所得金額調整控除とは?対象になる人をやさしく解説
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確定申告
☑ 「所得金額調整控除」という言葉を見たけれど、自分が対象なのかさっぱりわからない
☑ 給与と年金の両方を受け取っているが、税金が二重に増えていないか不安
☑ 子どもや障害のある家族がいると控除があると聞いたが、どう申告すればいいのか知りたい
給与所得控除が見直された頃から登場した「所得金額調整控除」。名前が長くて漢字も多く、見ただけで身構えてしまう方が多い制度です。実は、一定の条件に当てはまる方の税負担をやわらげるための仕組みで、対象になるなら使わないと損をしてしまう控除です。
この記事では、所得金額調整控除がどんな制度なのか、誰が対象になるのか、いくらくらい所得が減るのか、そしてどうやって申告すればよいのかを、専門用語をかみ砕きながら順番に解説します。読み終える頃には、ご自身が対象かどうかと、やるべき手続きのイメージがつかめるはずです。
所得金額調整控除とはどんな制度か
給与所得控除の見直しで生まれた控除
所得金額調整控除は、給与をもらっている方の「給与所得」を計算するときに、一定の条件を満たす人について所得をさらに差し引いて減らしてくれる仕組みです。給与所得控除の上限が引き下げられた制度改正のときに、負担が増えてしまう人への配慮として設けられました。
少し前提を整理します。会社員やパートの方の「給与所得」は、おおまかに「給与の年間収入金額 − 給与所得控除」で計算します。給与所得控除は、自営業でいう経費のかわりに収入に応じて自動で差し引かれる金額です。この給与所得控除が見直された結果、収入の高い方などで税負担が増えるケースが出てきました。そこで、子育て世帯や年金も受け取る方など、特に配慮が必要な人の所得をもう一段下げるのが、この所得金額調整控除なのです。
「税額」ではなく「所得」を下げる控除
名前に「控除」と付くものには2種類あります。ひとつは医療費控除のように所得そのものを減らすもの、もうひとつは住宅ローン控除のように計算した税額から直接引くものです。所得金額調整控除は前者で、給与所得の金額を引き下げるタイプです。
所得が下がると、その分にかかる所得税・住民税が減ります。税額から直接引くわけではないので「○円戻ってくる」とは言い切れませんが、課税のもとになる金額が小さくなるため、結果として手取りに良い影響が出ます。
対象になる人は大きく2タイプ
タイプ1:子ども・特別障害者などを扶養する高収入の人
ひとつ目は、給与の年間収入金額が850万円を超える方のうち、次のいずれかに当てはまるケースです。
本人が特別障害者である
23歳未満の扶養親族(おおむね高校生・大学生くらいまでの子どもなど)がいる
特別障害者である同一生計配偶者または扶養親族がいる
給与所得控除の上限引き下げの影響を受けやすいのが収入850万円超の層です。そのなかでも、子育て中の家庭や障害のある家族を支えている方は出費がかさみやすいため、所得を一定額下げて配慮する、という考え方になっています。
このタイプは、給与収入のうち850万円を超えた部分の一定割合(おおむね1割)を、上限の範囲内で所得から差し引けます。収入が増えるほど調整額も大きくなりますが、頭打ちの上限があるため青天井ではありません。
タイプ2:給与と年金の両方がある人
ふたつ目は、給与所得と公的年金等にかかる雑所得の両方がある方で、この2つを足した金額が一定額を超える場合です。働きながら年金を受け取っている方や、定年後に再雇用で給与をもらいつつ年金も始まった方などが当てはまります。
このタイプが設けられた理由は、給与所得控除と公的年金等控除の両方が同時に縮小されたことにあります。給与だけ、年金だけならそれぞれの控除で調整されますが、両方ある人は二重に影響を受けてしまうおそれがあるため、調整額を所得から差し引いて負担を緩和します。
2つのタイプは重複して受けられる
「自分はタイプ1にもタイプ2にも当てはまりそう」という方もいます。たとえば収入が高くて子どももいて、さらに年金も受け取っている、というケースです。この場合、両方の調整を受けることが可能です。ただし計算の順番や上限の扱いにルールがあるため、複数に該当しそうなときは慎重に確認するのがおすすめです。
金額のイメージと注意したいポイント
調整される金額の考え方
タイプ1(子ども・特別障害者など)の調整額は、ざっくり言えば「給与収入のうち850万円を超えた部分の1割」を、一定の上限の範囲で所得から差し引くイメージです。たとえば給与収入が高いほど超過部分が大きくなり、その分だけ調整額も増えますが、上限を超えては差し引けません。
毎年の細かな金額や上限は制度の見直しで変わる可能性があるため、本記事では具体的な金額の断定は避けます。実際に計算するときは、その年の最新の様式や手引きで確認することが大切です。
「850万円超」は収入であって所得ではない
タイプ1の判定でつまずきやすいのが、「850万円」が給与の収入金額であって、手取りや給与所得(収入から給与所得控除を引いたあとの金額)ではない点です。源泉徴収票でいうと「支払金額」にあたる、いちばん上の総額が850万円を超えているかで判断します。手取りベースで考えてしまうと、本来対象なのに見落とすことがあります。
