複数の補助金を同時に使うときの併願・重複の可否と注意点を解説
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税金

複数の補助金を同時に使う「併願」は、対象とする経費や事業が分かれていて各制度の要領で禁止されていなければ検討できます。一方、同じ経費を重ねて申請する「重複(二重取り)」は原則として認められません。両者の違いと、経費の切り分け・正直な申告という注意点を整理していきます。
事業に役立ちそうな補助金を調べていくと、「これも使えそう」「あれも対象になりそう」と複数の制度が目に入ってくることがあります。せっかくなら同時に活用して自己負担を減らしたいと考える一方で、「複数申請したら不正になるのでは」「どこまでなら認められるのか」と判断に迷ってしまう方も多いのではないでしょうか。
☑ 補助金をいくつか見つけたが、同時に申請してよいのかわからない
☑ 同じ設備の購入費を、別々の補助金で二重に申請できるのか知りたい
☑ 併願がバレて後から返還を求められないか不安だ
このコラムでは、複数の補助金を同時に使う「併願」と、同じ経費を重ねて申請する「重複」の違いを整理し、それぞれどこまで認められるのか、どんな点に注意すべきかを確認します。自分のケースで何を確認すればよいかをつかんでいきましょう。
まず「併願」と「重複」の違いを整理しましょう
併願とは「複数の補助金に申請すること」
併願とは、性質の異なる複数の補助金にそれぞれ申し込むことを指します。たとえば、設備投資の補助金と、販路開拓の補助金を、別々の事業計画で申請するようなケースです。対象とする経費や事業がそれぞれ別であれば、複数の補助金を併用すること自体は珍しくありません。国や自治体も、事業者がさまざまな制度を組み合わせて成長することを想定しています。自分に合う制度そのものの探し方は補助金・助成金の探し方にまとめています。
ただし、制度によっては「他の補助金との併願を認めない」「同一年度内は1つまで」といった条件を設けている場合があります。併願ができるかどうかは、それぞれの制度の募集要項(公募要領)で必ず確認することが出発点になります。
重複とは「同じ経費を二重に申請すること」
一方で重複とは、まったく同じ経費を複数の補助金で重ねて申請することを指します。たとえば、1台のパソコンの購入費を、A補助金とB補助金の両方で対象経費として計上するようなケースです。この「経費の二重取り」は、原則として認められません。補助金は経費の一部を公的資金で支援する仕組みなので、同じ支出に対して複数の補助を受けると、結果として支出額を超える補助を受け取ってしまうおそれがあるためです。
つまり、「複数の補助金に申請すること(併願)」と「同じ経費を重ねて申請すること(重複)」はまったく別の問題です。併願は条件次第で可能ですが、経費の重複は基本的に認められないという大前提を、まず押さえておきましょう。
混同しやすいので具体例で考える
設備購入に補助金A、広告費に補助金Bを使う → 経費が別なので併願として認められやすい
同じ設備の購入費を補助金Aと補助金Bの両方で申請する → 経費の重複にあたり原則不可
このように、「制度をいくつ使うか」ではなく「同じ支出を重ねていないか」が判断の軸になります。
併願が認められやすいケース・認められにくいケース
対象経費や事業の目的が異なれば併願しやすい
補助金は、それぞれ目的や対象とする経費が決まっています。設備投資を支援するもの、販路開拓を支援するもの、IT導入を支援するものなど、ねらいが異なる制度であれば、対象とする経費もはっきり分かれます。経費の切り分けが明確にできるほど、併願は認められやすくなります。
申請の際は、それぞれの補助金でどの経費を対象にするのかを、見積書や請求書の単位できれいに分けておくことが大切です。同じ請求書を複数の補助金で使い回すのではなく、「この支出はこの補助金」と1対1で対応づけられる状態にしておくと、後の説明もスムーズになります。
同一の補助目的・同一経費だと認められにくい
逆に、補助の目的が重なっていたり、対象経費が同じだったりすると、併願は認められにくくなります。多くの公募要領には「国(地方公共団体を含む)が助成する他の制度と重複して補助を受けることはできない」といった趣旨の規定が置かれています。同じ目的・同じ経費に対して公的支援を二重に受けることを防ぐのが、こうしたルールのねらいです。
また、補助金によっては、過去に同種の補助金を受けた事業者の申請を制限していたり、一定期間をあけることを求めていたりする場合もあります。「以前に別の補助金を使ったことがある」という方は、その点も募集要項で確認しておくと安心です。
採択後に併願状況を申告する仕組みがある
多くの補助金では、申請書や実績報告の段階で「他の補助金の申請・受給状況」を記載する欄が設けられています。これは、併願や重複の有無を確認するための仕組みです。他の補助金に申請している事実を隠さず、正直に申告することが、トラブルを避けるうえで何より重要です。正しく申告したうえで対象経費が分かれていれば、併願は問題なく進められるケースが多くあります。
同じ経費の「二重取り」を避けるための実務ポイント
経費ごとに「どの補助金に使うか」を台帳で管理する
複数の補助金を扱うときに最も大切なのは、どの支出をどの補助金の対象にしたのかを、自分で正確に把握しておくことです。表計算ソフトやノートで構いませんので、支出ごとに「日付・内容・金額・対応する補助金」を記録した一覧をつくっておきましょう。複数の補助金の経費を台帳と帳簿の両方で管理する手間を減らしたいときは、記帳代行に任せる方法もあります。
