NFT・デジタルアート売買の確定申告|所得区分と利益計算を解説
#
確定申告
☑ NFTやデジタルアートを売って利益が出たけれど、確定申告が必要なのかわからない
☑ NFTの所得が「雑所得」なのか「事業所得」なのか、どう判断すればよいか迷っている
☑ 暗号資産で決済したNFT取引の利益計算が複雑で、何から手をつければよいか不安だ
NFT(非代替性トークン)やデジタルアートの売買で利益が出たものの、確定申告のルールがはっきりせず頭を抱えている方は少なくありません。暗号資産を介した取引が多く円ベースの利益計算がイメージしづらいうえ、所得区分の考え方もケースによって変わるため、「自分はどう申告すればよいのか」が見えにくいのが正直なところではないでしょうか。
本記事では、NFT・デジタルアート売買にかかわる所得区分の考え方、利益(所得金額)の計算方法、必要経費の範囲、そして申告までの実務の流れを、個人事業主・フリーランスの方向けにやさしく解説します。読み終えるころには、自分の取引をどう整理し、何を記録しておけばよいのかがイメージできるようになります。
NFT・デジタルアートの売買で確定申告が必要になるケース
そもそもNFT取引で課税対象になる場面とは
NFTやデジタルアートは、ブロックチェーン上で権利や所有情報を記録したデジタル資産です。それを売買して利益(所得)が生じれば、原則として所得税の課税対象になります。趣味で集めているだけなら関係がないと思いがちですが、転売益が出た時点で申告の検討が必要になる、と考えておきましょう。課税対象になりやすいのは、主に次のような場面です。
自分で制作したデジタルアートをNFT化して販売し、対価を得たとき
購入したNFTを他の人に転売し、購入時より高く売れたとき
二次流通による「ロイヤリティ(クリエイター還元)」を受け取ったとき
NFTマーケットでの取引で、暗号資産の値上がり益が同時に発生したとき
会社員でも申告が必要になる「20万円」の目安
給与を1か所から受けている会社員の方の場合、給与以外の所得が年間で一定額(目安として20万円)を超えると、確定申告が必要になります。NFTの転売益や制作販売の利益も、この「給与以外の所得」に含まれます。趣味の延長のつもりでも、利益が積み上がれば申告義務が生じる点に注意しましょう。
一方、もともと事業所得などで確定申告をしている個人事業主・フリーランスの方は、金額の大小にかかわらずNFT取引の所得も申告に含める必要があります。「少額だから書かなくてよい」という扱いにはならないため、すべての取引を申告対象として整理しておくのが基本です。
申告しないとどうなるのか
NFTの取引はブロックチェーン上に記録が残り、国内のマーケットや暗号資産交換業者を通じた取引は税務当局も把握しやすい領域です。利益があるのに申告しなかった場合、後から無申告加算税や延滞税が課されるおそれがあります。利益が出たら正しく申告する、という姿勢で臨むことが大切です。
NFTの所得はどの区分になる?所得区分の考え方
「雑所得」になるのが基本のケース
NFTやデジタルアートの売買による所得は、多くの場合雑所得として扱われます。とくに、本業が別にある会社員の方が副業的・趣味的にNFTを売買している場合や、単発で転売益が出た場合は、雑所得に区分されるのが一般的です。雑所得は給与所得などと合算して総合課税となり、所得が大きいほど税率が高くなる累進課税の対象です。
「事業所得」と判断できる場合の条件
一方で、NFTの制作・販売や売買を反復・継続して、独立した事業として営んでいると認められる場合には、事業所得に区分される可能性があります。事業所得かどうかは、おおむね次のような点を総合的に見て判断されます。
継続的・反復的に取引を行っているか
営利を目的とし、相当の規模・時間を割いているか
帳簿の記録など、事業としての体制が整っているか
たとえば、デジタルアーティストとしてNFT作品を継続的に制作・販売し、それが収入の柱になっているようなケースでは、事業所得として申告するのが自然です。事業所得であれば、青色申告を選択することで青色申告特別控除(最大65万円)や赤字の繰越などのメリットを受けられる可能性があります。
「譲渡所得」になることもある
購入していたNFTを売却した場合、その性質によっては譲渡所得として扱われる考え方もあります。NFTは比較的新しい資産であり、どの区分が適切かはケースごとの実態によって変わります。区分を誤ると税額や使える控除が変わってしまうため、判断に迷う場合は自己流で決めつけず、税務の専門家に相談することをおすすめします。
NFT売買の利益(所得金額)はどう計算する?
