経理を丸投げする費用はいくら?定額と従量で変わる料金シミュレーション
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税務

経理の丸投げで迷ったら、見るべきは「料金が仕訳数で変わるか」と「決算・申告の費用が別建てか」の2つです。従量制と定額制の料金の仕組みを分解し、月の仕訳数50件・150件・300件それぞれでいくらになるかをシミュレーションで比べます。
記帳代行の見積もりを取ると、「仕訳単価×件数」という耳慣れない計算式が出てきて戸惑う方が多くいます。同じ「経理の外注」でも、料金の決まり方しだいで年間コストは何倍も違ってきます。数字で構造をつかんでから選びましょう。
☑ 見積もりが「仕訳単価×件数」で提示され、結局毎月いくらになるのか読めない
☑ 定額制と従量制のどちらが自分の事業に合うのか、判断の物差しがほしい
相場の水準だけでなく、見積書に出てこない隠れコストと、外注費用そのものを下げる実務のコツまで、発注前に確認したい順番で並べています。
経理の丸投げにかかる費用の内訳はどうなっている?
経理を外注する費用は、「毎月の記帳料金」と「年1回の決算・確定申告の料金」の2階建てが基本です。月々の見積もりが安く見えても、決算・申告分が別建てで加わるため、比較は必ず年間総額で行う必要があります。月次分の計算方法が従量制か定額制かで、この総額の読みやすさが大きく変わります。
月次の記帳料金と、年1回の決算・申告料金
月次の記帳料金は、領収書・通帳・カード明細から仕訳を起こして帳簿を作る作業への対価です。これに対し決算・申告料金は、1年分の帳簿を締めて決算書と申告書に仕上げる作業への対価で、個人事業主なら一般に数万円〜十数万円が別途かかるとされています(2026年7月時点)。「月額◯円」の広告だけを見て契約すると、年明けに想定外の請求に驚くことになります。
なお、会計ソフトで自分で記帳する場合との損得は前提の置き方で変わります。判断材料は会計ソフトと記帳代行の費用比較で整理していますので、内製か外注かをまだ決めかねている方はそちらが先です。
外注しても記帳義務はなくならない?
なくなりません。個人事業主には、青色・白色を問わず帳簿の作成と保存の義務があります。白色申告者にも記帳・帳簿等の保存が義務付けられていることは、国税庁タックスアンサーNo.2080「白色申告者の記帳・帳簿等保存制度」で確認できます。外注は「義務を果たす作業を代わりにやってもらう」ことであり、帳簿や領収書の保存責任は本人に残ります。だからこそ、帳簿データや資料をきちんと返してくれる依頼先を選ぶことが大切です。
従量制と定額制は何が違う?料金の仕組みを比較
従量制は「仕訳単価×その月の仕訳数」で請求額が毎月変動し、定額制は仕訳数にかかわらず月額が固定です。従量制の単価は一般に1仕訳50〜100円程度とされています(2026年7月時点)。取引が少ないうちは従量制が安く、仕訳が増えるほど定額制が有利になる、という関係です。
従量制(仕訳単価型)の仕組みと構造的な注意点
従量制のわかりやすさは「使った分だけ払う」点にあります。ただし実際の料金表は単純な単価×件数ではなく、「月100仕訳まで◯円、超過分は1仕訳◯円」のようなプラン階段型が多く、プランの境目をまたぐと単価が切り替わったり超過料金が加算されたりします。繁忙月に仕訳が跳ねると、想定プランを超えて請求額が膨らむわけです。
たとえば「月100仕訳まで基本料金8,000円、超過1仕訳90円」という料金表で月150仕訳を頼むと、8,000円+50件×90円=12,500円です。基本料金部分の実質単価は8,000円÷100件=80円なのに、超過分は90円と1割以上高く、仕訳が増える月ほど平均単価も上がります。しかも請求額は月を締めてみるまで確定しません。
この「請求額が事前に読めない」ことは、単価の高い安い以前の構造的な注意点です。毎月の件数を自分で数えて検算するのも手間ですし、経費を使うたびに「これで仕訳が1件増える」と意識するのは本末転倒です。従量制を選ぶなら、少なくとも直近1年の仕訳数の最大月を基準にプランを見積もるのが安全です。
定額制の仕組みと向いている人
定額制は、仕訳数や領収書の枚数にかかわらず月額が固定される方式です。件数の増減を気にせず資料を送れるため、請求額の予測が立てやすく、経理コストを完全な固定費にできます。取引件数が多い業種(飲食・小売・建設など)、月ごとの繁閑差が大きい事業、件数を数える管理自体をなくしたい方に向いています。
