受け取ったインボイスに不備があったときの確認と対応を解説
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税務

受け取ったインボイスの不備は、登録番号・税率ごとの区分・消費税額という抜けやすいポイントを受領時に確認するのが最善の予防策です。不備を見つけたときは自分で直さず売り手へ再発行を依頼する原則も整理します。
インボイス制度が始まってから、取引先から受け取る請求書や領収書を「これは大丈夫だろうか」と気にする機会が増えた方は多いのではないでしょうか。記載事項が一つでも欠けていると、本来受けられるはずの仕入税額控除が認められず、結果として納める消費税が増えてしまうこともあります。とはいえ、どこをどう確認すればよいのか、不備があったときに何をすればよいのかは、なかなか整理しづらいものです。
☑ 取引先から受け取った請求書がインボイスとして有効なのか、見方がよくわからない
☑ 登録番号や税率の記載が抜けている請求書を、仕入税額控除に使ってよいか不安だ
☑ 不備を見つけたとき、自分で直してよいのか、相手に依頼すべきか判断できない
受け取ったインボイス(適格請求書)に不備があったときの確認のしかたと、具体的な対応手順を、個人事業主・フリーランス向けに整理しました。手元の請求書をチェックするポイントと、不備を見つけたときの動き方がイメージできるよう、順に見ていきます。
▶ まずは全体像をつかむ:インボイス制度完全ガイド|個人事業主の登録判断と実務対応|受け取り側の実務を含む制度の全体像を1本にまとめています。
そもそもインボイスとは?確認の前に押さえたい基本
インボイス(適格請求書)の役割
インボイスとは、正式には適格請求書と呼ばれる書類です。売り手が買い手に対して、正確な適用税率や消費税額などを伝えるためのもので、一定の記載事項を満たした請求書や領収書がこれにあたります。消費税の課税事業者が仕入税額控除(支払った消費税を差し引く仕組み)を受けるためには、原則として取引先からこのインボイスを受け取り、保存しておく必要があります。制度の記載事項や全体像は国税庁のインボイス制度特集で確認できます。
つまり、受け取った請求書がインボイスの要件を満たしているかどうかは、自分が納める消費税の金額に直結します。だからこそ、記載内容のチェックが大切になるのです。仕入税額控除を含む消費税の基本的なしくみは国税庁タックスアンサー「No.6101 消費税の基本的なしくみ」(国税庁)で確認できます。
誰が発行できるのか
インボイスを発行できるのは、税務署に申請して適格請求書発行事業者として登録を受けた事業者だけです。登録すると「T」から始まる13桁の登録番号が割り当てられ、その番号を請求書などに記載します。逆にいえば、登録していない事業者(免税事業者など)が発行する請求書には登録番号がなく、インボイスとしては扱えません。免税事業者との取引での判断は免税事業者との取引の考え方で整理しています。
免税事業者からの仕入れはどうなる?
取引先が登録事業者でない場合、その仕入れは原則として仕入税額控除の対象外になります。ただし制度開始から一定期間は、登録のない事業者からの仕入れについても一部を控除できる経過措置が設けられています。免税事業者からの請求書だからといってすぐに「不備」と判断せず、経過措置の対象として処理できる場合があることも覚えておきましょう。経過措置を使う場合の記帳の実務は経過措置(8割控除)の記帳の実務で確認できます。
受け取ったインボイスでチェックすべき記載事項
必ず確認したい6つの項目
インボイスとして有効であるためには、次の事項が記載されている必要があります。受け取った請求書を見るときは、この一覧を上から照らし合わせると漏れがありません。
発行する事業者の氏名または名称と登録番号(Tから始まる13桁)
取引が行われた年月日
取引の内容(軽減税率の対象品目である場合はその旨)
税率ごとに区分して合計した金額と、それぞれの適用税率
税率ごとに区分した消費税額
受け取る側、つまり自分(買い手)の氏名または名称
これらのうち一つでも欠けていると、原則としてインボイスの要件を満たさないことになります。特に登録番号、税率ごとの区分、消費税額の3点は抜けやすいので、重点的に確認しましょう。
つまずきやすいポイント
実務でよく問題になるのが、複数の税率が混在する取引です。たとえば飲食料品(軽減税率8%)と日用品(標準税率10%)を一度に仕入れた場合、税率ごとに金額と消費税額を分けて記載する必要があります。これが「合計だけ」「税込総額だけ」になっていると不備にあたります。また、手書きの領収書では登録番号の記載漏れが起こりやすいため、注意が必要です。
登録番号が本物かどうかの確認
登録番号が記載されていても、それが有効な番号とは限りません。番号の書き間違いや、登録を取りやめた後の古い番号が使われているケースもあります。登録の取消しがどのように行われるかは適格請求書発行事業者の登録の取消しで解説しています。国税庁の適格請求書発行事業者公表サイトで番号を検索すれば、その番号が現在も有効かどうかを確認できます。新規の取引先や、金額の大きい取引については、一度照合しておくと安心です。こうした確認や記帳の手間をまとめて手放したいときは、記帳代行のしくみを使うと負担を減らせます。
不備の種類別に見る対応のしかた
登録番号の記載がない・誤っている場合
