外注先への支払調書の作り方と提出義務|個人事業主が出すケースを解説
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税務

外注先への支払調書は、源泉徴収の対象となる報酬を支払い、同じ相手への年間の支払額が基準を超えた場合に、翌年1月末までに税務署へ提出する書類です。個人事業主が提出義務を負うケースと、作り方・期限・源泉徴収とのつながりまでを整理していきます。
外注先のデザイナーやライター、税理士などに報酬を払ったとき、「支払調書というものを出さないといけないのだろうか」と気になったことはないでしょうか。会社員時代には目にしなかった書類なので、個人事業主になってから初めて存在を知り、戸惑う方も少なくありません。
☑ デザイナーやライターへの外注費を払ったが、支払調書を出す必要があるのかわからない
☑ そもそも個人事業主の自分に支払調書の提出義務があるのか自信がない
☑ 支払調書の書き方や提出期限、源泉徴収との関係が整理できていない
このコラムでは、外注先へ支払う報酬と支払調書の関係を、個人事業主の目線で整理します。誰が・どんなときに提出義務を負うのか、書き方や期限はどうなっているのか、源泉徴収とのつながりまで、順を追って確認していきましょう。
そもそも支払調書とは何かを整理しましょう
支払調書は「誰にいくら払ったか」を税務署に報告する書類
支払調書とは、事業者が一定の報酬や料金などを支払った際に、誰に・どんな名目で・いくら支払い、いくら源泉徴収したかを税務署に報告するための書類です。正式には「報酬、料金、契約金及び賞金の支払調書」と呼ばれるものが代表的で、外注先への報酬に関わるのは主にこの様式です。
税務署は、この支払調書とお金を受け取った側の確定申告の内容を照らし合わせることで、申告漏れがないかを確認しています。つまり支払調書は、支払う側が「私はこの人にこれだけ払いました」と税務署に伝える役割を持つ書類だとイメージするとわかりやすいでしょう。
給与の「源泉徴収票」とは別物
従業員に給与を支払う場合に発行する「源泉徴収票」と、外注先などへの報酬に関する「支払調書」は、似ているようで別の書類です。雇用関係にある人へ支払う給与は源泉徴収票、雇用関係のない外注先へ支払う報酬は支払調書、という整理になります。給与を支払う場合の源泉徴収の進め方は給与・賞与にかかる源泉徴収の実務にまとめています。両方を混同すると提出すべき書類を取り違えてしまうため、まず「誰に対する支払いか」で区別する習慣をつけましょう。
法定調書のひとつという位置づけ
支払調書は、税務署への提出が法律で定められた「法定調書」と呼ばれる書類群のひとつです。法定調書には源泉徴収票や支払調書など複数の種類があり、提出する際は内容を一覧にまとめた「給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表」という集計表を添えて出すのが基本的な流れになります。
個人事業主に支払調書の提出義務はあるのか
外注先に報酬を払っていれば対象になり得る
支払調書の提出義務は法人だけのものと思われがちですが、源泉徴収義務のある個人事業主も対象になり得ます。具体的には、従業員を雇って給与を支払っている、あるいは税理士などへ報酬を支払っていて源泉徴収を行っている個人事業主は、原則として支払調書を含む法定調書を提出する立場になります。
一方で、従業員を雇っておらず、源泉徴収の対象となる報酬も支払っていない個人事業主は、源泉徴収義務者ではないため、報酬に関する支払調書の提出義務も生じないのが一般的です。まずは自分が源泉徴収義務者に当たるかどうかが入口になると考えてください。
提出が必要になる「報酬の種類」と「金額の目安」
支払調書の提出対象となるのは、源泉徴収の対象となる特定の報酬・料金です。代表的なものとして、次のような支払いが挙げられます。
