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火災・損害保険の保険金を受け取った年の確...

2026/7/18

火災・損害保険の保険金を受け取った年の確定申告|補償と圧縮・課税の関係を解説

  • 確定申告

火災・損害保険の保険金は、損害をうめ合わせる補てんなら原則として非課税ですが、休業補償など利益を補う分は事業所得の収入になります。保険金は性質ごとに分けて記録するのが基本です。課税・非課税の考え方と帳簿づけのポイントを整理します。

火災や台風、水漏れといった思いがけない災害で事業用の建物や設備が損害を受け、加入していた火災保険や損害保険から保険金を受け取ったとき、「この保険金は申告が必要なのだろうか」と不安になる方は少なくありません。普段あまり経験しない出来事だけに、税金の扱いがわかりにくいのは当然のことです。

☑ 火災や水害で店舗・事務所が被害を受け、保険金を受け取ったが確定申告でどう扱えばよいかわからない

☑ 受け取った保険金にそのまま所得税がかかるのか、それとも非課税なのか判断できない

☑ 修理費や買い替えと保険金の関係、帳簿への書き方が整理できていない

自分のケースで何に気をつければよいか——課税されるもの・されないものの線引き、修理費や買い替えとの関係、帳簿の付け方まで、順に確認していきましょう。

火災・損害保険の保険金は課税される?基本の考え方

「損害をうめ合わせる保険金」は原則として非課税

火災保険や損害保険から受け取る保険金の多くは、災害や事故によって生じた損害をうめ合わせる(補償する)ための金銭です。失ったものを元に戻すための補てんであり、新たに利益が生まれたわけではないため、こうした保険金は原則として所得税の課税対象になりません。建物や什器、商品などの資産が損害を受けて、その損害分を保険金で受け取ったケースが代表例です。

「保険金を受け取った=必ず申告して税金を払う」というイメージを持たれがちですが、損害の補てんを目的とする保険金については、そもそも課税されないものが多い、という点をまず押さえておきましょう。なお、店舗や設備ではなく生活用の資産が災害で被害を受けたときは、雑損控除や災害減免法という別の制度で所得税が軽くなる場合があります。どちらを選ぶかの考え方は、災害減免法と雑損控除の選び方で確認できます。

一方で課税対象になる保険金もある

すべての保険金が非課税というわけではありません。たとえば、店舗が使えない間の売上減少を補う休業補償・利益補償のように、本来得られるはずだった事業の利益を補う性質の保険金は、事業所得の収入として扱われ課税対象になるのが一般的です。失った資産の補てんなのか、得られなかった利益の補てんなのか、という性質の違いで扱いが変わると理解しておくとわかりやすくなります。

判断に迷うときは、保険会社から届く支払明細や約款で、その保険金が「何に対して支払われたものか」を確認することが第一歩です。明細上で損害補償部分と休業補償部分が分かれている場合もあります。

事業用資産が被害を受けたときの扱い

事業用の建物・設備が損害を受けた場合

店舗や事務所、機械、什器備品といった事業用資産が火災や水害で損害を受け、その損害をうめ合わせる保険金を受け取った場合、その保険金自体は事業所得の収入金額には含めないのが基本です。一方で、損害を受けた資産については、被害の程度に応じて資産損失(除却損など)として必要経費に計上できる場合があります。

つまり「損害分の経費」と「補てんの保険金」をそれぞれ正しく区分して整理することがポイントになります。損害額がすべて保険金でまかなえたのか、足りなかったのか、あるいは多めに受け取ったのかによって、最終的な経費への影響も変わってきます。

修理して使い続ける場合の費用と保険金

被害を受けた資産を修理して引き続き使う場合、その修理費用は内容に応じて必要経費(修繕費)になることがあります。このとき、修理にあてるために受け取った保険金は損害の補てんであり、修理費との関係を整理しておく必要があります。

  • 受け取った保険金で修理費をまかなった部分

  • 保険金で足りず、自己負担で支払った修理費の部分

  • 原状回復を超える価値向上をともなう工事の部分

原状回復にとどまる修理は修繕費として扱いやすい一方、グレードアップして資産価値が高まるような工事は、資産の取得として減価償却の対象になる場合があります(国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」)。修理の中身によって扱いが分かれるため、見積書や請求書を保管し、工事内容がわかるようにしておきましょう。原状回復にとどまる修理費の記帳の進め方は、原状回復費用の記帳の考え方も参考になります(参考:国税庁タックスアンサー No.2100 減価償却のあらまし)。

圧縮記帳という考え方を知っておく

圧縮記帳とは何か

保険金を受け取って、被害を受けた資産に代わる新しい資産を買い替えた場合などに関係してくるのが圧縮記帳という考え方です。これは、保険金で生じた利益部分に対する税負担を一時にかけず、新しく取得した資産の帳簿価額を調整することで、課税のタイミングを将来に繰り延べる仕組みです。買い替えにともなって生じる差益への課税をやわらげるための制度、とイメージするとよいでしょう。実際の帳簿への落とし込み方は、圧縮記帳の記帳方法もあわせて見ておくと、処理の流れがつかめます。

