ソディック——放電加工機の回復で営業益9割増、構造改革が実った工作機械メーカー
ソディックは2025年12月期に営業利益が前期比約9割増となり、主力の放電加工機の販売回復と中国での構造改革が業績を押し上げました。「ものづくりを支える機械をつくる会社」の再生から、中小事業者が学べる「不振期の立て直し方」を解説します。
はじめに
私たちが手にするスマートフォンや自動車の部品は、精密な金型によって成形されています。その金型を、髪の毛よりも細かい精度で削り出すのが「放電加工機」という機械です。この分野で世界的に知られるのが、神奈川県に本社を置くソディックです。
ソディックは、需要の波に左右されやすい工作機械メーカーの宿命を背負いながらも、2025年12月期には営業利益が前の期比で約9割増えるという大きな回復を見せました。不振の時期をどう耐え、どう立て直したのか。本稿では、その決算と経営改革を読み解きながら、業績が落ち込んだときの立て直し方を考えます。
1.ソディックとは——金型づくりを支える精密機械の会社
ソディックは、放電加工機を主力とする工作機械メーカーです。放電加工とは、電気の火花(放電)を利用して金属を少しずつ削り取る技術で、硬い金属でも複雑な形状を高い精度で加工できるのが特徴です。金型づくりに欠かせないこの技術で、ソディックは長年、国内外の製造業を支えてきました。
工作機械は「マザーマシン(母なる機械)」とも呼ばれ、あらゆる製品づくりの土台になる存在です。同時に、企業が設備投資を控える不況期には注文が一気に細るという、景気に敏感な業界でもあります。ソディックの業績も、この設備投資サイクルの波に大きく左右されてきました。
2.2025年12月期決算——営業利益が約9割増
2025年12月期の連結決算は、売上高が前の期比9.4%増の805億円、営業利益が同89.4%増の42億円、純利益が同9.7%増の45億円となりました。営業利益が約2倍近くに伸びた点が、この決算の最大の特徴です。
主力の工作機械事業の売上高は583億円と13.6%増え、中華圏を中心に、データセンター向けの光コネクタ、電子部品、半導体、航空宇宙といった分野の需要が堅調に推移したと報じられています。落ち込んでいた注文が戻り始めたことが、業績回復の起点になりました。
3.利益回復の主因——中国での構造改革
売上の回復以上に注目されるのが、利益率の改善です。ソディックは、需要が低迷していた時期に、中国国内の生産体制を見直し、拠点を再編する構造改革を進めてきました。工場の稼働率を高め、固定費を圧縮する取り組みが、需要回復の局面で一気に利益となって表れたのです。
ここに、不振期の過ごし方の教訓があります。注文が減った苦しい時期に、ただ耐えるだけでなく、コスト構造そのものを筋肉質に作り替えておく。すると、需要が戻ったときに、以前より少ない売上でもしっかり利益を出せる体質になります。ソディックの約9割増益は、まさにこの「守りの時期の仕込み」が実った成果だといえます。
4.課題——景気の波と中国依存という宿題
回復基調とはいえ、課題も残ります。工作機械の需要は世界経済や設備投資の動向に大きく左右されるため、好調がいつまで続くかは読みにくいのが実情です。とりわけ、売上の多くを中国・中華圏に頼る構造は、現地の景気や政策の変化がそのまま業績に響くリスクを抱えています。
景気に敏感な事業をどう安定させるか。特定地域への依存をどう和らげるか。これらは、ソディックに限らず、需要の波にさらされる多くの事業者に共通する宿題でもあります。好調なときこそ、次の不振に備える——その姿勢が問われ続けます。
おわりに——「守りの時期」に体質を鍛える
ソディックの回復劇が教えてくれるのは、「不振の時期こそ、次の飛躍の準備期間になる」ということです。注文が減って苦しいときに、コスト構造を見直し、無駄をそぎ落としておく。その地道な作業が、需要回復の局面で大きな利益となって返ってきます。これは、規模の大小を問わず、あらゆる事業者に通じる経営の知恵です。
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【本記事の監修】
領収書丸投げドットコム 山下
個人事業主・フリーランス専門の記帳代行サービス「領収書丸投げドットコム」(運営:それいけ株式会社)の責任者として、日々の記帳代行の実務知見に基づき本記事の内容を確認しています。




