雇用調整助成金とは?休業手当を支える助成金の対象と流れを解説
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税金

雇用調整助成金は、売上の落ち込みなどで事業活動を縮小せざるを得ないとき、従業員を解雇せず休業や教育訓練で雇用を守った事業主に、支払った休業手当の一部が助成される制度です。対象・要件・助成率・申請の流れを、従業員を雇う個人事業主向けに整理します。
景気や取引先の事情、季節変動などで一時的に仕事が減ることは、どの事業でも起こり得ます。そんなとき「従業員に辞めてもらうしかないのか」と悩む前に知っておきたいのが、雇用を維持しながら人件費の一部を支えてもらえるこの制度です。名前は聞いたことがあっても中身は複雑なので、基本から整理していきましょう。
☑ 仕事が一時的に減り、従業員を休ませたいが人件費の負担が重い
☑ 解雇は避けたいが、休業手当を払い続けられるか不安だ
☑ 雇用調整助成金の対象になる条件と、申請の順番を知りたい
雇用調整助成金の仕組みと対象要件、助成率と上限、申請から入金までの流れ、そして通常制度と特例の違いまでを解説します。人を雇っている個人事業主が「いざ」というときに備えるための知識としてお読みください。
雇用調整助成金とは?雇用を守るための制度
雇用調整助成金とは、経済上の理由で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者を解雇せずに休業・教育訓練・出向によって雇用を維持した場合に、支払った休業手当や賃金の一部を助成する厚生労働省の制度です。「人を減らさずに乗り切る」ことを後押しするのが目的です。
対象になる主な要件
雇用保険の適用事業主であること(従業員を雇い、雇用保険に加入している)
売上高や生産量などの事業活動を示す指標が、一定期間で相当程度(例:直近3か月平均が前年同期比で減少)落ち込んでいること
労使間の協定に基づいて休業などを計画的に実施すること
従業員を雇用保険に加入させている個人事業主であれば、法人でなくても対象になり得ます。まず自分の事業が雇用保険の適用事業になっているかを確認しましょう。
休業手当との関係
事業主の都合で従業員を休ませる場合、労働基準法により平均賃金の6割以上の休業手当を支払う義務があります。雇用調整助成金は、この支払った休業手当の一部を助成するもので、休業手当そのものをゼロにできる制度ではありません。あくまで負担を軽くする仕組みだと理解しておきましょう。
助成率と上限額の考え方
助成額は「1人1日あたりの平均賃金 × 休業手当の支払率 × 助成率」で計算し、1人1日あたりの上限が設けられています。助成率は事業規模によって異なり、中小企業のほうが高く設定されるのが通常です。
通常制度の助成率の目安
通常制度では、中小企業で休業手当負担額の2/3程度、大企業で1/2程度が目安です(教育訓練を組み合わせると加算される場合があります)。1人1日あたりの上限額や助成率は制度改正で変わるため、申請時点の最新条件を必ず確認してください。
個人事業主が意識したい点
助成の対象は「雇用している従業員」の休業であり、事業主本人の所得補償ではありません。従業員を計画的に休ませ、きちんと休業手当を支払い、その記録を残すことが前提です。人を雇う個人事業主が使える雇用系の支援は幅広いので、個人事業主が使える補助金・助成金の探し方で全体像をつかんでおくとよいでしょう。
申請から入金までの流れ
雇用調整助成金は「休業計画の届出 → 休業の実施 → 支給申請 → 審査・入金」という流れが基本です。原則として休業の前に計画を届け出る必要があり、実施後の記録がそろっていないと支給されません。
大まかなステップ
①計画の届出:労使協定を結び、休業などの計画を管轄の労働局・ハローワークへ届け出る
②休業の実施:計画に沿って休業や教育訓練を行い、休業手当を支払う
③支給申請:賃金台帳・出勤簿・休業手当の支払記録などを添えて申請
④審査・入金:内容が確認されると助成金が支払われる
助成金は休業手当を支払った後の申請・入金になるため、当面の資金は自己資金でまかなう必要があります。後払いの制度に共通する資金繰りの注意点は補助金の入金までの流れと資金繰りの注意点を参考にしてください。
他の雇用関係助成金との違い
雇用調整助成金は「雇用を維持する」局面で使う制度です。一方、非正規社員の正社員化や賃上げなどには別の助成金があります。地域で人を増やす場面で使える制度は地域での雇用を増やすと使える雇用関係助成金で解説しており、局面ごとに使い分けるのが賢い活用法です。
受け取った助成金の経理と税務
雇用調整助成金は、原則として事業所得の収入(雑収入など)に計上し、課税対象になります。人件費として費用に計上した休業手当と、収入に計上する助成金は別々に処理する点に注意しましょう。こうした助成金と経費の仕分けは取り違えやすいため、記帳代行というやり方で日々の帳簿を整えておくと、申請時の集計や決算のときに慌てずに済みます。
計上のタイミング
助成金は「支給決定を受けた時点」で収入に計上するのが原則です。年をまたいで支給が決まる場合の考え方など、詳しい税務処理は補助金・助成金を受け取ったときの税金と処理で確認できます。制度の詳細は厚生労働省の雇用調整助成金の公式案内をご覧ください。
よくある質問
Q. 従業員を雇う個人事業主でも雇用調整助成金は使えますか?
はい、雇用保険の適用事業主であれば、個人事業主でも対象になり得ます。従業員を雇用保険に加入させ、経済上の理由で事業活動が縮小していることや、計画的に休業を実施することなどの要件を満たす必要があります。まずは管轄のハローワークに相談してみましょう。
Q. 休業手当を払わずに助成金だけ受け取ることはできますか?
できません。雇用調整助成金は、事業主が実際に支払った休業手当の一部を助成する制度です。休業手当を支払った事実と記録があってはじめて対象になります。手当を支払わずに助成金だけを受け取ることは制度の趣旨に反し、不正受給とみなされます。
Q. 事業主本人が働けなくなった場合の生活費は対象になりますか?
対象になりません。雇用調整助成金はあくまで「雇用している従業員」の雇用維持を支える制度です。事業主本人の所得減少に備えたい場合は、共済や所得補償保険など別の手段を検討することになります。
解雇の前に「雇用を守る」という選択肢を
雇用調整助成金は、一時的に仕事が減ったときに従業員を解雇せず、休業や教育訓練で雇用を維持した事業主を支える制度です。従業員を雇用保険に加入させている個人事業主でも対象になり得ます。「計画を先に届け出る」「休業手当を支払い記録を残す」という手順を守ることが、確実に受給するための鍵になります。
こうした助成金の申請では、賃金台帳や出勤簿、日々の帳簿といった記録の正確さが問われます。忙しい事業運営のなかで、こうした書類まで手が回らないという声は少なくありません。記帳代行の現場でも、申請の直前になって数字の裏づけづくりに追われるご相談をいただくことがあります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








