個人事業主のDX・デジタル化を後押しする補助金の選び方を解説
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税金

DX・デジタル化の補助金選びは「何のためにデジタル化したいか」を先に決めるのが近道です。個人事業主が使える代表的な制度の特徴から、補助率や自己負担の見方、申請準備、受給後の税務までを整理します。
「業務をデジタル化して効率を上げたい」と思っても、ソフトの導入費やパソコンの買い替えなど、まとまったお金がかかると一歩を踏み出しにくいものです。そんなときに頼りになるのが、国や自治体が用意しているDX・デジタル化向けの補助金です。とはいえ、似たような名前の制度がいくつもあり、「結局どれを使えばいいのか」と迷ってしまう方は少なくありません。
☑ 会計ソフトやネット販売を始めたいが、初期費用が高くて踏み出せない
☑ DX向けの補助金がいろいろあって、自分にどれが合うのか判断できない
☑ 申請手続きが難しそうで、忙しい中で準備しきれるか不安だ
個人事業主・フリーランスがDXやデジタル化に使える代表的な補助金の特徴と、自分に合った制度を選ぶための考え方を整理しました。補助金選びの全体像と、申請に向けて何から準備すればよいかがつかめるよう、順に見ていきましょう。
そもそもDX・デジタル化補助金とは何か
「補助金」と「助成金」の違い
補助金は、国や自治体が政策目的の達成のために、事業者の取り組みの費用の一部を支援してくれる制度です。多くの場合、決められた予算と募集期間の中で公募され、申請内容が審査されて採択された事業者だけが受け取れます。申請すれば必ずもらえるわけではない点が大きな特徴です。
一方、助成金は要件を満たせば原則として受給できるものが多く、雇用や労働環境に関する厚生労働省系の制度が代表例です。DX・デジタル化の文脈で語られるのは主に「補助金」で、審査を通過する必要があるという前提を押さえておきましょう。
個人事業主が対象になる制度は意外と多い
「補助金は法人向けで、個人事業主は対象外では」と思われがちですが、実際には個人事業主・フリーランスも申請できる制度がたくさんあります。会計ソフトやレジ、予約システムの導入、ホームページやネットショップの開設、業務効率化のためのツール導入など、デジタル化に関わる幅広い費用が対象になり得ます。
後払い(精算払い)が原則であることに注意
補助金の多くは、先に自分で費用を支払い、後から補助分が振り込まれる「精算払い」が基本です。つまり、いったんは全額を立て替える資金が必要になります。「採択されたらすぐお金がもらえる」と誤解すると資金繰りで困ることがあるため、自己資金や運転資金とのバランスを考えて計画することが大切です。
個人事業主が押さえておきたい代表的な補助金
IT導入補助金
IT導入補助金は、業務効率化やデジタル化のためのソフトウェア・サービス導入を支援する、DXとの相性が非常に良い制度です。会計ソフト、受発注システム、予約管理ツール、ECサイト構築サービスなど、あらかじめ登録された対象ツールの導入費用が補助の対象になります。個人事業主でも申請しやすく、まず検討候補に挙がりやすい補助金です。
申請にあたっては、制度に登録された「IT導入支援事業者(ベンダー)」とペアを組んで進めるのが基本です。導入したいツールを扱う支援事業者を探し、二人三脚で申請書類を整えていくイメージです。レジやインボイス対応システムをこの補助金で導入する具体的な流れはIT導入補助金でレジ・受発注を導入する方法で確認できます。
小規模事業者持続化補助金
小規模事業者持続化補助金は、販路開拓や業務効率化の取り組みを幅広く支援する制度で、個人事業主の利用が特に多い補助金です。ホームページやネットショップの制作、チラシ作成、店舗改装、デジタル広告の出稿などに加え、デジタル化の取り組みも対象に含まれます。
申請には、地域の商工会・商工会議所のサポートを受けながら「経営計画書」などを作成する流れが一般的です。普段から商工会議所と接点を持っておくと、相談しながら進めやすくなります。
自治体独自の補助金
国の制度だけでなく、都道府県や市区町村が独自に用意しているデジタル化・DX支援の補助金もあります。たとえばキャッシュレス導入支援、ホームページ作成補助、テレワーク環境整備の支援などです。
地元の事業者だけが使えるため、相対的に競争が緩やかなことがある
補助額は国の制度より小さめでも、要件がシンプルな場合がある
「(お住まいの市区町村名)+補助金+デジタル化」などで検索すると見つけやすい
国の補助金と併せて、自分の地域で使える制度がないかを確認しておくと選択肢が広がります。
自分に合った補助金の選び方
まず「何のためにデジタル化したいか」を言葉にする
補助金選びで最初にやるべきは、制度を探すことではなく、自分が解決したい課題をはっきりさせることです。「経理作業の時間を減らしたい」「新しい顧客に商品を届けたい」「予約の電話対応をなくしたい」など、目的が明確になるほど、合う制度を絞り込みやすくなります。
たとえば「経理を効率化したい」なら会計ソフト導入と相性の良いIT導入補助金、「ネット販売を始めたい」ならECサイト制作も対象にできる持続化補助金、といった具合に方向性が見えてきます。請求書の電子化から始めたい場合は請求書を電子化するときの実務、口座・カードの取り込みを自動化したい場合は銀行連携で記帳を自動化するしくみが、取り組みのイメージづくりに役立ちます。
補助率・補助上限額と「自己負担」を確認する
補助金は費用の全額が出るわけではなく、「補助率」と「上限額」が決まっています。補助率が2分の1なら、残りの半分は自己負担です。導入したいものの総額に補助率を掛けた金額が、おおよその受け取れる目安になります。
導入したい総額 × 補助率 = 受け取れる補助のおおよその額
