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振込手数料・差引入金の記帳|売上から引か...

2026/7/18

振込手数料・差引入金の記帳|売上から引かれた手数料の処理を解説

  • 税務

請求額から振込手数料の分だけ少なく入金される「差引入金」は、売上値引か支払手数料のどちらかで処理し、差額を合わせて売掛金を消し込むのが基本です。数百円の端数が売掛金に残って残高が合わない——そんな悩みの解き方を実例で整理します。

たとえば11万円を請求したのに、通帳には10万9,560円しか入っていない。金額は小さくても、処理しないと売掛金がいつまでも消えず、決算で残高が合わなくなります。2つの処理方法の違いと、自分が手数料を負担する場合、消費税・インボイスとの関係まで順に見ていきます。

☑ 請求した金額より振込手数料の分だけ少なく入金されていて、どう記帳すればいいか迷う

☑ 「売上の値引き」と「支払手数料の経費」のどちらで処理するのが正しいのかわからない

☑ 売掛金が数百円ずつ残ってしまい、帳簿の残高が合わなくて困っている

取引先から代金を受け取るとき、請求額からちょうど振込手数料の分だけ差し引かれて入金されている、という経験はありませんか。たとえば11万円を請求したのに、実際に通帳に入ってきたのは10万9,560円だった、というようなケースです。金額としては数百円の話ですが、これをきちんと処理しないと売掛金がいつまでも消えずに残り、帳簿の残高が合わなくなってしまいます。

以下では、売上から差し引かれた振込手数料の記帳方法を、個人事業主・フリーランスの方向けに解説します。「売上値引で処理する方法」と「支払手数料で処理する方法」の違い、自分が手数料を負担して支払うときの考え方、消費税やインボイスとの関係まで、実務で迷いやすいポイントを整理します。差引入金の仕訳に自信を持てるようになります。

なぜ「差引入金」が起こるのか

振込手数料を誰が負担するかという商習慣

銀行振込には振込手数料がかかります。この手数料を支払う側(取引先)と受け取る側(あなた)のどちらが負担するかは、契約や商習慣によって異なります。多くの取引では「振込手数料は振り込む側の負担」とされますが、実務上は支払う側が手数料を差し引いてから振り込む慣行も根強く残っています。

この場合、請求額から手数料分を引いた金額が入金されるため、通帳の入金額と請求書の金額がぴったり一致しません。この差額をどう処理するかが、記帳でつまずきやすいポイントになります。

差額を放置すると何が困るのか

差額を処理しないまま入金額だけを売掛金の回収として記帳すると、売掛金に手数料分の端数がずっと残り続けます。1件あたりは数百円でも、取引が積み重なると帳簿上は「回収できていない売掛金」が膨らんでいきます。

  • 本当は完済しているのに、帳簿では未回収のままになる

  • 残高が合わず、決算のときに原因探しに時間を取られる

  • 取引先ごとの売掛金残高表が実態とずれてしまう

こうした事態を防ぐために、入金時に差額をきちんと処理しておくことが大切です。取引先ごとの売掛金残高を年齢表で管理する方法は、売掛金の年齢表(エイジング)で回収を管理する記帳実務が参考になります。

売上から引かれた手数料を記帳する2つの方法

方法1:売上値引(売上のマイナス)で処理する

1つ目は、差し引かれた手数料分を売上の減額(売上値引)として処理する方法です。取引先が手数料を負担せず、結果として自分が受け取る売上が手数料分だけ少なくなった、と考える捉え方です。たとえば売掛金11万円に対し、手数料440円が引かれて10万9,560円が入金された場合、次のように記帳します。

  • 普通預金 10万9,560円 / 売掛金 11万円

  • 売上値引(または売上高のマイナス)440円 / 売掛金 ―

つまり、入金10万9,560円と売上値引440円の合計で、売掛金11万円を消し込む形です。これにより売掛金は残らず、きれいにゼロになります。手数料を「自分が値引きした」と整理するため、経費としては計上しません。

方法2:支払手数料(経費)で処理する

2つ目は、差し引かれた手数料分を支払手数料という経費として処理する方法です。本来は取引先が負担すべき手数料を、自分が代わりに負担した(経費として支払った)と考える捉え方です。同じ例では次のようになります。

  • 普通預金 10万9,560円 / 売掛金 11万円

  • 支払手数料 440円 / 売掛金 ―

入金10万9,560円と支払手数料440円の合計で売掛金11万円を消し込みます。この場合、440円は経費として計上されるため、その分だけ利益が小さくなります。どちらの方法でも売掛金がきれいに消える点は同じですが、売上高と経費の金額の出方が変わります。

どちらを選べばよいか

結論として、どちらの方法でも最終的な利益(所得)は同じになります。方法1は売上が440円少なく、方法2は売上はそのままで経費が440円多くなるだけなので、差し引きの利益は一致するからです。実務では、計上の手間や消費税の考え方から判断します。一度決めた処理方法は、毎回同じルールで統一することが何より大切です。途中でルールがブレると、帳簿の整合性が取りにくくなります。毎回の差引入金の処理をルール化して回すのが手間なら、記帳代行にまとめて任せる方法もあります。

自分が手数料を負担して支払うときの処理

仕入や経費を振込で支払った場合

今度は逆に、自分が取引先へ振込で支払うときの話です。仕入代金や外注費などを銀行振込で支払い、その際に振込手数料を自分が負担した場合は、その手数料を支払手数料として経費に計上できます。たとえば外注費5万円を振り込み、振込手数料330円がかかった場合は、次のように記帳します。

