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従業員の通勤手当・出張旅費の記帳と非課税...

2026/7/19

従業員の通勤手当・出張旅費の記帳と非課税限度をやさしく解説

  • 税務

従業員の通勤手当・出張旅費は給与とは性質が異なり、一定の範囲で税金がかかりません。記帳では給与本体と分けて科目を立て、給与計算では非課税分と課税分を区別する——この2点と支給ルールづくりのコツを整理します。

個人事業主として人を雇うようになると、自分一人のときには気にしなくてよかった「通勤手当」や「出張旅費」の処理が新たな悩みのタネになります。給与と一緒に払っているけれど経費の科目はどうするのか、いくらまでなら従業員の税金がかからないのか、はっきり答えられない方は少なくありません。

☑ 従業員に払う通勤手当を、給与と分けて記帳すべきか迷っている

☑ 通勤手当や出張の交通費に、どこまで税金がかからないのかわからない

☑ 出張のたびに集まる領収書や日当の処理に手が回らない

従業員に支払う通勤手当と出張旅費について、記帳のしかたと非課税の限度額の考え方を、個人事業主向けに整理しました。毎月の給与計算と日々の記帳で何に気をつければよいかが整理できるよう、順に見ていきます。

通勤手当と出張旅費は「給与」とは別物として扱う

そもそも通勤手当・出張旅費とは

通勤手当は、従業員が自宅から職場へ通うための交通費を補助するお金です。電車やバスの定期代、マイカー通勤のガソリン代相当などがこれにあたります。一方の出張旅費は、業務で遠方へ出向く際の電車代・宿泊費・日当などを指します。どちらも従業員の労働に対する報酬である「給与」とは性質が異なり、業務に必要なコストを実費に近い形で負担しているものと位置づけられます。

この性質の違いが、税務上の扱いと記帳のしかたの両方に影響します。給与は原則として所得税の課税対象ですが、通勤手当や出張旅費は一定の範囲で課税されない(非課税となる)という大きな違いがあるのです。

記帳では給与とは別の科目を使う

記帳の際は、これらを「給料賃金」にまとめてしまわず、内容に応じて科目を分けるのが基本です。一般的には次のように整理します。

  • 従業員の給与本体 … 給料賃金

  • 通勤手当 … 旅費交通費(または通勤費として補助科目を設ける)

  • 出張の電車代・宿泊費・日当 … 旅費交通費

科目を分けておくと、人件費のうち純粋な賃金がいくらで、移動関連のコストがいくらかかっているかが一目でわかります。従業員への給与そのものの実務は専従者給与とは何かの基礎もあわせて押さえておくと、賃金と手当の区別が整理しやすくなります。経費の内訳が見えると、後で経営を見直すときにも役立ちます。

非課税分は源泉徴収の対象から外す

給与計算の場面でも、通勤手当や出張旅費の非課税分は、所得税を計算するもとになる金額(課税対象額)から除いて扱います。つまり、非課税の通勤手当には源泉所得税がかからないということです。給与明細をつくるときは、課税される支給額と非課税の支給額を分けて表示しておくと、源泉徴収税額の計算ミスを防ぎやすくなります。

通勤手当の非課税限度額の考え方

交通機関を使う場合は「合理的な運賃」が基準

電車やバスなどの公共交通機関で通勤する従業員に支払う通勤手当は、最も経済的かつ合理的な経路で通った場合の定期代相当額が非課税となるのが基本的な考え方です。ただし、月あたりの非課税限度には上限が設けられており、その金額を超える部分は給与として課税対象になります。新幹線通勤の運賃なども合理的な範囲であれば対象に含まれますが、グリーン料金のような上乗せ分は対象外と整理されるのが一般的です。定期券や回数券を按分して処理する実務は定期券・回数券の按分の実務で確認できます。

限度額の具体的な金額は制度の見直しで変わることがあるため、支給ルールを決めるときや高額な通勤手当を払う前には、最新の基準を国税庁の情報などで確認しておくと安心です。

マイカー・自転車通勤は距離で決まる

自家用車や自転車で通勤する従業員への手当は、片道の通勤距離に応じて非課税となる限度額が段階的に定められています。距離が長いほど非課税の枠も大きくなる仕組みです。一定の距離に満たない近距離の通勤については、手当そのものが課税対象として扱われる点にも注意が必要です。実際の支給額が距離区分に応じた限度を超える場合、その超過分は給与として源泉徴収の対象になります。マイカーにかかる費用の勘定科目の分け方は車の維持費の勘定科目が参考になります。

限度額を超えたらどう処理するか

非課税限度を超えて通勤手当を支払うこと自体は問題ありません。ただし、超えた部分は給与に上乗せして所得税を計算する必要があります。記帳上は通勤手当として旅費交通費に計上しつつ、給与計算では超過分を課税対象に含める、という二段構えの処理になります。手当の金額を設計する段階で限度額を意識しておくと、毎月の計算がぐっと楽になります。

