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中小企業投資促進税制を個人事業主が使う|...

2026/7/18

中小企業投資促進税制を個人事業主が使う|対象設備と特別償却・税額控除を解説

  • 税金

中小企業投資促進税制は、青色申告をしている個人事業主も対象になる設備投資の優遇制度です。対象設備を取得して事業に使うと、その年に特別償却か税額控除のどちらかを選んで税負担を抑えられます。対象や条件、選び方を整理します。

機械やソフトウェアなど、まとまった設備投資をする場面で知っておきたい制度です。「中小企業」という名前から法人向けと思われがちですが、一定の条件を満たせば個人事業主も使えます。対象設備や条件、二つの優遇の選び方を、順を追って確認していきましょう。

☑ 機械や設備を買ったときに使える節税の制度があると聞いたが、自分のような個人事業主でも対象になるのかわからない

☑ 「特別償却」と「税額控除」のどちらを選べばよいのか、違いが理解できていない

☑ 青色申告だから使えそうな気はするが、対象になる設備や金額の条件がはっきりしない

事業を続けていると、思い切って機械を入れ替えたり、業務用のソフトウェアを導入したりと、まとまった設備投資をする場面が出てきます。そんなときに知っておきたいのが「中小企業投資促進税制」です。法人向けの制度というイメージを持たれがちですが、実は一定の条件を満たした個人事業主も対象になります。

ここからは、中小企業投資促進税制の基本的な仕組みと、個人事業主が使うための条件、対象になる設備、そして「特別償却」と「税額控除」の選び方を、できるだけかみ砕いて見ていきます。自分の設備投資がこの制度に当てはまりそうか、判断の入り口にしてください。

中小企業投資促進税制とは?まず制度の全体像をつかみましょう

設備投資を後押しするための税の優遇制度

中小企業投資促進税制は、中小企業者などが一定の機械や設備を取得したときに、税負担を軽くしてくれる優遇制度です。設備投資は事業を伸ばすために欠かせない一方で、まとまった資金が必要になります。そこで、生産性を高めるための投資をしやすくする目的で、税の面から後押しする仕組みが用意されているのです。まとまった資金を借入で賄う場合は、まとまった借入を返済する年の資金繰りと節税の考え方もあわせて押さえておくと、投資と返済のバランスをとりやすくなります。

この制度の特徴は、対象となる設備を取得した年に「特別償却」か「税額控除」のどちらかを選べる点にあります。どちらも納める税金を抑える効果がありますが、効き方が異なります。後ほど詳しく説明しますが、まずは「設備を買うと、その年の税金で有利になる選択肢が用意されている制度」とイメージしておきましょう。

個人事業主も対象になる

「中小企業」という名前から法人だけの制度と思われがちですが、青色申告をしている個人事業主も対象に含まれます。会社を設立していなくても、事業として機械や設備を導入したのであれば、検討する価値のある制度です。

ただし、誰でも無条件に使えるわけではありません。事業の規模や青色申告であること、対象となる設備の種類や金額など、いくつかの要件を満たす必要があります。次の章から、その条件を順番に見ていきましょう。

適用には期限があるという前提

この種の投資減税は、あらかじめ適用できる期間が区切られているのが一般的です。期間が延長されたり、対象や条件が見直されたりすることもあるため、実際に使うときには、その時点で制度が有効かどうかと、最新の要件を確認することが欠かせません。制度の最新の内容や中小企業向けの施策は、支援サイトJ-Net21などでも確認できます。具体的な適用にあたっては、国税庁や中小企業庁の最新情報、または専門家への確認をおすすめします。

個人事業主が使うための条件

青色申告をしていること

中小企業投資促進税制は、青色申告を行っている事業者が対象です。白色申告では適用を受けられないため、まずは青色申告の承認を受けていることが出発点になります。これから設備投資を検討している白色申告の方は、早めに青色申告へ切り替えておくと、こうした優遇制度の選択肢が広がります。青色申告制度の概要は国税庁No.2070「青色申告制度」で確認できます。

