猟師・ジビエ販売の確定申告|狩猟収入と解体・加工にかかる経費を解説
#
確定申告

猟師・ジビエ販売の確定申告は、販売収入だけでなく自治体からの捕獲報奨金まで含めて収入を把握し、銃や罠・解体加工・保管配送・販売宣伝までの経費を、事業に関係する範囲で整理することが基本です。収入の区分から、狩猟ならではの経費の整理のしかたまでを解きほぐしていきます。
シカやイノシシを獲り、その肉をジビエとして飲食店や個人に販売する。近年は鳥獣被害対策や地域資源の活用という観点からも注目される活動ですが、いざ収入が出てくると「これは確定申告が必要なのか」「経費はどこまで認められるのか」と頭を抱える方が少なくありません。狩猟特有の道具や手続きが多く、一般的な事業とは勝手が違うためです。
☑ 猟師として得たジビエの販売収入を、確定申告でどう扱えばよいかわからない
☑ 銃や罠、解体・加工にかかった費用を経費にできるのか判断がつかない
☑ 狩猟は趣味の延長なのか事業なのか、収入の区分がはっきりしない
このコラムでは、猟師・ジビエ販売にかかわる収入の考え方から、解体・加工を含めた経費の整理のしかた、確定申告で押さえておきたいポイントまでを整理します。自分のケースで何を記録し、どう申告すればよいかの全体像をつかんでいきましょう。
ジビエ販売の収入は確定申告が必要?まず区分を整理しましょう
狩猟収入は「事業所得」か「雑所得」か
猟師として得た収入は、その活動の規模や継続性によって、確定申告上の区分が変わります。反復・継続して相当の規模でジビエを販売し、生計の柱の一つになっているような場合は事業所得として扱うのが基本です。一方で、本業が別にあり、年に数頭を獲って知人や近隣の飲食店に分ける程度であれば雑所得として申告するケースが多くなります。
どちらに当たるかは、収入の大きさ、活動の頻度、設備への投資、帳簿をつけているかといった要素を総合して判断します。境界が微妙な場合は、自分の活動実態を整理したうえで、税務署や専門家に相談して区分を決めると安心です。
確定申告が必要になる目安
会社員などで、ジビエ販売を含む副業の所得(収入から経費を引いた額)が年間で一定額を超える方
個人事業として狩猟・ジビエ販売を営み、所得が生じている方
農業や林業など他の事業とあわせて狩猟関連の収入がある方
「肉を分けてもらった対価を少し受け取っただけ」というような少額でも、積み重なれば申告対象になることがあります。現金でやり取りした分も含めて、1年間にいくらの収入があったかをまず把握することが出発点です。白色申告の場合でも記帳と帳簿保存の義務があり、その内容は国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」で確認できます。農業や林業とあわせて営む場合の申告は林業を営む個人事業主の確定申告も参考になります。
補助金・報奨金の扱いにも注意
狩猟では、鳥獣被害対策の一環として自治体から有害鳥獣の捕獲報奨金(捕獲頭数に応じた支払いなど)を受け取ることがあります。こうした報奨金や補助金も、原則として収入として申告の対象になります。販売収入だけに目が向きがちですが、自治体からの入金もあわせて整理しておきましょう。受け取った際の通知書や振込記録は、金額の根拠として保管しておくことが大切です。
狩猟・捕獲にかかる経費を押さえる
銃・罠などの道具にかかる費用
ジビエを得るために直接必要な道具の費用は、事業のための支出であれば経費に計上できます。代表的なものとして、次のような費用が挙げられます。
猟銃や空気銃、弾、くくり罠・箱罠などの捕獲用具の購入費
銃の保管に必要なガンロッカーや、罠の補修にかかる費用
狩猟用のウェア、長靴、防護グローブなどの装備品
高額な銃や罠などは、購入金額や使用期間に応じて、その年に一度に費用とするのではなく、減価償却として複数年に分けて経費にする場合があります。金額の大きい道具を買ったときは、いつ・いくらで・何を買ったかがわかる書類を必ず残しておきましょう。
免許・登録・更新にかかる費用
狩猟を行うには、狩猟免許の取得や、毎年の狩猟者登録、銃の所持許可など、さまざまな手続きと費用が発生します。これらのうち、ジビエ販売という事業のために必要な部分は経費として扱えると考えられます。
狩猟免許の取得・更新にかかる手数料、講習の受講料
狩猟者登録の手数料、狩猟税
猟友会への会費(活動に必要な範囲)
プライベートと事業の両方にかかわる支出もあるため、事業に関係する割合を合理的に見積もって計上する「家事按分」の考え方が必要になる場面もあります。
移動・現地でかかる費用
狩猟は山間部など現地に出向いて行うため、移動や現地での活動にかかる費用も見落とせません。自家用車で猟場へ向かう場合のガソリン代や高速代、有料の狩猟区域の利用料などが該当します。自家用車を私用と兼ねている場合は、走行距離などをもとに事業使用分を按分して計上します。どの支出が狩猟のためのものかを、その都度メモしておくと後の整理が楽になります。
解体・加工・販売にかかる経費
解体・処理にかかる費用
獲った獲物を食肉として販売するには、適切な解体・処理が欠かせません。自分で処理施設を備える場合の設備費や、外部の食肉処理施設に解体・加工を委託する場合の委託料も、ジビエ販売のための経費になります。
食肉処理施設への解体・加工の委託料
