声優・ナレーターの確定申告|出演料・源泉徴収・ボイスサンプル費を解説
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確定申告

声優・ナレーターの確定申告は、源泉徴収の有無にかかわらず出演料を総額で集計し、天引きされた税額を精算するのが基本です。事業所得の考え方から、ボイスサンプル費やレッスン代・機材費の経費まで整理します。
アニメやゲームの収録、ナレーション、CM、サンプル納品——収入の入り口はいくつにも枝分かれし、事務所経由か直接受注かで源泉徴収の有無も変わります。申告期になって、どこから手をつけるか戸惑ってしまう方は少なくありません。
☑ 事務所やクライアントから受け取る出演料が、源泉徴収されていたりいなかったりして混乱している
☑ ボイスサンプルの収録費やボイトレ代を経費にできるのか判断がつかない
☑ 複数の現場から少しずつ報酬が入るので、何を集計して申告すればよいかわからない
声優・ナレーターとして活動していると、アニメやゲームの収録、ナレーション、CM、ボイスサンプルの納品など、収入の入り口がいくつにも枝分かれします。事務所経由の仕事もあれば直接受注の案件もあり、源泉徴収の有無も取引先ごとにバラバラ。確定申告の時期になって、どこから手をつければよいのか戸惑ってしまう方は少なくありません。
出演料の所得区分、源泉徴収のしくみ、ボイスサンプル費をはじめとする経費の考え方を中心に、1年分の収入と経費をどう整理して申告するのかを確認していきます。収録の合間に申告まで手が回らないなら、確定申告を丸ごと任せる代行という手もあります。
声優・ナレーターの収入はどの所得になる?
フリーランスの出演料は基本的に「事業所得」
事務所に所属していても雇用契約ではなく業務委託で活動している場合や、フリーランスとして直接案件を受けている場合、出演料やナレーション料は事業所得として申告するのが基本です。継続的に声の仕事で収入を得て生計を立てているのであれば、それは「事業」として行っている活動とみなされるためです。
事業所得であれば、収入から必要経費を差し引いて所得を計算でき、青色申告を選べば最大65万円の青色申告特別控除も使えます。控除額が65万円・55万円・10万円でどう変わるかは、青色申告特別控除65・55・10万円の試算で確認できます。声優・ナレーターは機材費やレッスン費など経費になりうる支出が多い職業なので、事業所得として申告するメリットは小さくありません。
雑所得・給与所得になるケースもある
一方で、活動の実態によっては別の所得区分になることもあります。たとえば、本業が会社員で、ごく単発でナレーションを請け負った程度であれば雑所得として扱うのが自然な場合があります。また、劇団や制作会社と雇用契約を結び、給与として支払いを受けているなら給与所得です。
声の仕事で生計を立てている → 事業所得が基本
会社員の副業で単発の収録だけ → 雑所得になりやすい
雇用契約に基づき給与として受け取る → 給与所得
自分の収入がどれに当たるか迷うときは、契約の形態(業務委託か雇用か)、継続性、収入規模などを総合的に見て判断します。複数の区分の収入が混在することも珍しくないので、支払元ごとに「これは何所得か」を整理しておくと申告がスムーズです。判断に迷う場合は、税務署や専門家に相談すると安心です。
出演料と源泉徴収のしくみを理解する
なぜ報酬から税金が引かれているのか
声優・ナレーターの出演料やナレーション料は、所得税法上「報酬・料金」に当たり、支払う側(クライアントや事務所)に源泉徴収の義務が生じることがあります。これは、報酬を支払う段階であらかじめ所得税分を差し引いて、支払者が代わりに国へ納める制度です。手取り額が請求額より少なくなっているのは、この源泉徴収が行われているためです。
源泉徴収された税金は、いわば所得税の「前払い」です。確定申告で1年分の正しい税額を計算し、すでに前払いした源泉徴収税額と精算します。前払いが多すぎれば差額が還付され、足りなければ追加で納めます。声優・ナレーターは源泉徴収されている案件が多く、結果として還付になる方も少なくありません。
源泉徴収されている案件・されていない案件を仕分ける
取引先によっては源泉徴収をしていない場合もあります。たとえば個人の依頼主からの直接案件や、海外のクライアントからの報酬などは、源泉徴収されていないことがあります。確定申告では、源泉徴収の有無にかかわらずすべての収入を合算して申告する必要があります。
収入金額そのものは、源泉徴収されていてもいなくても全額を計上する
源泉徴収された税額は、確定申告で精算できるよう別途集計しておく
「手取りで入ってきた金額」ではなく「源泉徴収前の総額」を収入とする点に注意
