自己破産・債務整理をした個人事業主の確定申告|免責と所得の扱いを解説
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確定申告

自己破産や債務整理をしても、事業で所得があれば確定申告は引き続き必要です。免除された借金に税金がかかる「債務免除益」の考え方と、事業を続ける場合の記帳・申告の注意点を、免責と所得の扱いを中心に解説します。
事業の資金繰りが行き詰まり、自己破産や債務整理に踏み切った個人事業主の方にとって、その後の確定申告は気がかりな問題のひとつではないでしょうか。「借金がチャラになった分は、利益として税金がかかるのでは」と心配になったり、逆に「破産したのだから申告はもうしなくていいのでは」と考えてしまったりする方も少なくありません。
☑ 自己破産や債務整理をしたあと、確定申告で借金がどう扱われるのかわからない
☑ 免除された借金に税金がかかるのか、それとも収入として申告しなくてよいのか不安だ
☑ 債務整理中でも事業を続けているが、これまで通り申告してよいのか迷っている
以下では、自己破産や債務整理をした個人事業主が確定申告でどう対応すればよいのかを、免責と所得の扱いを中心に整理します。借金の整理と税金の関係、そして事業を続ける場合に気をつけたいポイントの全体像がつかめるようになります。
再建期に記帳まで手が回らないときは、申告まで任せられる確定申告の代行サービスもあります。まずは債務整理と確定申告の関係から確認しましょう。
まず押さえたい「債務整理」と「確定申告」の関係
債務整理にはいくつかの方法がある
ひとくちに債務整理といっても、その方法はひとつではありません。代表的なものとして、裁判所を通じて借金の支払い義務を免除してもらう自己破産、借金を大幅に減額して原則3年程度で返済していく個人再生、債権者と直接交渉して返済条件を見直す任意整理があります。どの方法を選んだかによって、その後の生活や事業の進め方は変わってきますが、いずれの場合も「確定申告とは別の手続き」である点はおさえておきましょう。
債務整理をしても確定申告の義務は消えない
大切なのは、自己破産や債務整理をしたからといって、確定申告そのものが免除されるわけではないということです。確定申告は、その年の1月1日から12月31日までの所得を計算して税務署に報告する手続きであり、借金の整理とは目的がまったく異なります。事業を続けて所得が生じていれば、債務整理の有無にかかわらず申告が必要です。「破産したから申告しなくてよい」という考えは誤りなので、注意しましょう。
税金は債務整理の対象になりにくい
もうひとつ知っておきたいのが、所得税や住民税、消費税などの税金は、自己破産をしても支払い義務が消えにくいという点です。これらは「非免責債権」と呼ばれ、原則として免責の対象から外れます。借金は整理できても税金は残ることがあるため、滞納している税金がある場合は、債務整理とあわせて税務署や自治体の納税相談窓口に相談しておくことが大切です。
免除された借金に税金はかかる?「債務免除益」の考え方
債務免除益とは何か
借金が免除されると、その分だけ返さなくてよいお金が手元に残ったとみなされ、税務上は債務免除益という利益が生じることがあります。これは「免除された借金の額が、経済的な利益として所得になる」という考え方です。「借金が消えたのに税金がかかるのか」と意外に感じるかもしれませんが、事業に関係する借金が免除されたケースでは、原則としてこの債務免除益が事業所得などの収入金額に含まれる扱いとなります。
自己破産による免責では課税されないのが原則
一方で、自己破産による免責のように、資力を失って債務を弁済することが著しく困難な状況で借金が免除された場合には、債務免除益があっても所得税が課されないのが原則です。これは「支払い能力がないからこそ免責を受けたのに、そこへ課税するのは酷である」という趣旨にもとづくものです。つまり、同じ「借金の免除」でも、状況によって課税されるかどうかが変わってくるのです。
判断が分かれやすいので個別確認が欠かせない
債務免除益が課税されるかどうかは、借金が事業に関係するものか個人的なものか、また免除を受けた当時の資力がどうだったかなど、個別の事情によって判断が分かれます。任意整理や個人再生で一部が減額された場合の扱いも、自己破産による全額免責とは異なる考え方が必要になることがあります。金額が大きいほど影響も大きくなりますので、自己判断で結論を出さず、税理士などの専門家に具体的な状況を伝えて確認することをおすすめします。
事業を続ける場合の確定申告で気をつけたいこと
帳簿づけは債務整理後も継続する