1つの請求書を分割して複数の補助金に充てる場合は、その配分も明記する
消費税や送料など、対象になる範囲が補助金ごとに違う点にも注意する
後から見ても判断できるよう、見積書・請求書・領収書をセットで保管する
こうした管理ができていれば、実績報告の段階で「この経費は二重に計上していません」と自信を持って説明できます。
対象経費の定義は補助金ごとに違う
同じ「設備費」でも、何をどこまで対象にするかは補助金によって異なります。本体価格だけが対象のもの、設置費や保守費まで含められるもの、消費税を含めるかどうかなど、扱いはさまざまです。対象経費の範囲と自己負担分の考え方は補助金の対象経費と自己負担の按分が参考になります。それぞれの公募要領で対象経費の範囲を確認し、自分の支出がどの区分に当てはまるかを整理しておきましょう。あいまいなまま申請すると、後の審査で経費が認められず、想定より補助額が減ってしまうこともあります。
判断に迷ったら事務局に確認する
「このケースは併願にあたるのか」「この経費の分け方で問題ないか」と迷ったときは、自己判断で進めず、補助金の事務局や窓口に問い合わせるのが確実です。確認した内容は、いつ・誰に・どう回答されたかをメモに残しておくと、後で経緯を説明する必要が出たときに役立ちます。
併願・重複に関する税務上の注意点
受け取った補助金は原則として収入になる
意外と見落とされがちですが、受け取った補助金は、原則として事業の収入(益金・事業所得の収入)として扱われ、課税の対象になります。複数の補助金を受け取った場合は、その合計額が収入に加わると考えておきましょう。確定申告の基本的な流れは国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」で確認でき、補助金を含めた収入の扱いは補助金を受け取ったときの税金の処理にまとめています。「補助金だから税金はかからない」と思い込んでいると、申告のときに想定外の所得が増えて驚くことになりかねません。
なお、固定資産を取得するための補助金については、一定の要件のもとで課税のタイミングを遅らせる「圧縮記帳」という方法が使える場合があります。複数の補助金で設備を取得したようなケースでは扱いが複雑になりやすいため、判断に迷うときは専門家に相談すると安心です。
補助対象の経費と帳簿の整合性を保つ
補助金を使って購入した設備や支払った経費は、当然ながら帳簿にも正しく記録する必要があります。複数の補助金が絡むと、「どの経費がどの補助金に対応しているか」が帳簿上でも見えにくくなりがちです。補助金ごとに補助対象経費がはっきり区別できるよう、摘要欄に補助金名を書き添えるなどの工夫をしておくと、実績報告と帳簿の数字を突き合わせやすくなります。
返還が生じたときの処理も想定しておく
万が一、要件を満たさなかったり、経費の重複が後から判明したりすると、受け取った補助金の返還を求められることがあります。返還が生じた場合は、その分の経理処理も必要になります。こうした事態を避けるためにも、申請時から経費の切り分けと記録を丁寧に行い、重複が起きないようにしておくことが結果的に一番の近道です。
よくある質問
Q. 複数の補助金に同時に申し込むこと自体は問題ありませんか?
対象とする経費や事業がそれぞれ別であり、各補助金の募集要項で併願が禁止されていなければ、複数の補助金に申し込むこと自体は問題にならないことが多いです。ただし、申請時に他の補助金の申請状況を正直に申告することと、同じ経費を重ねて申請しないことが前提になります。制度によっては併願を認めていない場合もあるため、必ず公募要領を確認してください。
Q. 同じ機械の購入費を2つの補助金で半分ずつ申請してもよいですか?
同一の経費を複数の補助金で分け合う形は、制度によって扱いが分かれます。明確に禁止している補助金もあれば、配分の考え方が決まっているものもあります。自己判断で進めると経費が否認される可能性があるため、このようなケースこそ事前に事務局へ確認することをおすすめします。原則としては、経費は1つの補助金に対応づけるのが安全です。
Q. 補助金を複数もらうと、税金はどうなりますか?
受け取った補助金は、原則として事業の収入として課税の対象になります。複数受け取った場合は、その合計が収入に加わると考えておきましょう。設備取得のための補助金では圧縮記帳という方法で課税のタイミングを調整できる場合もありますが、扱いが複雑なため、不安な場合は税理士などの専門家に相談すると安心です。
結論|併願は経費を分けて正直に申告するのが基本
複数の補助金を同時に使うこと(併願)は、対象とする経費や事業が分かれていて、各制度の募集要項で禁止されていなければ、十分に検討できる選択肢です。一方で、同じ経費を重ねて申請する重複(二重取り)は原則として認められません。「経費をきれいに切り分けること」「他の補助金の申請状況を正直に申告すること」「迷ったら事務局に確認すること」——この3つを守れば、併願にまつわるトラブルの多くは防げます。
ただ、補助金ごとに対象経費の範囲や申請ルールは異なり、それを経費ごとに管理しながら帳簿にも正しく反映するのは、想像以上に手間のかかる作業です。本業が忙しい中で、記帳から確定申告までを自分一人で抱え込むのは負担が重くなりがちです。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








