子どもの教育費に備える個人事業主の節税をやさしく解説
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税金
☑ 子どもの進学に向けてまとまったお金を貯めたいが、思うように手元に残らない
☑ 教育費の準備と税金の節約を両立させる方法がよくわからない
☑ 学資保険やジュニアNISAという言葉は聞くが、自分に合うのか判断できない
個人事業主やフリーランスの方にとって、子どもの教育費は人生でも大きな支出のひとつです。会社員のような児童手当以外の手厚い福利厚生がなく、収入も年によって変動しやすいため、「どうやって計画的に備えればいいのか」と不安を感じる方は少なくありません。塾や習い事の月謝から大学進学までを見据えると、その総額に驚いてしまうこともあるでしょう。
この記事では、教育費の準備と税金の節約を結びつける考え方を、できるだけやさしく解説します。所得控除を使って手取りを増やす方法、将来に向けた資産形成の制度、夫婦や家族での工夫まで、個人事業主ならではの視点でまとめました。読み終えるころには、「まず何から始めればよいか」が見えてくるはずです。
教育費はいくらかかる?まず全体像をつかむ
進学コースによって総額は大きく変わる
教育費は、子どもが進む道によって大きく金額が変わります。幼稚園から大学までをすべて公立で進む場合と、私立を選ぶ場合とでは、総額に数倍の差が出ることもあります。文部科学省などの各種調査でも、私立に進むほど学費の負担が重くなる傾向が示されています。まずは「我が家はどのくらいの規模の支出を想定しておくべきか」をざっくり把握することが、計画の第一歩です。
特に負担が集中しやすいのが大学進学のタイミングです。入学金や授業料に加えて、一人暮らしをする場合は仕送りも必要になります。短期間にまとまったお金が出ていくため、子どもが小さいうちから少しずつ準備しておくことが安心につながります。
「使うお金」と「貯めるお金」を分けて考える
教育費を考えるときは、毎月の月謝や塾代のようにすぐ使うお金と、大学進学などに備える将来のために貯めるお金を分けて整理すると見通しが立てやすくなります。前者は日々の家計のやりくりの問題ですが、後者は時間をかけてコツコツ準備する資産形成の問題です。
個人事業主は収入の波があるため、調子のよい年に多めに準備し、厳しい年は無理をしないという柔軟さも大切です。次の章からは、この「貯めるお金」の準備と税金の節約をどう結びつけるかを見ていきましょう。
所得控除で手取りを増やし、教育費の原資をつくる
iDeCo(個人型確定拠出年金)で老後と教育費の両にらみ
個人事業主の節税と資産形成を語るうえで外せないのがiDeCoです。掛金が全額所得控除の対象になるため、その年の課税所得を減らし、所得税・住民税の負担を軽くできます。会社員より掛金の上限が高く設定されている点も、個人事業主にとって魅力です。
ただし、iDeCoは原則として60歳まで引き出せません。子どもの大学進学の時期に直接使えるわけではない点には注意が必要です。「教育費そのもの」ではなく、教育費に家計の体力を回せるよう老後資金を効率よく準備する手段として位置づけるのが現実的です。節税で浮いたお金を、別途、教育費用の貯蓄に回すという考え方ができます。
小規模企業共済で将来のまとまった資金に備える
小規模企業共済も、掛金が全額所得控除になる制度です。廃業や退職に備える「経営者の退職金」のような位置づけですが、一定の条件を満たせば貸付制度を利用できる点が、教育費という観点で見ると心強い特徴です。
こちらもiDeCoと同様に、節税しながら将来資金を積み立てられます。月々の掛金は範囲内で調整できるため、収入が不安定な個人事業主でも始めやすい制度といえます。所得控除で税負担を抑えつつ、いざというときの資金の受け皿を用意しておくイメージです。
国民年金基金や付加年金も選択肢に
将来への備えと節税を同時に進める方法として、国民年金基金や付加年金もあります。国民年金基金の掛金も社会保険料控除の対象になり、所得を圧縮できます。教育費に直接つながる制度ではありませんが、家計全体の安心感を高めることで、教育費に充てられる余力を確保しやすくなります。
子どもがいるからこそ使いたい控除を見直す
扶養控除は子どもの年齢で変わる
子どもを扶養している場合、年齢によって扶養控除を受けられることがあります。一般的に、16歳以上の子どもは扶養控除の対象となり、特に19歳から22歳までの大学生世代は控除額が大きくなる区分が設けられています。ちょうど教育費の負担が重くなる時期に、税金面でも配慮がある仕組みです。
一方で、15歳以下の子どもは児童手当の対象であるため、税金上の扶養控除はありません。「子どもがいれば毎年必ず控除がある」と思い込まず、年齢に応じて受けられる控除を正しく把握しておくことが大切です。
生命保険料控除と学資保険の関係
教育費の準備として学資保険を検討する方は多いでしょう。学資保険の保険料は、契約内容によっては生命保険料控除の対象となり、所得税・住民税の軽減につながることがあります。控除には上限があるため、すでに他の生命保険に加入している場合は、控除枠を使い切っているかどうかを確認しておくとよいでしょう。