銀行口座に振り込まれた手取り額だけを見て収入を計算すると、源泉徴収された分だけ収入を少なく申告してしまい、結果的に還付を受け損ねることがあります。請求書や明細をもとに、源泉徴収前の金額で集計しましょう。
支払明細や支払調書を集めて源泉徴収税額を確認する
源泉徴収税額は、取引先から受け取る支払明細や支払調書で確認できます。支払調書は必ずしも交付されるとは限らないため、届かない取引先がある場合は、自分の請求書や入金記録から「請求額」と「実際の入金額」の差を確認し、源泉徴収された金額を把握しておきます。確定申告書の第二表「所得の内訳」には、支払者の名称・収入金額・源泉徴収税額を記入するので、取引先ごとに整理しておくと記入がスムーズです。
声優・ナレーターならではの経費の考え方
ボイスサンプル費・収録関連の費用
営業ツールとしてのボイスサンプル(デモ音源)を制作するためにかかった費用は、仕事を得るために必要な支出として経費にできるのが一般的です。具体的には次のようなものが考えられます。
ボイスサンプルの収録スタジオ・レンタルブースの利用料
収録・編集を外部に依頼したときのミキシング費用
サンプルやプロフィール用の宣材写真の撮影費
自宅収録用のマイク・オーディオインターフェース・防音材などの機材費
これらは「収入を得るために直接必要な支出」と説明できることがポイントです。機材のうち高額なものは、購入年に全額を経費にするのではなく、減価償却によって数年に分けて費用化することもあります。金額の大きい機材を買ったときは、扱いに注意しましょう。編集ソフトやホームページ制作費など無形の費用の計上のしかたは、ソフト・ホームページ費用の計上と償却にまとめています。
レッスン費・ボイストレーニング代
発声や演技力を維持・向上させるためのボイストレーニングや演技レッスン、滑舌・アクセント矯正のためのレッスン費用も、現在の仕事に直接役立つものであれば経費として認められる余地があります。一方で、まったく新しい資格の取得や、現在の事業と直接関係の薄い習い事までは経費にしにくいケースもあります。レッスンの内容と仕事との関連性を、領収書とあわせて記録しておくと安心です。受講料や講座費を経費にできるかの判断は、資格取得費・受講料を経費にできるかの判断が参考になります。
移動・通信・その他の経費
声優・ナレーターは現場への移動や、オンライン収録のための通信環境も欠かせません。次のような支出も、業務に使った範囲で経費にできます。
収録現場・オーディションへの交通費
遠方の仕事に伴う宿泊費
台本の印刷代、資料・書籍代
のど飴・うがい薬など、業務に必要と説明できる範囲の消耗品
オンライン収録に使う通信費、編集ソフトのサブスク代
自宅を作業場にしている場合の家賃・電気代や、仕事とプライベート兼用のスマホ代などは、事業に使った割合だけを按分して経費に計上します。「全額を経費にする」のではなく、合理的な基準(使用時間や使用面積など)で分ける点を意識しましょう。声の仕事は趣味と地続きに見える支出も多いため、私的な消費と区別がつくよう、領収書やレシートを保管し、何のための支出かをメモしておくと安心です。
確定申告に向けた1年間の準備
収入と経費を継続的に記帳する
確定申告をスムーズに終えるいちばんの近道は、1年を通して帳簿をつけておくことです。案件ごとに「いつ・誰から・いくら(源泉徴収前の総額)・源泉徴収税額はいくらか」を記録し、経費も支出のたびに領収書を整理しておけば、申告期間に慌てずに済みます。クラウド会計ソフトを使うと、銀行口座やクレジットカードの明細を取り込んで効率よく記帳できます。
青色申告のメリットと事前の届出
事業所得として申告する声優・ナレーターの方には、青色申告がおすすめです。複式簿記で記帳しe-Taxなどの要件を満たせば最大65万円の特別控除が受けられ(要件は国税庁タックスアンサーNo.2072「青色申告特別控除」で確認できます)、赤字を翌年以降に繰り越せるなどのメリットもあります。ただし青色申告をするには、原則としてその年の3月15日まで(または開業から一定期間内)に「青色申告承認申請書」を提出しておく必要があります。これから青色申告を始めたい方は、届出のタイミングを早めに確認しておきましょう。
提出期間と納税のスケジュール
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。所得税の納付期限も原則として同じ日で、e-Tax・税務署への持参・郵送のいずれかで申告します。声の仕事は年明けから春にかけて繁忙期と重なることも多いため、収録の合間に慌てて書類を作るのではなく、早めに準備を始めておくと精神的にも楽になります。
