キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースとは?非正規の賃上げで使う方法を解説
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税金

キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、パートや契約社員など非正規雇用の従業員の基本給を規定ごと引き上げた事業主に支給される助成金です。正社員化コースとは別に、賃上げそのものを後押しする枠です。対象・支給額・申請の流れを、従業員を雇う個人事業主向けに整理します。
物価高が続くなか、パートやアルバイトの時給を上げたいと考える事業者は増えています。とはいえ賃上げは固定費の増加に直結するため、簡単には踏み切れません。キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、非正規の賃上げに取り組む事業主を支える制度です。正社員化コースとの違いも含めて理解しておきましょう。
☑ パート・契約社員の時給を上げたいが、負担増が気がかりだ
☑ キャリアアップ助成金は正社員化だけでなく賃上げにも使えると聞いた
☑ 賃金規定等改定コースの対象や支給額、申請の流れを知りたい
以下では、賃金規定等改定コースの対象と要件、支給額の目安、申請から支給までの流れ、そして正社員化コースとの違いを整理します。非正規の待遇改善を考える個人事業主の参考にしてください。
賃金規定等改定コースとは?非正規の賃上げを支える枠
キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースとは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者といった非正規雇用の従業員について、基本給の賃金規定等を改定して一定割合以上引き上げた事業主に、その取り組みに応じて助成金を支給する制度です。非正規の待遇改善と賃上げを後押しするのが目的です。
ポイントは「規定を改定して3%以上増額」
このコースの特徴は、個別に手当を足すのではなく、賃金規定等を改定して基本給を3%以上引き上げる点にあります。すべての非正規従業員を対象にする方法と、職種別・雇用形態別など一部を対象にする方法があり、対象人数などに応じて支給額が決まります。
個人事業主も対象になる
非正規の従業員を雇い、雇用保険の適用事業になっている個人事業主も対象になり得ます。まずは自分の事業に対象になる非正規従業員がいるかを確認しましょう。キャリアアップ助成金の全体像は厚生労働省のキャリアアップ助成金の公式案内で確認できます。制度全体の探し方は個人事業主が使える補助金・助成金の探し方にまとめています。
正社員化コースとの違い
キャリアアップ助成金には複数のコースがあり、よく知られているのが非正規を正社員に転換する「正社員化コース」です。賃金規定等改定コースは、雇用形態を変えずに賃金水準を引き上げる点で正社員化コースと目的が異なります。
2つのコースの比較
項目 | 正社員化コース | 賃金規定等改定コース |
|---|---|---|
取り組み | 非正規を正社員に転換 | 非正規の基本給を規定ごと引上げ |
目的 | 雇用の安定・キャリアアップ | 賃上げ・待遇改善 |
向いている場面 | 戦力を正社員として囲い込みたい | 雇用形態は変えず処遇を上げたい |
「正社員にはしないが待遇は上げたい」という場合は賃金規定等改定コース、「戦力を正社員として定着させたい」場合は正社員化コースが向いています。状況に応じて使い分けることが大切です。非正規の正社員化について詳しくは、パート従業員の正社員化に関する既存の解説もあわせてご覧ください。
賃上げは一度上げると下げにくい
賃金規定を改定して引き上げた基本給は、原則としてその後も維持する前提で計画を立てる必要があります。売上や資金繰りに無理のない範囲で、継続できる賃金水準を設定することが重要です。人を雇う個人事業主の保険・労務まわりは社会保険・労働保険の加入が要件になる助成金への対応で確認できます。
申請から支給までの流れ
賃金規定等改定コースは「キャリアアップ計画の作成・提出 → 賃金規定の改定と引上げの実施 → 一定期間の支給 → 支給申請 → 支給」という流れです。取り組みの前にキャリアアップ計画を提出しておくことが前提になります。
大まかなステップ
①キャリアアップ計画の作成・提出:取り組み前に労働局へ提出し確認を受ける
②賃金規定の改定:就業規則や賃金規定を改定し、基本給を3%以上引き上げる
③引上げ後の賃金支払い:改定後の賃金を一定期間支払う
④支給申請:賃金台帳、就業規則、改定前後の賃金がわかる書類を添えて申請
⑤審査・支給:内容が確認されると助成金が支払われる
助成金は賃上げを実施し一定期間支払った後の申請・支給になる後払いです。引上げ分の賃金は先に負担する必要があるため、資金繰りを見込んでおきましょう。物価高のなかでの賃上げと節税・資金繰りの両立という観点も、経営判断の材料になります。
受け取った助成金の税務
助成金は原則として事業所得の収入に計上し、課税対象になります。引き上げた賃金は人件費、受け取る助成金は収入として、それぞれ分けて処理します。経理処理は補助金・助成金を受け取ったときの税金と処理を参考にしてください。従業員が増えて経理の項目が多くなってきたら、賃上げ後に増える経理を任せる記帳代行もご検討ください。
よくある質問
Q. 一部のパートだけ賃上げしても対象になりますか?
賃金規定等改定コースには、すべての対象者を引き上げる方法と、職種別・雇用形態別など一部を対象に引き上げる方法があります。一部を対象にする場合でも、賃金規定等を改定して基本給を要件どおり引き上げることが条件です。どの範囲で改定するかは、計画づくりの段階で決めておきましょう。
Q. 時給を上げるだけで規定を変えなくても大丈夫ですか?
このコースは「賃金規定等を改定して」基本給を引き上げることが要件です。規定を変えずに個別に時給を上げるだけでは、要件を満たさない場合があります。就業規則や賃金規定の改定とセットで進めることが重要になります。
Q. 賃上げした後に業績が悪化して減額したらどうなりますか?
引き上げた賃金を支給要件の期間中に減額すると、支給要件を満たさなくなるおそれがあります。賃上げは継続を前提に計画する必要があるため、無理のない水準に設定することが大切です。将来の資金繰りも見据えて判断しましょう。
まとめ|雇用形態を変えずに待遇を上げる選択肢
キャリアアップ助成金の賃金規定等改定コースは、非正規従業員の基本給を規定ごと3%以上引き上げた事業主を支える制度で、正社員化コースとは目的が異なります。従業員を雇う個人事業主でも対象になり得て、「計画を先に提出する」「規定を改定して引き上げる」「引上げを継続する」という流れが受給の前提です。物価高のなかで待遇改善を進めたいときの現実的な選択肢になります。
助成金の申請では、就業規則や賃金台帳、改定前後の賃金がわかる書類など、日々の記録の正確さが問われます。人を雇うほど、賃金や社会保険まわりの経理の項目は増えていきます。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








