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減価償却費の計上忘れは更正の請求で修正で...

2026/9/8

減価償却費の計上忘れは更正の請求で修正できる|期限5年と手順を解説

  • 税務

決算で減価償却費を計上し忘れても、5年以内なら更正の請求で納めすぎた税金を取り戻せます。個人事業主の減価償却は強制償却のため、忘れた分を翌年にまとめて計上することはできません。影響と修正手順を解説します。

パソコンや車、店舗の内装といった高額な備品は、買った年に全額を経費にするのではなく、数年に分けて少しずつ経費にしていきます。これが「減価償却」です。ところが、決算や確定申告の作業に追われていると、この減価償却費をうっかり計上し忘れてしまうことがあります。本来なら経費にできたはずの金額を入れ忘れると、所得が大きくなり、必要以上に税金を払ってしまうことにもなりかねません。

☑ 確定申告を終えたあとで、減価償却費を計上し忘れていたことに気づいた

☑ 償却費を入れ忘れると税金や翌年の帳簿にどんな影響が出るのか不安だ

☑ 計上し忘れに気づいたとき、どうやって直せばよいのか手順がわからない

ここでは、減価償却費を計上し忘れたときに具体的にどんな影響が出るのか、そして気づいたタイミングごとにどう修正すればよいのかを、個人事業主・フリーランスの方向けに整理します。「忘れていた」と気づいたときに慌てず対処できるようになります。

そもそも減価償却費とは?計上し忘れが起こる理由

減価償却は「数年に分けて経費にする」仕組み

減価償却とは、長く使う高額な資産(固定資産)の購入費用を、その資産を使う年数(耐用年数)に応じて少しずつ経費に振り分けていく会計のルールです。たとえば30万円のパソコンを買った場合、買った年に30万円すべてを経費にするのではなく、法律で決められた耐用年数にわたって分割して経費計上していきます。減価償却の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。

対象になるのは、おおむね取得価額が10万円以上で、1年を超えて使う資産です。具体的には次のようなものが挙げられます。

  • パソコン・カメラ・厨房機器などの機械や器具備品

  • 営業用の自動車やバイク

  • 店舗・事務所の内装やリフォーム費用

  • 建物や建物附属設備

これらは買った年だけでなく、使い続けている間は毎年、決算のたびに償却費を計上する必要があります。一度買えば終わり、ではない点が、計上し忘れが起こりやすい大きな理由です。

なぜ計上し忘れが起きてしまうのか

減価償却費の計上漏れは、決して珍しいことではありません。よくある原因としては、次のようなパターンがあります。

  • 資産を買った2年目以降、「もう経費にした」と勘違いして翌年以降の償却を忘れる

  • 少額の備品をまとめて買い、固定資産として登録するのを見落とす

  • 会計ソフトに固定資産を登録したものの、自動仕訳の設定が漏れている

  • そもそも減価償却という仕組みを知らず、高額な買い物を経費にしないまま放置している

特に、開業から数年が経ち、複数の資産を持つようになると、どの資産が今どこまで償却されているのかを把握しきれず、漏れが生じやすくなります。

白色申告でも青色申告でも償却は同じ考え方

減価償却は、白色申告か青色申告かにかかわらず行う会計処理です。青色申告の方は「青色申告決算書」の減価償却費の計算欄に、白色申告の方は「収支内訳書」の同様の欄に、資産ごとの取得価額や償却費を記入します。どちらの場合も、計上を忘れればその年の経費が少なくなり、所得が増えてしまう点は変わりません。

減価償却費を計上し忘れると起こる影響

所得が増えて税金を払いすぎてしまう

減価償却費は立派な必要経費です。これを計上し忘れると、その分だけ経費が少なくなり、事業所得が実際より大きく計算されてしまいます。所得が大きくなれば、それに連動して所得税や住民税、国民健康保険料の負担も増えてしまう可能性があります。本来なら払わなくてよかった税金や保険料を、余計に納めてしまうことになるわけです。

たとえば、その年に計上できたはずの償却費が20万円あったのに忘れていた場合、所得が20万円多く計算されます。税率や保険料率にもよりますが、数万円単位で負担が変わってくることもあります。

翌年以降の帳簿の数字がずれていく

減価償却には、「未償却残高」という考え方があります。これは、まだ経費にしていない資産の残りの価値のことで、毎年の償却費を差し引きながら少しずつ減っていきます。ある年の償却を忘れると、この未償却残高の管理がずれてしまい、翌年以降の計算にも影響が及びます。帳簿の数字がずれたときの直し方は、帳簿の間違いの直し方でも整理しています。

残高がずれたまま放置すると、後から「どこで間違えたのか」を突き止めるのに余計な手間がかかります。減価償却は複数年にわたって続く処理だからこそ、一度のミスが後を引きやすいのです。

「忘れた年の分を翌年にまとめて」はできない

ここで注意したいのが、ある年に計上し忘れた償却費を、翌年にまとめて取り戻すことは原則としてできない、という点です。減価償却費は、あくまでその資産を使った各年に対応する金額をその年に計上するのが基本ルールです。「去年の分も今年いっしょに経費にしよう」という処理は認められていません。

そのため、計上し忘れに気づいたら、忘れたその年の申告そのものを正しい形に直す、という対応が必要になります。次の章で、その具体的な方法を見ていきましょう。

気づいたタイミング別・修正の方法

申告期限内に気づいた場合

確定申告の期限(原則として毎年2月16日から3月15日まで)が来る前に計上し忘れに気づいたなら、対応はシンプルです。正しい内容で作り直した申告書をあらためて提出する「訂正申告」を行えば問題ありません。期限内であれば、最後に提出されたものが正式な申告として扱われます。減価償却費を正しく入れ直した決算書や申告書を、期限までに出し直しましょう。

