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2026/9/8

奨学金返還支援・育英金を受けた個人事業主の確定申告|課税の有無を解説

  • 確定申告

奨学金の返還支援や育英金が課税されるかは、お金の名前ではなく「支給の目的」と「誰から支給されたか」で決まります。学資としての給付は非課税、労働や事業の対価に近い支援は課税、と押さえるのが判断の軸です。

受け取り方や支給元によって扱いが変わるため、「これは申告が必要なのか」と迷いやすいテーマです。個人事業主なら、事業の収入と混ざらないかも気になるところでしょう。給付型・貸与型の返還支援や返還免除、自治体・企業の育英金を、場面ごとに整理していきます。

☑ 自治体や企業から奨学金の返還支援を受けたが、確定申告でどう扱えばよいかわからない

☑ 在学中に受け取った給付型奨学金や育英金に税金がかかるのか不安だ

☑ 返還免除や肩代わりされた金額が「収入」になるのか判断できない

そもそも奨学金は課税されるのか

「給付型」と「貸与型」で考え方が違います

奨学金には大きく分けて、返さなくてよい給付型と、後で返す必要がある貸与型があります。貸与型はそもそも借りたお金なので、受け取った時点では原則として収入になりません。借りて返すだけのお金に税金はかからない、と考えるとわかりやすいでしょう。

一方、給付型奨学金は「もらったお金」ですが、学資として支給されるものについては税金がかからないよう配慮されているのが一般的です。学業を支えるための奨学金を非課税としている制度が多く、受け取った学生本人の確定申告が必要にならないケースが大半です。ただし、すべての給付が無条件で非課税というわけではないため、支給元から渡される案内文や規程を確認しておくと安心です。

課税・非課税は「支給の目的」と「支給する側」で決まりやすい

奨学金や育英金の税務上の扱いは、お金の名前そのものよりも、何のために、誰から支給されたかで判断される傾向があります。たとえば学資として国や自治体、公益的な団体から支給されるものは非課税とされることが多い一方、勤務先から給与の一部として、あるいは労働の対価に近い性格で支払われるものは、給与所得などとして課税対象になることがあります。給付されたお金が課税か非課税かを見分ける一般的な考え方は給付金の課税・非課税の扱いで整理しています。

同じ「奨学金」という言葉でも、奨学のための純粋な支援なのか、就労や事業と結びついた支援なのかによって結論が変わります。まずは自分が受け取ったお金がどちらの性格に近いのかを意識することが、判断の第一歩です。

奨学金の「返還支援」を受けたときの扱い

自治体や財団による返還支援

近年は、地方への移住・定住を促すため、自治体が奨学金の返還の一部を肩代わりする「返還支援制度」が広がっています。こうした自治体や公益的な財団からの返還支援は、学資金や奨学のための給付という位置づけで非課税として扱われることが多く、受け取った本人に課税が及ばないケースが一般的です。

ただし、制度の設計は自治体や団体ごとに異なります。支援金が直接本人に振り込まれるのか、奨学金の貸与元に支払われるのかといった違いもあるため、交付決定通知や要綱に「課税の取り扱い」についての記載がないかを確認しておきましょう。記載が見当たらない場合は、支給元の窓口に問い合わせるのが確実です。

勤務先・取引先による返還支援は性格が変わることがある

企業が従業員の奨学金返還を支援する制度もあります。こうした支援は福利厚生の一環として行われますが、支援の方法によっては給与所得として課税対象になる場合があります。会社員であれば年末調整や源泉徴収で処理されることが多く、その内容は源泉徴収票に反映されます。給与所得者で確定申告が必要になる場合の基準は、国税庁タックスアンサーNo.1900「給与所得者で確定申告が必要な人」で確認できます。

個人事業主の方が、業務委託先や提携先などから「返還を肩代わりしてもらう」「返還相当額を上乗せして受け取る」といった形で支援を受けた場合は、その金額が事業に関連する収入とみなされ、事業所得などとして申告が必要になることがあります。報酬や対価としての性格を帯びるほど、課税対象として扱われやすくなる点に注意しましょう。支援が源泉徴収の対象になる場合の名義や処理の考え方は源泉徴収と支払名義の実務が参考になります。

貸与型奨学金の「返還免除」を受けたとき

返さなくてよくなった分はどう考えるか

貸与型奨学金の中には、一定の条件を満たすと返還が免除される制度があります。たとえば、研究職や教育職など特定の職に一定期間就くことで返還が免除されるケースなどです。本来返すはずだったお金を返さなくてよくなるため、「免除された分は収入になるのでは」と気になる方もいるでしょう。

学資としての貸与に基づく返還免除については、奨学のための制度の一部として非課税扱いとされることが一般的です。ただし、免除の根拠や条件によって扱いが分かれる可能性もあるため、自分が利用している制度の規程を確認し、判断に迷う場合は支給元や税務署に相談しておくと安心です。

死亡・障害による免除など特別なケース

本人の死亡や重度の障害などにより返還が免除される制度もあります。こうした事情に基づく免除は、生活や状況に配慮した措置として設けられているもので、一般的には課税の対象として強く意識する必要はありません。とはいえ、家族が関係する手続きや相続が絡む場面では取り扱いが複雑になることもあるため、不安があれば早めに専門家へ相談することをおすすめします。

