海外株式・外国ETFの配当がある人の確定申告|外国税額控除を解説
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確定申告
☑ 米国株や外国ETFの配当で、現地と日本の両方から税金が引かれていて損をしている気がする
☑ 「外国税額控除」という言葉は聞くが、確定申告でどう書けばいいのかわからない
☑ 申告したほうが得なのか、しなくても問題ないのか判断がつかない
近年は米国株や全世界株のETFを保有する個人事業主・フリーランスの方が増えました。ところが、いざ配当を受け取ってみると現地で税金を引かれ、さらに日本でも税金が引かれている。「これって二重に取られているのでは?」と疑問に思った経験はないでしょうか。
本記事では、海外株式・外国ETFの配当にかかる税金の仕組みと、二重課税を取り戻すための外国税額控除を中心に、確定申告での具体的な進め方をやさしく解説します。読み終えるころには、自分は申告すべきか、どの書類を用意すればよいかがイメージできるようになります。
海外株式・外国ETFの配当はなぜ二重に課税されるのか
現地国と日本の両方で税金が引かれる仕組み
米国株を例にすると、配当が支払われる際にまず米国で10%の源泉徴収が行われます。そのうえで、残った金額に対して日本国内でも所得税・住民税が課されます。つまり同じ配当に対して、現地国と日本の二か国で税金がかかる状態になります。これがいわゆる国際的二重課税です。
たとえば100ドルの配当があった場合、米国で10ドルが引かれ、手元に届く90ドルに対して日本でさらに課税される、というイメージです。何もしなければ、同じ所得に二重に税負担が生じてしまいます。
この二重課税を調整するのが外国税額控除
こうした不公平を解消するために設けられているのが外国税額控除です。これは、外国で納めた税金の一定額を、日本で納める所得税から差し引ける仕組みです。確定申告でこの控除を適用することで、現地国で引かれた税金の一部または全部を取り戻せる可能性があります。
逆に言えば、外国税額控除は確定申告をしなければ受けられません。証券会社が自動で調整してくれるわけではないため、配当が出ている方は申告するかどうかを意識的に判断する必要があります。
国によって源泉徴収のされ方が異なる
外国株といっても、配当への課税ルールは国ごとに違います。米国は租税条約により配当の現地源泉税が10%ですが、国によっては税率が異なったり、そもそも現地で源泉徴収されなかったりするケースもあります。自分が保有している銘柄がどの国のものかによって、外国税額控除で取り戻せる金額も変わってくる点を押さえておきましょう。
そもそも申告は必要?源泉徴収ありの口座と申告の関係
特定口座(源泉徴収あり)なら申告は任意
多くの方が利用している特定口座(源泉徴収あり)では、配当や譲渡益にかかる日本国内の税金が自動的に精算されます。そのため、日本の課税という観点だけで見れば、確定申告をしなくても納税は完了しています。配当だけを受け取っている場合、申告自体は義務ではなく任意です。
ただし、申告しなければ外国で引かれた税金はそのままです。外国税額控除を使って取り戻したいのであれば、任意であっても確定申告をする必要がある、という関係になります。
申告すると得になる人・損になる人
申告するかどうかは、トータルでの損得で考えるのが基本です。一般的な目安としては次のようになります。
外国株の配当が多く、現地で引かれた税金が大きい方 → 外国税額控除で取り戻せる可能性があり、申告が有利になりやすい
所得全体が低めで、配当を申告に含めても税率が高くならない方 → 申告で還付を受けられることがある
所得が高く、配当を申告に含めると税負担がかえって増えそうな方 → 申告しないほうが有利な場合もある
このように、人によって結論が変わります。配当の額や他の所得とのバランスを見て、一度試算してみることをおすすめします。
総合課税と申告分離課税の選択
配当所得を申告する場合、総合課税と申告分離課税のどちらかを選べます。総合課税は事業所得などと合算して累進税率で計算する方法、申告分離課税は他の所得と分けて一定税率で計算する方法です。所得が低い方は総合課税にして配当控除や低い税率を活かせることがあり、所得が高い方は申告分離課税のほうが有利になることもあります。どちらが得かは所得水準によって変わるため、両方で試算して比べるのが安心です。
外国税額控除の計算の考え方
控除には上限(控除限度額)がある
外国で納めた税金が、そのまま全額日本の税金から引けるわけではありません。外国税額控除には控除限度額という上限が設けられています。これは「その年の所得税額のうち、国外で得た所得が占める割合に対応する分まで」という考え方で計算されます。
大まかに言えば、日本での所得税額に「国外所得が全体の所得に占める割合」を掛けた金額が、その年に控除できる上限の目安になります。外国で引かれた税金がこの限度額より大きい場合、超えた分はその年では引ききれません。
引ききれない分は繰り越せる
控除限度額を超えて引ききれなかった外国税は、一定期間にわたって繰り越すことができます。逆に、限度額に余裕がある年には過去の繰越分を活用できる場合もあります。配当の額が年によって変動する方は、こうした繰越の仕組みがあることを知っておくと、長い目で見て無駄なく控除を活用できます。
