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行政書士・司法書士など士業の確定申告|報...

2026/8/11

行政書士・司法書士など士業の確定申告|報酬と預り金の処理を解説

  • 確定申告

☑ 依頼者から預かった登録免許税や印紙代を、売上に含めるべきか迷っている

☑ 報酬から源泉徴収された金額を、確定申告でどう取り戻すのかわからない

☑ 立替金・預り金・報酬がごちゃ混ぜになっていて、帳簿が正しいか不安だ

行政書士や司法書士などの士業は、依頼者から「報酬」だけでなく、登録免許税や印紙代、登記事項証明書の手数料といった「実費」をまとめて受け取る場面が多い職業です。このお金の性格を分けて記帳できていないと、本来は売上ではないものまで収入として計上してしまい、税額や消費税の判定を誤る原因になります。

本記事では、士業の確定申告でつまずきやすい「報酬」と「預り金・立替金」の処理、源泉徴収の扱い、士業ならではの経費について、個人で開業している先生方向けにやさしく解説します。読み終えるころには、依頼者から受け取ったお金をどう仕分ければよいか、全体像がつかめるようになります。

士業の収入はどんな所得になる?まず区分を整理しましょう

個人で開業していれば原則「事業所得」

行政書士、司法書士、税理士、社会保険労務士、土地家屋調査士などの士業は、個人で事務所を構えて報酬を得ている場合、その収入は原則として事業所得になります。事業所得であれば、青色申告を選択することで青色申告特別控除(最大65万円)や赤字の繰越しといったメリットを受けられます。開業して間もない先生は、早めに青色申告の承認申請を済ませておくと安心です。

勤務しながらの副業や非常勤は所得区分に注意

勤務先に雇用されながら、個人の名前で単発の相談業務を受けているようなケースでは、その収入が事業所得になるのか、雑所得になるのかが問題になります。継続性や事業としての規模、独立して反復的に行っているかどうかなどから総合的に判断されます。判断に迷う場合は、自己流で決めつけず、税務署や専門家に確認しておくと後々のトラブルを防げます。

報酬から源泉徴収されているケースが多い

士業への報酬は、支払う側(法人や個人事業主の依頼者)が源泉徴収を行う対象になっていることがあります。たとえば司法書士や土地家屋調査士、行政書士などへの報酬は、一定のルールに基づいて源泉徴収されることがあります。源泉徴収された税金は「前払いした所得税」のようなものなので、確定申告で精算し、納めすぎていれば還付を受けることになります。この仕組みを理解しておくことが、士業の確定申告の出発点です。

報酬・預り金・立替金は分けて記帳するのが鉄則

「報酬」と「実費」は性格がまったく違う

士業が依頼者から受け取るお金は、大きく次の2つに分けられます。

  • 報酬:先生が提供する業務に対する対価。これが本来の「売上」です

  • 実費(預り金・立替金):登録免許税、収入印紙代、登記事項証明書の取得手数料など、本来は依頼者が負担すべき費用を一時的に預かる・立て替えるもの

このうち売上になるのは報酬部分だけです。実費部分は、先生の手元を通過しているだけで、先生の利益にはなりません。ここを区別せずに「受け取った総額」をそのまま売上にしてしまうと、所得が実態より大きく膨らみ、税額や消費税の判定を誤ってしまいます。

預り金と立替金の違い

実費の中でも、お金を受け取るタイミングによって呼び方が変わります。先に依頼者からお金を預かっておき、後から登録免許税などを支払う場合は預り金、先に先生が立て替えて支払い、後から依頼者に請求して回収する場合は立替金として処理するのが基本です。どちらも損益(売上や経費)には影響しない「お金の出入りの記録」であり、貸借に関係する科目として帳簿に残します。

請求書を「報酬」と「実費」で分けて書く

記帳をすっきりさせる一番の近道は、請求書の段階で報酬と実費の欄を分けておくことです。たとえば「業務報酬」「登録免許税(実費)」「登記事項証明書取得費用(実費)」のように項目を分けておけば、入金時にどこまでが売上でどこからが預り金・立替金なのかが一目でわかります。後から帳簿を整理するより、入口の請求書で分けておくほうが圧倒的に楽になります。

源泉徴収された報酬の確定申告での扱い

源泉徴収税額は「前払い分」として精算する

依頼者が法人などの場合、報酬を支払う際に源泉徴収を行っていることがあります。源泉徴収された税額は、年間の所得税をあらかじめ少しずつ納めているのと同じです。確定申告では、1年分の所得から計算した本来の所得税額と、すでに源泉徴収された税額を突き合わせて精算します。源泉徴収された額のほうが多ければ、その差額が還付されます。

支払調書や請求書で源泉税額を集計する

確定申告で源泉徴収税額を正しく反映するには、1年間にいくら源泉徴収されたのかを集計する必要があります。依頼者から支払調書が届くこともありますが、必ず発行されるとは限りません。支払調書が届かなくても、自分の請求書や入金記録をもとに源泉徴収税額を把握しておくことが大切です。入金額が請求額より少ない場合、その差額が源泉徴収分であることが多いので、入金のたびに記録しておくと年末の集計がスムーズです。

