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2026/9/8

満期保険金・解約返戻金を受け取った年の確定申告|一時所得の計算を解説

  • 確定申告

自分で保険料を払って受け取る満期保険金や解約返戻金は、多くの場合「一時所得」です。受取額から払込保険料を引き、特別控除50万円を引き、さらに2分の1にした金額が課税対象。受取額がそのまま課税されるわけではありません。

貯蓄性のある保険が満期を迎えたり途中解約したりしてまとまったお金を受け取ると、「税金がかかるのか」「申告漏れではないか」と不安になりがちです。一時所得の考え方と計算方法を具体例で確認し、自分に申告が必要かの見当がつくよう整理していきましょう。

☑ 満期保険金や解約返戻金を受け取ったが、確定申告が必要なのか判断できない

☑ 一時所得という言葉は聞くものの、税金がいくらかかるのか計算方法がわからない

☑ 受け取った金額がそのまま課税されるのか、特別控除があるのかを知りたい

満期保険金・解約返戻金は何所得になるのか

多くのケースは「一時所得」に区分される

満期保険金や解約返戻金は、受け取る人と保険料を負担していた人の関係などによって税金の種類が変わります。よくあるのは、自分で保険料を払い、自分で満期保険金や解約返戻金を受け取るケースです。この場合は、原則として所得税の「一時所得」に区分されます。

一時所得とは、営利を目的とした継続的な行為から生じた所得ではなく、一時的・偶発的に得た所得をまとめた区分です。生命保険の満期金や解約返戻金のほか、懸賞や福引の賞金、競馬の払戻金などもここに含まれます。事業の売上や給与とは計算の仕組みが異なる点が特徴です。

一時所得にならないケースもある

受取の形によっては、一時所得ではなく別の扱いになることがあります。代表的なものを挙げます。

  • 保険料を負担した人と受取人が異なる場合は、贈与税の対象になることがある

  • 満期金などを一括ではなく年金形式で毎年受け取る場合は、雑所得として扱われる

  • 被保険者が亡くなったことで受け取る死亡保険金は、契約関係に応じて相続税・所得税・贈与税のいずれかの対象になる

このように、「誰が保険料を払い」「誰が受け取るか」という契約上の関係によって税金の種類が変わります。ご自身の保険証券や契約内容を確認し、まずはどの税金の話なのかを整理することが第一歩です。ここからは、最も相談の多い「自分で払って自分で受け取る一時所得のケース」を中心に見ていきます。建物などの損害に対して受け取る火災保険金の課税・非課税の考え方は火災保険金と課税・非課税で整理しています。

一時所得の計算方法を理解する

計算の基本式と特別控除50万円

一時所得の金額は、次のように計算します。

  • 総収入金額(受け取った満期保険金や解約返戻金など)

  • その収入を得るために支出した金額(払い込んだ保険料の総額)

  • 特別控除額(最高50万円)

式にすると、一時所得=総収入金額-支出した金額-特別控除50万円です。受け取った金額から、これまで払い込んだ保険料を差し引き、さらに最高50万円の特別控除を引くことができます。つまり、受け取った金額がそのまま課税されるわけではない、という点がポイントです。

課税対象になるのは「2分の1」だけ

一時所得には、もうひとつ大切なルールがあります。上の式で計算した一時所得の金額のうち、実際に他の所得と合算して課税の対象になるのは、その2分の1だけです。

たとえば一時所得が80万円と計算されたなら、その半分の40万円が、給与所得や事業所得などと合わせて総合課税される金額になります。一時的な所得への税負担が重くなりすぎないよう配慮された仕組みといえます。満期金や解約返戻金は金額が大きく見えても、「保険料を引く」「50万円を引く」「さらに半分にする」という三段階を経るため、最終的に課税される金額は思ったより小さくなることが多いのです。

具体的な計算イメージ

イメージをつかむために、自分で保険料を払って満期保険金を受け取った例で考えてみましょう。満期保険金が300万円、それまでに払い込んだ保険料の総額が250万円だったとします。

まず、300万円から払込保険料250万円を引くと50万円です。ここから特別控除50万円を引くと0円になり、一時所得は発生しません。この場合、結果として課税される金額はなく、申告の上でも一時所得は生じないことになります。一方、満期保険金が350万円で払込保険料が250万円なら、差額は100万円。ここから50万円を引いて50万円、その2分の1である25万円が課税対象の所得になります。同じ満期金でも、払込保険料との差額がいくらかで結果が大きく変わることがわかります。

確定申告が必要かどうかの判断

会社員と個人事業主で考え方が違う

満期金や解約返戻金を受け取ったからといって、必ず確定申告が必要になるわけではありません。判断は、その方の働き方によっても変わります。

給与を1か所から受けている会社員の方の場合、給与・退職所得以外の所得(一時所得の課税対象分などを含む)の合計が一定額以下であれば、確定申告をしなくてもよいとされる仕組みがあります。一方、もともと確定申告をしている個人事業主やフリーランスの方は、一時所得が生じたらその金額を申告書に含めて申告するのが原則です。すでに毎年申告している方ほど、計上漏れに注意が必要だといえます。給与所得者で確定申告が必要になる場合の基準は、国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。

