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クラウド保存でも電子帳簿保存法の要件を満...

2026/7/19

クラウド保存でも電子帳簿保存法の要件を満たす設定方法を解説

  • 税務

電子帳簿保存法は、クラウドに保存すること自体ではなく、データの真実性(改ざん防止)と可視性(検索・表示)を満たせているかを問う法律です。とりわけ電子取引のデータ保存は原則すべての事業者に義務づけられており、クラウド保存で要件を満たす設定と運用のポイントを整理します。

クラウドストレージや会計ソフトに書類を保存している個人事業主・フリーランスの方は増えています。ところが「ただクラウドに入れておけば大丈夫」と思っていると、電子帳簿保存法(電帳法)の要件を満たしていない、というケースが意外と多いのです。特に電子取引のデータ保存は対応が義務化されており、放置はできません。

☑ 請求書や領収書をクラウドに保存しているが、これで電子帳簿保存法を守れているのか自信がない

☑ 「検索要件」「タイムスタンプ」と言われても、何をどう設定すればよいのか具体的にわからない

☑ メールやネット通販で受け取った電子データの保存方法が、人によって言うことが違って混乱している

このコラムでは、クラウド保存を前提にしながら、電子帳簿保存法の要件をどう満たすのか、その設定や運用のポイントを整理します。自分の保存方法に足りないものは何か、何を整えればよいのかを、具体的に確認していきましょう。

電子帳簿保存法とクラウド保存の関係をまず整理

電子帳簿保存法は大きく3つの区分に分かれる

電子帳簿保存法は、帳簿や書類を電子データで保存することを認める法律です。内容は大きく次の3つの区分に分かれています。区分ごとに求められる要件が違うため、まず自分がどの区分の話をしているのかを意識することが大切です。

  • 電子帳簿等保存:会計ソフトなどで最初から電子的に作成した帳簿・決算書類を、そのまま電子データで保存する

  • スキャナ保存:紙で受け取った領収書や請求書をスキャンや撮影で画像データにして保存する

  • 電子取引のデータ保存:メール添付やネット通販など、最初から電子でやり取りした取引データを電子のまま保存する

このうち、電子帳簿等保存とスキャナ保存は「紙の代わりに電子で保存してもよい」という任意の制度です。一方で電子取引のデータ保存は、原則としてすべての事業者に対応が義務づけられている点が最大の注意点です。クラウド保存がよく問題になるのは、主にこの電子取引の場面です。

クラウドに入れること自体は手段にすぎない

「クラウドに保存している」というのは、あくまで保存場所の話です。電子帳簿保存法が求めているのは、保存場所そのものではなく、保存したデータが後から改ざんされていないこと(真実性)と、必要なときにすぐ取り出せること(可視性・検索性)の2つです。クラウドストレージや会計ソフトのクラウド機能は、これらの要件を満たしやすくする便利な道具ですが、入れただけで要件をクリアできるわけではありません。設定と運用ルールがそろって初めて要件を満たせる、と理解しておきましょう。

個人事業主が特に気をつけたい場面

個人事業主やフリーランスの取引は、Web請求書の発行、ネット通販での備品購入、各種サービスのオンライン明細など、電子でやり取りするものが中心になりがちです。これらはすべて電子取引に当たり、受け取ったデータを紙に印刷して保存するだけでは原則として認められません。電子で受け取ったものは電子のまま保存する、という基本を押さえておくことが第一歩です。

クラウド保存で満たすべき2つの柱:真実性と可視性

真実性の確保(改ざん防止)

真実性とは、保存したデータが後から書き換えられていないことを担保する仕組みです。電子取引データの場合、次のいずれかの方法で真実性を確保することが求められます。クラウド保存の場合は、自分の運用に合うものを選びます。

  • データの授受後、速やかにタイムスタンプを付与する

  • 訂正・削除の履歴が残る、または訂正・削除ができないシステムでデータを保存・管理する

  • 訂正・削除の防止に関する事務処理規程をあらかじめ定めて、その規程に沿って運用する

近年は、データの修正履歴が自動で残るクラウド型の会計ソフトや書類管理サービスを使う方法が現実的です。こうしたシステムを使えば、利用者がタイムスタンプを意識しなくても真実性を満たせる設計になっているものが多くあります。システムを使わない場合は、事務処理規程を作って運用する方法でも対応できます。

可視性の確保(検索と表示)

可視性とは、保存したデータを税務調査などの際にすぐ探し出して、画面や書面で確認できる状態にしておくことです。具体的には、パソコンやディスプレイ、プリンタといった出力できる環境を整えたうえで、後述する検索要件を満たす必要があります。クラウド保存であっても、必要な書類を素早く取り出して見せられる状態になっているかが問われます。

「ただ放り込む」と要件を満たせない理由

クラウドストレージにファイルを次々と保存していくだけでは、ファイル名がバラバラで目的の書類を探せなかったり、誰でも自由に上書き・削除できてしまったりします。これでは検索性も改ざん防止も担保できません。保存のルールを決めて、その通りに運用することが、クラウド保存で要件を満たすための核心です。

検索要件をクラウドで満たす具体的な設定

求められる3つの検索条件

電子取引データの検索要件として、原則として次の条件で検索できる状態が求められます。これがクラウド保存でつまずきやすい代表的なポイントです。

  • 取引年月日その他の日付で検索できる

  • 取引金額で検索できる

  • 取引先で検索できる

さらに、日付や金額については範囲を指定して検索できること、複数の項目を組み合わせて検索できることも本来の要件です。会計ソフトや専用の書類管理サービスなら、これらの検索機能が標準で備わっているため、要件を意識せずに満たせる場合が多くあります。