青色申告には、最大65万円の青色申告特別控除をはじめとした特典が複数あります。投資促進税制のような設備投資の優遇も、その一つと位置づけて考えるとよいでしょう。

事業規模・業種の要件

この制度は、中小企業者などを対象としています。個人事業主の場合は、常時使用する従業員の数が一定以下であることなどが目安になります。また、対象となる事業(業種)にも一定の範囲があり、製造業や建設業、サービス業など幅広い業種が含まれる一方で、対象外とされる事業もあります。

  • 青色申告をしている個人事業主であること

  • 常時使用する従業員数など、規模に関する要件を満たすこと

  • 営んでいる事業が、対象となる業種に含まれること

自分の事業が対象業種かどうかは、判断に迷う場面も少なくありません。微妙なケースでは、思い込みで進めず確認することが大切です。

「取得して、事業に使う」ことが前提

優遇を受けられるのは、対象設備を取得し、実際に事業のために使い始めた場合です。単に契約しただけ、注文しただけでは足りず、その設備を事業で使える状態にして使用を開始すること(事業の用に供すること)が条件になります。年末ぎりぎりに購入した設備は、使い始めた時期によって、その年に適用できるかどうかが変わる点に注意しましょう。

対象になる設備の種類と金額のめやす

機械や装置などが中心

対象となる設備の中心は、事業に使う機械や装置です。製造業の生産設備や加工機械などが代表例で、これらは比較的高額になりやすいため、設備の種類ごとに「一定金額以上のもの」という金額の基準が設けられています。少額の備品まですべてが対象になるわけではない、という点を押さえておきましょう。

金額の基準は設備の種類によって異なります。高額な機械装置のほか、一定の工具や器具備品、ソフトウェアなども、種類ごとに定められた金額以上であれば対象に含まれることがあります。自分が導入しようとしている設備がどの区分に当たるのかを整理することが、判断の第一歩です。

ソフトウェアや一部の車両なども

  • 一定金額以上の機械および装置

  • 一定の要件を満たす工具・器具備品

  • 事業に使うソフトウェア(一定金額以上のもの)

  • 一定の貨物用車両や、特定の用途の船舶 など

このように、対象は機械装置だけにとどまりません。たとえば業務効率化のために導入する一定金額以上のソフトウェアなども、要件を満たせば対象になり得ます。一方で、事務机やパソコン1台といった少額の備品は、金額の基準に届かず対象外となるのが通常です。少額の備品でも、青色申告なら30万円未満の資産を一括で経費にできる別の特例があります。使い分けの目安は少額減価償却資産の特例と年間300万円の上限管理で確認できます。

中古や貸付け目的のものは原則対象外

新たに取得する設備が前提となるため、中古で取得した設備は原則として対象外とされています。また、自分の事業で使うのではなく、他者に貸し付けることを主な目的とした設備も、原則として対象になりません。「自分の事業のために、新しく設備を導入する」という基本の形に当てはまるかどうかを、まず確認しましょう。

特別償却と税額控除、どちらを選ぶ?

特別償却とは

特別償却は、通常の減価償却に上乗せして、取得した年に多めに経費(減価償却費)を計上できる仕組みです。設備の費用は本来、耐用年数に応じて何年かに分けて経費にしていきますが、特別償却を使うと、初年度に上乗せして大きく経費化できます。

その年の経費が増えるぶん、所得が圧縮され、税金が軽くなります。ただし注意したいのは、これは経費にできる総額が増えるわけではなく、経費にするタイミングを前倒しするという性質である点です。早く経費にできる効果は大きい一方、翌年以降の減価償却費はそのぶん少なくなります。

税額控除とは

もう一方の税額控除は、計算した所得税額そのものから、一定割合を直接差し引く仕組みです。経費を増やして所得を減らすのではなく、税額から直接マイナスするため、効果が分かりやすいのが特徴です。

税額控除は、特別償却のように経費の前倒しではなく、純粋に税負担そのものを減らす効果があります。ただし、差し引ける金額にはその年の税額に対する上限が設けられているのが一般的で、控除しきれなかった分の扱いにも一定のルールがあります。どちらを選ぶ場合も、対象になる事業者の範囲が制度ごとに異なることがある点には注意が必要です。

