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配当控除を使った節税|上場株式の配当を総...

2026/8/11

配当控除を使った節税|上場株式の配当を総合課税で申告して得する判断基準を解説

  • 税金

上場株式の配当は、総合課税で申告して配当控除を使うと、源泉徴収された税金の一部が戻ることがあります。得しやすいのは課税所得が比較的少ない方で、所得が多く高い税率が適用される方はかえって不利になることも。総合課税で申告して得か損かの判断基準を整理します。

上場株式の配当金は、証券口座で受け取った時点ですでに税金が源泉徴収されています。そのため「申告しなくても済むなら、そのままにしておこう」と考える方は少なくありません。ですが人によっては、確定申告で配当を総合課税として申告し、配当控除を使うことで、源泉徴収された税金の一部が戻ってくることがあります。

☑ 上場株式の配当を確定申告すべきか、しないほうがよいのか判断がつかない

☑ 「配当控除」という言葉は聞くものの、自分が使って得をするのかわからない

☑ 総合課税と申告分離課税のどちらを選べばよいのか、毎年迷ってしまう

このコラムでは、配当控除のしくみと、総合課税で申告したほうが得になるかどうかの判断基準を、個人事業主やフリーランスの方向けに整理します。ご自身が配当を申告すべきかどうか、考える手がかりをつかんでいきましょう。

配当控除とは?まずしくみを理解しましょう

配当控除は「税額そのもの」を直接減らせる控除

配当控除とは、株式の配当金を確定申告で総合課税として申告したときに、計算した所得税額から一定割合を差し引ける制度です。生命保険料控除や基礎控除のように「所得」から差し引く所得控除とは異なり、配当控除は計算した税額そのものから直接差し引く「税額控除」である点が大きな特徴です。税額から直接引けるぶん、効きめが分かりやすい控除といえます。

なぜこのような制度があるのかというと、配当のもとになる会社の利益には、すでに法人税が課されているためです。そこへ受け取った個人に所得税まで満額かかると、同じ利益に二重に税金がかかってしまいます。この負担を和らげるために設けられているのが配当控除だと理解すると、しくみがつかみやすくなります。

配当控除が使えるのはどんな配当?

  • 日本国内の法人から受け取る、上場株式などの配当金

  • 株式投資信託の収益分配金(一部、対象となるもの)

一方で、外国法人から受け取る配当や、上場不動産投資信託(J-REIT)の分配金、NISA口座など非課税で受け取っている配当は、配当控除の対象になりません。また、配当控除を受けるには総合課税を選んで確定申告することが前提です。申告せずに源泉徴収だけで済ませた場合や、申告分離課税を選んだ場合には配当控除は使えない、という点を押さえておきましょう。

配当の申告方法は3つから選べます

申告不要・総合課税・申告分離課税の違い

上場株式の配当については、原則として次の3つの取り扱いから選ぶことができます。それぞれ性格が異なるので、まず全体像を整理しておきましょう。

  • 申告不要:源泉徴収だけで完了させ、確定申告には含めない方法。手間がかからない反面、配当控除は使えません。

  • 総合課税:給与や事業所得などほかの所得と合算して税率を計算する方法。配当控除が使えるのはこの総合課税を選んだときだけです。

  • 申告分離課税:ほかの所得とは分けて一定の税率で計算する方法。上場株式の売却損と配当を相殺する「損益通算」をしたいときに選びます。

売却損と配当を相殺する損益通算や、損失の繰越しについては上場株式の譲渡損失の繰越しと確定申告で確認できます。

総合課税を選ぶと税率はどう変わる?

総合課税の所得税は、所得が大きいほど税率が高くなる累進課税です。所得が少ない区分では低い税率が適用され、所得が増えるにつれて段階的に税率が上がっていきます。累進税率の区分は国税庁タックスアンサーNo.2260「所得税の税率」で確認できます。配当を申告不要や申告分離で済ませた場合の税率は所得の多少にかかわらず一定であるのに対し、総合課税ではご自身の所得水準によって適用される税率が変わる、という違いがあります。

ここがまさに判断の分かれ目です。総合課税にして配当控除を引いたあとの実質的な負担が、申告しなかった場合の負担より軽くなるなら「総合課税で申告して得をする」ことになります。逆に所得が多く高い税率が適用される方は、総合課税にするとかえって負担が増えることもあります。

総合課税で申告して得する人・損する人

得しやすいのは課税所得が比較的少ない方

一般に、総合課税で配当を申告して有利になりやすいのは、給与や事業の所得を含めても課税所得がそれほど大きくない方です。総合課税の税率が低い区分にとどまる方ほど、そこから配当控除を差し引くことで、源泉徴収で天引きされた税額より実質負担が小さくなりやすいからです。