期限後で、税金を払いすぎていた場合は「更正の請求」

すでに申告期限を過ぎてしまったあとで、減価償却費の計上漏れに気づいた場合は、状況によって手続きが分かれます。償却費を入れ忘れたことで所得が多く計算され、税金を払いすぎていたケースでは「更正の請求」という手続きで、納めすぎた税金の還付を求めることができます。

更正の請求には期限があり、原則として法定申告期限から5年以内に行う必要があります。つまり、数年前の計上漏れであっても、この期間内であれば取り戻せる可能性があります。手続きでは「更正の請求書」を作成し、計上し忘れていた減価償却費の根拠(資産の取得価額や耐用年数など)を示す資料を添えて税務署に提出します。

期限後で、税金が少なすぎた場合は「修正申告」

減価償却にまつわる訂正は、必ずしも還付につながるとは限りません。たとえば償却費を多く計上しすぎていた、あるいは本来は資産計上すべきものを一括で経費にしていた、といったケースでは、逆に税金を少なく申告していたことになります。この場合は「修正申告」を行い、不足していた税額を追加で納めます。

修正申告では、不足分の税金に加えて延滞税などがかかる場合があります。とはいえ、税務署から指摘される前に自分から修正する方が、結果的に負担を抑えられることが多いものです。間違いに気づいたら、できるだけ早く動くことをおすすめします。

計上し忘れを防ぐための実務ポイント

固定資産台帳でまとめて管理する

計上漏れを防ぐもっとも確実な方法は、所有している固定資産を一覧にした「固定資産台帳」をきちんと整備することです。台帳には、資産の名称・取得日・取得価額・耐用年数・毎年の償却費・未償却残高などを記録します。これがあれば、決算のたびに「今年はどの資産をいくら償却するのか」がひと目でわかり、毎年の計上漏れを防げます。開業費など繰延資産の償却の考え方は、繰延資産の償却の実務もあわせて確認しておくと安心です。

多くのクラウド会計ソフトには、固定資産を登録すると毎年の償却費を自動で計算してくれる機能が備わっています。手計算に頼らず、こうした機能を活用するのも有効です。

10万円以上の買い物をしたら必ずチェック

計上漏れの入り口になりやすいのが、資産の登録漏れです。事業用に10万円以上のものを買ったときは、「これは固定資産として登録すべきか」を必ず確認する習慣をつけましょう。なお、青色申告の個人事業主には、一定の要件のもとで30万円未満の少額減価償却資産を取得した年にまとめて経費にできる特例も用意されています。青色の少額減価償却資産の特例と年間300万円の枠は、少額減価償却資産の300万円枠の管理で解説しています。資産の金額や事業の状況に応じて、どの処理が有利かを判断するとよいでしょう。

決算前に資産の現物と台帳を突き合わせる

年に一度の決算のタイミングで、台帳に載っている資産が実際に手元にあるか、逆に手元にある資産が台帳に漏れなく載っているかを確認しましょう。すでに処分した資産がそのまま残っていたり、新しく買った資産が登録されていなかったりすると、償却費の計算がずれてしまいます。固定資産の管理や記帳をまとめて任せたいときは、記帳代行の活用も選択肢になります。現物と帳簿を照らし合わせる作業は、計上漏れと余計な計上の両方を防ぐ効果があります。

よくある質問

Q. 何年も前から減価償却をまったくしていませんでした。今からでも直せますか?

過去にさかのぼって直せる年には限りがあります。税金を払いすぎていた場合の更正の請求は、原則として法定申告期限から5年以内が対象です。それより古い年の分は取り戻せないこともあるため、気づいた時点でできるだけ早く対応することが大切です。複数年にまたがる場合は、各年の未償却残高の計算がやや複雑になるので、専門家に相談するとスムーズです。

Q. 計上し忘れた年の分を、今年の経費にまとめてしまってもよいですか?

原則としてできません。減価償却費は、その資産を使った各年ごとに、その年に対応する金額を計上するのがルールです。過去に忘れた分を当年にまとめて経費にすることは認められていないため、忘れた年の申告そのものを訂正・更正の請求などで直す必要があります。

Q. そもそも減価償却をしないという選択はできますか?

個人事業主の場合、減価償却は任意ではなく、その年に応じた償却費を計上するのが原則です(強制償却と呼ばれます)。「今年は利益が少ないから償却しない」といった調整は基本的にできません。毎年きちんと計上することを前提に、固定資産台帳で管理していきましょう。

まとめ|計上し忘れは早めの対処と日頃の管理がカギ

減価償却費の計上し忘れは、所得を実際より大きく見せてしまい、税金や保険料を払いすぎる原因になります。気づいたタイミングが申告期限内なら訂正申告、期限後で払いすぎなら更正の請求、不足なら修正申告と、状況に応じた手続きで直すことができます。いずれの場合も、ポイントは「気づいたら早めに動くこと」、そして「固定資産台帳で日頃から管理し、そもそも忘れない仕組みをつくること」です。

とはいえ、複数の資産を抱えながら、本業のかたわらで毎年の償却を正確に管理し続けるのは、思った以上に手間のかかる作業です。気づかないうちに漏れが積み重なる前に、専門家の手を借りるのも賢い選択肢のひとつです。

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あわせて読みたい:減価償却の完全ガイド|このテーマの全体像を1本にまとめて解説しています。

【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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