融資審査と節税の両立|所得を残しつつ税負担を抑える考え方を解説
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税金

節税で所得を圧縮しすぎると、融資審査で返済能力を低く見られがちです。「利益を消す節税」ではなく「将来に効く節税」を選び、計上すべき経費を正しく整理すれば、所得を残しながら税負担を抑えられます。
個人事業主やフリーランスとして事業を続けていると、「税金はできるだけ少なくしたい」という思いと、「いざというときに融資を受けたい」という思いが、どこかでぶつかってしまう瞬間があります。節税のために経費を増やして所得を圧縮すると、今度は金融機関から「返済能力が低い」と見られかねないからです。
☑ 節税を頑張ったら所得が少なくなりすぎて、融資審査に通るか不安だ
☑ 銀行に借入を申し込みたいが、決算でどこまで利益を残せばよいかわからない
☑ 税金は抑えたいけれど、将来の資金調達も考えると何を優先すべきか迷う
融資審査と節税という一見相反するテーマを、どう両立させればよいのかを整理しました。目先の税負担だけにとらわれず、所得を適切に残しながら無理のない節税を考えるための判断軸が見えてくるよう、順に見ていきます。
なぜ「節税しすぎ」が融資の足かせになるのか
金融機関は「返せるかどうか」を所得で見ている
銀行や信用金庫などの金融機関が融資の可否を判断するとき、最も重視するのは「貸したお金をきちんと返してもらえるか」という一点です。個人事業主の場合、その返済能力を測る大きな材料が確定申告書に記載された所得です。決算書や青色申告決算書の数字が、そのまま事業の体力を示す通信簿のような役割を果たします。
つまり、節税のために所得を極端に小さく見せていると、金融機関からは「この事業はあまり儲かっていない」「返済原資が乏しい」と判断されやすくなります。手元の税金は減らせても、肝心なときにお金を借りられないという事態になりかねないのです。融資と補助金をあわせて資金計画を立てる考え方は創業融資と補助金を組み合わせた資金計画も参考になります。
所得が少ないと借入可能額も小さくなりやすい
融資の金額は、事業の所得や利益の規模に応じて検討されるのが一般的です。所得を圧縮しすぎていると、希望する金額に届かなかったり、より高い金利を提示されたりすることがあります。節税で浮いた数万円〜数十万円の税金と引き換えに、本当に必要なときの資金調達の幅を狭めてしまう。これが「節税しすぎ」のわかりにくい代償です。
過度な経費計上は信頼性も損ないやすい
事業と関係の薄い支出まで経費に詰め込んで利益を消すような決算は、金融機関の担当者から見ると不自然に映ります。数字の整合性や説明のしやすさは、審査における信頼にも関わります。「説明できる経費」だけを正しく計上するという当たり前の姿勢が、結果として融資のしやすさにもつながっていきます。
融資を見据えるなら「所得を残す」ことにも価値がある
納めた税金は「信用の積み立て」にもなる
税金を払うこと自体は誰にとっても重い負担ですが、見方を変えれば、利益を出して納税している実績は事業が健全に回っている証明にもなります。数年分の確定申告書で安定した所得が続いていれば、金融機関はその事業を評価しやすくなります。目先の税額だけでなく、「借りたいときに借りられる状態」を作るコストとして所得を残す、という発想も大切です。
融資の予定があるなら逆算して利益を考える
近いうちに設備投資や事業拡大で融資を考えているなら、その時期から逆算して、決算でどの程度の利益を残すかを計画的に考えておくと安心です。たとえば来期に大きな借入を予定しているのに、今期の決算をギリギリまで節税で圧縮してしまうと、審査に使われる直近の数字が弱くなってしまいます。
いつ頃、いくらくらいの融資を受けたいかをざっくり描く
その審査で見られるのはどの年度の決算かを意識する
その年度は無理な節税を控え、所得を一定以上残す
このように、節税と融資をバラバラに考えるのではなく、時間軸でつなげて考えることがポイントです。帳簿から資金の過不足を先読みしたい方は資金繰り表の作り方を活用すると、融資のタイミングを計画的に見通せます。
赤字決算は融資では不利になりやすい
節税を突き詰めて赤字決算にすると、その年の税負担は抑えられますが、融資の場面では「返済原資がない」と見られやすく、不利に働く傾向があります。やむを得ず赤字になった場合は、その理由(一時的な設備投資、特殊事情など)を説明できるよう準備しておくと、印象が大きく変わります。
所得を残しつつ税負担を抑える具体的な考え方
「利益を消す節税」より「将来に効く節税」を選ぶ
節税には大きく分けて、単純に経費を増やして利益を消すタイプと、将来の備えや控除を活用して負担を抑えるタイプがあります。融資を見据えるなら、後者を中心に考えるのがおすすめです。代表的なものとして、次のような制度があります。
小規模企業共済:掛金が全額所得控除になり、将来の退職金代わりにもなる
iDeCo(個人型確定拠出年金):掛金が所得控除の対象で、老後資金の準備にもなる
経営セーフティ共済(中小企業倒産防止共済):掛金を経費にしつつ、いざというときの資金にも備えられる
これらは、お金を「消す」のではなく「形を変えて積み立てる」性質を持っています。所得控除によって税負担は下がりつつ、資産自体は手元(または積立先)に残るため、事業の体力を大きく削らずに済むのが特徴です。経営セーフティ共済の掛金と節税の関係は経営セーフティ共済の掛金と節税で試算とあわせて確認できます。
