葬儀社・湯灌師など葬祭業の確定申告|施行収入・外注費・立替金の処理を解説
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確定申告

葬祭業の確定申告は、1件の施行で動くお金を「自社サービスの売上」「外注費・仕入」「立替金」の3つに分けるのが要点です。施行収入のとらえ方、外注費と立替金の違い、計上のタイミングを、実務に沿って整理します。
葬儀社や湯灌師、納棺師、葬祭ディレクターとして個人で活動していると、1件の施行のなかに自社のサービス料金、外部に支払う外注費、ご遺族から預かって支払う立替金などがまとめて動きます。お金の出入りが複雑なうえに、深夜・早朝の対応も多く、帳簿づけまで手が回らないという方は少なくありません。
☑ 個人で葬儀を請け負っているが、施行料金のどこまでを売上にすればよいかわからない
☑ 湯灌や納棺、司会などを外注したときの費用や、立替えた火葬料・お布施の扱いに迷う
☑ 件数が多い月と少ない月の差が大きく、毎年の確定申告でいつも数字が合わなくなる
ここでは、葬祭業を個人で営む方の確定申告について、施行収入のとらえ方、外注費と立替金の違い、計上のタイミングといった実務のポイントを具体的に整理します。1件の葬儀のお金をどう分けて帳簿に落とせばよいか、全体像がつかめるようになるはずです。
葬祭業の確定申告で最初におさえたい全体像
個人で葬祭業を営む人は事業所得で申告する
葬儀社の経営者、フリーランスの湯灌師・納棺師、独立した葬祭ディレクター、葬儀の司会者などとして個人で継続的に報酬を得ている場合、その所得は原則として事業所得になります。1年間(1月1日〜12月31日)の収入から必要経費を差し引いて所得を計算し、確定申告書とあわせて青色申告決算書または収支内訳書を提出する流れです。
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までです。所得税の納付期限も原則として同じ日になります。葬祭業は繁忙の波が読みにくい仕事ですが、申告の準備は1年分の帳簿を早めに整えておくほどラクになります。
葬祭業ならではの会計の難しさ
葬祭業の確定申告がややこしく感じられるのは、1件の施行のなかに性質の違うお金が混ざるからです。
自社が提供する祭壇・式場・人件費などのサービス料金(売上)
湯灌・生花・料理・返礼品などを外部業者に支払う外注費・仕入
火葬料やお布施など、ご遺族の代わりに立替えて支払うお金(立替金)
これらを区別せずに「入ってきたお金が売上、出ていったお金が経費」とざっくり処理してしまうと、所得が実態より大きく見えたり、逆に経費を二重に数えてしまったりします。まずはこの3種類を分けて考えることが出発点です。
施行収入(売上)のとらえ方
どこまでを売上に計上するか
売上に計上するのは、自社が提供したサービスの対価です。葬儀一式のプラン料金、祭壇や式場の使用料、自社スタッフの人件費にあたる部分、追加オプションの料金などが該当します。生前契約や互助会の積立に関わる取り扱いがある場合は、その入金がどの施行のどのサービスに対応するのかを意識して整理しましょう。
ここで注意したいのが、ご遺族から預かって支払う火葬料やお布施などの立替金です。これらは自社の収入ではないため、原則として売上には含めません(後述します)。請求書を「自社サービス料金」と「立替分」に分けて記載しておくと、後の帳簿づけがぐっと楽になります。
売上を計上するタイミング
売上は、入金された日ではなく、原則としてサービスの提供が完了した日に計上します。これを発生主義といいます。葬祭業の場合は、葬儀・告別式の施行が終わった時点で売上が確定すると考えるのが基本です。
葬祭業では、施行は年内に終わったものの、ご遺族からの入金が年明けになるケースがよくあります。発生主義では、入金が翌年でも施行が終わった年の売上として計上します。12月に施行した分は、年末の段階で売掛金として帳簿に残し、申告に含める必要があります。年をまたぐ件は計上漏れが起きやすいので、特に注意しましょう。
キャンセル・値引き・分割受領の扱い