原稿料・デザイン料・講演料など、ライターやデザイナーへの報酬
税理士・弁護士・司法書士など、いわゆる士業への報酬
外交員報酬や一定の講師料 など
これらの報酬は、同じ相手に対する年間の支払合計額が一定額を超える場合に、支払調書の提出が必要とされています。報酬の種類によって基準となる金額は異なるため、「すべての外注費が対象」ではなく、「源泉徴収の対象になる報酬で、かつ年間の支払額が基準を超えたもの」が対象になる、という考え方を押さえておきましょう。
すべての外注費が対象になるわけではない
たとえば、内装工事を頼んだ業者への支払いや、仕入れ先への代金、外注した作業のうち源泉徴収の対象にならないものについては、報酬に関する支払調書の対象外となるのが通常です。外注費という言葉でひとくくりにせず、「その報酬が源泉徴収の対象かどうか」を一件ずつ確認することが、対象の判定では重要になります。判断に迷う支払いがある場合は、税務署や専門家に確認すると安心です。
源泉徴収と支払調書のつながりを理解する
支払うときに源泉徴収するのが出発点
原稿料や士業への報酬など、源泉徴収の対象となる報酬を支払う際は、報酬からあらかじめ所得税などを差し引いて、その分を国に納める必要があります。これが源泉徴収です。たとえば原稿料を支払うとき、相手に渡すのは源泉徴収後の金額で、差し引いた税額は支払者がまとめて納付します。誰の名義で差し引き・納付するかといった支払名義の扱いは源泉徴収の支払名義の実務で確認できます。支払調書は、この一年間の源泉徴収の結果を整理したものでもあります。
差し引いた税額は期限までに納付する
源泉徴収した税額は、原則として支払った月の翌月10日までに納付するのが基本ルールです。納付を忘れると、後からまとめて納める負担が大きくなるだけでなく、加算税などの対象になることもあります。外注報酬を支払うたびに源泉徴収額を記録し、納付までを一連の流れとして管理しておくと、年末の支払調書づくりもぐっと楽になります。
支払先には「支払明細」を渡すと親切
報酬を受け取る側は、自分の確定申告で源泉徴収された税額を「所得の内訳」に記入する必要があります。支払者が源泉徴収額のわかる明細を添えて支払えば、相手の申告がスムーズになります。なお、支払調書そのものを支払先へ交付する法律上の義務はありませんが、相手から控えの送付を求められることもあるため、対応方針を決めておくとよいでしょう。
支払調書の作り方と記載項目
記載する基本的な項目
報酬に関する支払調書には、主に次のような項目を記載します。手元の帳簿や支払記録をもとに、もれなく転記していきましょう。
支払を受ける人(外注先)の住所・氏名・個人番号(マイナンバー)
報酬の区分(原稿料・デザイン料・税理士報酬など)と細目
その年に支払った金額の合計と、源泉徴収した税額の合計
支払者(自分)の住所・氏名・個人番号または法人番号
金額欄には、年内に実際に支払った報酬の合計と、そこから差し引いた源泉徴収税額の合計を記入します。源泉徴収すべきだったのにまだ納めていない税額がある場合は、その旨がわかるように整理しておくことも大切です。
マイナンバーの取り扱いに注意する
支払調書には外注先のマイナンバーを記載する欄があります。マイナンバーは取得・保管・利用に厳格なルールがあるため、外注先から番号を受け取る際は、利用目的を伝えたうえで本人確認を行い、不要になった後の管理にも気を配る必要があります。なお、支払先へ交付する控えにはマイナンバーを記載しない取り扱いとなっている点も覚えておきましょう。
合計表とあわせて整理する
支払調書を税務署へ提出するときは、その年に作成した各種法定調書の内容をまとめた「法定調書合計表」を添えて提出します。給与の源泉徴収票や報酬の支払調書など、複数の調書がある場合は、それぞれの件数と金額を合計表に集計します。まずは支払先ごとに一年分の支払額と源泉徴収額を集計し、その合計を合計表に落とし込む、という順序で作業すると整理しやすくなります。