圧縮記帳は要件や計算が細かく、適用できるかどうかはケースによって異なります。「保険金で資産を買い替えたら必ず使える」というものではなく、一定の条件を満たした場合に選択できる扱いです。該当しそうな場合は、自己判断で処理を進める前に内容をよく確認することが大切です。

個人事業主が押さえておきたいポイント

個人事業主の方の場合、受け取った保険金が損害の補てんにとどまり、特別な利益が生じていなければ、圧縮記帳のような複雑な処理を意識する必要がない場面も多くあります。一方で、保険金で新しい高性能な設備に買い替えたようなケースでは、差益の取り扱いが論点になることがあります。

  • 受け取った保険金の金額と、損害を受けた資産の状況

  • 買い替えをしたか、修理にとどめたか

  • 買い替えた場合、元の資産と同じ用途の資産かどうか

こうした事実関係によって扱いが変わるため、保険金の使い道が決まった段階で、関連する書類を一式そろえておくと、後の判断がスムーズになります。

確定申告と帳簿づけで気をつけたいこと

保険金は「中身」で分けて記録する

確定申告で迷わないためには、受け取った保険金を一括りにせず、性質ごとに分けて記録しておくことが重要です。損害そのものをうめ合わせる部分、休業や利益減少を補う部分、見舞金的な部分などが混在していることがあります。性質が違えば課税の扱いも違うため、入金時に内訳をメモし、支払明細とひもづけておきましょう。確定申告そのものの基本的な手続きは、国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」で確認できます(参考:国税庁タックスアンサー No.2020 確定申告)。

帳簿上は、課税対象にならない損害補てんの保険金と、事業の収入として計上すべき保険金を区別して処理します。区分があいまいなまま記帳してしまうと、後から見直すのに余計な手間がかかります。災害対応に追われて保険金の区分まで手が回らないときは、記帳を代わりに引き受けてもらう選択肢もあります。

関連する書類を保存しておく

  • 保険会社からの支払明細・通知書(何に対する保険金かがわかるもの)

  • 被害状況がわかる写真や、り災証明書など

  • 修理や買い替えの見積書・請求書・領収書

これらの書類は、保険金や経費の扱いを説明する根拠になります。災害の直後は対応に追われて書類の整理が後回しになりがちですが、入金や支払いのつど保管しておくと、申告時の負担が大きく軽くなります。

判断に迷う部分は無理に断定しない

火災・損害保険の保険金まわりは、保険金の性質や資産の状況によって扱いが分かれ、個別の事情で結論が変わることがあります。一般的な考え方の枠組みは本記事のとおりですが、自分のケースに当てはめた具体的な処理に不安があるときは、思い込みで処理せず、税務署の相談窓口や税理士などの専門家に確認するのが安心です。

よくある質問

Q. 火災保険の保険金を受け取ったら、必ず確定申告で収入に計上するのですか?

必ずしもそうとは限りません。損害をうめ合わせるための保険金は原則として課税されず、事業所得の収入金額に含めないのが基本です。一方で、休業補償や利益補償のように得られなかった利益を補う保険金は収入として扱われます。受け取った保険金が「何に対するものか」を確認したうえで、性質に応じて処理することが大切です。

Q. 受け取った保険金より修理費の方が多かった場合はどうなりますか?

保険金でまかなえなかった自己負担分の修理費は、その内容に応じて必要経費(修繕費)として扱える場合があります。原状回復のための修理か、価値を高める工事かによって、経費になるか減価償却の対象になるかが分かれます。見積書や請求書で工事内容を確認できるようにし、保険金との対応関係を整理しておきましょう。

Q. 自宅兼事務所が被害を受けた場合は、どう考えればよいですか?

自宅兼事務所のように事業用と私用が混在する建物では、事業に使っている割合(事業割合)に応じて経費や資産の損失を考える必要があります。保険金についても、事業部分にかかわるものと生活部分にかかわるものを意識して整理することになります。区分の考え方が複雑になりやすいため、判断に迷うときは専門家に相談すると安心です。

保険金で迷ったときの結論

火災・損害保険の保険金は、損害をうめ合わせる補てんなのか、得られなかった利益を補うものなのかという性質によって、課税のされ方が変わります。資産が被害を受けたときの損失や修理費、買い替え時の圧縮記帳といった論点もからむため、受け取った保険金と支払った費用を中身ごとに区分し、関連書類をそろえて整理しておくことが、確定申告をスムーズに進める一番のポイントです。

ただ、災害への対応や事業の立て直しに追われる中で、保険金の性質を見極めながら帳簿づけから申告書の作成までをすべて自分で行うのは、大きな負担になりがちです。慣れない処理に時間を取られて本業がおろそかになっては、立て直しも遠のいてしまいます。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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