選び方の考え方

  • その年にとにかく税負担を抑えたい・資金繰りを楽にしたいなら、初年度に大きく経費化できる特別償却が向いていることがあります

  • 長い目で見て、総合的な税負担を軽くしたいなら、税額そのものを減らす税額控除が有利になることがあります

どちらが得かは、その年と翌年以降の所得の見通し、ほかの控除の状況などによって変わります。数年単位で考えないと判断しにくいため、迷ったときは早い段階で専門家に相談すると安心です。なお、一つの設備について特別償却と税額控除の両方を同時に使うことはできず、どちらか一方を選ぶのが原則です。

適用を受けるときの実務上の注意点

確定申告書への記載と明細の添付

この制度の適用を受けるには、確定申告のときに必要な明細書を作成し、申告書に添付して申告することが求められます。設備の取得価額や、特別償却額または税額控除額を計算した内容を、所定の様式に記載します。記載や添付を忘れると、せっかく条件を満たしていても適用を受けられないことがあるため、申告の準備段階から意識しておきましょう。設備の取得記録の管理や明細作成に不安があるなら、日々の帳簿ごと任せる記帳代行という方法もあります。

取得時期と事業供用時期の記録を残す

いつ設備を取得し、いつから事業に使い始めたのかは、適用の可否を左右する重要な情報です。契約書や請求書、納品書、設置・稼働の記録などを整理して残しておきましょう。とくに年度をまたぐ時期の設備投資は、どちらの年に適用できるかが変わるため、日付のわかる書類をきちんと保管しておくことが大切です。

ほかの優遇制度との関係を確認する

設備投資に関する税の優遇制度は、中小企業投資促進税制のほかにもいくつか存在します。また、税の優遇だけでなく補助金による支援もあり、人手不足への対策なら中小企業省力化投資補助金のような制度も選択肢になります。同じ設備について複数の制度を重ねて使うことには制限がある場合が多いため、ほかの制度との関係を整理したうえで、自分にとって最も有利な選択を見極める必要があります。制度ごとに対象設備や要件が少しずつ異なるので、混同しないように注意しましょう。

よくある質問

Q. 法人ではなく個人事業主でも、本当に使えるのですか?

はい、青色申告をしているなど一定の要件を満たす個人事業主であれば、対象になります。「中小企業」という名称から法人専用と思われがちですが、個人事業も含まれる制度です。ただし、事業規模や業種、対象設備の条件を満たす必要があるため、自分のケースが当てはまるかは個別に確認しましょう。

Q. パソコンやスマートフォンを買った場合も対象になりますか?

設備の種類ごとに金額の基準が定められているため、1台数万円程度のパソコンなど少額のものは、基準に届かず対象外となるのが一般的です。一方、一定金額以上のソフトウェアや、まとまった金額の機械装置などは対象に含まれることがあります。金額と設備の区分の両面から確認することが大切です。

Q. 特別償却と税額控除は、後から選び直せますか?

原則として、その設備を事業に使い始めた年の確定申告でどちらを適用するかを選び、申告します。一つの設備について両方を同時に使うことはできません。判断に迷う場合は、申告の前、できれば設備投資を決める段階で、数年先までの見通しを踏まえて検討しておくとよいでしょう。

まとめ|設備投資の前に「使える優遇」を知っておく

中小企業投資促進税制は、青色申告をしている個人事業主も対象になり得る、設備投資のための優遇制度です。対象となる機械装置やソフトウェアなどを取得して事業に使い始めると、その年に「特別償却」か「税額控除」のどちらかを選んで税負担を抑えられます。特別償却は経費の前倒し、税額控除は税額そのものの軽減という違いを押さえ、自分の事業の見通しに合った選択をすることがポイントです。

とはいえ、対象設備の判定や金額の基準、明細書の作成、ほかの制度との比較まで含めて自分一人で正確に進めるのは、本業が忙しい中では骨の折れる作業です。条件を一つ取り違えただけで適用が受けられないこともあるため、設備投資のタイミングこそ、記帳から申告までを整えておきたい場面といえます。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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