地域での雇用を増やすと使える雇用関係助成金|個人事業主の活用を解説
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税金

はじめて人を雇うとき、人件費の負担を軽くする支えになるのが厚生労働省の雇用関係助成金です。多くは個人事業主でも申請でき、地域の雇用を増やす採用に活用できます。制度の考え方から準備、確定申告での扱いまで手順で紹介します。
事業が軌道に乗り、はじめて人を雇おうと考えたとき、多くの個人事業主が人件費という大きな固定費に頭を悩ませます。求人にも雇用後の給与にも資金が必要で、採用をためらう方は少なくありません。使える支援策を先に知っておけば、一歩を踏み出しやすくなります。
☑ 人を雇いたいけれど、人件費の負担を考えると一歩を踏み出せない
☑ 雇用に関する助成金があると聞いたが、個人事業主でも対象になるのかわからない
☑ 助成金をもらったとき、確定申告でどう扱えばよいのか不安だ
雇用関係助成金とは?まず全体像をつかみましょう
「補助金」とよく似ているけれど少し違う
雇用関係助成金とは、人を雇い入れたり、従業員の労働環境を整えたりした事業主に対して、主に厚生労働省が支給するお金のことです。返済の必要がない点は補助金と同じですが、雇用や労働に関する取り組みを支援する目的でつくられている点に特徴があります。助成金・補助金の最新情報は中小企業向け支援サイトのJ-Net21でも調べられます(J-Net21(中小企業ビジネス支援サイト))。
補助金は経済産業省などが新しい設備投資や販路開拓を後押しするものが多いのに対し、雇用関係助成金は「人を雇う・働き続けてもらう」ことに対する支援だとイメージするとわかりやすいでしょう。財源の多くは事業主が納める雇用保険料でまかなわれています。設備投資に使える補助金と税制優遇を組み合わせて考えたい場合は、設備投資の税制優遇と補助金の併用が参考になります。
個人事業主でも対象になる
「助成金は法人だけのもの」と思われがちですが、多くの雇用関係助成金は個人事業主でも申請できます。重要なのは事業形態が法人か個人かではなく、従業員を雇用し、雇用保険の適用事業所になっているかどうかです。
従業員を1人でも雇えば、原則として労働保険(労災保険・雇用保険)への加入が必要になります。雇用関係助成金の多くは、この雇用保険に加入していることを前提としているため、人を雇って適切に手続きをしていれば、個人事業主であっても活用の道が開けます。
「地域の雇用を増やす」という視点
国や自治体は、地域での雇用が増えることを重要な政策課題と位置づけています。そのため、新たに人を雇い入れたり、就職が難しい方に働く場を提供したりする取り組みには、さまざまな支援策が用意されています。地元で人を雇うことは、自分の事業を成長させるだけでなく、地域経済を支える役割も担っているのです。
地域での雇用拡大に関わる主な助成金の考え方
就職が難しい方を雇い入れる場合
雇用関係助成金の代表的な柱のひとつが、ハローワークなどの紹介を通じて、就職が特に難しいとされる方を雇い入れたときに支給されるタイプのものです。高齢者や障害のある方、ひとり親など、安定した就職に困難を抱える方を継続して雇用する事業主を支援する仕組みです。
これらの助成金には共通して、ハローワークや職業紹介事業者の紹介を経て採用することや、雇用保険の被保険者として一定期間継続して雇うことといった条件があります。自分で求人サイトから直接採用した場合は対象外になることがあるため、採用ルートには注意が必要です。
従業員のスキルアップを支援する場合
雇った従業員に研修や教育訓練を受けさせ、能力を高める取り組みを支援する助成金もあります。職業訓練にかかった費用の一部や、訓練期間中の賃金の一部が支給されるタイプが代表的です。
地域で人材を育てることは、結果的にその地域の雇用の質を高めることにつながります。「採用したものの即戦力ではない」という場合でも、研修を通じて戦力に育てながら支援を受けられる可能性がある、という点は知っておくとよいでしょう。
正社員化や処遇改善に取り組む場合
パートやアルバイト、有期契約で雇っている従業員を正社員に転換したり、賃金や待遇を改善したりする取り組みを後押しする助成金もあります。非正規で雇用した方を安定した雇用へとステップアップさせることは、人材の定着につながり、事業主にとってもメリットの大きい取り組みです。
有期契約の従業員を正社員に転換する
パート従業員の基本給を一定割合引き上げる
賞与や退職金など、待遇に関する制度を新たに導入する
こうした取り組みは、就業規則の整備や賃金台帳の管理など、社内のルールづくりとセットで進めることが前提になります。書類の整備が支給の前提になる点は、後ほど詳しく触れます。
個人事業主が助成金を活用するための準備
労働保険・社会保険の手続きを済ませておく
雇用関係助成金を受けるための大前提が、労働保険の適切な手続きです。従業員を雇ったら、労働基準監督署やハローワークで労働保険の加入手続きを行い、保険料を適正に納めておく必要があります。社会保険(健康保険・厚生年金)の適用手続きは全国健康保険協会(協会けんぽ)などで確認できます(全国健康保険協会(協会けんぽ))。
保険料の滞納があったり、必要な手続きを行っていなかったりすると、たとえ取り組みの内容が条件を満たしていても支給を受けられません。助成金を考える前に、まず雇用に関する基本的な手続きを整えておくことが出発点になります。
就業規則や労働条件通知書を整える
