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経費を使いすぎるデメリット|融資・年金・...

2026/8/11

経費を使いすぎるデメリット|融資・年金・手取りへの影響を解説

  • 税金

☑ 「節税のためにできるだけ経費を使った方がいい」と聞いて、つい支出を増やしてしまう

☑ 経費をたくさん計上して所得を下げているのに、なぜか手元にお金が残らない

☑ 将来、住宅ローンや事業資金を借りたいけれど、今の申告内容で大丈夫か不安

個人事業主やフリーランスの方の間では、「経費をたくさん使えば税金が減るからお得」という考え方が広く知られています。たしかに必要な支出を経費として計上すれば、その分だけ所得が下がり、税金や保険料の負担は軽くなります。ですが、「税金を減らすこと」だけを目的に経費を使いすぎると、思わぬところで不利益が生まれることをご存じでしょうか。

この記事では、経費を使いすぎることで生じる具体的なデメリットを、融資・年金・手取りという3つの視点を中心に解説します。読み終えるころには、「税金を減らす」と「お金を残す・将来に備える」のバランスをどう取ればよいかが見えてくるはずです。節税の落とし穴を避け、健全に事業を続けるためのヒントとしてお役立てください。

そもそも経費とは何か、なぜ「使いすぎ」が起きるのか

経費は「お金が出ていく」ことに変わりはない

経費とは、事業を行うために必要な支出のことです。仕入れや家賃、通信費、交通費などが代表的です。経費を計上すると、その分だけ事業の「所得(もうけ)」が減り、所得に対してかかる所得税や住民税が軽くなります。

ここで誤解されやすいのが、「経費を使えば使うほど得をする」という感覚です。たしかに税金は減りますが、経費はあくまで実際にお金が出ていく支出です。たとえば1万円を経費に使っても、税金が減るのはその一部だけで、戻ってくるわけではありません。1万円使って数千円の節税効果、というイメージを持つと、使いすぎの危うさが分かりやすくなります。

「節税」と「無駄遣い」の境界があいまいになりやすい

本当に事業に必要な支出であれば、経費として計上するのは当然のことです。問題は、「どうせ経費になるから」と、必ずしも必要でないものまで買ってしまうケースです。年末が近づくと税金対策として高額なものを買う方もいますが、事業に役立たない支出であれば、それは節税ではなく単なる無駄遣いになってしまいます。

  • 本当に事業で使うものか、それとも「経費になるから」買っているだけか

  • その支出は、税金の減少分以上の価値を生むのか

  • 手元の資金を減らしてまで、今買う必要があるのか

こうした問いを持つことが、健全な経費の使い方への第一歩です。

デメリット1:融資・ローンの審査で不利になる

所得が低いと「返済能力が低い」と見られる

経費を使いすぎることの最大のデメリットのひとつが、融資やローンへの影響です。金融機関は、お金を貸すかどうかを判断するとき、確定申告書に記載された所得金額を重要な材料にします。経費を多く計上して所得を低く抑えていると、「この人は返済できるだけの収入があるのか」と疑問を持たれやすくなります。

つまり、節税のために所得を下げすぎると、いざというときにお金を借りにくくなるのです。これは住宅ローンや自動車ローンといった個人の借入だけでなく、事業を拡大するための運転資金や設備資金の借入にも当てはまります。

住宅ローン・事業融資を考えているなら数年前から準備を

金融機関は通常、直近の数年分の確定申告書を見て審査します。そのため、「来年マイホームを買いたい」「再来年に事業資金を借りたい」と考えているなら、その数年前から所得をある程度確保しておくことが大切です。

具体的には、こんな点を意識しておくとよいでしょう。

  • 融資を予定している場合、直前の年だけでなく数年分を通して安定した所得を示せるようにする

  • 過度な節税で所得をゼロ近くまで下げてしまうと、審査のテーブルにすら乗りにくくなることを理解しておく

  • 融資の予定がある旨を早めに意識し、経費の使い方を調整する

「税金は減ったけれど、借りたいときに借りられなかった」という事態を避けるためにも、長い目で計画を立てることが重要です。

デメリット2:将来受け取る年金が減る可能性

国民年金は所得に左右されないが、上乗せ制度は別

個人事業主やフリーランスの多くが加入している国民年金は、保険料が定額で、納めた期間に応じて将来の受給額が決まります。そのため、所得を下げても国民年金そのものの受給額が直接減るわけではありません。ただし、所得が低いことで生じる影響は、年金の「上乗せ部分」に表れてきます。

付加年金・国民年金基金・iDeCoとのバランス

会社員に比べると、個人事業主が将来受け取れる公的年金は少なくなりがちです。そこで老後の備えとして、付加年金や国民年金基金、iDeCo(個人型確定拠出年金)といった制度を活用する方も多くいます。これらは掛金が所得控除の対象になり、節税にもつながる仕組みです。

ところが、経費を使いすぎて所得を極端に下げてしまうと、こうした制度の魅力が薄れてしまいます。所得が低ければ、もともと支払う税金が少ないため、所得控除による節税メリットも小さくなるからです。さらに、掛金に回せる資金そのものが手元に残らなければ、老後の備えに使えるお金が減ってしまいます。

