古民家ゲストハウス運営の確定申告|宿泊収入と改修費の処理を解説
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確定申告

古民家ゲストハウスの確定申告は、宿泊収入を総額で計上し、取得費や改修費を減価償却・修繕費・資本的支出に分けて処理するのがポイントです。予約サイト手数料や家事按分の考え方まで整理します。
地方の古民家を借りたり買い取ったりして、ゲストハウスや民泊として運営する方が増えています。空き家の活用や移住をきっかけに始める方も多く、宿泊業ならではの収入と支出が発生するため、確定申告のときに「これはどう処理すればいいのだろう」と手が止まりやすい分野です。
☑ 民泊や簡易宿所で得た宿泊収入を、確定申告でどう申告すればよいかわからない
☑ 古民家の購入費や大規模な改修費を、その年の経費にしてよいのか判断できない
☑ 宿泊予約サイトの手数料やアメニティ代など、どこまで経費にできるのか不安だ
古民家ゲストハウスを運営する個人事業主に向けて、宿泊収入の計上方法、古民家の取得費や改修費の扱い、宿泊業特有の経費の考え方を整理します。自分の運営でどこに注意して帳簿をつければよいかがイメージできるように進めます。
古民家ゲストハウスの所得はどう区分される?
多くは事業所得、規模次第で雑所得のことも
古民家ゲストハウスのように、自ら集客し、清掃や接客、予約管理などを継続して行っている場合、その所得は原則として事業所得に区分されます。事業所得であれば、青色申告を選ぶことで青色申告特別控除や赤字の繰り越しといった有利な仕組みを使えます。
一方、年に数回だけ自宅の一室を貸す程度で、片手間に小さく行っているケースでは、雑所得と判断されることもあります。継続性・反復性があり、事業として手間とリスクをかけて取り組んでいるかどうかが、区分を考えるうえでの目安になります。
不動産所得との違いに注意
同じ「貸して収入を得る」でも、アパートや貸家のように部屋そのものを貸すだけなら不動産所得に近くなります。これに対してゲストハウスや民泊は、寝具の用意や清掃、チェックイン対応、朝食の提供といった役務(サービス)の提供を伴うため、宿泊業としての事業所得・雑所得に区分されるのが一般的です。同じ建物を使っていても、提供しているのが「空間」か「宿泊というサービス」かで考え方が変わる点を押さえておきましょう。
営業形態によって関係する制度が変わる
古民家を宿泊に使う場合、住宅宿泊事業法に基づく民泊(いわゆる届出民泊)として運営するのか、旅館業法の簡易宿所として営業許可を取って運営するのかで、営業日数の上限や必要な手続きが異なります。税務上の所得区分の考え方は共通していますが、許可・届出にかかった費用も経費になり得るため、自分がどの形態で運営しているのかを整理しておくと、帳簿づけがしやすくなります。
宿泊収入の計上で気をつけたいこと
予約サイト経由の売上は「総額」で考える
Airbnbや楽天トラベル、じゃらんといった予約サイトを使っている場合、ゲストが支払った宿泊料からサイトの手数料が差し引かれ、残りが入金されることが多くあります。このとき、入金された手取り額だけを売上にするのではなく、ゲストが支払った宿泊料の総額を売上として計上し、差し引かれた手数料は別途「支払手数料」などの経費として処理するのが基本です。手数料の勘定科目の考え方は支払手数料の勘定科目で整理しています。手取りだけを売上にしてしまうと、経費が漏れて利益が実態より大きく見えたり、逆に売上規模を正しく把握できなくなったりします。
清掃料・宿泊税などの扱いを分けて記録する
ゲストから受け取る清掃料(クリーニングフィー)は、宿泊料と合わせて売上に含めて処理するのが一般的です
自治体に納める宿泊税を宿泊者から預かっている場合は、預り金として区別して管理します
キャンセル料を受け取ったときも、収入として計上を忘れないようにしましょう
名目ごとに性質が異なるため、入金の内訳を予約サイトの管理画面や精算レポートで確認し、何の入金かをメモしながら記帳すると、後で迷いにくくなります。
売上を計上するタイミング
売上は、原則として宿泊サービスを提供した日(=ゲストが宿泊した日)を基準に計上します。年末年始をまたぐ予約では、前払いで受け取ったお金が年内の売上になるのか翌年の売上になるのか紛らわしくなりがちです。「いつ宿泊したか」を基準に、年をまたぐ予約の収入をどちらの年に入れるかを整理しておきましょう。宿泊業の記帳を丸ごと任せたい方は、確定申告の丸投げ代行という選択肢もあります。
古民家の取得費・改修費はどう処理する?