解体に使う刃物、まな板、作業台などの器具
処理場の清掃・衛生管理にかかる消耗品費
食肉として販売する際には、食品衛生に関する許可や設備の基準が関係してきます。許可の取得や施設の整備にかかった費用も、事業のための支出として記録しておきましょう。食肉の販売という点では畜産農家の確定申告も、収入と経費の整理の参考になります。
保管・包装・配送にかかる費用
ジビエは鮮度や衛生管理が重要なため、保管や流通にも費用がかかります。これらも販売に直接結びつく経費として整理できます。
冷凍庫・冷蔵庫の購入費や電気代
真空パックの資材、ラベル、保冷材などの包装費
飲食店や個人へ発送する際の送料、クール便の費用
冷凍庫の電気代のように、家庭用と兼ねている設備の費用は、事業に使っている割合を見積もって按分する形になります。
販売・宣伝にかかる費用
ジビエを継続的に売っていくには、販路づくりや情報発信も欠かせません。ネット販売の手数料や、商品を紹介するためのホームページ作成費、名刺やチラシの印刷費なども、事業のための支出であれば経費に含められます。販売先とのやり取りで使う通信費や、打ち合わせのための交通費なども、事業に関係する範囲で計上できます。
帳簿づけと記録で気をつけたいこと
現金でのやり取りも漏れなく記録する
ジビエの販売は、飲食店への直接納品や知人への手渡しなど、現金でのやり取りが発生しやすい分野です。銀行振込なら記録が残りますが、現金は意識して記帳しないと抜け落ちてしまいます。「いつ・誰に・何を・いくらで売ったか」を、その日のうちにメモや帳簿に残す習慣をつけましょう。販売した頭数や部位の記録は、収入の裏づけとしても役立ちます。現金の売上も含めて申告書の作成まで任せたいときは、確定申告の丸投げ代行という手もあります。
事業用とプライベートを分ける
自分で食べる分のジビエと、販売する分とが混ざりやすいのも、この分野の特徴です。経費についても、家庭でも使う道具や車、冷凍庫などは私用との線引きが必要になります。可能であれば事業用の口座やクレジットカードを分けておくと、お金の流れが整理しやすくなり、按分の根拠も示しやすくなります。
青色申告で控除を活かす
事業所得として申告する場合、事前に届け出をして帳簿を整えることで、青色申告特別控除(最大65万円など)を受けられる可能性があります。複式簿記での記帳や、e-Taxでの申告などの要件はありますが、所得を圧縮できるメリットは大きいものです。不猟の年に赤字が出たときの繰越しは青色申告の赤字の繰越しの活用にまとめています。道具への投資が多く、収支の管理が複雑になりやすい狩猟・ジビエ販売こそ、きちんと帳簿をつける価値があります。
よくある質問
Q. 趣味の延長で年に数頭だけ販売しています。それでも申告は必要ですか?
規模が小さくても、販売による所得が生じていれば申告の対象になり得ます。会社員の方の副業であれば、ジビエ販売を含む副業全体の所得が一定額を超えるかどうかが一つの目安です。少額だから不要と決めつけず、まずは1年間の収入と経費を集計し、所得がいくらになるかを確認しましょう。判断に迷う場合は税務署や専門家に相談すると安心です。
Q. 自分で食べる分の解体費用も経費にできますか?
自分や家族が食べる分にかかった費用は、事業のための支出とはいえないため、経費にはできません。販売用と自家消費用が混ざっている場合は、販売した割合に応じて費用を分ける必要があります。獲った頭数や、そのうち販売した分・自家消費した分を記録しておくと、按分の根拠を示しやすくなります。
Q. 銃や冷凍庫など高額な道具はその年に全額経費にできますか?
金額が大きい道具は、その年に一括で費用にするのではなく、使用できる期間に応じて何年かに分けて経費にする減価償却の対象になることがあります。取り扱いは金額や品目によって変わるため、高額な購入をしたときは、購入時の書類を残したうえで、処理方法を確認しておくとよいでしょう。
まとめ|狩猟ならではの収入と経費をもれなく整理する
猟師・ジビエ販売の確定申告では、販売収入だけでなく自治体からの報奨金まで含めて収入を把握し、銃や罠といった捕獲の道具から、解体・加工、保管・配送、販売・宣伝にいたるまでの幅広い経費を、事業に関係する範囲で整理することが大切です。現金でのやり取りや自家消費との線引きなど、狩猟ならではの注意点を押さえ、青色申告も活用すれば、無理のない申告につなげられます。
ただ、山に入って獲物を追い、解体や販売にも追われる中で、日々の記帳から確定申告書類の作成までをすべて自分でこなすのは重くのしかかります。道具や按分の処理が絡む狩猟関連の収支は、整理に手間がかかる分なおさらです。
領収書丸投げドットコムなら、領収書や請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成まで税理士監修のもとサポートします。現金の売上を含めた収支の整理もお任せいただけます。まずは狩猟の収支整理を無料で相談してみるところから始めてみてください。相談は無料です。費用の目安は記帳代行の料金プランでご確認いただけます。
あわせて読みたい:業種別フリーランスの確定申告まとめ|このテーマの全体像を1本にまとめて解説しています。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








