確定申告の延納制度とは?所得税を分割で納める方法を解説
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確定申告

所得税の延納は、納税額の2分の1以上を期限までに納めれば、残りの納付を一定期間先送りできる制度です。後払い分には利子税がかかりますが、一度に全額を納めるのが難しいときに、資金繰りを無理なく立て直すための選択肢になります。
確定申告の納付書を手にしたとき、「この金額を一度に納めるのは厳しいな」と感じた経験はありませんか。事業の売上は季節によって波があり、納付の時期にちょうど資金が薄くなることも珍しくありません。名前は知っていても、いつ・どうやって使うのかまで理解している方は多くない制度です。基本と手続きの流れを順に整理します。
☑ 「延納」という言葉を聞いたことはあるが、内容はよくわからない
☑ 所得税を一括ではなく、分けて納める方法を知りたい
☑ 延納を使うと損をしないか、利息のような負担が気になる
延納制度の基本をおさえる
延納とは、確定申告で納める所得税のうち2分の1以上を期限までに納めれば、残りの納付を先送りできる制度です。全額は難しくても半分以上なら工面できる、という方の資金繰りを支えます。確定申告と納付の基本は国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」で確認でき、延納の詳しい取り扱いは国税庁のタックスアンサーでも案内されています。
延納とは「残りを後で納める」仕組み
所得税の延納とは、確定申告で納める所得税のうち2分の1以上を期限までに納めれば、残りの部分の納付を一定期間先送りにできる制度です。たとえば納税額のうち、まず半分以上を期限までに納め、残った分を後日のタイミングで納める、という分け方ができます。
「全額は無理でも、半分以上なら工面できる」という方にとって、延納は資金繰りの強い味方になります。一括で納めることが前提とされがちな所得税ですが、実は制度として分割の道が用意されているのです。
延納が向いている人
納税額が大きく、期限までに全額を用意するのが難しい方
入金の時期がずれていて、一時的に資金が不足している方
半分以上は納められるが、残りに少し時間がほしい方
逆に、もともと全額を無理なく納められる場合は、延納を使う必要はありません。あくまで「一度に納めるのが難しいときの選択肢」として位置づけておきましょう。たとえば手間請け中心で入金が後ろ倒しになりやすい大工・木造建築業の確定申告のように、納付期に資金が薄くなりがちな業種では、延納が現実的な備えになります。
延納を利用するための手続き
延納は別途の申請書ではなく、確定申告書の延納欄に金額を記入して利用します。期限までに2分の1以上を納めることが成立の条件で、残りにも納付期限があります。
確定申告書に延納額を記載する
延納は、申告とは別に複雑な申請書を出すものではなく、確定申告書の中に延納に関する記載欄が設けられています。ここに、期限までに納める金額と、延納する金額を記入することで利用の意思を示します。つまり、申告の段階で延納を使うかどうかを決めておく必要があります。
記載を忘れてしまうと、後から延納に切り替えるのが難しくなる場合があります。納税額が大きくなりそうだと感じたら、申告書を作成する段階で延納欄の存在を意識しておきましょう。たとえばクラウドファンディングでまとまった資金を受け取った年など、想定より所得が大きくなるケースでは早めの確認が役立ちます。所得区分と課税の有無はクラウドファンディング・寄付型支援を受けた人の確定申告で解説しています。
期限までに「2分の1以上」を納める
延納を成立させるためのポイントは、期限までに所得税額の2分の1以上を納めることです。この条件を満たさないと、延納そのものが認められません。まずは納税額の半分以上を確実に納め、残りを延納に回す、という順序を押さえておきましょう。
残りの納付期限を守る
延納した残りの金額にも、定められた納付期限があります。延納はあくまで「期限を少し後ろにずらす」制度であり、無期限に待ってもらえるわけではありません。延納分の期限も忘れずに管理し、その日までにきちんと納めることが大切です。具体的な期限は年によって異なる場合があるため、最新情報は国税庁サイト等でご確認ください。
延納にかかる「利子税」を理解する
延納で後回しにした金額には、利子税という利息がかかります。無断で納付が遅れたときの延滞税とは性質が違い、制度を正しく使ったうえで生じる負担です。割合は年によって見直されます。
後払い分には利息がかかる
延納で後回しにした金額には、利子税という形の利息がかかります。納付を待ってもらう以上、その分の負担が生じるという考え方です。延納は無料の先延ばしではない、という点はあらかじめ理解しておきましょう。
延滞税とは性質が違う
同じ「上乗せの負担」でも、延納の利子税と、納付が遅れた場合の延滞税は別のものです。延滞税は本来の期限に遅れたペナルティ的な性質を持つのに対し、利子税は制度を正しく使ったうえで生じる利息です。一般に、無断で納付が遅れて延滞税がかかるよりは、延納を使って利子税を負担するほうが、見通しを立てやすく安心といえます。