育英金・奨学金を「支給する側」になる個人事業主の注意点

従業員やインターンに支援する場合

個人事業主の方が、自分の事業で働く従業員やインターン生に対して育英金や学資の支援を行うこともあります。この場合は、支給したお金が事業の必要経費になるのか、給与として扱うべきなのかを整理する必要があります。労働の対価としての性格が強ければ給与として、福利厚生としての性格が強ければ福利厚生費として、というように、目的に応じた区分が求められます。子どもの学びや暮らしを支える支援金を受け取った側の申告の考え方は児童・学童関連の支援と確定申告も参考になります。

給与として扱う場合は源泉徴収の対象になることもあり、処理を誤ると後から指摘を受ける原因になります。支援を始める前に、どの勘定科目で、どのような税務処理になるのかを確認しておくことが大切です。

帳簿への記録と証憑の保存

  • 支援金を支払った日付・金額・相手先がわかる記録を残す

  • 支援の目的や条件を示す規程・契約書などの書類を保管する

  • 振込明細や受領のわかる証憑をあわせて保存する

育英金や学資支援は金額が大きくなることもあり、後から「これは何の支出か」と問われたときに説明できる状態にしておくことが重要です。日々の帳簿に正しく記録し、根拠となる書類とセットで保存しておきましょう。

確定申告で迷わないための確認手順

受け取ったお金の性格を整理する

まずは、自分が受け取った奨学金・育英金・返還支援が「学資としての給付」なのか「労働や事業の対価に近いもの」なのかを切り分けます。前者であれば非課税として申告不要となるケースが多く、後者であれば所得として申告が必要になる可能性が高まります。支給元の名称、支給の目的、支給の条件をメモにまとめると判断しやすくなります。確定申告の基本的な仕組みは、国税庁タックスアンサーNo.2020「確定申告」で確認でき、区分の判断から申告まで任せたいときは確定申告の代行という選択肢もあります。

通知書・規程・源泉徴収票を確認する

交付決定通知や奨学金の規程には、課税の取り扱いについて記載があることがあります。勤務先経由の支援であれば、源泉徴収票に金額が含まれているかどうかも手がかりになります。書類を見ても判断がつかないときは、支給元の窓口や所轄の税務署に確認するのが確実です。曖昧なまま「たぶん大丈夫」と進めてしまうと、後で修正が必要になることもあります。

課税対象なら所得区分を見極める

申告が必要だとわかった場合は、それが事業所得なのか、給与所得なのか、一時的な所得なのかといった所得区分を見極めます。区分によって計算方法や記入欄が変わるため、ここを間違えると税額にも影響します。判断が難しいと感じたら、無理に自己判断せず、専門家に相談しながら進めるとよいでしょう。

よくある質問

Q. 在学中に受け取った給付型奨学金は、卒業後に確定申告が必要ですか?

学資として支給された給付型奨学金は、非課税として扱われることが多く、受け取った本人の確定申告が必要にならないケースが一般的です。卒業後にさかのぼって申告が必要になることも通常はありません。ただし、支給の条件や性格によっては扱いが異なる場合もあるため、受け取った際の案内文や規程を確認し、不明な点は支給元に問い合わせておくと安心です。

Q. 自治体の奨学金返還支援を受けながら個人事業を営んでいます。事業の収入に含めますか?

自治体や公益的な財団による奨学金返還支援は、学資・奨学のための給付として非課税で扱われることが多く、その場合は事業の売上(事業収入)には含めません。事業の収入と、奨学のための支援は別物として整理しておきましょう。ただし制度ごとに取り扱いが異なる可能性があるため、交付要綱や通知書の記載を確認してください。

Q. 会社が返還を支援してくれましたが、源泉徴収票に金額が載っていました。どうすればよいですか?

源泉徴収票に金額が含まれている場合、その支援は給与所得などとして課税対象に含めて処理されていると考えられます。会社員として年末調整で完結していればそのままで問題ないことが多いですが、副業や事業所得がある方は、ほかの所得とあわせて確定申告が必要になる場合があります。源泉徴収票の内容をよく確認し、判断に迷うときは専門家に相談しましょう。

結論:奨学金・育英金は「目的と支給元」で扱いを見極めましょう

奨学金の返還支援や育英金が課税されるかどうかは、お金の名前ではなく、学資としての給付なのか、労働や事業の対価に近いものなのか、そして誰から支給されたのかによって判断が分かれます。自治体や公益的な団体からの学資支援は非課税で申告不要となることが多い一方、勤務先や取引先からの支援は所得として申告が必要になることもあります。まずは通知書や規程、源泉徴収票を確認し、自分のケースの性格を整理することが大切です。

所得区分の見極めや帳簿への記録までを、本業のかたわらで正確に行うのは負担が重く、判断を誤ったまま申告して後から修正に追われるのは避けたいところです。

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あわせて読みたい:個人事業主の確定申告完全ガイド|このテーマの全体像を1本にまとめて解説しています。

【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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