契約後にプラン内容が変更されたり、一部が値引きされたりした場合は、最終的に確定した金額を売上とします。手付金や内金を先に受け取り、残金を後から受け取る分割受領のケースでは、受け取ったお金をいったん預り金などで管理し、施行完了時に売上へ振り替えると整理しやすくなります。いずれの場合も、契約書や見積書、最終的な請求書を残しておくことが大切です。
外注費と仕入の処理
葬祭業で発生しやすい外注費・仕入
葬祭業では、自社だけですべてをまかなうことは少なく、多くの工程を外部に頼みます。代表的なものは次のとおりです。
湯灌・納棺の専門業者への委託費
生花・花環、祭壇装飾の手配費用
料理・返礼品・会葬礼状などの仕入
霊柩車・マイクロバスなど車両の手配費用
司会・スタッフの応援を外部に依頼した際の報酬
これらは、自社が売上を得るために直接かかった費用ですので、外注費や仕入として必要経費に計上できます。施行ごとに「この件でいくら外注したか」をメモしておくと、件数が増えても対応関係を追いやすくなります。
外注費と給与の違いに注意
葬祭業では、繁忙時に手伝ってもらう人への支払いが「外注費」なのか「給与」なのかが問題になりやすい点です。独立した事業者に仕事として委託したものは外注費、自社の指揮命令のもとで働いてもらう従業員への支払いは給与にあたるのが基本的な考え方です。両者は税務上の扱いが異なり、源泉徴収や消費税の取り扱いにも影響します。判断に迷う場合は、契約の形や働き方の実態を整理し、必要に応じて専門家に確認すると安心です。
支払調書・領収書の保管
外注先に支払った費用は、請求書や領収書、振込記録をそろえて保管します。個人の専門家に報酬を支払う場合は、源泉徴収が必要になることもあります。個人への謝金と源泉徴収の考え方は、医療通訳・コーディネーターの確定申告で扱う謝金の処理も参考になります。誰に・いつ・何の対価としていくら支払ったかがわかる資料を残しておくと、経費として認められやすくなり、後で見返すときにも役立ちます。
立替金の正しい処理
立替金とは何か
立替金とは、本来ご遺族が負担すべき費用を、葬儀社がいったん代わりに支払い、後でその分を受け取るお金のことです。葬祭業で典型的なのは、火葬場へ支払う火葬料、寺院へのお布施、戒名料、式場の使用料などをご遺族に代わって支払うケースです。
これらは自社のサービスの対価ではなく、お金を一時的に通過させているだけです。そのため、立替分は売上にも経費にも含めないのが原則です。受け取った立替金は預り金や立替金といった勘定で処理し、支払いと相殺して帳簿に残さないようにします。ご遺族から預かるお金の扱いは、同じく預り金を扱う出品代行・代理販売の確定申告の考え方も整理の参考になります。
立替金を売上に含めてしまうとどうなるか
立替分をうっかり売上に含め、支払った分を経費に含めると、収入と経費が同じ金額だけ膨らみます。所得(利益)は変わらないように見えても、見かけの売上規模が大きくなり、消費税の課税事業者になるかどうかの判定に影響することがあります。実態に合った正しい規模で申告するためにも、立替金は売上から切り離して管理することが重要です。
立替金と売上を分けるコツ
立替金をきれいに分けるには、入口と出口の両方で区別する仕組みが役立ちます。
請求書・見積書で「自社サービス料金」と「立替金(火葬料・お布施など)」を欄を分けて記載する
火葬場や寺院に支払った領収書を、立替分とわかる形で必ず保管する
帳簿上は立替金を専用の勘定で管理し、回収できたら消し込む
こうしておけば、年末に「どれが自社の売上で、どれが通過しただけのお金か」が一目で分かり、申告時の混乱を防げます。売上・外注費・立替金を1件ずつ正確に切り分ける作業を本業の合間に続けるのが難しい場合は、仕訳ごと任せられる葬祭業の確定申告を丸ごと任せる方法もあります。
葬祭業で計上しやすい経費と帳簿づけ
事業に使った費用は経費にできる
外注費・仕入のほかにも、事業のために使った費用は必要経費に計上できます。葬祭業で発生しやすいものとしては、次のような項目があります。
霊柩車や送迎車の燃料費・車両維持費・保険料
式場や事務所の家賃、水道光熱費
ドライアイス・棺・骨壺・線香などの消耗品費
礼服やユニフォーム、衛生用品などの費用
広告宣伝費、ホームページ・チラシの制作費
研修・資格取得にかかる費用、関連団体の会費