登録番号が書かれていない、あるいは桁数や番号が明らかに違う場合は、まず取引先が登録事業者かどうかを確認します。登録しているのに記載を忘れているだけなら、正しい番号を記載した請求書を再発行してもらうのがもっとも確実です。登録していない事業者であれば、その取引は前述の経過措置の対象として処理することになります。
税率や消費税額の記載が抜けている場合
税率ごとの区分や消費税額が記載されていない場合も、原則として再発行を依頼します。ここで大切なのは、受け取った側が勝手に金額を書き足して直してはいけないという点です。インボイスの記載内容の訂正は、発行した売り手側が行うのが原則だからです。自分で追記したものは、正しいインボイスとは認められません。
金額や日付など軽微な誤りの場合
日付の書き間違いや、明らかな金額の誤記が見つかった場合も、基本的には売り手に訂正・再発行してもらいます。少額で頻度の高い取引については、後述する「仕入明細書」の方法を使うと、毎回再発行を依頼する手間を減らせる場合があります。いずれにしても、誤ったまま保存して仕入税額控除を受けると、後の税務調査で問題になりかねません。
再発行を依頼するときの実務の進め方
依頼する前に整理しておくこと
取引先に再発行を依頼するときは、どの請求書の、どの項目に、どんな不備があるのかを具体的に伝えると話がスムーズです。たとえば「○月○日付の請求書に登録番号の記載がありませんでした」「税率ごとの消費税額が分かれていませんでした」といった形です。相手も人手で対応していることが多いため、要点を整理して連絡するのがマナーであり、結果的に早い解決につながります。
修正インボイスの受け取りと保存
訂正されたインボイス(修正インボイス)を受け取ったら、誤りのある古い請求書と差し替えて保存します。このとき、新旧どちらを保存対象とするかを社内のルールとして決めておくと、後で混乱しません。電子データで受け取った場合は、電子帳簿保存法の保存要件にも配慮して管理しましょう。
自分で作る「仕入明細書」という方法
毎回の再発行依頼が現実的でない取引では、買い手側が作成する仕入明細書でインボイスに代える方法もあります。これは、自分が「いくら仕入れて、消費税はいくら」とまとめた書類を作り、その内容について取引先の確認を受けるやり方です。記載事項を満たし、相手の確認を得ることが条件になります。継続的に同じ相手から仕入れる場合に検討するとよいでしょう。
不備を放置するとどうなる?リスクと予防
仕入税額控除が受けられないリスク
不備のあるインボイスをそのまま使って消費税を計算すると、その仕入れ分の控除が認められない可能性があります。控除できなければ、その分だけ納める消費税が増えることになります。一件あたりは小さくても、積み重なれば無視できない金額になることもあるため、日ごろのチェックが効いてきます。
受け取った時点でのチェックが効率的
不備は、決算や申告の直前にまとめて見つけると、再発行の依頼も間に合わないことがあります。理想は、請求書を受け取ったそのタイミングで確認することです。受領時に登録番号と税率区分だけでもさっと見る習慣をつけておけば、後から慌てずに済みます。
チェックの仕組みを作っておく
新規取引先は、最初の取引で登録番号を公表サイトで照合する
受領した請求書は、税率区分と消費税額の有無をその場で確認する
不備があったものは「要再発行」として分けて管理し、依頼漏れを防ぐ
こうした小さな仕組みを決めておくだけで、不備の見落としや対応漏れはかなり減らせます。
よくある質問
Q. 受け取った請求書の登録番号が間違っていたら、自分で正しい番号に書き直してもよいですか?
受け取った側が勝手に書き直すことはできません。インボイスの記載内容を訂正できるのは、発行した売り手側です。正しい番号を記載した請求書を再発行してもらうか、買い手が作成する仕入明細書を相手の確認を得たうえで用いる、といった方法で対応します。誤った番号のまま保存して控除を受けることは避けましょう。
Q. 取引先が免税事業者で、登録番号のない請求書しかもらえません。控除はまったく受けられないのですか?
登録のない事業者からの仕入れは原則として控除の対象外ですが、制度開始から一定期間は、一部を控除できる経過措置が設けられています。請求書に「経過措置の適用を受ける課税仕入れである旨」などを記載・保存することが条件になりますので、処理方法を確認したうえで対応するとよいでしょう。
Q. 少額の経費でも、毎回インボイスをそろえないといけませんか?
一定規模以下の事業者については、少額の取引であればインボイスの保存がなくても一定の記録で控除を認める特例が設けられている場合があります。適用できるかどうかは事業者の状況によって異なるため、自分が対象になるかを確認しておくと、日々の事務負担を軽くできます。
まとめ|受け取ったインボイスは「受領時のひと手間」で守る
受け取ったインボイスの不備は、登録番号・税率ごとの区分・消費税額という抜けやすいポイントを押さえ、受領した時点で確認しておくことが、もっとも効果的な予防策です。不備を見つけたら自分で直すのではなく、売り手に訂正・再発行を依頼するのが原則であり、継続的な取引では仕入明細書の活用も選択肢になります。仕組みとしてチェックを回せるようにしておけば、申告直前に慌てることも、控除を取りこぼすこともぐっと減らせます。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