共働き世帯は夫婦それぞれで判定できる
23歳未満の子どもがいる共働き世帯では、扶養控除のように「どちらか一方しか使えない」のではなく、夫婦それぞれが要件を満たせば、両方ともタイプ1の調整を受けられます。これは扶養控除とは異なる大きな特徴です。「配偶者が申告したから自分は対象外」と思い込まず、夫婦それぞれの給与収入が850万円を超えているかを確認しましょう。
申告の方法と手続きの流れ
会社員のタイプ1は年末調整で完結することが多い
タイプ1(子ども・特別障害者などがいる高収入の会社員)の場合、勤務先の年末調整で手続きが完結するのが一般的です。年末調整のときに会社へ提出する申告書に、所得金額調整控除を受けたい旨と扶養している子どもなどの情報を記入する欄があります。ここに正しく書けば、会社が計算して反映してくれます。
注意したいのは、共働きで夫婦それぞれが対象になる場合です。年末調整は会社ごとに行われるため、夫婦がそれぞれの勤務先で漏れなく申告する必要があります。記入欄を見落とすと、本来受けられる調整を逃してしまうので、提出前にチェックしましょう。
タイプ2(給与+年金)は確定申告で対応する
給与と年金の両方がある方の調整は、年末調整では反映されません。なぜなら年末調整は勤務先の給与しか把握できず、年金の情報を持っていないからです。そのため、このタイプは確定申告で自分から手続きをする必要があります。確定申告は原則として毎年2月16日から3月15日までの期間に行います。
確定申告書では、給与所得と公的年金等の雑所得を両方記入したうえで、所得金額調整控除の欄に該当額を入れます。給与だけのつもりで申告を済ませてしまうと、この調整を取りこぼすことがあるので、年金も受け取っている年は特に気をつけましょう。
複数の勤務先がある・年末調整で漏れた場合
転職や副業で1年に複数の会社から給与を受け取った方、年末調整で記入を忘れた方なども、確定申告をすれば所得金額調整控除を反映できます。会社員でも医療費控除やふるさと納税の関係で確定申告をする年は、ついでにこの控除の記入漏れがないか見直しておくと安心です。
勘違いしやすいポイントを整理
名前が似ている控除と混同しない
「所得金額調整控除」は、配偶者控除・扶養控除・障害者控除などと名前の雰囲気が似ているため混同されがちですが、別物です。扶養控除などは「所得控除」として家族構成に応じて決まった額を差し引くもので、所得金額調整控除は給与所得そのものを計算し直す段階で差し引くものです。両方の条件を満たせば、どちらも併用できます。
収入が850万円以下なら必ず対象外か
タイプ1は収入850万円超が前提なので、給与収入がそれ以下ならタイプ1の対象にはなりません。ただし、給与と年金の両方があるタイプ2は収入850万円という基準とは別の判定です。「850万円以下だから自分には関係ない」と早合点せず、年金も受け取っている年はタイプ2の可能性を確認しましょう。
よくある質問
Q. 年末調整で書き忘れました。もう取り戻せませんか。
確定申告をすれば反映できる場合があります。会社員でも、申告期限後に行う還付の手続き(過去にさかのぼって正しい税額に直す手続き)を利用できるケースがあります。書き忘れに気づいたら、源泉徴収票を手元に用意して、早めに対応を検討するとよいでしょう。
Q. 子どもがアルバイトをしていても扶養親族として数えられますか。
23歳未満であっても、その子の年間所得が一定額を超えると扶養親族から外れ、タイプ1の判定で数えられなくなる場合があります。お子さんのアルバイト収入が多めの年は、扶養に入る条件を満たしているかを確認してから申告しましょう。
Q. 個人事業の所得しかない自営業者も対象になりますか。
所得金額調整控除は、あくまで給与所得がある人のための制度です。事業所得だけの自営業者は対象外です。ただし、事業のかたわら給与も受け取っている方は、給与部分について条件に当てはまればタイプ1・タイプ2の対象になり得ます。
まとめ:自分が対象か確認し、漏れなく申告を
所得金額調整控除は、給与所得控除などの見直しで負担が増えやすい人を支えるための制度です。対象は大きく分けて、給与収入850万円超で23歳未満の子どもや特別障害者などを扶養する人(タイプ1)と、給与と年金の両方がある人(タイプ2)の2つ。タイプ1の会社員は年末調整で、タイプ2や年末調整で漏れた人は確定申告で手続きします。共働きなら夫婦それぞれで受けられる点、850万円は手取りではなく収入総額で見る点が見落としやすいポイントです。対象なのに使わないと損をするので、源泉徴収票を見ながら一度確認しておきましょう。
とはいえ、給与と年金の合算、扶養親族の所得チェック、複数勤務先の源泉徴収票の集計など、所得金額調整控除がからむ確定申告は意外と手間がかかります。本業や日々の暮らしで忙しいなか、記帳から申告書類の作成まですべて自分で正確に行うのは、大きな負担になりがちです。
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