住民税側でも調整される
外国税額控除は所得税だけでなく、所得税で引ききれなかった分が住民税側でも一定の範囲で調整される仕組みになっています。確定申告の内容は住民税の計算にも引き継がれるため、所得税の申告書を正しく作成しておけば、住民税分の調整も連動して進みます。まずは「所得税と住民税の両面で二重課税が調整される」という全体像をつかんでおけば十分です。
確定申告で必要な書類と準備
年間取引報告書と支払通知書
外国株の配当を申告するうえで、まず手元にそろえたいのが証券会社から届く書類です。具体的には次のようなものです。
特定口座年間取引報告書(配当・譲渡の年間集計が記載されている)
配当金の支払通知書・支払明細(外国で源泉徴収された税額がわかる)
外国所得税額がわかる資料(証券会社の交付書類や取引履歴など)
特に重要なのが、現地でいくら税金が引かれたかがわかる書類です。外国税額控除はこの「外国で納めた税額」が計算の出発点になるため、配当の支払通知書はしっかり保管しておきましょう。
外国税額控除に関する明細書
外国税額控除を受けるには、確定申告書本体に加えて、外国所得税の内容を記載する明細書を添付します。国税庁の確定申告書等作成コーナーを使えば、画面の案内に沿って外国所得税額などを入力することで、この明細書も作成・出力できます。手書きで一から計算するより、入力ミスや計算ミスを大幅に減らせます。
為替の換算に注意する
外国株の配当はドルなどの外貨で支払われますが、確定申告では円に換算して記載します。換算には原則として一定の為替レートを用います。配当の受取日や、証券会社が交付する書類に記載された円換算額を確認し、外貨のままにせず円ベースで整理しておくことが大切です。証券会社の書類にすでに円換算額が載っている場合は、それを基にすると手間が省けます。
申告でつまずきやすいポイントと対処法
NISA口座の配当は外国税額控除の対象外
NISA口座で保有している外国株の配当は、日本では非課税となる一方で、外国税額控除は使えません。NISAはそもそも日本で課税されていないため、控除して差し引く相手の税額がないからです。米国株などをNISAで保有している場合、現地の源泉税は引かれたままになる点は、あらかじめ理解しておきましょう。これはNISAの仕組み上やむを得ない部分で、デメリットというより前提として捉えるのが現実的です。
譲渡損があるときは損益通算も検討
外国株を売却して損失が出た年は、配当所得との損益通算を検討できる場合があります。申告分離課税を選んで配当と譲渡損を通算すれば、課税対象を圧縮できることもあります。売却損益もある方は、配当の申告方法とあわせて全体で考えるとよいでしょう。
少額でも積み重なると影響は大きい
1回あたりの配当は数百円〜数千円でも、複数銘柄を長期保有していると、現地で引かれた税金は年間で無視できない金額になります。「少額だから意味がない」と思い込まず、年間トータルで一度集計してみると、申告する価値があるかどうかが見えてきます。
よくある質問
Q. 外国税額控除を使うと、引かれた税金は全額戻ってきますか?
必ずしも全額が戻るわけではありません。外国税額控除には控除限度額という上限があり、その年の所得や国外所得の割合によって控除できる金額が決まります。限度額を超えた分はその年には引ききれませんが、一定期間の繰り越しができる仕組みがあります。どの程度戻るかは個々の状況によって変わるため、試算して確認するのが確実です。
Q. 特定口座(源泉徴収あり)なら、申告しなくても問題ありませんか?
日本国内の納税という意味では、特定口座(源泉徴収あり)であれば申告しなくても納税は完了しています。ただし、その場合は外国で引かれた税金を取り戻すことはできません。現地源泉税を取り戻したい、または還付を受けたい場合は、任意であっても確定申告をして外国税額控除を適用する必要があります。
Q. 事業所得がある個人事業主でも、外国株の配当を申告できますか?
はい、できます。事業所得の確定申告に、配当所得を含めて申告する形になります。総合課税を選べば事業所得と合算して計算し、申告分離課税を選べば配当を分けて計算します。どちらが有利かは所得全体のバランスで変わるため、事業の数字と配当を合わせて試算するとよいでしょう。
まとめ:外国税額控除は「知って申告する人」だけが得をする
海外株式や外国ETFの配当は、現地と日本の二か国で課税される二重課税の状態になりがちです。これを調整してくれるのが外国税額控除ですが、確定申告をしなければ自動的には適用されません。配当の支払通知書や年間取引報告書をそろえ、円換算や控除限度額に注意しながら申告することで、引かれすぎた税金を取り戻せる可能性があります。一方でNISA口座の配当は対象外になるなど、知っておくべき前提もあります。
とはいえ、外国税額控除の計算や為替換算、総合課税と申告分離課税の比較などは、本業の合間に一人で正確に行うには負担が大きいのも事実です。判断を誤ると、本来取り戻せたはずの税金をそのままにしてしまうこともあります。
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