総額 − 補助額 = 実際に自分が負担する金額
精算払いに備え、一時的に総額を立て替えられるかも確認する
「補助上限が高い=お得」とは限りません。自己負担額や立て替えの負担まで含めて、無理なく取り組める制度かどうかを判断しましょう。
募集期間とスケジュールに余裕があるか
補助金には公募期間があり、締切を過ぎると次の募集を待つことになります。申請書類の作成には時間がかかるため、興味のある制度を見つけたら、まず公募要領で締切と必要書類を確認することが重要です。締切間際に駆け込むと書類の精度が下がり、採択されにくくなる傾向があります。
申請でつまずかないための準備
公募要領を最初に読み込む
どの補助金にも「公募要領」という募集ルールをまとめた資料があります。対象者、対象経費、補助率、提出書類、スケジュールなど、必要な情報がすべてここに書かれています。やや分量が多く読みにくいと感じるかもしれませんが、ここを飛ばすと「対象外の経費を申請してしまう」「必要書類が足りない」といった失敗につながります。まずは公募要領を一通り確認することが、遠回りなようで一番の近道です。
事業の数字を整理しておく
多くの補助金では、申請時に売上や経費といった事業の状況を示す書類の提出を求められます。確定申告書の控えや決算書、青色申告決算書などが該当することが多く、日頃から帳簿がきちんと整っていると、申請準備がぐっとスムーズになります。複式簿記で記帳しておけば、最大65万円の青色申告特別控除(国税庁タックスアンサー「No.2072 青色申告特別控除」。国税庁)を受けられ、申請に使える数字もそのまま整います。逆に帳簿が後回しになっていると、申請前に過去分の整理に追われ、肝心の計画づくりに時間を割けなくなってしまいます。
相談できる窓口・専門家を活用する
補助金は制度ごとに要件が細かく、初めての方が独力ですべてを完璧に進めるのは簡単ではありません。商工会・商工会議所の経営相談、よろず支援拠点、税理士や認定経営革新等支援機関などの窓口を上手に活用しましょう。第三者の視点で計画を見てもらうことで、申請内容の説得力が高まり、採択の可能性も上がります。日々の記帳や帳簿づけそのものを手放したいときは、記帳代行という進め方もあります。
補助金を使うときに気をつけたいお金の話
補助金は原則として課税対象になる
受け取った補助金は、原則として事業所得などの計算上、収入(益金・総収入金額)に含まれ、課税の対象になります。「補助金だから税金はかからない」と思い込んでいると、後から想定外の税負担に驚くことがあります。受け取った年の所得が増える可能性を見込んでおきましょう。なお、補助金で購入した資産が一定額以上の場合は、その年に全額を経費にできず、減価償却として数年に分けて費用計上することになる点にも注意が必要です。
帳簿への記録と証拠書類の保管
補助金を受け取ったら、その入金や対象経費の支払いを帳簿に正しく記録し、見積書・契約書・請求書・領収書などの証拠書類を保管しておく必要があります。補助金には実績報告や、採択後一定期間の状況報告が求められるものも多く、書類の保管は義務であると同時に、自分の身を守ることにもつながります。
よくある質問
Q. 複数の補助金を同時に使うことはできますか?
同じ経費に対して複数の補助金を重複して受け取ることは、原則として認められていません。ただし、対象とする経費が異なれば、別々の制度を併用できる場合もあります。判断が難しいケースが多いため、併用を考えるときは各制度の公募要領を確認し、必要に応じて窓口や専門家に相談すると安心です。
Q. 開業したばかりでも補助金に申請できますか?
制度によって異なります。一定期間の事業実績や確定申告の実績を求める補助金がある一方で、創業まもない事業者や、これから開業する方を対象にした制度も存在します。「自分の状況で申請できるか」は、まず対象要件を確認するところから始めましょう。開業直後の方は、創業支援に力を入れている自治体の制度も探してみる価値があります。
Q. 採択されたら、すぐにお金が振り込まれますか?
多くの補助金は精算払いのため、すぐには振り込まれません。一般的には、採択後に対象の取り組みを実施し、費用を支払って実績を報告し、その内容が確認されてから補助金が交付される流れです。入金までには数か月かかることもあるため、立て替えに必要な資金をあらかじめ準備しておくことが大切です。
結論:補助金は「目的の明確化」と「日頃の備え」が鍵
DX・デジタル化の補助金は種類が多く、一見すると複雑に思えます。しかし、「何のためにデジタル化したいのか」という目的をはっきりさせ、補助率や自己負担、スケジュールを確認し、公募要領を丁寧に読み込むという順序で進めれば、自分に合った制度はきっと見つかります。そして、申請の土台になるのは日々の帳簿づけと確定申告です。数字が整っていることが、スムーズな申請とその後の報告を支えてくれます。
本業をこなしながら帳簿を整え、補助金の情報収集や申請準備まで進めるのは、決して小さな負担ではありません。記帳まわりは思い切って外部に任せ、空いた時間を事業の成長に使うのも賢い選択です。領収書丸投げドットコムは、領収書・請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、記帳から確定申告書類の作成までを代行します。帳簿が整っていれば、補助金の申請に必要な数字もすぐに用意でき、いざというときに慌てずに済みます。デジタル化に挑む前に足元の経理を整える方法を相談する(相談は無料です)。費用感を先に確認したい方は料金プランの一覧をご覧ください。
あわせて読みたい:補助金の実務完全ガイド|このテーマの全体像を1本にまとめて解説しています。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