逆に、仕訳が月に数十件しかない事業では、従量制の方が安くつく場合があります。毎月の請求額を固定したい方は、仕訳数がいくら増えても定額のプランのような料金体系を基準に置いて、自分の件数での従量制試算と並べて比べると判断が早くなります。
仕訳数別にいくらかかる?料金シミュレーション
損益分岐は仕訳数で決まります。月50件なら従量制が安く、150件を超えるあたりから定額制が逆転し、300件では年間で10万円以上の差がつく——これが結論です。単価60円・90円の従量制と月額6,600円の定額制で、月額がどう変わるかを計算してみましょう。
次の表は、月の仕訳数が50件・150件・300件の場合の月額を、従量制(単価60円・90円の2パターン)と定額制(月額6,600円の場合)で試算したものです。
月の仕訳数 | 従量制:単価60円 | 従量制:単価90円 | 定額制(月額6,600円の場合) |
|---|---|---|---|
50件 | 3,000円 | 4,500円 | 6,600円 |
150件 | 9,000円 | 13,500円 | 6,600円 |
300件 | 18,000円 | 27,000円 | 6,600円 |
50件では従量制(60円で3,000円)が定額を下回りますが、150件になると60円単価でも9,000円と定額を超え、300件では18,000〜27,000円と定額の3〜4倍に達します。なお従量制はこのほかに基本料金が設定されていることも多く、その場合の実際の請求額は表の金額より大きくなります。
損益分岐点は「定額の月額÷仕訳単価」で自分でも計算できます。月額6,600円と比べるなら、単価60円で6,600円÷60円=110件、単価90円なら6,600円÷90円=73件が分岐点です。つまり、月の仕訳がおおむね100件を超える見込みがあるなら、定額制を軸に検討する方が合理的だといえます。
飲食店の例:月200枚の領収書・仕訳300件で計算すると?
もう少し実務に寄せて、個人経営の飲食店を考えます。仕入れのレシートが月およそ200枚、これに通帳の入出金やカード明細を合わせると、仕訳は月300件前後になるのが典型的な水準です。
従量制で単価70円とすると、月額は300件×70円=21,000円、年間では21,000円×12か月=252,000円です。定額制で月額6,600円なら、年間は6,600円×12か月=79,200円。差額は252,000円−79,200円=172,800円にのぼります。もちろん、これに加えて確定申告の費用が別建てで発生する点は両者共通です。仕訳の多い業種ほど、料金方式の選択が利益に直結することがわかります。
自分の仕訳数はどうやって見積もる?
仕訳数の当たりをつけるには、「レシート・領収書の枚数+通帳の記帳行数+カード明細の行数」を1か月分数えるのが簡単です。レシート1枚=仕訳1件とは限らず、売上の計上や口座間の振替でも仕訳は発生するため、数えた合計に1〜2割上乗せしておくと安全側の見積もりになります。繁忙月と閑散月の両方を数えて幅で把握しておくと、従量制の変動リスクも具体的に見えてきます。
見積もりに出てこない隠れコストはある?
あります。代表的なのは、初期費用、資料の返送料、仕訳修正への対応費、会計ソフトの利用料、そして解約時の縛りです。月額と単価だけを比べて契約すると、こうした周辺コストで逆転されることがあるため、契約前に一覧で確認しておきましょう。
初期費用・返送料・修正対応は要チェック
契約時の初期設定費用として数万円かかるサービスもあれば、初期費用0円のサービスもあります。また、預けた領収書や通帳コピーの返送料が自己負担か、科目の付け方を後から直したいときの修正が無償か有償かも、見積書には現れにくい差です。仕訳の誤りに気づいたときにどう直すのが正しいかは帳簿を間違えたときの直し方で解説していますが、そもそも修正のたびに費用がかかる契約だと、帳簿の精度を保つこと自体がためらわれてしまいます。
会計ソフト利用料と契約期間の縛り
依頼先が使う会計ソフトの利用料を、依頼者側が月数百円〜数千円負担する建て付けのサービスもあります。さらに「最低契約期間12か月」「解約は3か月前通知」といった縛りがあると、合わなかったときの撤退コストが重くなります。確認すべき項目をまとめると次のとおりです。
初期費用の有無と金額
資料の返送料・保管の扱い(返却時期・方法)
仕訳修正・科目変更の対応が無償か有償か
会計ソフト利用料の負担者
最低契約期間・解約予告・違約金の有無
決算・確定申告料金の目安(月次と別建てか)
この6点を見積もり段階で質問し、回答をメールで残しておけば、契約後の「聞いていない」をほぼ防げます。
経理の外注費用を抑えるコツは?