  • 外注費 5万円 / 普通預金 5万330円

  • 支払手数料 330円 / 普通預金 ―

振込手数料は事業に関係する支出なので、事業用の支払いであれば経費になります。ネットバンキングの明細や通帳の記録が証拠になりますので、領収書がなくても記帳できます。

手数料を相手負担にしたとき(差し引いて振り込んだ場合)

取引先との合意で「手数料は受け取る側の負担」とし、自分が手数料を差し引いて支払うケースもあります。この場合は支払手数料を自分の経費にはせず、差し引いた金額をそのまま買掛金や未払金の消し込みに充てます。先ほどの売上側の処理を、支払う立場から見たものと考えるとイメージしやすいでしょう。いずれにせよ、契約や取引先とのやり取りで「手数料はどちらの負担か」をあらかじめ確認しておくことが、記帳のブレを防ぐ第一歩です。

消費税・インボイスとの関係

差し引かれた手数料と消費税の扱い

消費税の課税事業者の場合、売上から差し引かれた振込手数料をどちらの方法で処理するかによって、消費税の集計上の扱いが少し変わります。売上値引で処理すれば売上(課税売上)が減り、支払手数料で処理すれば課税仕入が増えるという違いです。免税事業者の方は消費税の計算自体が不要なため、まずは売掛金がきれいに消えること、利益が正しく出ることを優先して考えれば十分です。納税義務の免除の条件は、国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」で確認できます。

インボイス制度での実務上の論点

インボイス制度のもとでは、仕入税額控除を受けるために原則として適格請求書(インボイス)の保存が必要です。売上代金から差し引かれた振込手数料を「支払手数料」として処理し、その消費税分の控除を受けようとする場合、本来は手数料に対するインボイスが論点になります。インボイス制度の全体像は、国税庁の特集「インボイス制度」で確認できます。

こうした少額の手数料については、一定規模以下の事業者を対象に、一定金額未満の取引はインボイスの保存がなくても帳簿の記載のみで仕入税額控除を認める特例などが設けられています。ただし適用には要件があり、制度の細かな取り扱いは時期によって変わることもあります。判断に迷うときは、売上値引で処理しておくとインボイスの論点を避けられる、という考え方もあります。具体的な適用可否は、税務署や専門家に確認するのが安心です。

記帳ミスを防ぐためのチェックポイント

入金のたびに請求額と突き合わせる

差引入金のミスを防ぐ一番の基本は、入金があるたびに請求書の金額と実際の入金額を突き合わせることです。差額があれば、それが振込手数料相当なのか、値引きや相殺など別の理由によるものなのかを確認します。差額の理由を特定してから記帳する習慣をつけると、後からの原因探しがぐっと減ります。取引先ごとに請求書番号を振っておくと入金との照合が速くなります。番号の付け方は取引先ごとに請求書番号を管理する実務も参考にしてください。振込以外にカードや現金など複数の入金経路がある場合は、複数の入金経路がある事業の突合もあわせて整理しておくと安心です。

処理方法を社内(自分)のルールとして固定する

売上値引で処理するのか、支払手数料で処理するのかを、自分の中であらかじめ決めておきましょう。取引のたびに気分で変えると、帳簿の一貫性が失われます。会計ソフトを使っている場合は、差引入金の入力パターンを一度作って覚えさせておくと、毎回の入力がスムーズになります。

少額でも放置しない

「数百円だから」と差額を放置すると、売掛金の残高がじわじわとずれていきます。金額の大小にかかわらず、その都度きちんと消し込むことが、結果的に決算時の手間を大きく減らします。月末などに取引先ごとの売掛金残高を確認し、説明できない端数が残っていないかをチェックするとよいでしょう。

よくある質問

Q. 売上値引と支払手数料、どちらで処理しても税金は変わりませんか?

所得税の観点では、最終的な利益(所得)は基本的にどちらでも同じになります。売上が減るか経費が増えるかの違いだけで、差し引きの利益は一致するためです。ただし消費税の課税事業者の方は、課税売上や課税仕入の集計に影響するため、処理方法を統一しておくことが大切です。免税事業者の方は、まず売掛金が正しく消えることを優先して考えれば問題ありません。

Q. 振込手数料の領収書がありませんが、経費にできますか?

銀行振込の手数料は、通帳の記録やネットバンキングの利用明細が支払いの証拠になります。事業用の支払いであれば、領収書がなくてもこれらの記録をもとに支払手数料として経費に計上できます。明細はダウンロードして保存しておくと、後から見返すときに安心です。

Q. 売掛金に毎回数百円の端数が残ってしまいます。どうすればよいですか?

その端数は、差し引かれた振込手数料が消し込まれずに残っている可能性が高いです。入金額と請求額の差を確認し、売上値引または支払手数料として処理すれば、売掛金はきれいにゼロになります。すでに残ってしまっている端数も、原因が手数料分だと特定できれば、同じ方法で過去にさかのぼって消し込みできます。

差引入金で迷ったときの結論

売上から差し引かれた振込手数料は、「売上値引で処理する」か「支払手数料で処理する」かのどちらかで、入金額と差額を合わせて売掛金を消し込むのが基本です。最終的な利益はどちらでも同じになるので、大切なのは処理方法を統一し、入金のたびに請求額と突き合わせて差額の正体を見極めることです。少額でも放置せず、その都度消し込んでおけば、決算で残高が合わずに悩むこともなくなります。

とはいえ、入金1件ごとに請求書と通帳を突き合わせ、手数料分の差額まで正しく仕訳していく作業は、取引件数が増えるほど手間がかさみます。本業が忙しい中で、記帳から確定申告書類の作成までをすべて自分で行うのは、決して簡単なことではありません。記帳代行の現場でも、売掛金に残る端数の正体がわからないというご相談は少なくありません。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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