提出方法と期限・電子化のポイント
提出期限は翌年の早い時期
支払調書を含む法定調書は、原則として支払いを行った年の翌年1月31日までに、所轄の税務署へ提出します。確定申告の期間(原則2月16日〜3月15日)よりも前に期限が来るため、年明けは支払調書の準備と自分の確定申告の準備が重なりがちです。前年のうちに支払先ごとの集計を進めておくと、年明けの慌ただしさを和らげられます。
提出方法は書面・電子などから選ぶ
提出方法には、書面での提出のほか、e-Tax(国税電子申告・納税システム)や光ディスクなどによる方法があります。電子申告の使い方はe-Tax(国税電子申告・納税システム)の公式サイトで確認できます。一定の枚数を超える場合には電子的な方法での提出が求められるケースもあるため、提出件数が多くなりそうなときは、早めに電子提出の準備をしておくと安心です。少数であれば書面での提出も可能です。
提出漏れや誤りを防ぐ管理のコツ
外注先ごとに「支払額」「源泉徴収額」を月次で記録しておく
源泉徴収の対象になる報酬かどうかを支払いのつど確認する
マイナンバーは支払開始の早い段階で取得・保管しておく
支払調書は一年分の情報をまとめて作る書類のため、日々の記録が曖昧だと年末にまとめて確認する手間が一気に増えます。日常の帳簿づけの精度が、そのまま支払調書づくりのしやすさにつながると考えておきましょう。外注先ごとの支払額・源泉徴収額の管理から記帳まで手放したいときは、記帳代行という方法もあります。
よくある質問
Q. 外注先がすべて法人なら支払調書は不要ですか?
報酬の種類や金額によって判断が分かれます。原稿料やデザイン料などの源泉徴収の対象となる報酬を個人へ支払った場合は、年間の支払額が基準を超えれば支払調書の対象になります。一方、相手が法人の場合は源泉徴収の取り扱いが個人とは異なる項目もあるため、支払先が個人か法人か、報酬の種類は何かを整理したうえで、対象になるかどうかを確認してください。
Q. 金額の基準を下回っていれば、何もしなくてよいのですか?
税務署への支払調書の提出義務は、年間の支払額が基準を超えた場合に生じます。ただし、提出義務がない場合でも、源泉徴収の対象となる報酬を支払ったのなら、源泉徴収と納付そのものは必要です。「支払調書を出さなくてよい」ことと「源泉徴収しなくてよい」ことは別の話なので、混同しないようにしましょう。
Q. 支払調書を出さなかった場合、どうなりますか?
提出義務があるのに支払調書を提出しなかったり、内容に誤りがあったりすると、税務上の指摘やペナルティの対象になることがあります。提出漏れに気づいた場合は、放置せず早めに正しい内容で提出することが大切です。税務署から確認の連絡が届いたときの落ち着いた対応は税務署からのお尋ね文書への対応が参考になります。判断に迷う場合は、自己判断で済ませず税務署や専門家に相談することをおすすめします。
今日から整えたい|支払調書は源泉徴収の延長線でとらえる
外注先への支払調書は、源泉徴収の対象となる報酬を支払い、税額を差し引いて納め、その一年分を集計して税務署へ報告するという一連の流れの最後にあたる書類です。自分が源泉徴収義務者かどうかを確認し、対象になる報酬を支払先ごとに集計しておけば、翌年1月末の提出にも落ち着いて備えられます。源泉徴収・納付・集計・提出をひとつのつながりとしてとらえることが、つまずかないための近道です。
ただ、外注先ごとの支払額や源泉徴収額を一年を通じて正確に管理し、支払調書や合計表の作成、さらに自分自身の確定申告まで、本業のかたわらすべてを行うのは重い作業です。年明けに支払調書と申告準備が重なって慌ててしまう、という方も多いのではないでしょうか。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