外注費用を下げる近道は、依頼先の作業工数を減らす資料の渡し方にあります。月別に整理して渡す、事業用の口座・カードを分ける、AI-OCR対応のサービスを選ぶ——この3つで、見積もりが下がったり従量制の仕訳数が減ったりする効果が期待できます。
資料の渡し方で工数は大きく変わる
お客様の記帳をお預かりしていて感じるのは、資料の状態が作業時間を左右する最大の要因だということです。レシートが月別に封筒で分かれているだけで照合はぐっと速くなりますし、通帳コピーの余白に「◯◯の外注費」と一言メモがあるだけで、確認の往復が丸ごと不要になります。逆に、私用のレシートが混在していると、その選別だけで工数が膨らみます。
なお、メモを書く際に勘定科目まで正確に指定する必要はありません。用途さえわかれば科目は依頼先が判断します。自分でも科目の感覚をつかんでおきたい方は勘定科目の使い分けが参考になります。
事業用の口座・カードを分ける
事業専用の銀行口座とクレジットカードを1つずつ用意し、事業の入出金をそこに集約するだけで、仕訳の対象が明確になり、私用支出の選別作業が消えます。従量制なら仕訳数の削減に直結し、定額制でも確認のやり取りが減って月次の仕上がりが早くなります。外注の前に済ませておきたい、費用対効果の高い下準備です。
AI-OCR対応のサービスを選ぶ
領収書をスキャンやスマホ撮影で読み取り、日付・金額を自動でデータ化するAI-OCRを使うサービスでは、手入力の工数が減る分、料金が抑えられたり処理が速くなったりする傾向があります。読み取りの精度や人の確認がどう入るかといった実務の中身はAI-OCR記帳の実務で詳しく紹介しています。紙の郵送とスマホ撮影を併用できるサービスなら、自分の得意なやり方で続けられます。
よくある質問
Q. 月によって仕訳数が大きく変わる場合はどちらが得?
変動が大きいほど定額制が有利になりやすいです。従量制では繁忙月の請求が跳ね上がるうえ、プラン超過の追加単価が適用されることもあります。年間の仕訳数合計で単純比較すると従量制が安く見えても、最大月に合わせたプラン契約が必要なら実際の年額は膨らみます。繁忙月・閑散月それぞれの件数で試算してから決めてください。
Q. インボイス対応で記帳代行の費用は上がりますか?
課税事業者の場合、請求書が適格請求書かどうかの確認や税区分の判定が加わるため、料金が上がったりオプション扱いになったりするサービスがあります。見積もり時に「インボイス・消費税対応を含むか」を確認しましょう。制度自体の内容は国税庁のインボイス制度特設サイトで確認できます。免税事業者のままなら、この負担は基本的に生じません。
Q. 会計ソフト代は別にかかりますか?
サービスによります。依頼先のソフトで処理して利用料は料金に含む形、依頼者が自分のソフト契約を持ち込む形、ソフト利用料を別途請求する形の3パターンがあります。自分でもデータを見たい方は、閲覧用アカウントがもらえるか、月次の試算表をもらえるかを確認しておくと、外注後も数字の把握を手放さずに済みます。
Q. 途中で解約したら違約金はかかりますか?
契約によります。最低利用期間内の解約で残期間分の料金や違約金を求める契約もあれば、いつでも解約できる縛りなしの契約もあります。あわせて確認したいのが、解約時に帳簿データと預けた資料がどんな形で返ってくるかです。データが返らないと、次の依頼先や自分での記帳再開に大きな手戻りが生じます。
今日からできる経理の手放し方
経理の丸投げ費用は「月次の記帳+年1回の決算・申告」の2階建てで、月次部分の従量制か定額制かの選択が年間コストを左右します。月の仕訳数を1か月分数えて、単価×件数と定額の両方で年額を試算する——今日できる第一歩はこれだけです。そのうえで、初期費用・返送料・修正対応・ソフト代・契約縛りの5つの隠れコストを見積もり段階で潰せば、料金で後悔しない外注ができます。
「数えてみたら思ったより仕訳が多かった」という方ほど、定額制の効果は大きくなります。領収書丸投げドットコムは、月額6,600円(税込)・枚数無制限の定額制で、初期費用0円・契約縛りなし。領収書や請求書は郵送かスマホ撮影で送るだけ、帳簿は税理士監修の体制で仕上がります。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








