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設備投資で使える特別償却と税額控除|個人...

2026/9/8

設備投資で使える特別償却と税額控除|個人事業主の選び方を解説

  • 税金

設備投資で使える特別償却と税額控除は、同じ買い物でも手元に残るお金が変わる優遇制度です。特別償却は経費化の前倒し、税額控除は税額を直接カットする仕組みで、多くは青色申告が前提。その年の利益と将来計画で選び方が決まります。

機械や設備に思い切って投資したとき、「少しでも税金面で有利にできないか」と考える方は多いはずです。両制度の仕組みと違い、そして自分にとってどちらが有利かを見極める考え方を、具体例を交えながら順に整理していきます。

☑ 機械や設備を買ったけれど、特別償却と税額控除のどちらを選べばよいかわからない

☑ 個人事業主でも使える優遇制度があると聞いたが、自分が対象になるのか自信がない

☑ 「節税になる」と聞いて気になるものの、手続きが難しそうで手が出せていない

特別償却と税額控除とは?まず仕組みを押さえましょう

そもそも減価償却のおさらい

機械や車両、パソコンなど、長く使う高額な資産は、買った年に全額を経費にするのではなく、使える年数(耐用年数)に応じて少しずつ経費に振り分けていきます。これが減価償却です。たとえば耐用年数が5年の設備なら、おおむね5年かけて経費化します。特別償却も税額控除も、この通常の減価償却を前提に、そこへ上乗せの優遇を加える制度だと理解しておくと整理しやすくなります。減価償却の基本的な仕組みは、国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。

特別償却は「経費を前倒しできる」制度

特別償却は、通常の減価償却費に加えて、購入した年などに一定割合を上乗せして経費に計上できる制度です。たとえば取得価額の30%を初年度に特別に償却するといった形で、早い段階でまとめて経費にでき、その年の所得を圧縮して税負担を軽くできます。ポイントは、あくまで経費にするタイミングを前倒ししているだけで、トータルで経費にできる金額そのものが増えるわけではない点です。

税額控除は「税金を直接減らせる」制度

一方の税額控除は、取得価額の一定割合を、計算された所得税額から直接差し引ける制度です。経費を増やして所得を減らす特別償却と違い、税額そのものをダイレクトに減らせます。しかも通常の減価償却は従来どおり別に行えるため、長い目で見れば税額控除のほうがトータルの節税効果は大きくなりやすい傾向があります。その分、対象となる事業者や設備の要件がやや絞られていることが多い制度でもあります。

特別償却と税額控除はどう違う?比較のポイント

節税効果が「いつ」「どれだけ」効くか

両者の違いを一言でいえば、特別償却は「早く効くが総額は変わらない」、税額控除は「総額で得をしやすい」ということです。それぞれの効き方を整理すると次のとおりです。

  • 特別償却:初年度などに大きく経費化できるので、その年の所得・税額をぐっと抑えられる。ただし翌年以降の減価償却費はその分減るため、複数年で見れば経費の総額は通常と同じ。

  • 税額控除:減価償却は通常どおり進めつつ、別枠で税額を直接減らせる。経費の総額は減らないうえに税額も減るため、トータルでの恩恵が残りやすい。

つまり、「今年だけ大きく利益が出たので税金を集中的に抑えたい」なら特別償却、「長い目で見て少しでも多く得をしたい」なら税額控除、という方向性で考えると判断しやすくなります。

どちらか一方を選ぶのが原則

同じ設備について、特別償却と税額控除を両方同時に使うことは原則としてできず、どちらか有利なほうを選ぶ形になります。だからこそ、買ったあとに慌てて決めるのではなく、購入前から「自分の場合はどちらが向いているか」をイメージしておくことが大切です。判断に迷うときは、その年の利益の見込みや今後の事業計画もあわせて考えると選びやすくなります。

赤字・利益が少ない年は効果が限られる点に注意

どちらの制度も、納める税金があってこそ効果を発揮します。その年が赤字だったり利益がごくわずかだったりすると、特別償却で経費を増やしても減らせる税金が少なく、税額控除も差し引く税額が足りないことがあります。利益が大きく出ている年ほど制度の恩恵を受けやすい、という基本は覚えておきましょう。なお、制度によっては控除しきれなかった分を翌年に繰り越せる場合もあります。

個人事業主が使える代表的な優遇制度

中小事業者向けの設備投資優遇のイメージ

個人事業主や中小規模の事業者が一定の機械・装置などを取得した場合に、特別償却または税額控除のいずれかを選べる優遇制度が設けられています。対象は事業に使う一定額以上の設備が中心で、生産性向上や事業拡大に役立つ投資を後押しする狙いがあります。制度ごとに対象設備の種類や金額の下限、適用期間などの条件が決まっているため、まずは「自分の買った設備が対象になりそうか」を確認するところから始めましょう。設備投資の税制優遇と補助金を組み合わせて考える視点は設備投資の税制と補助金の併用で整理しています。

少額の資産には別の特例も

高額な設備でなくても、中小事業者には少額減価償却資産の特例という心強い仕組みがあります。これは、一定金額未満の資産であれば、買った年に全額を経費にできるというものです(年間の合計額に上限があります)。パソコンや工具、小型の機器など、特別償却や税額控除の対象になるほど高額ではない買い物は、この特例で一気に経費化できないかを検討すると効率的です。身近な備品でも使える制度がある点は見落とさないようにしましょう。少額減価償却資産の特例の使い方は30万円未満の少額減価償却資産の管理で詳しく解説しています。