青色申告特別控除をしっかり使う
青色申告で複式簿記による記帳を行い、e-Taxでの申告など一定の要件を満たすと、最大65万円の青色申告特別控除を受けられます。青色申告制度の全体像は国税庁タックスアンサー「No.2072 青色申告特別控除」(国税庁)で確認できます。これは余計な支出をせずに所得を圧縮できる、いわば「使わないと損」な制度です。経費を無理に増やすのではなく、まずはこうした正攻法の控除を取りこぼさないことが、健全な節税の土台になります。日々の複式簿記が負担なら、記帳代行のしくみを使って要件を満たす帳簿を整える方法もあります。
計上できる経費は正しく、漏れなく
節税の基本は、事業に必要な経費をきちんと計上することです。逆に、レシートや領収書を紛失して計上漏れになっている経費があれば、それは払わなくてよい税金を払っていることになります。大切なのは、
事業と関係のある支出は漏れなく経費にする
プライベートな支出を無理に経費に混ぜない
という線引きです。この当たり前を徹底するだけで、税負担と決算の信頼性のバランスは大きく整います。
融資を申し込む前に整えておきたい準備
過去数年分の決算を見られる前提で整える
金融機関は、1年だけでなく直近の数年分の確定申告書をまとめて確認することが一般的です。年によって所得が大きくブレていたり、不自然に赤字が続いていたりすると、説明を求められやすくなります。日頃から記帳を正確に行い、複数年で見ても筋の通った数字になっているかを意識しておくと安心です。
資金使途と返済計画を言葉にできるようにする
融資審査では、「何にいくら使い、どう返していくのか」を説明できることが重視されます。借りたお金をどの設備や仕入れに充て、それがどう売上や利益につながり、毎月いくら返済していくのか。この一連のストーリーを自分の言葉で語れるよう準備しておくと、所得の数字以外の面でも評価されやすくなります。
普段から取引の記録をきれいに残す
通帳の動き、請求書、領収書といった日々の記録がきちんと整理されていると、決算書の数字に説得力が生まれます。逆に、記帳が後回しで数字の根拠があいまいだと、融資の相談以前に決算そのものの信頼性が揺らぎます。融資は「思い立ったとき」の準備では間に合わないことが多いため、日常的な記帳の積み重ねが何よりの備えになります。
よくある質問
Q. 節税と融資、結局どちらを優先すればよいですか?
近い将来に融資の予定があるかどうかで考え方が変わります。数年以内に大きな借入を考えているなら、その審査で見られる年度は無理な節税を控え、所得を一定以上残すことを優先するのがおすすめです。一方で当面まとまった資金需要がないなら、小規模企業共済やiDeCoなど「将来に効く節税」を活用しつつ、税負担を抑えていく形がバランスを取りやすいでしょう。
Q. 経費を増やせば増やすほど税金は減るのに、なぜ控えた方がよいのですか?
事業に必要な経費を計上するのは正しいことですが、利益を消すためだけに不要な支出を増やすのは本末転倒です。1万円の節税のために何万円も支出していては、手元のお金はかえって減ってしまいます。さらに所得が小さくなることで融資にも不利になりかねません。「払うべき経費は払い、払わなくてよい支出は増やさない」が基本です。
Q. 赤字でも融資は受けられますか?
赤字だからといって必ず断られるわけではありませんが、一般的には不利に働きます。赤字の理由が一時的な設備投資や特殊な事情によるものであれば、その背景と今後の回復見込みを具体的に説明できるよう準備しておくことが大切です。数字だけでなく、事業の実態をどう伝えるかが鍵になります。
まとめ|節税は「所得を残す視点」とセットで考える
節税と融資審査は、一見すると相反するように見えますが、「利益を消す節税」ではなく「将来に効く節税」を選び、計上すべき経費を正しく整理することで、十分に両立できます。大切なのは、目先の税額だけを追いかけるのではなく、いざというときに資金を調達できる状態、つまり所得をきちんと残しておく視点を持つことです。融資の予定があるなら、その時期から逆算して決算の利益を計画的に考えておきましょう。
こうしたバランスを意識しながら、日々の記帳から確定申告書類の作成までを本業のかたわらですべて自分で行うのは、決して小さくない負担です。数字の根拠があいまいなままでは、せっかくの節税も融資の準備も中途半端になりかねません。領収書丸投げドットコムは、領収書・請求書を郵送かスマホ撮影で送るだけで、記帳から確定申告書類の作成までを代行します。融資にも通る筋の通った決算数字を、税理士監修のもとで整えます。融資にも節税にも耐える決算数字を整える方法を相談する(相談は無料です)。費用感は料金プランの一覧でご確認いただけます。
【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 責任者 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行・確定申告サポートの実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。本記事は、国税庁など公的機関の公表情報をもとに作成しています。