利子税:延納という制度を正しく使った場合の利息
延滞税:期限に遅れて納付した場合のペナルティ的な負担
計画的に延納を使うほうが、後手に回るより安心しやすい
割合は年によって変わる
利子税の割合は、その時々の状況に応じて見直されます。「だいたいこのくらい」という感覚はあっても、正確な数字は申告する年によって異なります。実際に延納を検討する際は、最新の割合を国税庁サイト等で確認したうえで、負担額をイメージしておくとよいでしょう。
延納を使うときの注意点と賢い活用法
延納は一時的な資金対策と位置づけ、翌年以降は資金を計画的に準備するのが理想です。いちばんの注意点は、延納した残りの納付期限を忘れないことです。
あくまで一時的な資金対策として
延納は便利な制度ですが、毎年のように頼る状態は健全とはいえません。利子税の負担もありますし、根本的には「納税資金が不足している」という課題が残っているからです。延納はその年を乗り切るための一時的な手段ととらえ、翌年以降は資金を計画的に準備していくことが理想です。病気や療養で年の途中に収入が落ちた年など、事情がある場合の申告は病気・療養で年の途中に休業した個人事業主の確定申告もあわせて確認しておくと安心です。
延納分の期限管理を徹底する
延納でいちばん気をつけたいのが、残りの納付期限を忘れてしまうことです。期限に遅れれば、せっかくの延納が台無しになり、延滞税の対象になりかねません。カレンダーやリマインダーに登録するなど、延納分の期限を確実に管理しましょう。
判断に迷ったら専門家に相談を
延納を使うべきか、どのくらいの金額を延納に回すべきかは、その年の資金繰り次第で変わります。「半分以上を納めるのも厳しい」という場合は、延納ではなく別の猶予制度の検討が必要なこともあります。判断に迷うときは、税務署や専門家に相談しながら決めると安心です。申告書の作成そのものを任せたい場合は、申告書作成まで任せる確定申告代行という選択肢もあります。
延納に頼らず済むための準備
延納を使わずに済むのがいちばんです。売上の一部を納税用に取り分ける習慣と、こまめな記帳で税額を見通す姿勢が、延納に頼らない体質づくりの土台になります。
納税資金を先に確保する習慣
延納を使わずに済むのがいちばんですが、そのためには日ごろからの備えが欠かせません。売上が入ったら、その一部を納税用としてあらかじめ取り分けておく習慣があると、申告期に資金が足りなくなる事態を防げます。事業用とは別の口座を用意するのも有効な方法です。
こまめな記帳で税額を見通す
納税額を直前まで把握できていないと、準備も後手に回りがちです。日ごろから帳簿をつけて月々の利益を把握しておけば、おおよその税額が見え、必要な資金を計画的に用意できます。延納に頼らない体質づくりは、結局のところ日々の記帳から始まります。記帳代行の現場でも、月ごとの利益が見えるようになって初めて納税額に見当がつき、資金の取り分けが回り出した、というご相談は少なくありません。
よくある質問
Q. 延納を使うのに、特別な申請書は必要ですか?
所得税の延納は、確定申告書に設けられた延納に関する記載欄に、納付額と延納額を記入することで利用します。別途複雑な申請書を提出するというより、申告の中で延納の意思を示すイメージです。記載を忘れないよう、申告書作成時に確認しておきましょう。
Q. 延納すると、税務署からの心証が悪くなりませんか?
延納は法律で認められた正規の制度であり、利用したからといって不利益な扱いを受けるものではありません。むしろ、無断で納付を遅らせて延滞税がかかる状態よりも、制度に沿って計画的に納めるほうが望ましい対応です。安心して活用してください。
Q. 延納した残りも払えなくなったら、どうなりますか?
延納分の期限にも納められない場合は、延滞税の対象になる可能性があります。そうなる前に、早めに税務署へ相談することが大切です。状況によっては、別の猶予制度などで対応できる場合もあります。放置せず、わかった時点で連絡するようにしましょう。
まとめ:延納は「計画的に分割する」ための制度
所得税の延納は、期限までに2分の1以上を納めることを条件に、残りの納付を後回しにできる制度です。後払い分には利子税がかかりますが、無断で納付が遅れて延滞税がかかるよりは、見通しを立てやすく安心して使える方法といえます。
とはいえ、延納はあくまで一時的な資金対策です。理想は、日ごろの記帳で税額の見通しを持ち、納税資金を先に取り分けておくことで、延納に頼らずに済む状態をつくることです。延納を上手に使いつつ、来年に向けた備えも進めていきましょう。
納税額が読めないまま資金繰りに追われる状態は、毎年くり返したくないものです。月々の利益が見えていないほど、申告期の慌ただしさも大きくなります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