制度を使うには「青色申告」が前提になることが多い

これらの優遇制度の多くは、青色申告をしていることが利用の前提になっています。白色申告のままでは使えない制度が少なくありません。設備投資を機に節税を本格的に考えるなら、まだ青色申告にしていない方は、この機会に切り替えを検討する価値があります。青色申告には特別償却・税額控除以外にも、青色申告特別控除(最大65万円)など多くのメリットがあります。その要件は、国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」で確認できます。

適用を受けるための実務と注意点

申告書への記載と明細書の添付が必要

特別償却も税額控除も、確定申告のときに必要な明細書を作成し、申告書に添付して初めて適用が受けられます。「設備を買えば自動的に優遇される」わけではなく、自分で手続きをすることが必須です。記載漏れや明細書の付け忘れがあると優遇を受けられないこともあるため、申告の段階で漏れがないかをしっかり確認しましょう。

取得価額・事業供用日を正確に把握する

制度を正しく適用するには、その設備をいくらで取得したか(取得価額)、いつから事業で使い始めたか(事業供用日)といった情報が欠かせません。取得価額には本体価格だけでなく、設置費用など事業で使えるようにするための費用が含まれる場合があります。請求書や納品書、領収書は購入時からきちんと保管し、いつ稼働を始めたかもメモしておきましょう。パソコンソフトやホームページ制作費のように資産計上して償却するものの扱いはソフトウェア・ホームページの計上と償却で確認できます。

制度は年度ごとに見直される

設備投資の優遇制度は、税制改正によって対象設備や割合、適用期限などが見直されることがあります。「去年使えた制度が今年も同じ内容で使えるとは限らない」という前提で、設備を買う前にその時点の最新の要件を確認しておくことが大切です。手続きのタイミングを逃すと適用できなくなることもあるため、金額が大きい場合は早めに税理士などの専門家に相談すると安心です。

失敗しない選び方の考え方

「今年の利益」と「これからの計画」で考える

選び方の出発点は、その年の利益の状況です。今年たまたま大きく利益が出ていて税負担を集中的に抑えたいなら特別償却、毎年安定して利益が出ていてトータルで得をしたいなら税額控除、という発想が基本になります。さらに、これから設備投資を続ける予定があるかといった将来の見通しもあわせて考えると、より自分に合った選択ができます。

節税のためだけに不要な設備を買わない

大切なのは、制度はあくまで「必要な投資をするときに使うとお得になる仕組み」だということです。節税になるからといって本来は要らない設備まで買ってしまえば、減る税金以上に手元のお金が出ていきます。事業に必要な投資が先にあり、その税負担を軽くする手段として制度を活用する、という順番が健全です。

迷ったら専門家に相談して有利なほうを選ぶ

特別償却と税額控除のどちらが有利かは、利益の額や設備の金額、今後の見通しによって変わります。金額の大きな投資ほど選択の差も大きくなるため、自分だけで判断しきれないと感じたら、記帳代行や税理士などの専門家に相談するのがおすすめです。日ごろから帳簿が整っていれば、より正確に有利なほうを選べます。取得価額や使用開始日の管理まで含めて任せたいときは、記帳代行の活用も検討してみてください。

よくある質問

Q. 特別償却と税額控除は、両方使うことはできますか?

同じ設備について、特別償却と税額控除を同時に併用することは原則としてできません。どちらか一方を選んで適用します。一般的には、その年の利益を大きく抑えたいなら特別償却、長い目でトータルの節税効果を重視するなら税額控除が向いています。どちらが有利かは状況によって変わるため、購入前に試算しておくと安心です。

Q. 中古の設備でも優遇制度の対象になりますか?

制度によって、中古資産が対象になるかどうかの扱いは異なります。新品のみを対象とするものもあれば、一定の条件のもとで中古でも認められるものもあります。中古設備の購入を検討している場合は、その設備が対象になるかを事前に確認することが大切です。判断が難しいときは専門家に確認するとよいでしょう。

Q. 制度を使いたいのですが、何から準備すればよいですか?

まずは青色申告をしているかを確認しましょう。多くの優遇制度は青色申告が前提です。そのうえで、購入した設備の請求書・領収書・納品書をそろえ、取得価額と事業で使い始めた日を把握しておきます。あとは確定申告の際に必要な明細書を作成し、申告書に添付すれば適用を受けられます。書類の整理に不安がある方は、早めに記帳代行などのサポートを利用するのもよいでしょう。

結論|制度を正しく知って、設備投資を味方につけましょう

特別償却は経費化を前倒しして今年の税負担を抑える制度、税額控除は税額を直接減らしてトータルで得をしやすい制度です。どちらも青色申告が前提になることが多く、申告時の明細書の添付など、自分で手続きをすることで初めて適用されます。選び方の基本は、その年の利益とこれからの事業計画を踏まえて、自分にとって有利なほうを選ぶことです。そして、節税のために不要な設備を買わないという姿勢も忘れないようにしましょう。

どちらが有利かの判断や明細書の作成、取得価額・使用開始日の管理まで含めると、本業のかたわらで正確にこなすのは簡単ではありません。書類が整っていなければ、せっかくの優遇を取りこぼすおそれもあります。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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