債務整理をしたあとも事業を続けるのであれば、これまで通り日々の取引を帳簿に記録していく必要があります。売上や経費を正しく記帳しておくことは、確定申告の土台になるだけでなく、再建後の資金繰りを見直すうえでも役立ちます。取引先の倒産などで回収できなくなった売掛金がある場合は、貸倒れの記帳も確認しておきましょう。むしろ、一度つまずいた経験があるからこそ、収支を「見える化」しておく意味は大きいといえます。
借入金の返済と経費の扱いを整理する
事業用の借入金については、返済そのものは経費にはなりませんが、利息部分は支払利息として経費に計上できるのが原則です。債務整理によって返済条件が変わった場合、利息の金額や計上のタイミングも変わってきます。減額後の返済予定をもとに、いつ・いくらの利息が発生するのかを整理しておくと、申告時に迷いません。再建後の資金の見通しは資金繰り表の作り方で立てておくと安心です。
青色申告を続けるか改めて検討する
青色申告をしている方は、債務整理後も引き続き青色申告特別控除(最大65万円)などのメリットを受けられます。控除を受けるには複式簿記による記帳と期限内の申告が前提になりますが、所得を圧縮できる効果は再建期にこそ有効です(赤字が出た年は青色申告の赤字繰越の活用で将来の黒字と相殺できます)。記帳の負担が大きいと感じる場合は、控除のメリットと手間を天秤にかけながら、申告方法を改めて検討するとよいでしょう。
過去の申告に問題があった場合の見直し
申告漏れや無申告に気づいたら
資金繰りに追われるなかで、過去の確定申告が後回しになっていたり、申告自体ができていなかったりするケースもあります。申告していない年がある場合は「期限後申告」、本来より少なく申告していた場合は「修正申告」という手続きで対応します。放置していると無申告加算税や延滞税が重なっていくため、気づいた時点でできるだけ早く動くことが大切です。
払いすぎていた税金は還付の対象になることも
逆に、経費の計上漏れなどで税金を多く納めすぎていた場合は、「更正の請求」によって還付を受けられる可能性があります(払いすぎた税金の還付は国税庁タックスアンサーNo.2030「還付申告」でも確認できます)。事業が苦しい時期ほど、計上できるはずの経費を見落としていることもあります。過去の帳簿や領収書を見直して、正しく申告できていたかを確認しておくと安心です。
税務署や専門家への相談をためらわない
過去の申告に不安がある場合、ひとりで抱え込まずに税務署の相談窓口や税理士に相談することをおすすめします。早めに相談して自主的に申告を整えるほうが、後から指摘を受けるよりも負担が軽く済むことが多いものです。債務整理を担当した専門家と、税金まわりを見てくれる専門家は別になることもあるため、それぞれの窓口を上手に使い分けましょう。
よくある質問
Q. 自己破産をした年は、確定申告をしなくてもよいのですか?
いいえ、自己破産をした年でも、その年に事業所得などの所得があれば確定申告が必要です。破産手続きと確定申告は別の制度であり、破産したことで申告義務がなくなるわけではありません。所得が一定額以下で申告義務がない場合でも、源泉徴収されている税金があれば申告によって還付を受けられることもあるので、収支を確認したうえで判断しましょう。
Q. 免除してもらった借金は、必ず収入として申告しなければなりませんか?
一律に「必ず申告が必要」とは言えません。事業に関係する借金が免除された場合は債務免除益として収入金額に含めるのが原則ですが、自己破産の免責のように資力を失った状況での免除では課税されないのが原則とされています。状況によって扱いが分かれるため、金額が大きい場合や判断に迷う場合は、必ず税理士などの専門家に個別の事情を伝えて確認してください。
Q. 債務整理中でも青色申告は続けられますか?
はい、債務整理中であっても、複式簿記による記帳と期限内の申告という要件を満たせば青色申告を続けられます。青色申告特別控除によって所得を圧縮できる効果は、事業を立て直していく時期にこそ役立ちます。記帳の手間が負担に感じられる場合は、記帳代行などの外部サポートを利用して、申告を途切れさせない工夫をするとよいでしょう。
債務整理と確定申告は分けて考える|まとめ
自己破産や債務整理をしても、事業で所得があれば確定申告は引き続き必要です。免除された借金については「債務免除益」という考え方があり、事業の借金なら原則として課税対象になる一方、資力を失った状況での自己破産の免責では課税されないのが原則です。状況によって扱いが分かれるため、自己判断は禁物です。あわせて、過去の申告漏れや経費の計上漏れがないかを見直しておくと、再建のスタートを安心して切ることができます。
とはいえ、事業の立て直しに追われる中で、債務整理後の複雑な帳簿づけから確定申告書類の作成まで、すべてを自分ひとりで行うのは大きな負担になりがちです。慣れない状況で数字に向き合うことに、不安を感じる方も多いのではないでしょうか。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