たとえば、事業所得が控除後に小さく収まっている個人事業主や、所得が少なめの年に配当を受け取った方などは、総合課税で申告して配当控除を使うと、納めすぎていた税金の一部が還付されるケースがあります。「源泉徴収で取られっぱなしだった配当の税金が、申告で戻ってくる」という形です。

損しやすいのは所得が多く高い税率が適用される方

反対に、所得が多く高い税率の区分に入る方は注意が必要です。総合課税にすると配当にも高い税率が適用され、配当控除を引いても、申告しなかった場合や申告分離を選んだ場合より負担が重くなることがあります。所得が大きい方ほど、総合課税が有利とは限らないのです。

住民税や社会保険料への影響も忘れずに

配当を総合課税で申告すると、所得税だけでなく住民税や、国民健康保険料などの算定にも影響することがあります。住民税のしくみは総務省の個人住民税のページで確認できます。所得税では得でも、合計所得が増えることで保険料が上がるなど、トータルで見ると思ったほど有利にならない場合もあります。判断にあたっては、所得税単体ではなく住民税や社会保険料まで含めて全体で考えることが大切です。具体的な有利・不利は人によって変わるため、迷うときは税務署や専門家に確認すると安心です。

申告で配当控除を使うときの実務の流れ

まずは「特定口座年間取引報告書」を用意する

証券会社の特定口座を使っている方は、年明けに「特定口座年間取引報告書」が交付されます。ここに1年間に受け取った配当金額や、源泉徴収された税額がまとめられています。配当を申告するかどうかを考えるときも、実際に申告書を作るときも、この書類が出発点になります。特定口座(源泉あり)でそもそも申告すべきかどうかの判断は特定口座(源泉あり)の申告の判断にまとめています。一般口座で受け取った配当がある場合は、その記録も併せて整理しておきましょう。

確定申告書に配当所得として記載する

総合課税を選ぶ場合は、確定申告書に配当所得の金額を記入し、ほかの所得と合算して税額を計算します。そのうえで、配当控除の額を計算して税額控除の欄に反映させます。すでに源泉徴収されている税額は、納めた税金として差し引かれるため、計算の結果として還付になることもあれば、追加で納付になることもあります。配当を含めた申告書の作成に不安があるときは、確定申告の丸投げ代行という方法もあります。

国税庁の「確定申告書等作成コーナー」を使うと、配当の金額や源泉徴収税額を入力するだけで配当控除を含めた計算が自動で行われるため、手計算より間違いを減らせます。総合課税と申告分離のどちらが有利かを確かめたいときも、数字を入れて結果を見比べる方法が分かりやすいでしょう。

申告した配当はほかの判断にも影響する

いったん総合課税で申告すると、その配当所得は合計所得金額に含まれます。配偶者控除や扶養の判定、各種の所得制限など、合計所得をもとに決まる項目に影響することがあります。合計所得が変わるとふるさと納税の控除上限などにも影響するため、ふるさと納税と所得変動の試算もあわせて確認しておくと安心です。「配当控除で所得税は減ったが、別のところに影響が出た」とならないよう、ご自身の状況と照らし合わせて判断しましょう。

よくある質問

Q. 配当控除と「損益通算」は同時に使えますか?

配当控除は総合課税を選んだときに使える制度で、上場株式の売却損と配当を相殺する損益通算は申告分離課税を選んだときに使える制度です。この2つは選ぶ課税方式が異なるため、同じ配当について両方を同時に適用することはできません。売却損が出ている年は損益通算を優先したほうが有利な場合もあるので、どちらの効果が大きいかで選ぶとよいでしょう。

Q. NISA口座で受け取った配当にも配当控除は使えますか?

NISA口座で受け取る配当は、もともと非課税で税金がかかっていません。配当控除はすでに課された税金を調整するための制度なので、非課税であるNISAの配当には使えません。NISAの配当はそのまま非課税で受け取れること自体がメリットだと考えましょう。

Q. 申告すべきか自分では判断できません。どうすればよいですか?

配当を総合課税で申告して得かどうかは、その方の所得水準や、住民税・社会保険料への影響まで含めて総合的に決まります。確定申告書等作成コーナーで総合課税と申告分離を入力して比べる方法のほか、判断に迷う場合は税務署の相談窓口や税理士などの専門家に確認すると安心です。無理に自己判断せず、有利な選択ができるようにしておきましょう。

配当を申告すべきか迷ったときの結論|所得水準を起点に考える

配当控除は、上場株式などの配当を総合課税で申告したときに、税額そのものを直接減らせる税額控除です。得をしやすいのは課税所得が比較的少ない方で、所得が多く高い税率が適用される方はかえって不利になることもあります。判断にあたっては、所得税だけでなく住民税や社会保険料への影響、合計所得が増えることによるほかの控除への波及まで含め、ご自身の所得水準を起点に全体で考えることが大切です。

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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。

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