ジム・スポーツ費用は経費になる?個人事業主の健康維持費の判断を解説
#
税務

ジムやスポーツクラブの会費は、原則として個人事業主の経費になりません。ただし指導や競技など業務と直接結びつく利用なら、経費にできる例外もあります。判断の基準と業種による違い、迷ったときのフローチャートまで具体例で確認していきましょう。
「健康な体があってこそ仕事ができるのだから、ジム代も必要経費では」と考えたくなる気持ちはよくわかります。しかし税務では、体調管理や健康づくりは事業のためというより本人の私生活のためと見なされやすく、経費として認められにくいのが実情です。まずはその考え方を押さえましょう。
☑ 仕事のパフォーマンスのために通っているジム代を経費にできるか知りたい
☑ トレーナー業など体を使う仕事なら経費にできるのか気になる
☑ 健康診断や人間ドックの費用の扱いもあわせて整理したい
読み進めると、ジム・スポーツ費用が経費になるかどうかの判断基準、業種による違い、迷ったときのフローチャートまでがひととおりつかめます。
ジム・スポーツクラブの会費は原則経費にならない
結論として、事業主自身の健康維持や体力づくりを目的としたジム・スポーツクラブの会費は、原則として必要経費になりません。健康づくりは私生活上の支出(家事費)とみなされやすく、事業の遂行に直接必要だったと客観的に示すのが難しいためです。
なぜ経費にしにくいのか
経費になるのは、その支出が事業の遂行上、直接必要だった場合です。体を鍛えることは仕事にも役立ちますが、それは私生活の健康にも同じように役立ちます。こうした家事と業務が混ざる支出は、業務に必要な部分を明確に区分できなければ経費にできない、というのが基本的な考え方です。必要経費の範囲は、国税庁タックスアンサーNo.2210「必要経費の知識」で確認できます。
「役に立つ」と「直接必要」は違う
ここで大切なのは、「事業に役に立つ」ことと「事業に直接必要」であることは別だという点です。役に立つだけでよいなら、ほとんどの生活費が経費になってしまいます。税務では、その支出がなければ事業が成り立たないほどの結びつきがあるかを見ます。
経費にできる例外はどんなケースか
例外的に経費にできるのは、その運動施設の利用が業務そのものと直接結びついている場合です。たとえば、スポーツを指導する仕事や、体そのものを使って収入を得る仕事では、練習やトレーニングが事業活動の一部になり得ます。
業務との直接性が説明できる例
パーソナルトレーナーやインストラクターが、指導のための技術習得・下見でジムを利用する
プロスポーツ選手・格闘家などが競技のために行うトレーニング
従業員の福利厚生として、全員が利用できる制度でジム利用を提供する場合
いずれも、私的な健康づくりと区別できる実態と記録が前提です。従業員向けの福利厚生費として計上する場合は、特定の人だけでなく全員が対象であることが要件になります。個人事業主が自分一人のために計上するのは、原則として認められません。
健康診断・人間ドックの扱い
事業主本人の健康診断・人間ドックの費用も、原則として経費になりません。これも本人の私生活の健康管理とみなされるためです。従業員に受けさせる健康診断は福利厚生費にできますが、事業主自身の分は対象外という点に注意しましょう。
経費になるか迷ったときのフローチャート
ジム・スポーツ費用で迷ったら、次の順に考えると整理できます。
①その運動は、あなたの事業の収入と直接結びついているか?(指導・競技など)→ いいえなら経費にしにくい(家事費)/はい なら②へ
②私的な健康づくりと区別できる実態・記録があるか?(利用目的・日時・内容のメモ)→ いいえなら経費にしにくい/はい なら③へ
③支出したのは誰のためか?→ 事業主本人のみ=慎重に判断/従業員全員が対象=福利厚生費として計上しやすい
①で「いいえ」になる場合、多くは私的支出です。無理に計上すると税務調査で指摘されやすいため、判断に迷う支出は根拠を残す習慣をつけましょう。日々の線引きは生活費と事業費が混ざるときの記録の残し方が参考になります。
間違えやすい科目と記録のコツ
経費にできる場合の勘定科目は、指導のための技術習得なら研修費、従業員向けの制度なら福利厚生費が目安です。安易に雑費でまとめると内容が不明確になり、あとで説明しづらくなります。科目選びの考え方は雑費が多いとなぜダメかを解説した記事や勘定科目の見直しで節税につなげる方法もご覧ください。記帳代行の現場でも、この「経費になるか・どの科目か」の線引きに関するご相談は特に多く寄せられます。
記録として残しておきたいもの
経費にできると判断した場合は、利用日・目的・業務との関係をメモに残しておきます。カード払いの場合は明細だけでなく、何のための利用かを補足しておくと安心です。カード払いの経費化はクレジットカード明細で経費にできるかの解説も参考になります。支出のたびに科目と記録を自分で調べるのが負担なら、勘定科目の判断ごと記帳を任せる方法もあります。
よくある質問
Q. デスクワークで運動不足になるので、健康のためのジム代を経費にできますか?
健康維持を目的としたジム代は、業務に役立つとしても私生活の健康管理とみなされ、原則として経費になりません。事業の収入と直接結びつく利用でない限り、計上は避けるのが無難です。
Q. 従業員のためにジム利用を福利厚生にしたいのですが可能ですか?
従業員全員が利用できる制度として提供する場合は、福利厚生費として計上できる可能性があります。特定の人だけが恩恵を受ける形だと給与とみなされることがあるため、全員が対象である点を制度として整えておきましょう。
Q. スポーツ用品やウェアの購入費はどうなりますか?
指導や競技など業務に直接使う用具であれば、消耗品費などで経費にできる場合があります。私的にも使えるウェアやシューズは、衣服と同様に業務専用性を説明できなければ経費にしにくい支出です。
Q. 取引先とゴルフに行った費用は経費になりますか?
接待を目的としたゴルフの費用は、接待交際費として経費にできる場合があります。ただし自分の趣味・練習を兼ねる部分は対象外です。接待の相手・目的を記録に残しておきましょう。
まとめ|健康維持費は「事業との直接性」で判断する
ジムやスポーツクラブの会費、事業主本人の健康診断費用は、原則として経費になりません。経費にできるのは、指導や競技など業務そのものと直接結びつく場合や、従業員全員を対象とした福利厚生として提供する場合に限られます。判断に迷ったら、事業の収入と直接つながっているかを起点に考えましょう。
もっとも、こうした「経費になるか・どの科目か」の判断を、支出のたびに調べながら記帳を進めるのは大きな手間です。本業に集中したい個人事業主ほど、経理の判断に時間を取られてしまいがちです。
領収書や請求書を送るだけで、勘定科目の判断を含む記帳から確定申告書類の作成まで代行できるのが「領収書丸投げドットコム」です。何枚たまっていても月額6,600円(税込)の定額で、税理士の監修つき。経費の線引きに迷いがちな方は、経費の線引きを無料でプロに相談してみるところから始めてみてください。相談は無料で、まずは料金や範囲を知りたい方は料金プランを確認するだけでも大丈夫です。
参考:国税庁タックスアンサーNo.2210 必要経費の知識
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