「源泉徴収されているから不要」とは限らない

保険会社から満期金や解約返戻金を受け取る際、案内の書類に源泉徴収に関する記載がある場合があります。ただし、源泉徴収がされていることと、確定申告が不要であることはイコールではありません。源泉徴収はあくまで税金の一部を先に納める仕組みであり、最終的な税額は確定申告で精算するのが基本です。

「天引きされていたから申告しなくてよい」と自己判断せず、受け取った金額・払込保険料・他の所得の状況を踏まえて、申告の要否を確認することが大切です。判断に迷う場合は、保険会社から届く支払いの明細や税務署、専門家に確認するとよいでしょう。

住民税の申告にも注意

所得税の確定申告が不要なケースであっても、住民税については別途申告が必要になる場合があります。所得税と住民税では申告の基準が異なるため、「所得税の申告はしなくてよい=何もしなくてよい」と思い込まないようにしましょう。お住まいの市区町村の案内も合わせて確認しておくと安心です。個人住民税の基本的な仕組みは、総務省の個人住民税の案内で確認できます。

申告に向けてそろえておきたい書類

保険会社から届く書類を確認する

満期保険金や解約返戻金を受け取ると、保険会社から支払額や契約内容を知らせる書類が送られてくるのが一般的です。受取金額、契約日、払込保険料の総額など、一時所得の計算に欠かせない情報が記載されていることが多いため、捨てずに保管しておきましょう。

特に払い込んだ保険料の総額は、一時所得の計算で差し引ける大切な金額です。長期の契約だと自分では正確な総額を把握しづらいため、保険会社の書類や問い合わせで確認するのが確実です。なお、保険料を支払う側で毎年受けられる生命保険料控除の目安は生命保険料控除12万円の試算で確認できます。

計算の根拠を残しておく

  • 満期保険金・解約返戻金の受取額がわかる書類

  • 払込保険料の総額がわかる書類や保険証券

  • その年に他の一時所得(懸賞金など)があればその記録

確定申告書には、一時所得の収入金額と差し引いた金額などを記載する欄があります。あとから内容を説明できるよう、計算の根拠となる書類は手元に整理して残しておきましょう。複数の一時所得がある年は、特別控除50万円は合算した一時所得全体に対して一度だけ適用される点も覚えておくと安心です。

他の所得と合わせて全体を整理する

一時所得は、給与所得や事業所得などと合算して税額を計算する「総合課税」の対象です。そのため、申告にあたっては一時所得だけでなく、その年の他の所得や所得控除も含めて全体を整理する必要があります。事業所得がある方は、日々の帳簿や決算の数字と合わせて、一時所得を漏れなく組み込むことが正確な申告につながります。一時所得を含めた申告をまとめて任せたいときは、確定申告の代行という選択肢もあります。

よくある質問

Q. 満期保険金を受け取りましたが、払込保険料との差額が少額です。それでも申告は必要ですか?

一時所得は、受取額から払込保険料を引き、さらに特別控除50万円を差し引いて計算します。差額が50万円以下であれば一時所得は生じないため、その満期保険金については申告すべき一時所得が出てこないことになります。ただし、同じ年に他の一時所得がある場合や、もともと確定申告をしている個人事業主の方の場合は判断が変わることがあるため、全体の状況で確認しましょう。

Q. 解約返戻金が払込保険料より少なく、いわゆる元本割れでした。この場合はどうなりますか?

受け取った解約返戻金が、それまでに払い込んだ保険料の総額を下回っている場合、一時所得はマイナスとなり、課税される一時所得は生じません。この一時所得のマイナスを、給与所得や事業所得など他の黒字の所得と相殺することは原則としてできない点も押さえておきましょう。

Q. 年金形式で毎年受け取るタイプの保険は、一時所得になりますか?

満期後に一括ではなく、年金として毎年分割で受け取る契約の場合は、一時所得ではなく雑所得として扱われるのが一般的です。一時所得とは計算方法が異なり、毎年の受取額から対応する払込保険料分などを差し引いて所得を計算します。ご自身の契約がどちらのタイプかを、保険証券や保険会社の案内で確認してください。iDeCoなどを一時金や年金として受け取るときの税務はiDeCoの出口(受け取り方)と税金が参考になります。

結論|仕組みを知れば満期金・解約返戻金の申告は怖くない

自分で保険料を払って受け取る満期保険金や解約返戻金は、多くの場合、一時所得として扱われます。受け取った金額がそのまま課税されるのではなく、払込保険料を引き、特別控除50万円を引き、さらに2分の1にする、という流れで課税対象が決まります。この仕組みを知っておけば、過度に不安を感じる必要はありません。まずは保険会社の書類で受取額と払込保険料を確認し、自分のケースで一時所得が生じるかどうかを落ち着いて整理することが大切です。

満期金や解約返戻金の計算に加えて、事業の帳簿づけや他の所得の整理まで自分でこなすのは、本業が忙しい中では重い負担になりがちです。入り組んだ申告を期限間際に慌てて進めるより、早めに手を借りるのも賢い選択です。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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