実費部分は源泉徴収の対象に含めない

源泉徴収は、あくまで報酬に対して行われるのが原則です。請求書で報酬と実費を分けて記載しておけば、源泉徴収の対象が報酬部分だけであることが明確になります。報酬と実費を一括で請求していると、源泉徴収の計算範囲があいまいになりやすいため、この点からも項目を分けて請求する習慣が役立ちます。

士業ならではの経費と消費税のポイント

計上できる主な経費

士業の確定申告では、業務に直接関係する支出を必要経費として計上できます。代表的なものは次のとおりです。

  • 会への登録料・年会費(行政書士会、司法書士会などの会費)

  • 賠償責任保険の保険料

  • 研修・セミナー参加費、専門書籍代

  • 事務所家賃、水道光熱費(自宅兼事務所なら按分)

  • 業務用ソフト・クラウドサービスの利用料、通信費

  • 交通費、依頼者や官公庁への移動にかかる費用

自宅の一室を事務所として使っている場合は、家賃や光熱費のうち業務に使っている割合を合理的な基準(使用面積や使用時間など)で按分し、その分を経費にできます。按分の根拠は説明できるようにしておきましょう。

立て替えた登録免許税などは経費にならない

注意したいのが、依頼者の代わりに支払った登録免許税や印紙代は、先生自身の経費にはならないという点です。これらは依頼者が負担すべきもので、先生は立替・預りとして処理するだけだからです。同じ理由で、立て替えた実費を依頼者から回収しても、それは売上にはなりません。「経費にも売上にもしない」という整理を徹底することが、士業の帳簿づけのコツです。

消費税の判定では報酬ベースで考える

消費税の課税事業者になるかどうかの判定や、インボイス登録後の消費税計算では、売上の規模が基準になります。このとき、預り金・立替金として処理した実費を売上に含めてしまうと、売上規模を実態より大きく見積もってしまうおそれがあります。報酬と実費を分けて記帳しておくことは、所得税だけでなく消費税の判定を正しく行ううえでも重要です。インボイス制度への対応に迷う場合は、早めに専門家へ相談しておくと安心です。

確定申告をスムーズに進めるための準備

日々の入金を「報酬」「実費」に振り分ける

確定申告の直前になって1年分のお金を仕分けようとすると、どれが報酬でどれが預り金だったのか思い出せず、膨大な時間がかかります。入金があったその都度、請求書と照らし合わせて報酬部分と実費部分に振り分けておけば、年末の負担は大きく減ります。会計ソフトを使う場合も、報酬と預り金・立替金の科目を分けて入力する運用にしておきましょう。

証拠書類を取引ごとに保管する

登録免許税の領収書、印紙の使用記録、官公庁の手数料の領収書などは、立替・預りの根拠として保管が必要です。報酬に関する請求書控えや入金記録とあわせて、案件ごとにまとめておくと、後から「このお金は何だったか」を確認しやすくなります。電子帳簿保存法への対応も意識し、データで受け取った領収書はデータのまま整理しておくとよいでしょう。

事業用とプライベートの口座を分ける

士業は依頼者からの預り金を扱う以上、事業用とプライベートのお金が混ざると、預かっているお金と自分のお金の区別がつかなくなります。事業専用の口座を用意し、報酬の入金・実費の支払い・立替金の回収をその口座に集約しておくと、帳簿づけが格段に楽になり、預り金の管理も確実になります。

よくある質問

Q. 依頼者から預かった登録免許税は、売上に入れる必要がありますか?

いいえ、依頼者の代わりに納める登録免許税などの実費は、先生の売上にはなりません。預り金または立替金として処理し、損益には影響させないのが原則です。報酬部分だけが売上になります。請求書の段階で報酬と実費を分けておくと、この区別が明確になり、記帳ミスを防げます。

Q. 支払調書が届かない依頼者がいます。源泉徴収分はどう確認すればよいですか?

支払調書は必ず発行されるものではないため、届かないこともあります。その場合は、自分が発行した請求書の金額と、実際に入金された金額の差額から源泉徴収税額を把握します。入金のたびに「請求額」「入金額」「差額(源泉分)」を記録しておけば、年末にまとめて集計でき、確定申告で還付を受ける際に役立ちます。

Q. 自宅を事務所にしています。家賃はどこまで経費にできますか?

自宅兼事務所の場合は、業務に使っている部分を合理的な基準で按分した分を経費にできます。たとえば総面積のうち事務所として使っている面積の割合で家賃や光熱費を按分する方法が一般的です。按分の根拠(面積や使用状況)を説明できるようにしておけば、税務署から問われた際にも安心です。プライベートと完全に混ざった支出を全額経費にすることは避けましょう。

まとめ:報酬と預り金を分ければ士業の申告はシンプルになる

士業の確定申告は、依頼者から受け取るお金を「報酬(売上)」と「預り金・立替金(実費)」にきちんと分けることが最大のポイントです。報酬だけを売上とし、実費は損益に含めず、源泉徴収された税額は前払い分として精算する。この流れさえ押さえれば、所得税も消費税も正しく計算でき、還付の取りこぼしも防げます。請求書の段階で項目を分け、入金のたびに振り分けておくことが、申告を楽にする一番の近道です。

とはいえ、本業の依頼業務に追われながら、報酬と預り金を案件ごとに整理し、源泉徴収税額まで集計するのは大きな手間です。期限間際になって帳簿を見て、どのお金が何だったか思い出せず慌てる先生も少なくありません。

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