出張旅費の記帳と日当の扱い

交通費・宿泊費は実費精算が基本

出張にかかる電車代や航空券代、宿泊費は、領収書をもとに実費で精算するのが原則です。従業員が立て替えた金額を後日支払い、その金額を旅費交通費として計上します。事業に必要な経費の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサー「No.2210 必要経費の知識」(国税庁)で確認できます。社会通念上、業務に必要で常識的な範囲の実費であれば、従業員側で給与として課税されることはありません。逆に、業務との関連があいまいな支出や、私的な部分が混ざった支出は経費として認められにくくなります。

日当(出張手当)を払うときのポイント

出張先での食事代や細かな雑費に充てるため、実費とは別に「日当(出張手当)」を支払う事業者もあります。日当は、金額が常識的な範囲であれば従業員にとって非課税となり、事業側では旅費交通費として経費にできます。ただし、いくらでも非課税になるわけではなく、次のような点を整えておくことが大切です。

  • 出張旅費規程などのルールを文書で定めておく

  • 役職や出張先(近距離・遠距離・宿泊の有無)に応じて金額の基準を決めておく

  • 金額が世間の相場とかけ離れて高額にならないようにする

ルールが整っていれば、日当を払うたびに「これは妥当か」と悩む必要がなくなり、税務上の説明もしやすくなります。

証ひょうの残し方

出張旅費の処理でつまずきやすいのが、領収書が出ない電車代やバス代です。こうした交通費は、出張報告書や旅費精算書に「日付・行き先・目的・経路・金額」を記録しておくことで、支出の根拠を残すことができます。実費精算分の領収書と、精算書をセットで保管しておくと、後から内容を確認するときにも困りません。こうした証ひょうの整理と記帳をまとめて手放したいときは、記帳代行のしくみを使うと負担を減らせます。

毎月の給与計算と記帳をスムーズに回すコツ

支給ルールを先に決めておく

通勤手当の計算方法、出張時の交通手段や宿泊費の上限、日当の金額などを、あらかじめルールとして決めておくことが何より重要です。判断基準が決まっていれば、毎回ゼロから考える必要がなくなり、処理の属人化やミスを防げます。従業員にとっても、どこまで会社が負担してくれるのかが明確になり、安心して働けます。

精算書のフォーマットをそろえる

出張旅費精算書や通勤手当の届出書は、簡単なもので構わないので様式を統一しておきましょう。記入する項目をそろえておくと、集計や記帳の手間が減り、非課税分と課税分の仕分けも機械的に進められます。表計算ソフトのテンプレートを一つ用意しておくだけでも、作業負担はかなり軽くなります。

課税・非課税の区分をその都度メモする

通勤手当が限度額を超えた月や、日当の金額を変更した月など、イレギュラーが発生したときは、その理由と区分を記録に残しておくと後の確認が楽になります。年末調整や確定申告の時期になって「この支給は課税だったか非課税だったか」と迷わずに済みます。日々の小さなメモの積み重ねが、申告期の負担を大きく減らしてくれます。

よくある質問

Q. 通勤手当を給与に含めて「給料賃金」でまとめて処理してもよいですか?

記帳上、経費として計上されること自体は変わりませんが、おすすめしません。通勤手当には非課税の枠があり、源泉所得税の計算では給与本体と分けて扱う必要があるためです。科目を分けずにまとめてしまうと、課税対象額の計算を誤りやすくなります。旅費交通費などで区分して処理しておくと、給与計算と記帳の両方が正確になります。

Q. 日当には領収書が必要ですか?

日当は食事代や雑費に充てるための定額の手当なので、一件ごとの領収書は必要ありません。その代わり、出張旅費規程で金額の基準を定め、出張報告書や精算書で「いつ・どこへ・何の目的で出張したか」を記録しておくことが大切です。ルールと記録がそろっていれば、日当を経費として説明しやすくなります。

Q. 通勤手当の非課税限度を超えた分は、どう申告に反映しますか?

限度額を超えた部分は給与として扱われるため、その月の課税対象額に含めて源泉徴収を行い、年末調整や源泉徴収票にも給与として反映させます。記帳では通勤手当として旅費交通費に計上したうえで、給与計算側で超過分を課税対象に組み入れる、という形になります。

結論:区分のルールづくりが処理を楽にする

従業員の通勤手当と出張旅費は、給与とは性質が異なり、一定の範囲で税金がかからないという特徴があります。記帳では給与本体と分けて科目を立て、給与計算では非課税分と課税分を区別する。この二つを押さえ、支給ルールと精算書の様式を先に整えておけば、毎月の処理は驚くほどスムーズになります。限度額の細かな数字は変わることがあるので、迷ったときは最新の情報を確認しましょう。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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