自宅の一部を事務所として使っている場合や、自家用車を業務でも使う場合は、事業で使った割合に応じて家賃や車両費の一部を経費にできます(家事按分)。霊柩車や送迎車の車両費・燃料費の考え方は、運転代行業の確定申告で扱う随伴車の車両費とも共通する部分があります。どんな基準で割合を決めたかをメモに残しておきましょう。
深夜・緊急対応が多い仕事ならではの記録
葬祭業は深夜や早朝の出動、急な遠方対応が珍しくありません。こうしたときの交通費や高速代、駐車料金、現地での立替えなどは、その場でレシートをもらい、メモを添えておくことが大切です。後からまとめて思い出そうとすると、抜け落ちて経費にできなくなりがちです。スマホで撮影しておくだけでも、記録の精度が大きく変わります。
青色申告で受けられるメリット
事業所得がある方は、青色申告を選ぶことで税制上のメリットを受けられます。正しく帳簿をつけ、e-Taxでの申告などの要件を満たすと、最大で青色申告特別控除65万円を受けられます(国税庁「No.2072 青色申告特別控除」)。さらに、赤字を翌年以降に繰り越せる、家族へ支払う給与を一定の要件のもとで経費にできる(青色事業専従者給与。国税庁「No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除」)といった利点もあります。件数や売上の波が大きい葬祭業では、繁閑の差を平準化する意味でも青色申告のメリットは大きいといえます。
よくある質問
Q. 火葬料やお布施を売上に入れていませんでしたが、問題ありますか?
ご遺族の代わりに立替えて支払う火葬料やお布施は、原則として自社の売上ではなく立替金として扱います。立替分を売上にも経費にも含めていないのであれば、考え方としては自然です。大切なのは、立替えたお金の領収書を保管し、帳簿上も自社サービスの売上と区別できる状態にしておくことです。請求書の段階で欄を分けておくと、より明確になります。
Q. 年末に施行して、入金が年明けになった分はどちらの年の売上ですか?
原則として、入金の時期ではなく施行(サービス提供)が完了した年の売上になります。12月に葬儀を行い、入金が翌年1月になった場合でも、12月に施行が終わっていれば、その年の売上として売掛金で計上します。年をまたぐ案件は計上漏れが起きやすいので、年末時点で未入金の施行がないかを必ず確認しましょう。
Q. 繁忙期に手伝ってもらった人への支払いは、外注費でよいですか?
独立した事業者に仕事として委託した場合は外注費、自社の指示のもとで働いてもらった場合は給与にあたるのが基本的な考え方です。同じ「手伝い」でも、契約の形や働き方の実態によって扱いが変わり、源泉徴収などの手続きにも影響します。判断に迷うときは、実態を整理したうえで専門家に確認しておくと安心です。
結論:お金を3つに分ければ葬祭業の申告は整理できる
葬祭業の確定申告は、1件の施行で動くお金を「自社サービスの売上」「外注費・仕入」「立替金」の3つに分けて考えることが何より大切です。売上は施行が終わった日に計上し、外注費は売上を得るための費用として、立替金は売上にも経費にも含めず通過させる。この整理ができれば、件数が増えても帳簿は崩れにくくなります。請求書を欄分けし、領収書をその都度残す習慣が、正しい申告への一番の近道です。
とはいえ、深夜・早朝の対応に追われる本業の合間に、1件ごとに売上・外注費・立替金を切り分けて帳簿をつけ、申告書まで仕上げるのは大きな負担です。無理をして期限間際に慌てるより、専門家の力を借りるのも賢い選択肢のひとつです。
記帳代行の料金・対応範囲:領収書丸投げドットコムの個人事業主向け基本プランは月額6,600円(税込)。仕訳入力から月次試算表の作成まで対応し、領収書の枚数による追加料金はありません。初期費用は0円で、過去分は依頼開始月から申込月までの料金を初回にまとめて請求します。法人、農業・漁業・酪農・畜産業、士業、医師、整骨院は別途お見積もり。確定申告書の作成・提出は月額料金に含まれず、税込55,000円から、税理士との別途契約となります。各プランの料金・初回請求例を確認する。立替金と売上の切り分けごと記帳を任せられるか、無料で相談する。依頼から対応開始までの流れを見る。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








