」を引けば、その年に売れた分の原価が出る、という仕組みです。
具体例で見てみる
たとえば、年初の在庫が5万円、その年の仕入れが30万円、年末に残った在庫が10万円だったとします。この場合、5万円+30万円-10万円=25万円が売上原価です。この25万円が、その年の経費として売上から差し引かれます。
期末在庫を多く数えるほど利益が増える
この式から分かるのは、年末に残った在庫(期末棚卸高)が大きいほど、売上原価が小さくなり、その分その年の利益が増えるという関係です。逆に在庫を実際より少なく計上すると、原価が過大になり利益が圧縮されてしまいます。だからこそ、在庫を多すぎず少なすぎず、現物どおりに正確に数えることが、適正な申告につながります。数え間違いはそのまま利益のずれになり、ありがちなつまずきは帳簿づけでよくある間違い10選でも取り上げられています。
在庫の数え方と評価のポイント
棚卸を正しく行うには、数え方と金額のつけ方(評価)にいくつかのコツがあります。難しく考えず、基本を押さえておきましょう。
実際に数える(実地棚卸)
帳簿上の数だけに頼らず、実際に現物を数えることが基本です。実際に数えてみると、破損や紛失などで帳簿と合わないことがあります。現物を確認することで、こうしたズレも把握できます。
在庫の金額のつけ方
在庫の金額は、原則としてその商品の仕入れ単価(取得原価)で評価します。評価方法にはいくつかの種類がありますが、特に届け出をしていない場合は、最後に仕入れた単価で計算する方法が基本となります。どの方法を使うかで在庫金額が変わるため、棚卸資産の評価方法の詳細は国税庁のタックスアンサーや最新情報をご確認ください。
数え漏れ・重複に注意
棚卸では、数え漏れや二重カウントが起きやすいものです。次のような点に気をつけると、ミスを防げます。
店頭・倉庫・配送中の商品など、保管場所ごとに整理して数える
すでに売れて引き渡し済みのものは在庫に含めない
数えた商品に印をつけるなど、重複を防ぐ工夫をする
もし在庫金額の入力を間違えたことに後から気づいた場合は、帳簿の修正と訂正の基本にまとめた手順で落ち着いて直せます。
棚卸をスムーズに進めるための準備
棚卸は年末にいきなり始めると大変です。日頃のちょっとした工夫で、年末の作業負担はぐっと軽くなります。在庫と原価の記帳そのものを任せたい方には、棚卸や原価の記帳を任せる記帳代行という選択肢もあります。
仕入れの記録を整理しておく
在庫に金額をつけるには、それぞれの商品の仕入れ単価が分かっていなければなりません。仕入れのたびに、いつ・何を・いくらで仕入れたかが分かる請求書や領収書を整理しておくと、年末に単価を調べる手間が省けます。ネット仕入れの領収書はデータで届くことも多く、電子取引データの保存要件を満たす形で残しておくと安心です。日々の記帳をためずに進めておくことが、結局は棚卸を楽にしてくれます。
棚卸表に記録を残す
数えた結果は、商品名・数量・単価・金額を一覧にした「棚卸表」としてまとめておきましょう。後から内容を確認できる形で残しておくことで、計算の根拠が明確になります。棚卸表を含む帳簿書類の記帳・保存については、国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」で確認できます。手書きでも表計算ソフトでも構いませんが、毎年同じ形式で作っておくと、前年との比較もしやすくなります。
よくある質問
Q. 在庫がほとんどない業種でも棚卸は必要ですか?
商品を仕入れて販売する事業であれば、在庫が少なくても棚卸は必要です。年末時点で売れ残りがあれば、その金額を期末棚卸高として計上します。一方、在庫を持たないサービス業などでは、棚卸が不要な場合もあります。
Q. 売れ残った在庫が古くなって価値が下がった場合は?
商品が破損したり、流行遅れなどで明らかに価値が下がったりした場合は、評価を見直せることがあります。ただし一定の条件や手続きがあるため、判断に迷う場合は専門家に相談するのが安心です。
Q. 棚卸を忘れるとどうなりますか?
棚卸をしないと売上原価が正しく計算できず、経費の金額がずれてしまいます。その結果、所得が実際と異なり、申告内容に誤りが生じます。年末の在庫確認は、毎年欠かさず行うようにしましょう。
棚卸は「売れた分だけを経費にする」ための作業
棚卸とは、年末に残った在庫を数えて金額を確定させる作業です。仕入れた金額がそのまま経費になるのではなく、売れた分だけが売上原価として経費になります。だからこそ、年末の在庫を正しく把握する棚卸が欠かせません。
売上原価は「期首棚卸高+当期仕入高-期末棚卸高」というシンプルな式で計算できます。数え漏れや評価のミスがないよう、保管場所ごとに丁寧に確認することが、正確な申告への第一歩です。
棚卸の金額をどう帳簿に反映すればいいか分からない、在庫と経費の関係が整理できない——そんな方へ。記帳代行の料金・対応範囲:領収書丸投げドットコムの個人事業主向け基本プランは月額6,600円(税込)。仕訳入力から月次試算表の作成まで対応し、領収書の枚数による追加料金はありません。初期費用は0円で、過去分は依頼開始月から申込月までの料金を初回にまとめて請求します。法人、農業・漁業・酪農・畜産業、士業、医師、整骨院は別途お見積もり。確定申告書の作成・提出は月額料金に含まれず、税込55,000円から、税理士との別途契約となります。各プランの料金・初回請求例を確認する。棚卸と原価計算の手間を手放す方法を相談する(無料)。導入事例。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