  • 経費の使いすぎで手元資金が減ると、将来への積立に回す余裕がなくなる

  • 所得を下げすぎると、所得控除を活かした老後資金づくりの効果も小さくなる

  • 目先の節税より、将来の受給額を増やす制度に資金を振り向ける選択肢もある

「今の税金を減らす」ことと「将来の自分を守る」ことは、必ずしも同じ方向を向いていない点に注意が必要です。

デメリット3:手取り・キャッシュが残らなくなる

節税額より支出額の方が必ず大きい

経費を使えば税金は減りますが、出ていくお金そのものは経費の全額です。たとえば、税金を減らしたい一心で必要のないものに10万円を使ったとします。仮にその支出で税金や保険料が数万円軽くなったとしても、差し引きで考えれば手元のお金はむしろ減っています。節税のために使ったお金が、節税で戻る金額を上回るのが普通なのです。

「税金を払うのがもったいないから経費を増やす」という発想は、結果的に手元のキャッシュを減らし、事業の体力を弱めてしまうことがあります。税金を払うのは、それだけ利益が出ている証でもあります。利益を残してきちんと納税し、手元にお金を確保しておく方が、事業を続けるうえでは安心です。

資金繰りの悪化が事業の継続を脅かす

手元の現金が薄くなると、急な支出や売上の落ち込みに対応できなくなります。設備の故障、取引先の支払い遅延、体調不良による休業など、事業には予期せぬ出来事がつきものです。こうしたときに頼りになるのは、節税の実績ではなく、手元に残した現金です。

  • 運転資金が不足すると、本来不要な借入に頼らざるを得なくなる

  • キャッシュが薄いと、値引き要求や無理な条件をのまざるを得ない場面が増える

  • 余裕資金があれば、好機が来たときに前向きな投資ができる

節税は大切ですが、それは「健全な資金繰り」という土台があってこそ意味を持ちます。

使いすぎないために意識したいこと

「必要だから使う」を判断基準にする

経費を使うかどうかは、「税金が減るから」ではなく「事業に必要だから」を基準に判断しましょう。本当に必要な支出であれば、それは堂々と経費に計上してよいものです。逆に、節税が主な目的になっている支出は、いったん立ち止まって考える価値があります。

また、領収書やレシートをきちんと保管し、何に使ったかを記録しておくことも大切です。後から見返したときに「これは本当に事業のためだったか」を振り返る材料になりますし、いざというときの説明にも役立ちます。

所得を残す節税と組み合わせる

「経費を増やす」以外にも、税負担を軽くする方法はあります。手元のお金を減らさずに将来へ備えられる制度を組み合わせることで、無理な経費の使いすぎを避けられます。

  • 青色申告を選び、青色申告特別控除(最大65万円)などの控除を活用する

  • 小規模企業共済やiDeCoなど、掛金が控除になり将来の備えにもなる制度を使う

  • 所得控除をもれなく適用し、所得そのものを正しく計算する

これらは「お金を無駄に使う」のではなく「将来の自分に積み立てながら税を抑える」方法です。経費の使いすぎに頼らない節税の柱として、ぜひ検討してみてください。

よくある質問

Q. 経費はやはり多く計上した方が得なのではないですか?

事業に本当に必要な支出であれば、もれなく計上することは大切で、それ自体は正しい節税です。問題なのは「節税のためだけ」に必要のないものまで買うことです。税金が減る金額より使ったお金の方が大きいため、無理に増やすと手元の資金はかえって減ってしまいます。「必要かどうか」で判断するのがおすすめです。

Q. 融資を考えていないなら、所得を下げても問題ありませんか?

当面の融資予定がなくても、住宅ローンや事業資金が将来必要になる可能性はゼロではありません。また、所得を下げすぎると、将来への積立に回せる資金や老後の備えにも影響します。融資予定の有無にかかわらず、手元にお金を残す視点は持っておくと安心です。

Q. どのくらいの所得を残すのが適切ですか?

適切な水準は、事業規模や家族構成、将来の資金計画によって人それぞれ異なります。一律の正解はありませんが、生活費や納税資金、不測の事態に備える資金を確保したうえで、無理のない範囲で考えることが基本です。具体的な目安は、ご自身の状況に合わせて専門家に相談すると安心です。

まとめ:経費は「減らす」より「活かす」発想で

経費を使いすぎることには、融資が受けにくくなる、将来の備えが手薄になる、手元のキャッシュが残らなくなるといったデメリットがあります。税金を減らすことだけに目を向けると、かえってお金が残らず、いざというときに困る事態を招きかねません。本当に必要な支出をきちんと経費にしつつ、青色申告や各種控除、将来に備える制度を組み合わせて、バランスよく節税していくことが大切です。

とはいえ、「どこまでが必要な経費か」「どのくらい所得を残すべきか」を一人で見極めながら、日々の記帳や確定申告まで自分で行うのは、本業が忙しい個人事業主やフリーランスにとって大きな負担です。判断に迷ったまま申告期限(原則2月16日〜3月15日)が近づき、慌ててしまう方も少なくありません。

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