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事業用の建物・設備にかかる固定資産税(償...

2026/9/12

事業用の建物・設備にかかる固定資産税(償却資産)を抑える考え方を解説

  • 税金

事業用の機械や設備には「償却資産」として固定資産税がかかり、これは自分で申告します。少額資産の経費処理や免税点の活用、使わない設備の見直しといった、税負担を無理なく抑える考え方を整理します。

個人事業主やフリーランスの方が「固定資産税」と聞くと、多くは自宅や事務所の土地・建物にかかる税金を思い浮かべるのではないでしょうか。ところが、事業で使う機械や器具、内装設備などにも「償却資産」という形で固定資産税がかかることは、意外と知られていません。毎年1月になると市区町村から申告書が届き、どう対応すればよいか戸惑う方も少なくないはずです。

☑ 事業で使うパソコンや機械にも固定資産税がかかると聞いて、何を申告すればよいか不安だ

☑ 償却資産の申告書が毎年届くけれど、どこまで書けばよいのか毎回迷ってしまう

☑ 設備投資をするとき、税金の負担を少しでも軽くする方法があるなら知りたい

事業用の建物や設備にかかる固定資産税、特に償却資産税のしくみと、負担を無理なく抑えるための考え方を整理しました。何を申告すべきか、どんな工夫で税負担を軽くできるのかの全体像がつかめるよう、順に見ていきます。

事業用資産にかかる固定資産税の全体像

固定資産税には3つの種類がある

固定資産税は、毎年1月1日時点で資産を所有している人に対して市区町村が課す税金です。対象となる資産は大きく分けて土地・家屋(建物)・償却資産の3種類があります。土地と家屋は登記の情報をもとに市区町村が自動的に課税してくれますが、償却資産だけは所有者みずからが申告する必要があるという点が大きな違いです。

事業を営んでいると、事務所の建物そのものだけでなく、その中で使う機械や設備にも税金がかかる場面が出てきます。「建物の分は通知が来るのに、設備の分は申告が必要」という二段構えになっていることを、まず押さえておきましょう。

償却資産とはどんなもの?

償却資産とは、土地と家屋以外で、事業のために使っている資産のうち、減価償却の対象になるもののことを指します。減価償却の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサー「No.2100 減価償却のあらまし」(国税庁)で確認できます。具体的には次のようなものが代表例です。

  • パソコン、コピー機、レジスターなどの事務機器

  • 製造業や工事業で使う機械・装置、工具・器具

  • 店舗の内装、看板、エアコンなどの建物附属設備

  • 応接セットや陳列棚などの備品

つまり、事業に使うために購入し、何年かにわたって使い続ける「形のある道具や設備」の多くが対象になります。一方で、自動車税の対象となる自動車や、無形の権利(ソフトウェアなど)は償却資産には含まれません。

建物にかかる固定資産税との違い

自分名義の事務所や店舗を所有している場合、その建物には家屋として固定資産税がかかり、市区町村から納税通知書が届きます。これに対し、賃貸の物件に自分で取り付けた内装や設備は、建物ではなく償却資産として自分で申告するのが原則です。「建物そのもの」と「建物の中に入れた設備」で扱いが分かれる、と整理しておくとわかりやすくなります。

償却資産の申告のしくみを知る

毎年1月の申告と納付の流れ

償却資産は、毎年1月1日時点で所有している資産について、その年の1月31日までに市区町村へ申告するのが原則です。前年中に取得した資産や処分した資産を反映させて申告し、その内容をもとに市区町村が税額を計算します。納付は、土地・家屋の固定資産税と同じく、年に数回に分けて行うのが一般的です。

確定申告とは別の手続きである点に注意が必要です。所得税の確定申告が原則2月16日から3月15日までであるのに対し、償却資産の申告は1月中に行うため、年明け早々に対応する書類だと覚えておきましょう。

税額のおおまかな計算のしかた

償却資産税の税額は、資産の「評価額」に税率を掛けて計算します。評価額は、取得したときの価格をもとに、年数の経過に応じて少しずつ減らしていく形で求められます。標準的な税率は資産の価格の1.4パーセントとされており、この割合は多くの市区町村で共通しています。

ただし、評価額の合計が一定額に満たない場合は課税されないというルールもあります。これを免税点といい、課税標準額の合計が30万円未満であれば償却資産税はかかりません。手持ちの設備が少ない小規模な事業であれば、結果として税額がゼロになることもあります。

申告漏れや申告忘れに注意

償却資産は自己申告が前提のため、うっかり申告を忘れると、後からまとめて課税されたり、加算金が生じたりする可能性があります。逆に、すでに処分した資産をいつまでも申告に残しておくと、使っていない設備に税金を払い続けることにもなりかねません。毎年の申告では、新しく買った資産を加えるだけでなく、捨てた・売った・使わなくなった資産を忘れずに減らすことが大切です。資産台帳の整理や記帳をまとめて手放したいときは、記帳代行のしくみを知っておくと管理が楽になります。