ファイル名で検索性を確保する方法

専用システムを使わず、一般的なクラウドストレージで保存する場合は、ファイル名の付け方を工夫するのが定番のやり方です。たとえば「日付・取引先・金額」を一定のルールでファイル名に入れておくと、ファイル名検索で目的の書類にたどり着けます。具体的には、次のような名前の付け方が分かりやすいでしょう。

  • 例:20XX0410_〇〇商店_33000.pdf(日付+取引先+金額)

  • 年や月ごとにフォルダを分けて整理する

  • 取引先名や日付の表記ルールを自分の中で統一しておく

このルールに加えて、保存したデータの一覧(索引簿)を表計算ソフトなどで作成し、日付・金額・取引先で検索できるようにしておく方法もあります。メールで届いたPDFの領収書をどう保存するかはPDF領収書の保存もあわせて確認しておくと迷いにくくなります。

小規模な事業者向けの検索要件の緩和

基準期間(おおむね2年前)の売上高が一定規模以下の小規模な事業者などについては、税務調査の際にデータをきちんと提示できることを条件に、検索要件そのものが不要とされる取扱いがあります。多くの個人事業主はこの対象になり得ますが、適用の可否や金額基準は状況によって変わるため、自分が当てはまるかどうかは国税庁の最新情報や専門家に確認するのが安全です。緩和される場合でも、データ自体をきちんと保存し、求めに応じて出せる状態にしておくことは変わらず必要です。検索要件や保存ルールの管理に手が回らないときは、記帳と書類保存をまとめて任せる方法もあります。

区分別の運用ポイントと注意点

電子取引データは「電子のまま」が大原則

メールに添付された請求書PDF、ネット通販の領収書データ、Web上の利用明細などは、すべて電子取引データです。これらを紙に印刷して紙だけで保存する方法は、原則として認められません。受け取った電子データそのものを、要件を満たす形でクラウドなどに保存する必要があります。紙の控えを併用するのは構いませんが、電子データの保存を省略しないようにしましょう。

スキャナ保存を使うときの留意点

紙で受け取った領収書を撮影・スキャンしてクラウドに保存し、紙を処分したい場合は、スキャナ保存の要件を満たす必要があります。スキャナ保存には、解像度や階調に関する一定の基準、速やかに保存する期限の目安、検索要件など、電子取引よりやや細かい条件があります。要件の詳細は電子帳簿保存法のスキャナ保存の実務、スマホで撮影して運用する方法はスマホ撮影でのスキャナ保存の運用にまとめています。スキャナ保存はあくまで任意の制度なので、対応が難しければ紙のまま保管し続けても問題ありません。自分の手間と相談しながら、無理のない範囲で取り入れましょう。

保存期間とバックアップ

電子データであっても、帳簿書類の保存期間は紙の場合と基本的に同じ考え方です。個人事業主の青色申告では、帳簿や決算関係書類を一定年数保存する必要があり、その基本は国税庁タックスアンサーNo.2070「青色申告制度」で確認できます。領収書などもこれに準じます。クラウド保存は便利な一方で、サービスの解約やアカウントの不具合でデータにアクセスできなくなるリスクもあります。別の場所へのバックアップもあわせて検討しておくと安心です。

よくある質問

Q. 受け取ったPDFを印刷して紙で保管すれば、電子データは消してもよいですか?

いいえ、電子取引で受け取ったデータは、原則として電子のまま要件を満たす形で保存する必要があります。紙に印刷した控えを手元に置くのは構いませんが、それをもって電子データを削除してしまうと、保存義務を果たしたことにはなりません。受け取った電子データは消さずに、検索できる状態で保存しておきましょう。

Q. 普段使っているクラウドストレージだけで要件を満たせますか?

満たせる場合もありますが、工夫が必要です。一般的なクラウドストレージは保存場所としては使えますが、検索要件や改ざん防止は自動では満たされません。ファイル名のルール化、索引簿の作成、上書き・削除を防ぐ運用ルールや事務処理規程の整備などを組み合わせて、初めて要件を満たせます。手間を減らしたい場合は、電帳法に対応した会計ソフトや書類管理サービスの利用が現実的です。

Q. 個人事業主でも本当に対応しなければいけませんか?

はい、電子取引のデータ保存は、事業規模にかかわらず原則としてすべての事業者が対象です。ただし、小規模な事業者には検索要件が不要になるなどの緩和措置があり、負担はある程度抑えられます。「自分は小規模だから関係ない」と考えるのではなく、データを電子のまま保存し、求められたら提示できる状態にしておくことが大切です。

今日から整える|クラウド保存は設定とルールで要件を満たす

電子帳簿保存法は、クラウドに保存すること自体ではなく、保存したデータの真実性(改ざん防止)と可視性(検索・表示)を確保できているかを問う法律です。とりわけ電子取引のデータ保存は原則として対応が義務づけられており、電子で受け取ったものは電子のまま、検索できる形で保存する、というのが基本になります。ファイル名のルール化や事務処理規程の整備、あるいは電帳法に対応したクラウドサービスの活用で、要件は十分に満たせます。

ただ、日々の取引をこなしながら検索要件や保存ルールまで自分で管理し続けるのは、決して軽い負担ではありません。設定を一度整えても、運用が崩れてしまえば要件を満たせなくなることもあります。本業に集中するためにも、記帳と書類保存の仕組みづくりはプロに任せてしまうのも賢い選択です。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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