建物の購入費は「減価償却」で数年に分けて経費に
古民家を購入して事業に使う場合、その建物の購入費は、買った年に全額を経費にすることはできません。建物は使ううちに価値が減っていく資産と考え、減価償却によって法定耐用年数にわたり少しずつ経費にしていきます。減価償却の基本的な考え方は、国税庁タックスアンサーNo.2100「減価償却のあらまし」で確認できます。土地の部分は減価償却の対象にならないため、購入時の契約書などをもとに、土地と建物の金額を分けて把握しておくことが大切です。中古の建物は、構造や経過年数に応じて償却の期間を見積もる必要があるため、判断に迷う場合は専門家に確認すると安心です。
改修費は「修繕費」と「資本的支出」で扱いが分かれる
古民家ゲストハウスでは、水回りの入れ替えや断熱、内装の刷新など、大きな改修が発生しがちです。この改修費は、内容によって処理が二つに分かれます。
修繕費…壊れた箇所の修理や、元の状態に戻すための支出。原則としてその年の経費にできます
資本的支出…建物の価値を高めたり、使用できる年数を延ばしたりする支出。資産として計上し、減価償却で複数年に分けて経費にします
たとえば、雨漏りの補修や畳の入れ替えは修繕費になりやすく、間取りを変える大規模リノベーションや新たな設備の増設は資本的支出として扱われやすい、というイメージです。同じ「改修」でも金額や内容で結論が変わるため、工事の見積書や内訳書を保管し、どんな工事をしたのかがわかるようにしておきましょう。
開業前にかかった費用は「開業費」にできることも
営業を始める前に支払った宣伝広告費や、許可取得のための費用、開業準備のための調査費などは、開業費として資産に計上し、必要なタイミングで経費に振り替えることができる場合があります。開業費のような繰延資産の償却のしかたは開業費など繰延資産の償却で解説しています。古民家を整える段階で支払った費用のうち、建物本体の取得・改修にあたるものは減価償却や資本的支出として、それ以外の準備費用は開業費として、性質ごとに分けて記録しておくと整理しやすくなります。
ゲストハウス運営で経費になる支出
運営に直接かかる費用
予約サイトに支払う手数料・掲載料
シーツやタオルのクリーニング代、清掃を外注した場合の外注費
アメニティ、消耗品、ゲスト用の備品の購入費
水道光熱費、Wi-Fiなどの通信費
火災保険や賠償責任保険などの保険料
これらは宿泊業を営むうえで欠かせない支出であり、事業のために使ったとわかる領収書をそろえておけば経費にできます。少額でも積み重なると大きな金額になるため、こまめに記録しておきましょう。
家事按分が必要になるケース
古民家の一部を自分の住まいとして使いながら、残りを宿泊用に貸している場合や、自家用と兼用の車・スマホを運営に使っている場合は、事業に使った分だけを経費にする家事按分が必要です。床面積の割合や使用時間などの合理的な基準で按分し、なぜその割合にしたのかを説明できるようにしておくと安心です。割合の決め方は家事按分の割合の決め方が参考になります。プライベートと事業がはっきり分かれている支出と、共用の支出を、最初から分けて記帳しておくと年末の作業が楽になります。
建物を借りて運営している場合の家賃
古民家を購入ではなく賃借して運営している場合、その家賃は経費(地代家賃)になります。購入の場合は減価償却で建物を費用化し、賃借の場合は家賃を毎月経費にするという違いがあるため、自分がどちらの形なのかを踏まえて処理しましょう。借りた建物に施した改修も、内容によっては資本的支出として減価償却の対象になります。
消費税やインボイスとの関わり
売上が増えてきたら消費税にも注意
宿泊収入が伸びてくると、消費税の課税事業者になるかどうかが関わってきます。基準期間の課税売上高が一定額を超えると課税事業者となり、消費税の申告・納付が必要になります。納税義務が免除される条件は国税庁タックスアンサーNo.6501「納税義務の免除」で確認できます。古民家の取得や大規模改修で大きな支出があった年は、消費税の計算上も影響が出ることがあるため、規模が大きくなってきたら早めに確認しておくとよいでしょう。
インボイス制度と取引先の関係
個人客中心の運営であればインボイスの影響は限定的ですが、法人の出張利用や旅行会社経由の取引が多い場合は、相手先からインボイス(適格請求書)の発行を求められることがあります。自分の取引先にどんな相手が多いかによって、登録すべきかどうかの判断が変わります。制度の細かな取り扱いは変わることもあるため、最新の情報を確認しながら、自分の事業に合った形を選びましょう。
よくある質問
Q. 古民家の購入費は、買った年にまとめて経費にできますか?
建物の購入費は、買った年に全額を経費にすることはできません。建物は減価償却の対象となる資産なので、法定耐用年数にわたって少しずつ経費にしていきます。また、土地の部分は減価償却できないため、土地と建物の金額を分けて把握しておく必要があります。中古の古民家は償却期間の見積もりが複雑になりやすいので、判断に迷うときは専門家に相談するのがおすすめです。
Q. 予約サイトの手数料は、売上から引いて記帳してよいですか?
手数料を差し引いた手取り額を売上にするのではなく、ゲストが支払った宿泊料の総額を売上として計上し、差し引かれた手数料は「支払手数料」などの経費として別に処理するのが基本です。こうすることで、売上規模と経費の両方を正しく把握できます。予約サイトの精算レポートに内訳が記載されているので、それをもとに記帳しましょう。
Q. 自宅の一部を貸す小さな民泊でも、青色申告はできますか?
継続的・反復的に運営し、事業として行っていると認められる場合は、青色申告を選べる可能性があります。青色申告には事前の届け出と帳簿の作成が必要ですが、青色申告特別控除や赤字の繰り越しなどのメリットがあります。規模が小さく雑所得と判断される場合は青色申告の対象外となるため、自分の運営状況に照らして判断しましょう。
収入と支出を性質ごとに分けて記録するのが近道|まとめ
古民家ゲストハウスの確定申告は、宿泊収入を総額で正しく計上すること、そして古民家の取得費・改修費を「減価償却」「修繕費」「資本的支出」のどれにあたるかで分けて処理することが大きなポイントです。予約サイトの手数料や清掃代、保険料などの経費も、領収書とともに名目ごとに記録しておけば、申告の際に慌てずに済みます。
とはいえ、接客や清掃、予約対応に追われる中で、減価償却の計算や経費の仕分けまでをすべて自分で行うのは大きな負担です。判断に迷う支出が多い宿泊業だからこそ、帳簿づけの段階から整理しておくことが、正しい申告と節税の両方につながります。領収書丸投げドットコムでは、領収書や請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成までを税理士監修のもとで代行しています。おもてなしに集中できるよう記帳を任せられるか相談する。相談は無料です。料金の目安は枚数無制限の料金プランでご確認ください。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