学資保険は計画的に積み立てられる安心感がある一方で、途中解約すると元本割れする可能性もあります。節税効果だけで判断せず、家計の余裕や他の貯蓄方法とのバランスを見て選ぶことが大切です。
医療費控除も忘れずに
子どもの通院や歯の矯正など、家族の医療費は意外とかさみます。家族分を合算して一定額を超えた場合、医療費控除を受けられることがあります。教育費とは直接関係しないように見えますが、家計全体の税負担を軽くすれば、その分を教育費に回せます。領収書は捨てずにまとめておく習慣をつけましょう。
家族の力を活かした節税の工夫
配偶者への専従者給与で所得を分散する
配偶者が事業を手伝っている場合、青色申告であれば青色事業専従者給与として支払った給与を経費にできます。事業の所得を一人に集中させず分散することで、世帯全体の税負担を抑えられる可能性があります。世帯としての手取りが増えれば、その分を教育費に充てやすくなります。
ただし、専従者給与には事前の届出が必要で、勤務実態に見合った妥当な金額であることが求められます。形だけの給与は認められないため、実際の働きに応じた金額を設定し、記録を残しておくことが重要です。
NISAを活用した長期の教育費準備
大学進学までに10年以上の時間がある場合は、NISA(少額投資非課税制度)を使った長期の積立も選択肢になります。投資による利益が非課税になる制度で、コツコツ積み立てながら資産を育てやすい仕組みです。
もっとも、投資には値動きのリスクがあります。進学の直前に相場が下がると、必要なときに思った額を用意できないこともあります。「絶対に必要な分は預貯金や学資保険で確実に、上乗せ分は投資で」というように、性格の違うお金を組み合わせて準備すると安心です。
青色申告で節税効果を最大化する
青色申告特別控除をしっかり受ける
個人事業主の節税の土台になるのが青色申告です。複式簿記で帳簿をつけ、必要な書類を期限内に提出するなどの条件を満たせば、青色申告特別控除として最大65万円を所得から差し引けます。この控除を受けられるかどうかで、税額は大きく変わります。手元に残るお金が増えれば、それだけ教育費の準備もしやすくなります。
控除を満額受けるには、原則として複式簿記での記帳と、確定申告期間(原則2月16日から3月15日)内の電子申告などが求められます。日々の帳簿づけを後回しにすると、せっかくの控除を取りこぼしてしまうこともあるため、早めの準備が肝心です。
経費の取りこぼしをなくす
事業に関わる支出を正しく経費に計上することも、立派な節税です。通信費や消耗品費、交通費など、事業のために使ったお金を漏れなく経費にすれば、課税所得が下がり、結果として教育費に回せるお金が増えます。プライベートと事業が混ざる支出は、使った割合で按分するなど、適切に処理することが大切です。
経費を正しく計上するには、日頃から領収書やレシートをきちんと保管し、こまめに記帳しておく必要があります。年に一度まとめて処理しようとすると、記憶も領収書もあいまいになり、本来計上できたはずの経費を見逃しがちです。
よくある質問
Q. iDeCoは教育費の準備に使えますか?
iDeCoは原則60歳まで引き出せないため、子どもの大学進学などの教育費に直接充てることはできません。ただし掛金が全額所得控除になるため、節税で浮いたお金を別の教育費用の貯蓄に回すという形で、間接的に役立てることはできます。教育費そのものは、預貯金や学資保険、NISAなど、必要な時期に引き出せる方法で準備するのが基本です。
Q. 学資保険とNISA、どちらが教育費向きですか?
どちらが優れているとは一概にいえません。学資保険は元本が比較的安定し計画的に積み立てやすい一方、NISAは値動きのリスクがある代わりに資産が増える可能性があります。進学までの期間や、リスクをどこまで受け入れられるかによって向き不向きが変わります。両方を組み合わせ、確実に必要な分と上乗せを狙う分に分けて準備する方法もよく選ばれています。
Q. 子どもが生まれたら自動的に節税になりますか?
残念ながら自動的ではありません。15歳以下の子どもは扶養控除の対象外で、扶養控除が使えるのは原則16歳以上です。一方で、自分で申告すれば医療費控除や生命保険料控除など使える制度はあります。「子どもがいるから何もしなくても得をする」のではなく、使える制度を自分で確認し、申告に反映させることが大切です。
まとめ:教育費の準備と節税はセットで考える
子どもの教育費に備えるうえで、個人事業主にとって大切なのは「貯める仕組み」と「税金を減らす仕組み」をセットで考えることです。iDeCoや小規模企業共済で所得控除を受けて手取りを増やし、その余力を学資保険やNISAなどで教育費に回す。さらに扶養控除や生命保険料控除、青色申告特別控除といった制度を取りこぼさずに使う。こうした積み重ねが、将来の大きな支出に対する備えになります。
とはいえ、これらをすべて把握し、日々の帳簿づけや経費の整理、確定申告までを本業の合間に自分一人で行うのは、決して軽い負担ではありません。記帳が後回しになって経費を計上し損ねたり、控除の条件を満たせなかったりすれば、せっかくの節税のチャンスを逃しかねません。
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