多くの助成金では、就業規則や雇用契約書(労働条件通知書)、賃金台帳、出勤簿といった書類の提出が求められます。これらは助成金のためだけでなく、従業員との関係をめぐるトラブルを防ぐうえでも欠かせない基本書類です。
労働条件通知書または雇用契約書
賃金台帳・給与明細の控え
出勤簿やタイムカードなど勤務実態がわかるもの
人を雇った最初の段階からこれらを整えておくと、いざ助成金を申請するときに慌てずに済みます。後からさかのぼって書類を作ることは難しいため、雇用と同時に整備を始めるのがおすすめです。受給後に必要になる証拠書類の残し方は、補助金の証拠書類を電子帳簿保存法に沿って保存する実務にまとめています。
計画の届出が必要なものに注意する
雇用関係助成金には、取り組みを始める前に計画を届け出ておかないと対象にならないものが多くあります。たとえば正社員化や研修などは、実施する前にあらかじめ計画書を提出し、認定を受けてから取り組みを始める流れが一般的です。
「人を雇ってから、後で使える助成金を探そう」と考えていると、事前の届出が間に合わず対象外になってしまうことがあります。採用や制度づくりを考え始めた段階で、早めに使える支援策を確認しておくことが大切です。なお、補助金で購入した資産を後から別の用途に回すときは制約があるため、補助金で取得した資産の転用の注意点もあわせて押さえておくと安心です。
助成金を受け取ったときの確定申告での扱い
受け取った助成金は原則として収入になる
受け取った助成金は、確定申告の際に原則として事業所得の収入(雑収入など)として計上します。「もらったお金だから申告しなくてよい」というわけではない点に注意しましょう。事業のために受け取ったお金は、課税の対象になるのが基本です。
一方で、その助成金を使って支払った人件費や研修費などは、通常どおり必要経費として計上できます。収入と経費の両方を正しく記録しておくことで、最終的な所得が適正に計算されます。雇用が増えて経理が複雑になってきたら、記帳を外部に任せる方法もあります。
計上するタイミングに気をつける
助成金は、支給が決まってから実際に振り込まれるまでに時間がかかることがあります。原則として、支給額が確定した時点でその年の収入として認識する考え方が基本となるため、年をまたぐ場合はどの年の収入になるかを意識して記帳しておく必要があります。
「申請した年」「支給決定の通知が来た年」「実際に入金された年」がずれることはよくあります。通知書や入金記録を保管し、いつの時点の収入として処理するかを整理しておきましょう。判断に迷う場合は、無理に自己判断せず専門家に確認すると安心です。
帳簿づけと書類の保管をセットで行う
助成金を受け取ると、その入金や使い道を帳簿に正しく反映させる作業が発生します。支給決定通知書や振込の記録、人件費の支払いを示す書類などは、確定申告の根拠資料としてまとめて保管しておきましょう。
雇用が増えると給与計算や源泉徴収の処理も加わり、日々の経理はそれまで以上に複雑になります。助成金の収入計上と経費処理を含めて、記帳を正確に続けられる体制を整えておくことが、結果として申告のミスを防ぐことにつながります。
よくある質問
Q. 個人事業主が1人だけ雇った場合でも助成金は使えますか?
雇用関係助成金の多くは、雇った人数の多さではなく、雇用保険に加入し、条件を満たす雇い入れや取り組みを行っているかどうかを見ています。そのため、1人を雇い入れるケースでも対象になり得ます。ただし助成金ごとに細かい要件が異なるため、自分の採用がどの支援に当てはまるかを事前に確認することが大切です。
Q. 助成金と補助金は同時に使えますか?
目的や対象が異なるものであれば、雇用関係助成金と他の補助金を併せて活用できる場合があります。ただし、同じ経費に対して複数の支援を重ねて受け取ることは認められないのが一般的です。それぞれの制度の対象範囲を確認し、重複しないように整理して申請しましょう。
Q. 申請の手続きが難しそうで不安です。誰に相談すればよいですか?
雇用関係助成金については、ハローワークや都道府県の労働局が一次的な相談窓口になります。労働関係の手続きや書類づくりについては社会保険労務士、受け取った助成金の経理処理や確定申告については税理士など、内容に応じて専門家を頼るのも有効です。早い段階で相談しておくと、事前の届出漏れといった失敗を防ぎやすくなります。
まとめ:助成金は「事前の準備」で活きてくる
地域での雇用を増やす取り組みには、就職が難しい方の雇い入れ、従業員のスキルアップ、正社員化や処遇改善など、さまざまな雇用関係助成金が用意されています。個人事業主でも、雇用保険の加入や書類の整備、事前の計画届出といった基本を押さえておけば、活用の道は十分に開けます。受け取った助成金は原則として収入として申告し、関連する経費とあわせて正しく記帳することが欠かせません。
人を雇い始める時期は、給与計算や助成金の収入計上、記帳から確定申告までが一気に重なり、本業と両立するのが難しくなります。無理を重ねて期限間際に慌てるより、経理を任せて本業と採用に集中するのも選択肢のひとつです。領収書丸投げドットコムでは、領収書や請求書を郵送またはスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成までを税理士監修でサポートしています。人を雇っても経理で慌てない体制を無料で相談することができ、相談は無料です。実際の依頼イメージは導入事例もご覧ください。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