償却資産税の負担を抑える考え方

少額の資産は経費処理を活用する

取得価格が小さい資産には、固定資産として計上せずに経費にできるしくみがあります。代表的なのが、取得価額10万円未満のものをその年の経費にできる扱いです。経費として処理したものは、原則として償却資産の申告対象から外れるため、結果的に償却資産税の負担を抑えることにつながります。少額資産の管理と経費処理の考え方は少額減価償却資産(300万円まで)の管理で具体的に整理しています。

ただし、青色申告者が使える「少額減価償却資産の特例」のように、30万円未満の資産を一括で経費にできる制度を使った場合は、所得税の計算上は経費でも、償却資産税の対象には含まれる点に注意が必要です。所得税と償却資産税で扱いが異なる場面があることを意識しておきましょう。設備を持たずに借りる少額・短期リースの経理は少額・短期リース取引の経理が参考になります。

免税点を意識して資産を見直す

前述のとおり、課税標準額の合計が30万円未満であれば償却資産税はかかりません。すでに使っていない古い設備をそのまま申告に残していると、評価額が積み上がって免税点を超えてしまうこともあります。年に一度、保有している設備をリストで確認し、実際には使っていないものを整理することは、税負担を抑える観点でも意味があります。

  • 故障して使っていない機械をそのまま申告に残していないか

  • 古いパソコンや備品を処分したのに、申告から外していないか

  • 事業をやめた設備や、私用に転用した資産が混ざっていないか

こうした見直しは、ムダな税負担を防ぐと同時に、帳簿と実際の資産状況を一致させることにもつながります。

設備投資の優遇制度を確認する

国や自治体は、一定の要件を満たす設備投資について、固定資産税(償却資産税)を軽くする優遇制度を設けていることがあります。たとえば、中小企業が生産性を高めるために導入した機械や装置などについて、一定期間、課税標準を軽減するしくみが設けられている場合があります。こうした制度は要件や対象、適用期間が定められており、内容も見直されることがあります。大きな設備投資を検討する際は、購入前に最新の制度を確認し、市区町村や専門家に相談しておくと安心です。

建物・設備への投資で気をつけたいポイント

賃貸物件の内装工事は誰の資産になるか

賃貸の店舗や事務所に自分で内装工事をしたり、エアコンや看板を設置したりした場合、その設備は借りている側、つまり自分の償却資産になるのが一般的です。建物自体は大家さんのものでも、自分が費用を負担して取り付けた設備は自分の申告対象になる、という考え方です。契約内容によって扱いが変わることもあるため、工事を発注する前に、誰の資産として計上するのかを整理しておきましょう。賃貸物件に施した内装工事の償却の扱いは繰延資産の償却の実務もあわせて確認しておくと整理しやすくなります。

資産計上か修繕費かの線引き

設備にお金をかけたとき、それが新たな資産の取得(資産計上)なのか、それとも今あるものの維持・修理(修繕費)なのかで、税金の扱いが変わります。新しく価値を生み出す支出は資産として計上し、何年かに分けて費用にしていきます。一方、壊れた部分を直すための支出は、その年の修繕費として処理できる場合があります。修繕費にできるものは償却資産の評価額に積み上がらないため、判断に迷うときは記録を残し、専門家に確認するとよいでしょう。

取得時期と保有期間を意識する

償却資産税は、毎年1月1日時点で所有している資産にかかります。そのため、年末ぎりぎりに高額な設備を購入すると、わずかな保有期間でもその年の1月1日基準の翌年から課税対象になるなど、タイミングによって負担の出方が変わってきます。資金繰りや事業計画と合わせて、設備をいつ導入するかを考えることも、無理のない税負担につながります。

よくある質問

Q. 自宅の一室を事務所として使っています。償却資産の申告は必要ですか?

自宅で事業を行っている場合でも、事業に使っているパソコンや棚、機械などがあれば、それらは償却資産の申告対象になり得ます。ただし、課税標準額の合計が30万円未満であれば免税点により税額はかかりません。少額の備品しか持っていない場合は結果として課税されないことも多いですが、申告が必要かどうかは市区町村によって案内が異なるため、届いた申告書の内容を確認しましょう。

Q. パソコンやスマホも償却資産になりますか?

事業に使っているパソコンは償却資産の対象になり得ます。ただし、取得価格が10万円未満で経費として処理したものは、原則として申告対象から外れます。一方、30万円未満の資産を一括で経費にする特例を使った場合は、所得税では経費でも償却資産税の対象には含まれるため、扱いの違いに注意が必要です。

Q. 申告する資産がない年でも、何か手続きは必要ですか?

前年に資産の増減がなくても、市区町村から申告書が届いた場合は、その案内に従って対応するのが基本です。資産がない、または変動がない旨を申告する形を求められることもあります。判断に迷うときは、申告書に同封された案内や市区町村の窓口で確認すると確実です。

まとめ|しくみを知れば償却資産税はこわくない

事業用の建物や設備にかかる固定資産税は、土地・家屋と償却資産の3つに分かれ、このうち償却資産は自分で申告する必要があります。少額資産の経費処理や免税点の活用、使っていない設備の見直し、設備投資の優遇制度の確認といった工夫を重ねることで、税負担を無理なく抑えることができます。まずは毎年の申告で、保有している資産と実態を一致させることが第一歩です。

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あわせて読みたい:個人事業主の経費完全ガイド|このテーマの全体像を1本にまとめて解説しています。

【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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