基本の計算式は「収入金額 − 取得費・必要経費」
NFT売買の所得金額は、ざっくりいえば「売ったときの収入金額」から「買ったときの取得費や関連する必要経費」を差し引いて求めます。たとえば、あるNFTを取得したときの金額と、それを売却して得た金額の差が利益(または損失)の基本になります。複数のNFTを売買している場合は、取引ごとに損益を計算し、合計して所得金額を出していきます。
暗号資産で決済した場合は「円換算」が必要
NFT取引では、イーサリアムなどの暗号資産で決済することが多くあります。日本の確定申告は円ベースで行うため、暗号資産で売買した場合は取引が成立した時点の時価で円換算して計算する必要があります。ここで見落としやすいのが、次の2種類の損益が同時に発生しうる点です。
NFT自体の売買損益(NFTを取得した価額と売却した価額の差)
暗号資産の値上がり・値下がり損益(決済に使った暗号資産を取得したときと、それを手放したときの時価の差)
一見ひとつの取引に見えても、税務上は複数の損益が絡むことがある、という点を押さえておきましょう。
計算の手順を具体的にイメージする
計算をスムーズに進めるには、次のような手順で取引を整理するのがおすすめです。
取引の「日付・時刻」を一覧にする
各取引の「数量」と「その時点の円換算レート」を記録する
取得側・売却側の金額をそれぞれ円で確定させる
取引手数料(ガス代など)を経費として整理する
取引件数が多くなるほど手作業での計算は煩雑になります。取引履歴を都度スプレッドシートに残しておくと、申告時期にまとめて困ることを防げます。
NFT取引で経費にできるもの・記録しておくべきこと
必要経費として認められやすいもの
NFTの制作・販売や売買にかかった費用のうち、その収入を得るために直接かかったものは必要経費にできる可能性があります。代表的なものは次のとおりです。
ガス代(取引手数料):NFTの発行(ミント)や売買にかかるブロックチェーンの手数料
マーケットプレイスの販売手数料:取引が成立した際に差し引かれる手数料
制作にかかった費用:デザインソフトの利用料、素材・フォントの購入費など
機材費:制作に使うパソコンやペンタブレットなど(高額なものは減価償却の対象になることがあります)
これらは「その取引・制作のために要した費用」であることが前提です。私的な支出と混在しないよう、事業用とプライベートの支出は分けて管理しておきましょう。
取引履歴・ウォレット記録の保存が要
NFT取引で最も大切なのが、取引履歴を漏れなく記録・保存しておくことです。これらは利益計算や経費の根拠になります。後からまとめて再現しようとすると、過去のレートや手数料の特定に大変な手間がかかります。
マーケットプレイスの取引履歴(販売・購入の記録)
ウォレットのトランザクション履歴
暗号資産交換業者からの年間取引報告書・取引明細
手数料やガス代がわかる記録
損失が出たときの扱いにも注意
NFT取引で損失が出ることもあります。雑所得の場合、その損失を給与所得など他の所得と相殺(損益通算)することは原則としてできません。一方、同じ雑所得内での扱いや、事業所得として認められる場合の取り扱いは状況によって異なります。「損が出たから何もしなくてよい」とは限らないため、損失が出た年も取引内容はきちんと整理しておきましょう。
確定申告までの実務の流れ
1年分の取引を集計する
まずは1月1日から12月31日までの1年間の取引を、すべて洗い出します。NFTの売買、暗号資産を使った決済、受け取ったロイヤリティなどを時系列で並べ、それぞれを円換算して損益を集計します。複数のマーケットプレイスやウォレットを使っている場合は、それぞれの履歴を突き合わせて漏れがないか確認しましょう。
所得区分に応じた書類を準備する
雑所得として申告する場合は、確定申告書に所得金額を記載し、必要に応じて内訳がわかる資料を整えます。事業所得として申告する場合は、青色申告であれば「青色申告決算書」、白色申告であれば「収支内訳書」を作成し、確定申告書と併せて提出します。どの区分で申告するかによって必要な書類が変わるため、早めに整理しておくと安心です。
期限内に申告・納付する
確定申告の期間は、原則として毎年2月16日から3月15日までで、所得税の納付期限も原則として同じ日です。NFT取引は集計に時間がかかりやすいため、申告期間に入ってから慌てて履歴を探すのではなく、年内から取引記録を整えておくことをおすすめします。e-Taxを利用すれば自宅から電子申告でき、青色申告特別控除の面でも有利になる場合があります。
よくある質問
Q. NFTを売って暗号資産で受け取っただけで、まだ日本円に換えていなくても申告は必要ですか?
はい、必要になるのが原則です。日本円に出金していなくても、NFTを売却して対価(暗号資産など)を受け取った時点で、その時価をもとに損益を計算します。「円に換えていないから関係ない」と考えてしまうと申告漏れにつながりやすいため、取引が成立した時点を基準に損益を把握しておきましょう。
Q. 自分で描いたデジタルイラストをNFTにして売った場合、所得区分はどうなりますか?
制作・販売を継続的に、事業として行っていると認められる場合は事業所得、副業的・趣味的な範囲であれば雑所得となるのが一般的です。判断は取引の規模や継続性、営利性などを総合的に見て行われます。迷う場合は専門家に確認するとよいでしょう。
Q. 取引が何百件もあって、利益計算が自力では追いつきません。どうすればよいですか?
件数が多い場合、手作業ですべてを円換算して損益計算するのは現実的に大きな負担です。まずは取引履歴のデータ(CSVなど)をマーケットプレイスや交換業者から取得し、整理することから始めましょう。それでも煩雑で対応しきれない場合は、無理をせず記帳代行や税務の専門家に相談することで、計算ミスや申告漏れのリスクを減らせます。
まとめ:NFTの確定申告は「区分」と「記録」で決まります
NFT・デジタルアート売買の確定申告は、自分の取引が雑所得・事業所得などのどの区分にあたるかを見極め、円換算で正しく損益を計算し、その根拠となる取引履歴をきちんと残しておくことがすべての土台になります。暗号資産が絡むぶん計算は複雑になりがちですが、取引の都度記録を残しておけば、申告時期に慌てずに済みます。
とはいえ、NFTや暗号資産が絡む取引は件数が増えると集計が一気に大変になり、本業の制作や事業に集中できなくなってしまうこともあります。「計算が合っているか不安」という方は、無理をひとりで抱え込まず、専門家の力を借りるのも賢い選択です。
領収書丸投げドットコムでは、領収書や請求書を郵送またはスマホ撮影で送るだけで、日々の記帳から確定申告書類の作成までをトータルでサポートしています。NFTやデジタルアートの売買にかかわる記帳・確定申告でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。