よくある質問
Q. 事務所に所属していますが、自分で確定申告は必要ですか?
事務所と雇用契約を結び、給与として支払いを受けている場合は、事務所側で年末調整が行われ、原則として自分での申告は不要なこともあります。一方、多くの声優・ナレーターは事務所と業務委託の関係にあり、報酬として支払いを受けています。この場合は給与ではないため、所得が一定額を超えれば自分で確定申告をする必要があります。源泉徴収されている案件が多い方は、申告することで還付を受けられる可能性もあるので、契約形態を確認してみましょう。
Q. 副業で年に数回だけナレーションをしています。申告は必要ですか?
会社員として給与を受け取りながら副業で声の仕事をしている場合、給与以外の所得が年間20万円を超えるときは、原則として確定申告が必要です。20万円以下でも、源泉徴収されている報酬があるなら申告することで還付を受けられる場合があります。また、所得税の申告が不要な場合でも住民税の申告は別途必要になることがあるため、金額が小さいからと油断せず、自分のケースを確認しておくことをおすすめします。
Q. ボイスサンプル制作のために買った高価なマイクは、その年に全額経費にできますか?
一つの機材の金額が大きい場合は、購入した年に全額を経費にするのではなく、減価償却として数年に分けて費用化するのが原則です。ただし、一定額未満の少額な機材であれば、購入した年に一括で経費にできる扱いもあります。金額によって処理が変わるため、高額な機材を購入したときは、領収書を保管したうえで、扱いに迷えば専門家に確認すると安心です。
声の仕事は経費が多いからこそ、正しい申告で手元に残す
声優・ナレーターの確定申告では、出演料を正しい所得区分で全額計上し、源泉徴収された税額をきちんと精算すること、そしてボイスサンプル費やレッスン費・機材費といった職業ならではの経費を漏れなく拾うことが大切です。源泉徴収されている案件が多い方ほど、丁寧に申告すれば還付につながる可能性があります。だからこそ、手取り額だけで判断せず、1年分の収入と経費を整理して申告に臨みましょう。
案件ごとの源泉徴収を確認しながら帳簿をつけ、申告書まで仕上げるのは、収録やオーディションに追われる声優・ナレーターにとって大きな負担です。数字と格闘する時間は、声の仕事に回したいものです。
記帳代行の料金・対応範囲:領収書丸投げドットコムの個人事業主向け基本プランは月額6,600円(税込)。仕訳入力から月次試算表の作成まで対応し、領収書の枚数による追加料金はありません。初期費用は0円で、過去分は依頼開始月から申込月までの料金を初回にまとめて請求します。法人、農業・漁業・酪農・畜産業、士業、医師、整骨院は別途お見積もり。確定申告書の作成・提出は月額料金に含まれず、税込55,000円から、税理士との別途契約となります。各プランの料金・初回請求例を確認する。源泉徴収の集計から解放されて声の仕事に集中できるか、無料で相談してみる。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








